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原 嘉孝、桜井玲香、元木聖也らが騙し合いを繰り広げる。サスペンスコメディ舞台『THE BANK ROBBERY! ~ダイヤモンド強奪大作戦~』開幕

原 嘉孝、桜井玲香、元木聖也らが騙し合いを繰り広げる。サスペンスコメディ舞台『THE BANK ROBBERY! ~ダイヤモンド強奪大作戦~』開幕

宇宙Six / ジャニーズJr.の原 嘉孝が単独初主演を務める舞台『THE BANK ROBBERY! ~ダイヤモンド強奪大作戦~』が、8月2日(金)に新国立劇場 中劇場で初日を迎えた。
本作は2016年にイギリス・ロンドンで初上演され、現在も大ヒットが続いているサスペンスコメディ舞台「The Comedy About A Bank Robbery」の初の日本版となる。1958年のアメリカ・ミネソタを舞台に、幻のダイヤモンドを巡って、スリ、詐欺師、脱獄犯などが、騙し、騙され、惑わし合いながら、予想外の大どんでん返しに向かって物語がテンポよく進行していく。日本初演版の翻訳は谷 賢一、演出を小林顕作が手がけている。
初日公演前に行われたゲネプロのレポートと、原 嘉孝(宇宙Six / ジャニーズJr.)、桜井玲香(乃木坂46)、元木聖也、田中要次、演出の小林顕作が登壇した囲み取材の模様をお届けする。

取材・文 / 松浦靖恵


何が本当で、何が嘘なのか。予想外の大どんでん返し

ゲネプロが始まる前に緞帳前に登壇したのは、本作で様々な役を演じるラブレターズの溜口佑太朗と塚本直毅のふたり。日本初上陸したこの舞台を日本の観客により楽しんでもらえるようにと、作中に登場する英語特有の言葉遊びを使ったやりとりを、笑いを交えた楽しい“前説”で解説を行った。

舞台『THE BANK ROBBERY! ~ダイヤモンド強奪大作戦~』 エンタメステーションレポート

劇場内に流れていた「監獄ロック」(エルヴィス・プレスリー)のボリュームが大きくなると、幕が開いた舞台上には、囚人服を着た男ふたりと看守の姿が。どうやらそこは刑務所の中らしい。囚人のひとりは、武装強盗、窃盗、詐欺など多数の罪で10年の収監刑を言い渡されているミッチ・ラスチッティ(元木聖也)。刑務所の中でも問題児の彼は、ミネアポリス都市銀行がハンガリーの国王子から預かった高価な幻のダイヤモンドを強奪するため、刑務所脱獄を企てていた。

その後ミッチは、看守のニール・クーパー(尾上寛之)の協力を得て、無事に(!?)脱獄に成功。ミッチとニールが車で逃走するシーンでは、役者たちが小道具をあちこちで動かしながら、チームワークよくスピーディーに場面を見せていく。

舞台『THE BANK ROBBERY! ~ダイヤモンド強奪大作戦~』 エンタメステーションレポート

歌とダンスで華やかに舞台を彩る「バンクロバリーのテーマ」を挟んで、場面はミネアポリス都市銀行へと変わる。銀行頭取を務めるロビン・フリーボーイズ(大堀こういち)の娘・カプリス(桜井玲香)は、あちらこちらの男たちを騙している結婚詐欺師。カラフルな花柄のフレアスカートやリボンを結んだポニーテールなど、50年代のアメリカンファッションを着こなした桜井が登場すると、ステージがパッと華やかになる。

舞台『THE BANK ROBBERY! ~ダイヤモンド強奪大作戦~』 エンタメステーションレポート

そんなカプリスに一目惚れしたのが、サム・モナハン(原 嘉孝)。パッと見は普通の男の子にしか見えないが、実はスリの常習犯だ。周りの人たちから弁護士、牧師、医者だと言われているのを聞いた、何も知らないカプリスは「新しいカモになる!」と、彼とデートを繰り返すようになる。

この物語の登場人物たちはクセ者ばかりなので、カプリスの部屋にウキウキしながらやってきたサムに対して「カプリスが詐欺師であることを知らないんだよね?」「それともすでに騙されたふりをしているだけ?」などと勘ぐってしまいそうになるが、実のところは可愛らしいカプリスにすっかり心を奪われ、彼女のことを思うだけで表情が自然とほころんでしまうピュアな男の子。母のことも大好きで、根は優しいサムのホンモノの恋心を、原は大きな瞳をキラキラさせながら、生き生きと演じていた。

