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破壊しまくって合衆国を守る!?『メタルウルフカオス XD』真の大統領魂を体験

破壊しまくって合衆国を守る!?『メタルウルフカオス XD』真の大統領魂を体験

周辺の建物を破壊しながら、米軍の基地へと大雑把に降下するパワードスーツ。「パーティの時間だ!」、「お返しに、穴あきチーズにしてやるぜ!」などと、ゴキゲンなセリフを叫びながら米軍と戦うのは、なんと合衆国大統領!? 「なんなんだ、このノリは……!」 あんぐり口を開けてオープニングムービーを見終わったあと、筆者が初めて口にした言葉です。滅びの美しさや、物悲しい静寂を湛えたフロム・ソフトウェア近作のラインアップからは明らかに浮いている雰囲気。ええとなんだって? 大統領が特殊機動重装甲と呼ばれるパワードスーツに乗ってクーデターを制圧する? それだけの情報にもツッコミが追いつかない筆者は、ひとまず情報を整理するために公式のトレーラームービーを確認してみましたが……。

濃かった、とにかく濃かった! プレイヤーは、特殊機動重装甲メタルウルフを操る大統領マイケル・ウィルソンになって、アメリカ全土を舞台に暴れまわります。本稿では、破壊のカタルシスをギュンギュンに味わえる本作の魅力を紹介しましょう。Let’s party!

文 / 内藤ハサミ


15年まえの爽快感を再び味わえる

実は本作、2004年に発売された『メタルウルフカオス』の現世代機への移植版(ダウンロード専用)なのです。ゲーム自体に追加要素はありませんが、現世代機向けの調整がなされたバージョンとなっており、当時のままの感動が損なわれないようにアレンジが加えられています。前作の対応プラットフォームは初代Xboxのみ。さらに国内限定での発売だったにもかかわらず、その強烈な個性は海外にも広がりコアな人気を獲得しました。年若い大統領がパワードスーツに乗り、最前線で単身暴れまわるという荒唐無稽な面白さは、ユーモアを愛するプレイヤーの間では伝説となっている……と聞いています。筆者は前作のプレイ機会に恵まれず、いつかプレイしてみたいとかねがね夢見ていたので、今回の移植は願ったりかなったりだったんですよね。

メタルウルフカオス XD エンタメステーションゲームレビュー

▲私もついに、父さんの像をバズーカなどで壊して叱られることができるんですね……(何を言っているのかがわからないかもしれませんが、本当に言葉どおりの意味なので、気になる方は今すぐに最初のステージ、ホワイトハウスをプレイしてみてください)

クーデター勢力との戦いが進むごとに解放されていくステージをクリアして資金やレアメタルを集め、それを技術投資に充てて開発を行い武器を製作し、より強い武器を装備して出撃する。そしてまた資金を集めてより強い武器を作り、難しいステージにチャレンジしていくというのが基本的なゲームの流れです。序盤のステージは破壊の爽快感を味わえるような力任せのステージが続きますが、先に進むほど戦略を練って考えながら立ち回るプレイが重要になってきます。時間制限があったり倒すべき強敵がいたりなど、さまざまなクリア条件が設定されている場合もありますし、敵も強くなってくるので後半になるにつれ難しく歯ごたえが出てきます。常に新鮮な驚きと爽快さを保ったままプレイを続けられました。

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▲サンフランシスコでは巨大ビルを壊すシーンも

武器は、ハンドガンやアサルトライフルなど小型のものから、バズーカやミサイル、レールガンのような大型の重火器までそろっています。エイムの合わせかたは基本的にすべて一緒で、武器ごとに大きさの違う四角い枠内にターゲットを捉え、弾を発射します。枠内に入っていれば細かい照準は自動で合うようになっているので、厳密さはあまり求められません。あまり細かいことを考えず、心のまま楽しく撃ちまくれますね。筆者はバズーカとアサルトライフルの二丁持ちを基本スタイルとしてプレイしています。武器のほか、メタルウルフでの体当たりや踏み付けでもダメージを与えることができます。歩兵などはダッシュ中の体当たりで蹴散らすなど、弾数節約のためにも活用するといいですね。

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▲緑枠は右手武器、オレンジ枠は左手武器の照準です

攻略しようと思っているステージが難しいと感じたら、以前クリアしたステージを再プレイして資金やレアメタルを集めたり、メタルウルフ自体の性能を底上げするための材料であるエネルギーポッドを集めてブーストゲージやシールドメモリを増やしたり、捕虜の救出を重点的に行ってそのステージの技術力・経済力を上げ、より多くの資金を得られるようにすると楽になるでしょう。なにも意識せずプレイしていても、資金とレアメタルは比較的貯まりやすいので、資金集め目的でわざわざプレイをしなくても、初回プレイで集めきれなかったエネルギーポッドを回収する目的で周回しているうちに、自然と貯まっていることも多いのではないでしょうか。

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▲ステージクリア後のリザルト画面では、評価項目ごとにプレジデントポイントが貰えます。このランクに応じて貰える資金やレアメタルの量が多少変わります。しかし、“プレジデントポイント”って……。思わず脱力のネーミングセンスですね

ゲームオーバーになるとミッションの初めからやり直しとなります。途中のチェックポイントからのリトライなどは存在しないという潔さです。ミスした直前からリトライできるというのは、そういえば最近のゲームにおける仕様ですね。15年まえのゲームという違和感をあまり感じずにプレイしていましたが、こんなところに思いがけない懐かしさを感じました。

