モリコメンド 一本釣り  vol. 130

Column

西田望見 新曲6曲+リーディングというコンセプチュアルなソロデビュー作。

西田望見 新曲6曲+リーディングというコンセプチュアルなソロデビュー作。

アニメ『マクロスΔ』の戦術音楽ユニット・ワルキューレのマキナ・中島役で注目を集め、声優として活躍している西田望見がついにソロデビューを果たした。記念すべき1stミニアルバム『女の子はDejlig』は、本作のために制作された新曲6曲、そして、作詞家・児玉雨子が書き下ろしたリーディングのパートで構成されたコンセプチュアルな作品となった。声優、歌手の両面、彼女自身のキャラクターがバランスよく楽しめる、理想的なデビュー作だ。

まずは“のぞみる”こと西田望見のこれまでのキャリアを紹介しておきたい。2014年に声優デビューした彼女は、『マクロスΔ』にマキナ・中島役として出演し、劇中で活躍する戦術音楽ユニット・ワルキューレの一員として活動。1st アルバム 『Walküre Attack!』がオリコン週間ランキング2位、ビルボード総合チャート1位を記録、さらに2017年、2018年と2年連続横浜アリーナで開催したライブは各回2万2000人ものチケットが即完売するなど、大きな話題となった。“マキナ”がメインボーカルを取る「おにゃの子☆girl」に代表される、キュートでガーリーな中島の魅力は、『マクロスΔ』のファンを中心に幅広く支持され、一気に知名度を上げた。

その後TVアニメ『八月のシンデレラナイン』のヒロイン・有原翼を演じるなど、声優としても活躍の場を広げている彼女。今回のソロデビューはまさにファン待望と言えるだろう。

デビューミニアルバム『女の子はDejlig』は、前述した通り、リーディングと楽曲による、“ある女の子の夢のような物語”を描いた作品。本作の軸になっているのは、西田の声の表現、そして、作詞家・児玉雨子の言葉だ。2011年から作詞家として活動をスタートさせ、アンジュルム、モーニング娘。’17、つばきファクトリー、Juice=Juiceなどのアイドルグループ、さらにアニソンの歌詞も数多く手がけてきた児玉。もともと西田がアンジュルムのファンだったことから実現した今回のコラボレーションは、“毎日がんばっている女の子を応援できるような作品にしたい”という西田の希望のもと、児玉がイメージを膨らませ、言葉を紡ぐことで進んだという。日々の生活にちょっと疲れた女の子が、夢のように楽しい世界を体験しながら、“また明日もがんばろう”という気持ちになるまでを描いた本作は、笑顔で元気という印象が強い彼女自身のイメージともしっかり重なっている。

さらに児玉は、オリジナル曲3曲の歌詞も担当している。心地よいエレクトロ・サウンドとともに、アンドロイドの女の子の恋愛を描いた「ロンリーロンリーシンギュラリティ」、疾走感にあるサウンドとアップダウンを繰り返すメロディ、そして、架空の戦隊モノの主題歌のような歌詞がひとつになった「想像守護神キメキトイア」は、妄想とリアリティが混ざり合う独創的なポップナンバーだ。「まどろみはDejlig」の歌詞は西田と児玉の共作。“大変なときは、夢の中で遊んでもいいんじゃない?”“ときどきなら、逃避してもいいんじゃない?”というメッセージが込められたこの曲は、本作のテーマをもっともわかりやすく体現している。

本作『女の子はDejlig』のもうひとつの軸はリードトラックの「フルスロットルで行こうぜ!」。この曲は西田自身が大好きだと公言しているShiggy Jr.の原田茂幸の書き下ろしで、解放的でダンサブルなポップチューンに仕上がっている。ボーカルのディレクションも原田が担当。彼女ののびのびと明るい歌をたっぷり楽しめるのも、この曲の魅力だ。MVではカラフルな衣装でダンスを披露したり、バイクに乗ったりと、こちらも彼女の個性がたっぷり(西田はバイク好きとしても有名)。まさに彼女の“好き!”が詰まった楽曲と言えるだろう。

ワルキューレでは、“マキナ・中島”のキャラクターを演じていた彼女だが、今回の作品は“西田望見”自身がしっかりと込められている。以前から彼女のボーカルに触れてきたファンなら「のぞみる、こんなにいろんな歌い方ができるんだ?!」という発見があるだろうし、彼女の音楽に初めて触れるリスナーも、“ある女の子を巡るストーリー”とともに色彩豊かな楽曲を楽しんでもらえるはず。シティポップ、エレクトロ、歌謡曲などのテイストを取り入れた質の高い楽曲、彼女自身のキャラクターとリアルな思いが反映された歌詞、そして、声優としての表情豊かなボーカリゼーションをぜひ堪能してほしいと思う。

文 / 森朋之

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