舞台『THE BANK ROBBERY! ~ダイヤモンド強奪大作戦~』 エンタメステーションレポート

元カレのミッチ、カプリスに騙されている男たち、そして彼女の父親までが入れ代わり立ち代りカプリスの部屋にやってくる場面では、どうにかして鉢合わせを避けようと慌てふためく行動、ジェスチャーや変顔ありの桜井の表情が大きな笑いを誘う。カプリスは「あなたしか頼る人がいないの」などと、思わせぶりな態度とキラキラの笑顔で何人もの男を手玉に取る結婚詐欺師なのだが、桜井が演じるカプリスはどこか憎めない可愛らしさがあり、詐欺師の表情を見せる場面とのギャップがとても楽しく、コメディエンヌの魅力が炸裂していた。

舞台『THE BANK ROBBERY! ~ダイヤモンド強奪大作戦~』 エンタメステーションレポート

ところで、ゲネプロ後の囲み取材で元木聖也が「(ゲネプロでも)予想外のことが舞台のあちらこちらで起こっていて。本当はあっちゃいけないものがあったりする」と話していたのだが、カプリスの部屋でサムとミッチがニアミスするシーンには、本来隠したはずのものが落ちており、それに気づいた元木が即座に「カプリス、これはなんだ?」とアドリブを入れ、桜井もそれを受けて、まるで脚本にもともとあったやりとりのように自然に返していた。今後の公演でも生の舞台ならではの俳優たちのアドリブ合戦を楽しめる場面があるかもしれない。

舞台『THE BANK ROBBERY! ~ダイヤモンド強奪大作戦~』 エンタメステーションレポート

第二幕が始まる前にも再びラブレターズのふたりが“中説”で登場。オリジナル版で描かれている英語の言葉遊びやギャグ、テンポ感を楽しくレクチャーする。そんな“前説”や“中説”を入れることで、観客たちはあるシーンでのやりとりがより楽しいものになる。

第二幕では、冒頭にFBI捜査官のランダル・シュック(田中要次)と銀行の窓口に勤めるサムの母・ルース(しゅはまはるみ)が繰り広げる大人の恋の行方や、カプリスを巡る恋、銀行強盗に巻き込まれてしまう人物たちが心底に抱いている愛をなぞった楽曲「誰かが誰かに恋をする」が披露され、その後はミッチらの強奪計画が描かれていく。

舞台『THE BANK ROBBERY! ~ダイヤモンド強奪大作戦~』 エンタメステーションレポート

田中は本作が約7年ぶりの舞台だそうだが、アニメ『ルパン三世』の人気キャラクター・銭形警部のような衣裳で軽快に歌い踊る姿には、映画やドラマで見る趣とはまた違った独特な雰囲気があり、彼の新たな魅力を発見できるだろう。

舞台『THE BANK ROBBERY! ~ダイヤモンド強奪大作戦~』 エンタメステーションレポート

ついに銀行に侵入できたミッチ、いつのまにやら強奪計画に巻き込まれたサム、カプリスたちがダイヤモンドが保管してある金庫室に通じる換気口を移動するシーンでは、まるでサムたちが天井裏から下を眺めているような仕掛けのセットがつくられており、ロビンとウォーレン・スラックス(市川しんぺー)がコミカルなやりとりや演技を披露する。観客にとっては予期せぬ出来事も期待でき、笑えること間違いなしなのでお楽しみに。

舞台『THE BANK ROBBERY! ~ダイヤモンド強奪大作戦~』 エンタメステーションレポート

また、サムたちが金庫室に到着したシーンでは、2つの見どころがある。
金庫室に張り巡らされた赤外線センサーをバク宙をしながら素早くかいくぐっていくミッチ。ミッチを演じる元木のこの華麗なアクロバットは、彼の身体能力の高さを見せつける、本作の見せ場のひとつだ。それと、サムがキレキレの殺陣と歌とダンスを披露する「俺に歌が無かったから」。この歌は、稽古中に歌のシーンがないことに気づいた原のために、演出の小林顕作がたった一日でつくったという。囲み取材で原は「この曲はサムじゃなくて原の曲です(笑)。コメディなのでそれも許されるのかな」と語っていたが、“ここで魅せなきゃ先輩たちに怒られる”なんていうクスっと笑えるフレーズもあるので、ぜひ注目して欲しい。

