Interview

番匠谷紗衣 ドラマの主人公にも共感。 “憧れや夢に向かって自分らしく”と力強く歌うミドルバラードについて訊く。 

番匠谷紗衣 ドラマの主人公にも共感。 “憧れや夢に向かって自分らしく”と力強く歌うミドルバラードについて訊く。 

大阪出身の二十歳のシンガーソングライター、番匠谷紗衣がニューシングル「自分だけの空」をリリースした。
表題曲は朝比奈彩が26歳の女性パイロット役を演じるドラマ『ランウェイ24』のエンディングテーマとして書き下ろされた新曲で力強い歌声が勇気を与えてくれる前向きなミドルバラード。同ドラマは、番匠谷の地元である大阪の関西国際空港が舞台で、メインの演出を務めるのは彼女と同世代の21歳で現役女子大生監督の松本花奈。自身との共通項が多い作品に携わった彼女に楽曲に込めた思いを聞いた。

取材・文 / 永堀アツオ 撮影 / 持田薫


「自分はこう思ったからこうなんや!」っていう強さをまた1つ見出せた感覚はあって

番匠谷紗衣 エンタメステーションインタビュー

少し前の話になりますが、今年の1月に二十歳を迎えた心境から聞かせてください。

ああ! 忘れかけてましたね。二十歳になって心境の変化があったわけではないんですけど、成人したことで大人としてみてもらえることが増えたのは嬉しかったですね。

前回、インタビューした時は19歳で「お酒が飲めるようになったら、いろんな人と深い話ができるようになるって聞いてるので楽しみです」とおっしゃってました。

言ってましたね。でも、私の友達はお酒を飲むとすぐにベロベロになってしまって。しょうもないことしか言わなくなるので(笑)、今のところはまだ実感できてないですね。よりくだらなくなりました。

あはははは。音楽制作に関しても変化はないんですが?

あ、前回はちょっと迷ってる感じやったんですよね。メジャーデビューした当初は、「この言葉は違う捉えられ方をしてしまうかな?」とか、「こう言うべきだ」とか、周りの声や反応にとらわれ始めてたんですね。でも、今回のシングルを出させてもらうタイミングでは、「自分はこう思ったからこうなんや!」っていう強さをまた1つ見出せた感覚はあって。

それは何かきっかけがあった?

いろいろと割り切れたのかもしれないです。自分は絶対に売れたいって考えられるようになったというか。じゃあ、それまでどう思ってたねん! ってなるかもしれないんですけど、今までは自分が歌いたい曲があって、それをいいって言ってくれる人がいて。それが嬉しくて、そう言ってくれる人と一緒に、みんなで大きくなっていったらいいなっていう考え方やったんです。でも、メジャーデビューしてプロになって、二十歳になって責任感もでて。いろんな協力をしてくれる人が増えたし、応援してくれてる人もめちゃめちゃ期待してくれてる。直接、言われないとしても伝わってくるから、「私は絶対に売れるしかない!」って覚悟を決めれたっていうところから、一番最初に憧れた気持ちにまっすぐに進んでいくために今、自分がどうするべきか。それがはっきりわかったんです。

その心境が新曲「自分だけの空」にそのまま描かれてますね。

そうなんですよ。自分の気持ちと台本がすごく重なってて。台本を読んだ時に、心境が重なっているというよりかは、主人公の(井上)桃子さんが、それこそ憧れている気持ちにいつもまっすぐで、自分がどうするべきかをわかって行動できているなって思ったんですね。いろんな人と出会って、いろんなことを言われて、悩んで、迷ってはいるけど、結局は“自分だけの空”に辿り着くのがカッコいいなって思って。そういう確固たる意志を持ってるっていう部分が自分と重なって。

では、すらすらと描けましたか。

今回、Carlos K.さんが作曲してくれました。最初はこんなに爽やかでキラキラした雰囲気の曲は自分では書かれへんし、引き出しの中になかったので、どんな歌詞をはめればいいんだろうってすごい悩んだんですね。だから、できるかな?っていう不安はあったんですけど、書くテーマが決まってからは早かったですね。

怖がらずに、心のキャンパスみたいなものにどんどん自分の色を増やしていけたらと思ったんですよね

繰り返しになってしまいますが、そのテーマというのは?

