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鈴木拡樹が演じる、“エンターテイナーとしてのカフカさん”。ドラマ『カフカの東京絶望日記』いよいよ地上波放送スタート!

鈴木拡樹が演じる、“エンターテイナーとしてのカフカさん”。ドラマ『カフカの東京絶望日記』いよいよ地上波放送スタート!

ドラマ『カフカの東京絶望日記』がMBSドラマ特区にて9月12日(木)より放送開始となる。本作の主人公は、『変身』などで知られる20世紀を代表する小説家、フランツ・カフカ。しかしこのカフカは私たちが知っているカフカとはちょっと違う。住んでいるのは、なぜか2019年の東京。小説だけでは生活ができないカフカは、パン屋でアルバイトをしていたりする。日々出会う周囲の人々や小さな出来事に本気で傷つき、打ちのめされ、絶望するカフカ。だが、周りの人たちはそんなカフカの絶望する姿に、自分の生き方を見つめ直していくという摩訶不思議な新感覚コメディドラマだ。
繊細すぎるがゆえに、あらゆる事象に絶望するカフカを演じるのは、鈴木拡樹。鈴木にとっては、今作が地上波初主演となる。そこでオンエアに先駆け、すでにYouTubeに配信されている第1話、そして8月2日に行われた新エピソード完成披露試写会で公開された第2話を振り返りつつ、鈴木拡樹に本作の魅力を聞かせてもらった。

取材・文 / 横川良明 撮影 / 冨田望


終盤の早口の台詞は、脳に酸素が回らなくてパニックになります(笑)

1話、2話と拝見しましたが、面白かったです。

シュールなんですけど、共感できるところがあって面白いですよね。第2話で登場したSNSのくだりなんかは自分でも観ていて笑っちゃいました(笑)。

“いいね!”が増えていくのを見て、カフカがうっすらと微笑むところが最高でした。

あの気持ちもわかるんです。実際に見てくれているんだというのが確認できることで、ひとりじゃない気がしてホッとするというか。そういうのがあるから、これだけSNSが流行っているんだろうなと思うし。僕自身がそこまでSNSに深くハマっている人間ではないからこそ、客観的に見られるぶん、余計に面白く感じるのかもしれません。

鈴木拡樹 エンタメステーションインタビュー

特にインパクトがあったのが、第1話の後編、喫茶店から絶叫しながら出ていくシーンがあったじゃないですか。あれ、顔は真っ赤になるぐらい血がのぼっているけど、首から下はカフカらしい四角四面な動きで。そのギャップはたぶん演じるほうとしては相当難しかったんではないかなと思ったのですが。

難しかったです。もともとあそこはあんなに長く叫ぶようなシーンじゃなかったんですよ。一度撮り終わったあとに、監督から「叫びながら店を出ていったらどうだろう?」という話が出てきて。そこから何回か叫ぶお芝居をやらせてもらったんです。

え。じゃあ台本に“叫びながら出ていく”という指定があったわけではないんですか?

そうなんです。台本には“絶望のあまり出ていく”という感じで。

鈴木拡樹 エンタメステーションインタビュー

驚きです。監督からそう言われて、鈴木さんはどう思いました?

嬉しかったです。「お店から出ていってもずっと叫び続けて」って言われて。もともとがそういうシーンじゃなかったからこそ、意外なオーダーをもらえてすごく楽しくやっていました。それで、カットを変えながら何回も撮り続けたのですが……。

よくあのテンションが持続できましたね。

最後のほうは大変でした(笑)。個人的には、“ワー”と叫びながら、小銭を出すところが好きです。

あの手元を見ずに出す感じがいいですね。

やっぱりそうやりたくなっちゃって(笑)。本当に楽しくやらせてもらいました。

鈴木拡樹 エンタメステーションインタビュー

絶望のあまり道端とかで行き倒れるカフカも毎回の見どころのひとつです。

この十数年、年間何回倒れているんだろうというぐらい倒れ続けた人生でしたが、それがこんなかたちで役に立つとは思いもしませんでした(笑)。普通の人はこんなに倒れないですからね。でも僕は、板の上に立つと倒れたり吹っ飛んだりしてばかりだったから。今までさんざん倒れ続けた甲斐がありました(笑)。

鈴木拡樹 エンタメステーションインタビュー

そして見せ場は、キャパオーバーになったカフカがまるで演説をぶつように早口でまくし立てるところです。

あそこが一番大変です(笑)。カットを変えて何回も撮るので、前半のうちは意識を保っていられるんですけど、後半は本当にパニックになっちゃって、「僕は何を言っているんだろう……」となることが多々ありました(笑)。

たしかに酸欠になりそうです(笑)。

そうですね。脳に酸素が回らなくなってくると、いよいよわけがわからなくなっちゃって(笑)。でも、そんなふうに自分自身がパニックになっているところを使ってもらうことで、より真実味が出て、ああいう面白い画になっているんじゃないかなという気がします。

鈴木拡樹 エンタメステーションインタビュー

本当のカフカさんは最先端のエンターテイナーだなと思います

あらためてですが、フランツ・カフカという人についてどれくらいご存じでしたか?

もちろんお名前は知っていましたが、そこまで詳しいというわけではなく。このお話をいただいて、原案の「マンガで読む絶望名人カフカの人生論」を読んで、カフカさんの面白さを知ったという感じです。「マンガで読む絶望名人カフカの人生論」の中にカフカさんの逸話が紹介された短いコラムが載っているんですけど、それを読んで「こんなに面白い人がいたんだ」って興味がわきました。

鈴木拡樹 エンタメステーションインタビュー

それはカフカのどんなところに?

カフカさんって最先端の人だと思います。決して暗い人ではなく、自虐によって読み手を楽しませようというエンターテイナーの部分が強い方なのかなと。恋人に宛てた手紙が残っていて、それが作品になっていたりするんですけど、それを読むとエンターテイナーだなと思うんです。
今回僕が演じているのは、リアルなカフカさんご本人ではなく、そういうエンターテイナーとしてのカフカさん。カフカさんが頭の中で思い描いていたエンターテイナーとしての自分に近い感じ。あの時代に自虐ネタなんてなかったでしょうし、そういう意味でも最先端。さすが文学の方だなと思います。

鈴木拡樹 エンタメステーションインタビュー

周りのキャラクターもクセモノ揃いですが、中でも鈴木さんのツボなキャラクターは?

全員面白いんですけど、気になるのは大家さんです。本当に焼き芋に毒を入れて旦那さんを毒殺したのかは知っておきたいところですね(笑)。焼き芋を手渡されるときは、これにちょっとずつ毒が盛られているのかと思うと恐怖しか感じないです(笑)。

第1話で大家さんに「ちょっと待って」と言われて1ミリも動かずに待っているカフカの姿も面白かったです。

あれも監督のアイデアです。別の回でも同じネタが出てくるんですけど、大家さんはもう完全に時を止める術を身につけていると思います(笑)。どんどん進化する大家さんをぜひ楽しみにしていただけたら。

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