舞台『THE BANK ROBBERY! ~ダイヤモンド強奪大作戦~』 エンタメステーションレポート

劇中のところどころにダンスや歌などを取り入れたミュージカル風の演出、演者たちが交わす会話のリズミカルなテンポ、観客の笑いを誘うギャグやユーモア、間合いの心地よさなど、稽古を積み重ねてきたとはいえ、この座組みの雰囲気の良さ、チームワークの良さが十分に伝わってくる。世の中的には“悪者”であるスリや詐欺師だけれど、本作では愛らしく、個性的なキャラクターたちからは目が離せない。何が本当で、何が嘘なのか。そして、いったい誰が50万ドルもする幻のダイヤモンドを手にすることができるのか──。予想外の大どんでん返しを、ぜひ劇場で目撃して欲しい。

「俺に歌が無かったから」。そのまんまです(笑)

ゲネプロ後に行われた囲み取材には、サム・モナハン 役の原 嘉孝(宇宙Six / ジャニーズJr.)と、カプリス・フリーボーイズ 役の桜井玲香(乃木坂46)、ミッチ・ラスチッティ 役の元木聖也、ランダル・シュック捜査官 役の田中要次、演出を手がけた小林顕作が登壇した。カンパニーの雰囲気の良さも伺えるトークのやりとりをそのままお届けする。

舞台『THE BANK ROBBERY! ~ダイヤモンド強奪大作戦~』 エンタメステーションレポート

まずは、役どころから教えてください。

原 嘉孝 僕が演じるのはサムという役で、ミネアポリスに住むスリの名人です。ほかの登場人物と比べて、意外と普通の男の子というか。普通に恋もしますし、お母さんのことも大好きで。ついつい癖で財布とかを盗んじゃう感覚で僕は演じています。そういう面をほかの役とは違う感じで演じられたらと思っています。
サムはカプリスにひと目惚れをして近寄っていくんですけど、最初は、彼女は僕のことを騙そうとしていて、話が進むにつれて本当の恋に変わっていくという関係性ができていきます。

桜井玲香 カプリスという結婚詐欺師ですが、可愛らしい部分もありつつ、詐欺師らしい素が出る瞬間もあったりするので、うまく強弱をつけて表現できたらなと思っています。

田中要次 この見てくれからわかるかと思いますけど、FBI捜査官のシュックという役です。この格好から『ルパン三世』の銭形警部に憧れている方なんじゃないかと思いますね(笑)。

元木聖也 僕はミッチという役で、この作品の中で一番悪い役だと思います。ダイヤモンドを盗めるのなら、人を殺すこともいとわないような極悪人ですね。

舞台『THE BANK ROBBERY! ~ダイヤモンド強奪大作戦~』 エンタメステーションレポート

演出を手がけた小林さんは、ゲネプロを終えて今日の出来はいかがでしたか?

小林顕作 テクニカル面も含め、スタッフもキャストのみんなもチームワークがすごく良いので、自分が思っていたよりすごく出来がいいな、と思いました。

舞台『THE BANK ROBBERY! ~ダイヤモンド強奪大作戦~』 エンタメステーションレポート

原さんは単独初主演ですが、プレッシャーはありましたか?

 お話をいただいたときはプレッシャーを感じていたんですけど、稽古をするにつれて、稽古場が笑いの絶えないすごくいい雰囲気で。顕作さんも、こういう感じなので……。

小林 どういう感じだよ?(笑)

 緊張がほぐれるというか。みんなラフな感じで(笑)。

小林 緊張がほどけていくのはいいんですけど、だんだん保育園みたいな感じになっていって(笑)。言うことをきかなくなるというか、こっちから呼ばないとなかなか集まってくれないっていう。稽古時間が始まっているのにどこかに行っちゃってて、「やるよ~!」って呼ばないと来ないんです(笑)。

 顕作さんもそうじゃないですか!?(笑)

元木 顕作さんも一緒にUNOとかトランプとか将棋をやってましたよね(笑)。

田中 みんな休憩中にカードゲームとかをやっていて、僕は「余裕があっていいな」って思ってました(笑)。コメディをやりたいとずっと願っていて、面白そうな作品に出会えたと思ったのですが、ミュージカル仕立てだということを知らずに参加してしまって(苦笑)。オッサンが間違って(踊りと歌の)プロ集団に紛れ込んでしまったような感じです(笑)。

舞台『THE BANK ROBBERY! ~ダイヤモンド強奪大作戦~』 エンタメステーションレポート

桜井さんは、今回の公演でコメディセンスが花開いたのでは?