短くいうと、「人生は旅や」と思ったんですよ。一番最後に出てくる<広がってく/自分だけの空に/怖がらずに色を増やしていこう>って言う歌詞が自分では気に入ってるんですけど、新入社員とか新入生とか、バイトを新しく始める人もそうやと思うんですけど、いろんな人にいろんなことを言われるし、自分の心を削りながら働いたり、学校に通っていると思うんですね。でも、そんな中でも、怖がらずに、心のキャンパスみたいなものにどんどん自分の色を増やしていけたらと思ったんですよね。そう思った時に、<自分だけの空>っていうフレーズが浮かんできましたね。あとは、やっぱり<憧れた気持ち思い出して>っていうところかな。

番匠谷さんが最初に憧れた気持ちというのはどんなものでした?

家にいろんな方のライブDVDがあったんですよ。だから、幼い時から、テレビよりもライブDVDを毎日見ていて。ステージで歌ってるアーティストがすごく輝いて見えたし、私も絶対にこうなりたいって思ったんですね。だから、誰か一人に憧れたっていうわけではなくて、いろんなライブDVDを見ながら、自分の中で絶対にこうなりたいっていう像を作り上げちゃってるんですよね。

その理想のアーティスト像というのは?

いつも言ってるんですけど、大阪城ホールでワンマンライブをやるアーティストになるってことですね。いつか城ホールのステージに立って、小さい頃から思い描いてきた自分のイメージと一致したらいいなと思います。

いま、城ホールの話が出ましたが、大阪はどんな場所になってます?

私の中では……なんやろな。私、東京も名古屋も北海道も、行ったところ、全部大好きなんですよ。だから、特別、大阪が好きっていうことではないけど、自分が育ってきた街やし、大阪に行ったら、落ち着くし、会いたい人もいっぱいいて。自分がもっともっとビッグアーティストになって、絶対に恩返ししたい場所ではありますね。しかも、今回、地元の関西国際空港が舞台のドラマで、航空会社「Peach」さんが全面協力しているので、絶対に一緒に盛り上げたいなって思ってます。

Peachさんの思い出が。高校3年生の時に初めて北海道に行ったんですけど、それが初飛行機やったんです

番匠谷紗衣 エンタメステーションインタビュー

前回のインタビューで関空から上京したお話をお伺いしましたが、関空を拠点とするLCCの思い出は何かありますか?

それが、あるんですよ! Peachさんの思い出が。高校3年生の時に初めて北海道に行ったんですけど、それが初飛行機やったんです。私は「死ぬ!」って思ってたんですよ(笑)。でも、初めて乗ったPeachの客室乗務員の方がめちゃめちゃ優しくて。お水を何杯もくれたし、シートの倒し方も教えてくださって。だから、死なずにすんだんですよ、Peachさんの優しさのおかげで(笑)。飛びだった時に窓から見た景色……「雲が下にある!」とか、ほんまに衝撃的で。今はもう寝ちゃうので、人って怖いなと思いますけど。

あははは、もう慣れちゃったんですね。空は見てない?

ま、一瞬だけみて、寝ますね。でも、関空に海すれすれで通る時とか、夕暮れの空とか、めっちゃ綺麗なんですよ。感動しますね、毎回。初飛行機がPeachさんやったっていうのは縁を感じますね。

ご自身の初心や原点を思い返す曲でありながらも、サビでは<心配ないよ/君は君だ>と歌ってますよね。

私の気持ち的には自分に対して歌ってますね。でも、実は私がいつもライブで思ってることやったりもするし、お客さんにもそう思ってもらいたいことでもあるんですよ。だから、ドラマのタイアップで、自分の気持ちとも重なっているけど、ライブで歌うこともイメージして作っていて。ライブでは<私は私だ>って言うんじゃなくて、<君は君だ>って言いたいし、そうやって聞いてもらえたらなって思いました。

歌入れはどんな思いで臨みました? 冒頭から新鮮な歌声になってました。

そうなんですよ。初めから高いんですよね。すごく自問自答したり、相談しながら進めていったんですけど、普通に声を出すと叫び声になるんですよね。もともとこの曲を聞かしてもらったと時の仮歌がミックスボイスで綺麗に歌ってはって。でも、私がそれをしても違うと思ったので、ファルセットでいくのか、地声でいくのか、めっちゃ色々と試して、すごく模索して。何百通りもボイスメモをとって決めたんですよね。サビも今まで出したことのない発声法で、力は抜きつつも、芯は残すみたいな声をめちゃ研究して。前の時も研究してって行ってたんですけど、また違う扉が開いたので。この曲と出会えたよかったなって思いましたね。