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▲建物や電飾を破壊しながら、ガンガン進みます! 最高に気持ちいい~! 正義の大統領が行う破壊行為、どうやらこの世界では矛盾しないようです……

唯一、未だに慣れないのが、左右の腕に最大4つずつ装着できる武器の切り替え操作です。筆者はPlayStation®4でプレイしているのですが、○ボタンで切り替えメニューを出し、射撃と同じR2/L2ボタンで任意の武器に切り替え、○を再び押して使用する武器を決定する……という操作にまごついている間、敵からいい的にされているという状況がたびたびあります。筆者の操作がおぼつかないだけと言えばそれまでなのですが、多少慣れて時間がかからなくなってきたとはいえ、複数の敵を相手にしているときに無防備な状態が数秒でも発生するのは、プレイヤーにとって少し不利ですね。

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▲大統領はアメリカ合衆国各地を飛び回ります。こちらは中盤のステージ、ヒューストン。このあたりから、初見で条件を満たしクリアすることが難しくなってきました

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▲シカゴステージでは、毒ガスが蔓延するまえに発生源を止めなければなりません。時間設定はシビアです

ネタバレになるので詳しくは述べませんが、本作の最終ステージはとても意外な場所です。でも、ここまでプレイを進めた方であれば、「そうきたか!」と爆笑しながらも納得できてしまうでしょう。筆者も飲んでいたアイスコーヒーを吹くほど笑ったので、ムービーを含めて最後のステージまで見届けてください。

個性的で濃厚なキャラクターたち

本作には、個性ほとばしるキャラクターたちが満載です。みんなが大好きなクレイジー大統領こと、主人公のマイケル・ウィルソンは元軍人で、メダルオブオナーを授与されたことがあるほどの国民的英雄。たったひとりでメタルウルフに乗り込み、自分を陥れた副大統領リチャード・ホークと戦う熱血漢です。序盤はリチャードの罠により極悪テロリストという誤解を受け厳しい立場に陥りながらも、突き抜けたポジティブさで悲壮感を全く感じさせません。盛りに盛った設定だけでも充分なのに、セリフまでイケてるんですから、プレイヤーたちに愛されるわけです……。

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▲発するセリフすべてが名言になってしまう大統領

なかでも多くの人が好きになってしまうであろうキャラクターが、大統領秘書官でマイケルのオペレータも務めるジョディ・クロフォード。ペンシルバニア大学を首席で卒業したほどの才媛です。持ち前の頭脳と毒舌で大統領を補佐したり、叱咤激励したり……。およそ大統領にかける言葉とは思えない皮肉も飛び出しますが、そんな口の悪い彼女の虜になってしまうプレイヤーは多いのではないでしょうか。

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▲左端のモニタに映る女性がジョディ。涼しい顔でとんでもないことを言い出します

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▲大統領は、クーデターの黒幕である副大統領のプロパガンダ放送で悪役に仕立て上げられ、アメリカの敵となっています。唯一顔が見える味方のジョディには頼もしさしか感じません

大統領とジョディ、ふたりの掛け合いを見るだけでも面白いのですが、ここに偏向報道ニュースキャスターのピーター・マクドナルドや、残忍な手口でアメリカを我が物にしようと画策する黒幕リチャード・ホーク、中盤からコンタクトをとることになるレジスタンスのリーダー、通称ナイスミドルなどが加わると、まるで個性の博覧会ともいえるにぎやかさです。さまざまなステージに現れる中ボス級のキャラクターたちにも大統領への憧れや憎しみなどそれぞれに想いがあったりするので、ゲーム中の登場時間は少なくても戦いのなかで彼らが大統領にかけるセリフは心に残ってしまいます。

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▲フェニックスで繰り広げられるのは、3機の特殊機動重装甲との戦いです。乗り込んでいる3人の兵士はそれぞれ大統領に抱く感情が違い、人間味を感じさせます。まあ、容赦なく速やかに全員倒すこととなるのですが……

本作がずっと怪作として語り継がれてきた理由の半分以上は、この個性が突き抜けたキャラクターたちの存在があるからでしょう。今すぐにでも日常生活に取り入れて真似したいセリフばかりが登場しますし、一生心に焼き付いてしまうパワーがあるのです。筆者も日々「なぜなら私は、アメリカ合衆国大統領だからだ!」などと口走り、家族に心配されています……。

全体的にカジュアルな作りでありながらしっかり戦略を立てたり、ギリギリの時間制限のなかで窮地を切り抜けたりするスリルが味わえるシーンも満載の本作。初心者が参入しやすい明快なシステムながら、高ミッションランクを目指すようなやり込みプレイ派にも、B級映画のノリが好きな人にも楽しい、意外にも間口が広いお祭りのようなゲームでした。前作をプレイしていない人にとっても現世代機で『メタルウルフカオス』を持っておきたいファンにも、真夏の暑さをより熱くする嬉しいタイトルではないでしょうか。

フォトギャラリー
メタルウルフカオス XDロゴ

■タイトル:METAL WOLF CHAOS XD(メタルウルフカオス XD)
■メーカー:フロム・ソフトウェア
■対応ハード:PlayStation®4、Xbox One、PC
■ジャンル:アクション
■対象年齢:15歳以上
■発売日:発売中(2019年8月6日)
■価格:ダウンロード版 2,700円+税


『メタルウルフ カオス XD』オフィシャルサイト

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