桜井 私、ゲラなので。すぐ笑っちゃうところがあって。

小林 こんなにゲラな人だとは思っていなかったですね。コメディだし、面白いことをやりたくなっちゃうんですけど、桜井さんがすぐに笑っちゃうんですよ。

 シリアスなシーンなのに、僕の顔を見て笑っちゃうんですよ(苦笑)。

小林 「なんで?」って聞いたら「顔を見ると笑っちゃう」って言うから、僕もまじまじと(原の)顔を見たら笑っちゃったっていう(笑)。

 いやいや、ジャニーズ、ジャニーズ!(笑)。この現場の人は僕がジャニーズってことを忘れがち(笑)。しかも最近、ゴリラって言い始めて(苦笑)。

小林 要次さんの顔を見てたら、原くんもそうだなって(笑)。

 (苦笑)。(コメディの感じは)顕作さんが「こういう感じで」って手本を見せてくださるので、それをマネながら自分に落とし込んでいくかたちでした。最初はもっと可愛い感じで役をつくっていたんですけど、ことごとく顕作さんに壊されて(笑)。

桜井 私も全然違うキャラになりました(笑)。

小林 壊されって(苦笑)。面白くしたかっただけなんです。面白くしたほうがもっと可愛いんじゃないかなって。

コメディは難しい部分もあるのでは?

 稽古場でつくり上げたものだけじゃなくて、その場でのお客さんとのやりとりや空気が大切ですし、ウケてもすぐに切り替えないとダメだと思うので、その難しさがコメディにはあると思います。お客さんが入らないとわからないこともたくさんあるので楽しみですね。アドリブ合戦になってもいいのかなって。

桜井さんは乃木坂46としては最後の舞台になりますね。

桜井 「この人はアイドルなんだな」っていうことを認識されながら見られると思うので、それを忘れてしまうくらい、コメディエンヌとして徹底して頑張りたいと思います。

小林 僕はかなりイケてると思っています。こんなに可愛らしい人で、こんなに面白い人って、これまでそんなに出会っていないですから。最初に会ったときには、こんなに変身しちゃうと思ってなかった(笑)。

原さんの見せ場もすごいですね。

 題名は「俺に歌が無かったから」。そのまんまです(笑)。僕、最初は歌のシーンがなかったんですよ。歌詞も“俺に歌う場面がなかったから~”“ここで魅せなきゃ先輩たちに怒られる~”っていうので、サムの歌じゃなくて、原の歌なんです(笑)。コメディなので、そういうのも許されるのかなって。

小林 「僕だけ歌のシーンがないですけど」ってブーブー言ってたんで、一日でつくりました(笑)。オリジナルにはあのシーンがなくて、勝手につくっちゃったんです(笑)。

舞台『THE BANK ROBBERY! ~ダイヤモンド強奪大作戦~』 エンタメステーションレポート

では、原さん、最後に見どころを教えてください。

 この作品はコメディなので、老若男女、誰でも楽しめる作品になっていると思います、その回ごとの、お客さんの雰囲気や、お客さんとのやりとりを僕たちも楽しみつつ、演じられればと思っております。ぜひ、たくさんの方に足を運んでいただけたら幸いです。ぜひ、皆さん来てください!

舞台『THE BANK ROBBERY! 〜ダイヤモンド強奪大作戦〜』

舞台『THE BANK ROBBERY! 〜ダイヤモンド強奪大作戦〜』

東京公演:2019年8月2日(金)〜8月12日(月・祝)新国立劇場 中劇場
大阪公演:2019年8月16日(土)〜8月17日(日)森ノ宮ピロティホール

STORY
1958年夏。アメリカ合衆国ミネソタ州。
ミネアポリス都市銀行はハンガリーの国王子から非常に高価なダイヤモンドを預かることになり、その街のスリ、脱獄囚、泥棒、詐欺師たちが、それぞれダイヤモンド窃盗の陰謀を図る。
互いの騙し、騙され合いが重なり、身元が取り違えられたり、
恋の三角関係が巻き起こったり、事態は奇想天外の方向に……
果たして誰がダイヤを手に入れることができるのか……!?
ハラハラドキドキのサスペンス喜劇!

原作:「The Comedy About A Bank Robbery」 by Henry Lewis, Jonathan Sayer & Henry Shields
翻訳台本:谷 賢一
演出:小林顕作

出演:
原 嘉孝(宇宙Six / ジャニーズJr.) 桜井玲香(乃木坂46) 元木聖也/
尾上寛之 しゅはまはるみ 溜口佑太朗(ラブレターズ) 塚本直毅(ラブレターズ)/
大堀こういち 市川しんぺー/田中要次
<ROBBERY団>穴沢裕介 広瀬斗史輝 下司尚実 熊澤沙穂

企画・製作:エイベックス・エンタテインメント

オフィシャルサイト
オフィシャルTwitter(@thebankrobbery)