この曲を歌うときは笑顔を意識して、笑顔で歌ったんですよ。初めての経験やったんですけど、声のトーンを明るくしたいと思って

柔らかさの中にある強さを感じました。歌声を浴びてると爽やかな風が吹くような心地よさがあって。

ありがとうございます! 私、どっちかと言うと、辛いことを思い出しながら歌っちゃうから、表情がしんどそうに見えることが多くて。でも、この曲を歌うときは笑顔を意識して、笑顔で歌ったんですよ。初めての経験やったんですけど、声のトーンを明るくしたいと思って。1回、これで完璧って思ったんですけど、聞いてみたら、ちょっと暗いなって思って、再度録り直したりして。音だけでもより前向きな気持ちになれるように意識して歌ったので、笑顔で歌うから恥ずかしくて。暗くしたのは覚えてます。

憧れって、すごく素敵な感情やと思うんです。そこに近づいていくための自分を貫く強さを持って欲しい

ドラマを含めて、聴き手にどんなメッセージが伝わったらいいなと思います?

やっぱり、憧れた気持ちってどんどん薄れてくと思うんですよね。現実を見てショックを受けたり、こうであるべきやっていう意見を押し付けられたり、自分の考えを否定されたり、いろんなしがらみがあったりとか……。いろんな人にいろんなことを言われたりするだろうけど、このドラマを見て、この曲を聴いて、自分がどこにたどり着きたいんやろうっていうのを、もう一度、思い出してほしい。憧れって、すごく素敵な感情やと思うんです。そこに近づいていくための自分を貫く強さを持って欲しい。私自身、前作「ここにある光」の時はそうやって言えなかったけど、今は言える。逆境の中でも自分を貫くことで、ちょっと進めた時に、他の人が言ってることの意味がわかったりもすると思うんですね。だから、周りの声とか批判とか、いろんなことを気にしすぎずに、もっと自分を強く持って、貫いて、怖がらずに自分の色を増やしていこうって思ってもらえたらいいなと思いますね。

カップリングについてもお伺いできますか。

そうですね。「自分だけの空」で初めて知ってくれた方は、すごいキラキラした明るい子なんかなって思うと思うんですよ。でも、2曲目の「幸せのなかで」を聴いてもらえたら、私のアーティストとしての根底にあるものが知ってもらえると思うし、カバーは私が普段やってる弾き語りにこだわってて。思うから、自分の根本の部分も知ってもらえるし、今まで応援してくれた人には新しい番匠谷さえを見せれる1枚になってるかなって思います。

共通カップリングのラブソング「幸せのなかで」はご自身が作詞作曲を手がけてます。

私は昔からずっと、幸せやなって感じた時に、こんな幸せでいいんかな、いつか終わるんじゃないかって怖くなるんですよ。だから、幸せじゃないほうがいいって思ってきたんですけど、友達に初めて本当に好きな人ができて。彼女に会った時に、何の曇りもなく、めっちゃ幸せそうにしてたんですよね。それを見た時に、幸せになるってこんなに素敵なことなんやって本気で思ったし、幸せになっていいんやなって気づけたんですよ。私と同じように感じてる人も多いかもしれないから、もっと幸せになっていいよって伝えられたらなって思いますね。

ほんまにライブが幸せですね。ライブが終わった後に燃え尽きてる時、ほんまに濃く生きれてるって感じるんですよね

番匠谷紗衣 エンタメステーションインタビュー

今はどんな時に幸せを感じてます?

当たり前のこと言って申し訳ないんですけど、ほんまにライブが幸せですね。ライブが終わった後に燃え尽きてる時、ほんまに濃く生きれてるって感じるんですよね。あとは、うーん……ボランティアに行って、いろんな人と話してるときかな。普段、音楽の人とだけ関わってるので、いろんな人と出会うっていうことがシンプルに幸せやなって思ってて。

なんども前回のことを言って申し訳ないんですけど、前回は「休みの日は外に出ずに人とも全然喋らない」って言ってました。

塞ぎ込んでたのが治ってきたのかな。元々はほんまに人が大好きなんですよね。いろんな人と話せるのが楽しかったり、生きてるなって感じられるから。ほんまに人と会うのが幸せですね。波があるんですけど、今はほんまに、もっといっぱいの人に会いたいって思います。次に会った時に塞ぎこんでたらすみません。あははははは。

(笑)初回盤にはコブクロさん「蒼く 優しく」とウルフルズさん「笑えれば」の弾き語りカバーが収録されてます。

いっぱいカバーしたいアーティストさんがいるんですけど、今回は大阪が舞台のドラマのタイアップだから、大阪のアーティストさんに絞ろうってなって、大好きな二組にしました。コブクロさんは自分が一番好きな曲ですね。なんでかわからないんですけど、この曲を聴くといつも泣いちゃうんですよ。他の曲も好きやなって思いながら聴いてるんですけど、この曲だけ別物なんですよね。

ストリートライブでも歌ってました?

