Interview

森口博子、大反響の「国民が選んだガンダムソングベスト10」カバーアルバムを語る 幸せの連鎖は「ずっと“メビウスの輪”の中です」

森口博子、大反響の「国民が選んだガンダムソングベスト10」カバーアルバムを語る 幸せの連鎖は「ずっと“メビウスの輪”の中です」

『機動戦士Zガンダム』、『機動戦士ガンダムF91』の主題歌をはじめ、数々のガンダムソングを歌ってきた森口博子によるカバーアルバム『GUNDAM SONG COVERS』が2019年8月7日にリリースされる。

本作は、2018年にNHKで放送された特番『発表!全ガンダム大投票』の「国民が選んだガンダムソングベスト10」の人気上位10曲を彼女がカバー&セルフカバーするもので、ランキングの1位に「水の星へ愛をこめて」、3位に「ETERNAL WIND ~ほほえみは光る風の中~」という自身の楽曲がランクインしたことが企画の発端となっている。

彼女の艶のある歌声に加え、ジャズバイオリニストの寺井尚子やピアニストの塩谷哲、ギタリストの押尾コータローなどのアーティスト参加による大胆なアレンジによって、「大人のカバーアルバム」と呼ぶに相応しい作品となっている。ガンダムシリーズ40周年となる2019年、デビューからガンダムソングとともにあった彼女に想いを聞いた。

取材・文 / 高村泰稔 撮影 / 増田 慶
構成 / 柳 雄大


大反響から見えてきた、ガンダム楽曲を「森口博子が歌う」ことの特別さ

『GUNDAM SONG COVERS』のリリースが発表された際、Twitterではトレンドランキング2位に入るなど、とても大きな反響がありました。この反響に関してはいかがでしたか?

森口博子 驚きました! LINE LIVEで一度告知をしただけなのに、ものすごい数のリツイートをいただけましたね。みんなの気持ちや期待をフライング気味に受け止められましたし、あらためてガンダムという作品の40年の歴史の重みと偉大さを感じました。

何よりうれしかったのは、 “森口博子が歌うから”、“森口博子の声で聴きたい”という声をたくさんいただいたことです。それって歌が上手いと言ってもらえるより、自分の存在意義を認めてもらえたような気がしますし、モチベーションアップに繋がりました。このときはまだレコーディングが半分終わったくらいのときだったんですが、それで自分を鼓舞しました(笑)。

NHKで行われた『発表!全ガンダム大投票』ガンダムソング部門では、『機動戦士ガンダムF91』の主題歌「ETERNAL WIND ~ほほえみは光る風の中~」が3位に、そして『機動戦士Zガンダム』のOP主題歌「水の星へ愛をこめて」が堂々の1位となりましたが、ランキングをご覧になって嬉しかったこと、意外だったことなどがありましたら教えてください。

森口 この結果には本当に驚きました。ランキングの途中経過が発表されたときに、どうなっているのか気になって見ちゃったんです。でも、その時点では私の曲が入ってなかったので、すごく複雑な思いだったんですよ。正直、ベスト10には入っていたいなという気持ちはあったんですね。10位から5位まで発表された段階では入っていなくて……。

そうしたら、その後の発表でマネージャーから、「1位と3位でした!」って連絡が来て、もう号泣しましたね。こんなにも長く愛されている楽曲なんだなと。361曲の中から1位になるなんて、信じられない。私の曲ではあるんですが、もうみんなの人生に必要な曲になってくれているんだなって。そこに携わらせていただけた、同じ時代を生きられたということはボーカリストとしてとても幸せだなとあらためて思いました。

「水の星へ愛をこめて」をあらためてカバーすることには葛藤もあった

森口博子 エンタメステーションインタビュー

今回のアルバム制作にはどのような心境で臨まれましたか?

森口 このアルバム自体、昨年の『全ガンダム大投票』で私の楽曲を上位に選んでいただけたことがきっかけで、企画がスタートしました。

以前からいろいろな曲のカバーがやりたいとは思っていたんですが、具体的な話をし始めたときにこの結果が舞い込んできて、ディレクターさんが「この全10曲をカバーしてみてはいかがでしょう?」と言ってくださったんです。だから、ファンの皆さんへの感謝と、普遍的な作品を創作し続けてくださったスタッフのみなさまへとガンダム40周年のアニバーサリーにリスペクトの思いを込めて向き合わせていただきました。

アルバムを聴いた印象として、全体的に落ち着いたアレンジの曲が多かったこともあり、艶のある森口さんの声も相まって、大人のための「ガンダム」アルバムという印象を受けました。森口さんはアルバム全体の印象はどのように感じましたか?

森口 おっしゃるとおり、大人のカバーアルバムにしたかったというのがあります。「ガンダムで育ってきた方がじっくり聴けるアルバムにしたいよね」ということで、ディレクターさんたちもアイデアを出してくれたんですよ。最初は「ギター一本で行くんですか?」と驚いた楽曲もあったんですけど、力のある作品なので、逆にギター一本でも面白いと感じました。

収録曲のアレンジはどのように決めていったのでしょうか。

森口 基本的にはディレクターさんからコンセプトを提案していただいて、そこに私からの希望を加える形で進めました。

特に「水の星へ愛をこめて」は私のデビュー曲で、34年間歌い込んでいる曲のセルフカバーでもあります。この曲は打ち込みのサウンドにストリングスの音が重なりすごく美しい楽曲なんです。メインのメロディーがあって、裏のメロディーのカウンターメロディーがあって、たとえば「心にうずもれた~」がメロディーだとしたら、その裏メロのバイオリンがすごく美しいんです。だから、やっぱりバイオリンは外せないんですよね。

このバイオリンは……以前テレビで『機動戦士ガンダムTHE ORIGIN』の「宇宙の彼方で」を歌わせていただいたときに演奏してくださった寺井尚子さんのバイオリンがものすごく情熱的で素敵だったんです。だから今回、寺井さん以外に考えられませんでした。テレビ番組の収録で共演したとき、「こんなにまっすぐ気持ちよく歌える人はそうそういないわよ!」って褒めてくださって。そういうこともあったので、寺井さんだったらこの歌の想いを受け止めて下さると思い、ラブコールさせていただきました!

そんな「水の星へ愛をこめて」を今回あらためて歌う際、どのような心境で臨まれましたか?

森口 コンサートではよく歌っている曲ですが、たくさんのファンの方から「最近の歌声でぜひ聴きたい」というリクエストをいただいていたんです。ただアニメというのは観てくださっていた当時の印象がそのまま残っていることもあって、私自身、葛藤もありました。

でも、デビューした17歳のときの歌声より、今の歌声の方がいいってみんなが言ってくれたのが、すごく心強かったです。みんなの期待度が高いのがデビュー曲だと思うとすごく緊張しましたね。でも、寺井さんのヴァイオリンがドラマティックで圧巻! 熱いエネルギーに包まれた同時レコーディングにグッときました。

アレンジが変わると歌い方も変わるじゃないですか。原曲は80年代の流行りの打ち込みのサウンドで、キーの高いところは地声を張って歌っていたんですが、今回のアレンジは大人のイメージなので、あえてファルセットにしてみたら、ファンのみなさんが「この歌い方もいいね」って言ってくださいました。まったく違うアレンジを違和感なく受け止めてくれたことは、ファンのみなさんと自分が一緒に成長してきたことの証だと思います。ホッとしたのと同時に「あっ、みんなも大人になったんだなぁ」って(笑)。

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