小学生くらいからカラオケではいつも歌ってたんですけど、弾き語りでは難しすぎて歌えると思ってなかったです。だから、今回が初挑戦ですね。カバーはほんまにしていいのかなって、めちゃめちゃリスペクトがすご過ぎて、リリースされるまではめちゃ不安なんですよね。でも、前作で尾崎豊さんの「forget-me-not」を歌ったとき時に、尾崎豊さんのファンの人が見つけてくださったり、若い人が初めて聴いて好きになってくれたりしたことが嬉しくて。自分と同じアーティストを好きな人は同士やと思ってるんで(笑)、自分にできることはやりきりましたね。

ウルフルズはどうして「笑えば」でした?

トータス松本さんのソロも含めて、候補がいっぱいあって決めるのが難儀やったんですけど、歌った時に、直感でこの曲がいいって思いました。この曲も好きやけど、自分は歌われへんって思ってたんですけど、スタッフも全員一致でこれが一番いいってなったし、アップテンポの曲を入れたかったし、自分にはないところを引き出してもらったなって思いますね。

このシングルを1枚でも、一人でも多くの方に届けるっていうことが、次に繋げるためにも必要なことだと思ってますね

大阪色の濃い1枚になりましたね。最後に今後についてお伺いできますか。冒頭でドラマの主人公に対して「自分がどうするべきかをわかって行動できている」とおっしゃってましたが、番匠谷さんはどう進んでいくべきだと考えてますか?

まずは、このシングルを大阪を中心に盛り上げて、勢いをつけたいなって思ってます。だから、このシングルを1枚でも、一人でも多くの方に届けるっていうことが、次に繋げるためにも必要なことだと思ってますね。その上で、私自身は、殻を破りたい時期でもあるので、いろんなことに取り組んでいきたいです。人生の最終目標に向かって、自分がやりたい企画もどんどん発信していきたいと思ってますね。

城ホールより先の目標も決まってる?

はい。でも、最終目標は城ホールのワンマンライブが実現した後に話しますね。今はまず、目の前の目標として、ツーマンライブがやりたいし、ミニアルバムも出したいし、ワンマンライブでやりたい場所もあるし、自主企画のイベントもどんどんやっていきたい。1つ1つを成し遂げていきつつ、城ホールに向かって繋げていけたらいいなと思いますね。

その他の番匠谷紗衣の作品はこちらへ。

ライブ情報

番匠谷紗衣 セカンドシングル「自分だけの空」発売記念イベント ミニライブ&サイン会

①8月24日(土)13:00スタート (大阪府会場①)タワーレコード梅田NU茶屋町店 イベントスペース
②8月24日(土)16:00スタート (大阪府会場②)タワーレコード難波店 5F イベントスペース
③8月25日(日)12:00スタート(兵庫県会場)ららぽーと甲子園 1Fパークウォークコート
④8月25日(日)16:30スタート(大阪府会場③)LINOAS 2Fビジョンスタイル前
https://www.banjoyasae.com/news/

そのほかのイベント・ライブ情報はオフィシャルサイトで。
https://www.banjoyasae.com/schedule/

番匠谷紗衣

大阪出身の20歳シンガーソングライター。
自分の意思の表現としてアコースティックギターを持ち、様々なジャンルの曲をカバーしつつも、唄、言葉、音楽で自分を伝える為に14歳で詞曲を作り始める。路上ライブから、ライブハウスでの表現活動も始め、徐々に活動を全国に広げる。
2017年3月 初のミニアルバム「どんな今も」を発売。2018年にはデビュー前の無名の新人にして異例のタイアップに抜擢や、ap bank fes’18への出演が決まるなど、さらなる飛躍が期待される。2018年10月3日に初の全国流通盤mini ALBUM「未完全でも」をリリース。2019年12月5日に「ここにある光」でメジャーデビューした。

オフィシャルサイト
http://www.banjoyasae.com

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