LIVE SHUTTLE  vol. 363

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SEKAI NO OWARI “生身のセカオワ”を体感できるツアー“The Colors”を振り返る。

SEKAI NO OWARI    “生身のセカオワ”を体感できるツアー“The Colors”を振り返る。

“SEKAI NO OWARI TOUR 2019「The Colors」”
2019年7月24日 幕張メッセ国際展示場4〜6ホール

4月からスタートしたSEKAI NO OWARIの全国ツアー“SEKAI NO OWARI TOUR 2019 「The Colors」”。約4年ぶりとなるアルバム『Eye』『Lip』をリリースした後に行われた同ツアーは、全13会場28公演に及ぶ自己最多の公演数となった(さらに秋からは台北、ソウル、香港、上海、北京でも同タイトルのアジア・ツアーが開催)。7月24日、25日に行われた千葉・幕張メッセ公演には2日間で約3万2,000人を集客。『Eye』『Lip』の収録曲を中心にシンプルに曲を届けることに焦点を当てた演出、そして、メンバー個々のリアルな思いが伝わるステージングによって、“生身のセカオワ”を体感できる素晴らしい内容となった。

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開演前の会場には、船の汽笛、踏切の音、車のクラクション、虫やセミの鳴き声、街ゆく人の声などがSEとして流れている。異空間に紛れ込んだような不思議な雰囲気のなか、ついにライブがスタート。まるで檻に囲まれているようなセンターステージにメンバーが登場し、最初の楽曲「Death Disco」が鳴り響く。厚みを増したダンストラックとともに<君は何を信じてる?>というラインが突き刺さり、心と身体を同時に揺り動かされるセカオワ特有の音楽空間が出現。さらに“The Colors”というロゴがビジョンに映され、アルバム『Eye』収録曲「Witch」へ。攻撃的なトラック(NakajinはMPCを生演奏し、強靭なビートを生み出していた)、SNSの現状を魔女狩りに見立てたリリックが響くと、観客のテンションは一気に駆け上がっていく。シニカルで切実な歌詞をビートに乗せるFukaseはまるでアンダーグラウンドのラッパーのようだ。

さらにSaoriのピアノとFukaseの歌からはじまった「眠り姫」、ビッグバンドジャズ風のアレンジを取り入れた「Monsoon Night」を披露。ツアータイトル通り、序盤から色とりどりの楽曲が次々とステージに上げられ、セカオワの豊かな音楽世界が広がる。これまでのツアーのように大スケールのステージセットはなく、セカオワのライブとしてはかなりシンプルな印象だ(もちろん、映像のクオリティは驚くほど高い)。根底にあるのはおそらく、エンターテインメント性を抑え、楽曲と自分たち自身をまっすぐに届けたいという意思だろう。

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今回の公演の特徴のひとつは、MCをメンバー全員で行うのではなく、Nakajin→Saori→Fukaseの順に(基本的に)一人で話したこと。まずはNakajinが「こんばんは!SEKAI NO OWARIです!」と挨拶し、最初のMCへ。

「今年、『Eye』と『Lip』という2枚のアルバムをリリースすることができました。僕も今回、作詞をして、歌も歌いました。もともと僕は自分の気持ちを言葉にするのが得意ではないタイプで。でも、今回は改めて自己紹介するつもりで、こうやってみなさんの前で披露することをイメージして作ってみました」というコメントに続いたのは、Nakajinがメインボーカルを取る「ドッペルゲンガー」「Goodbye」。AOR、ジャズ、R&Bのテイストを取り入れたサウンド、彼自身の生の感情を詩的に描き出した歌詞、ひとつひとつのフレーズを丁寧に紡ぎ出すボーカルからは、シンガーソングライターとしてのNakajinの個性を感じることができた。DJ LOVEの生ドラム——そう、今回のツアーでDJ LOVEはドラムに挑戦していた——を軸にしたオーガニックなサウンドも心地いい。

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再びFukaseがステージに登場し、エレクトロ系ヒップホップチューン「Food」でフロアを煽ったあと、センターステージへ移動し、SaoriのMCへ。「(ピアノの前に)“ずっと座っていて、どんな衣装を着てるんだろう?”と思っている人もいるかもしれないですね」と立ち上がって衣装を見せたあと、ニューアルバムの制作中に感じていたことを話し始める。4年半、ずっと葛藤を抱えていたこと。NakajinやFukaseがいいメロディ、いい歌詞を書いてくるたびに、「自分は?」と考える毎日だったこと。妊娠、出産、子育てと環境が変わり、バランスが取れないことも多かったこと。

「次にやる曲は、この4年半をすごく変な角度から支えてくれていたなと思っていて。心の痛みを擬人化して、話しかけているんですね。“やあ、心の痛みくん。君は自分のことを成長させてくれたよね”って歌詞があって。そういうふうに言えたら、もうちょっと明るくがんばれそうだなって」

トロピカルハウス系の軽やかなトラックとポップに洗練されたメロディライン、そして、“心の痛み”をテーマにした歌詞がひとつになった「Mr.Heartache」は、Saoriが話した言葉により、その深みを増していた。メンバー自身の人生、思いが密接につながっているからこそ、セカオワの楽曲は強い説得力と生命力を持ち得るのだと、改めて実感させられるシーンだった。

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Saoriのクラシカルなピアノに導かれた「illusion(アコースティック)」、ミラーボールの眩い光が会場全体を照らし出した「スターゲイザー」の後は、アルバム『Eye』『Lip』の収録曲を続けて演奏。<いつだって時間はそう/諦めを教えてくれる>という歌詞に心を揺さぶられる「LOVE SONG」(『Eye』収録)、エキゾチックな音像が広がった「Missing」(『Lip』収録)、ファンタジックなメロディラインと“君”との思い出が溶け合う「密の月」(『Lip』収録)、荘厳なオーケストラを軸にしたアレンジとともにダークファンタジー的な世界観を描き出した「Blue Flower」(『Eye』収録)。ダークな側面にフォーカスした『Eye』、セカオワのポップサイドを軸に、Fukaseの歌の魅力を引き立てる『Lip』という2作のアルバムの魅力をじっくりと堪能できる場面が続く。

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ここでFukaseが観客に向かって話しかける。

「途中で気づいたんですけど、このツアー、SEKAI NO OWARI史上、最長最大のツアーなんです。気が付かないうちに記録を更新していて嬉しいです」

「昔の自分がこの光景を見たら、何て思うんだろうなって、いつも思います。僕は10代の頃、暗黒の世界を過ごしていて。自分の道は真っ暗なんだと思っていたんですけど、こんな素敵な場所につながっていたとは」

そんな言葉に連なったのは、NakajinのベースとFukaseの歌から始まった「エデン」。どこまでも優しく、聴く者を包み込むようなメロディ、そして、生きづらさを抱えたすべての人に語り掛けるような歌詞は、観客ひとりひとりの心にしっかりと届いたはずだ。

ラスト2曲は、華やかなポップナンバー「MAGIC」、煌びやかな光ともに披露された「スターライトパレード」。Fukaseの観客への呼びかけにより、会場全体に心地よいシンガロングが鳴り響き、本編は終了した。

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会場全体から「スターライトパレード」の大合唱が再び巻き起こり、アンコールへ。メンバーはなんと客席に登場し、オーディエンスと直接触れ合いながらアコースティックにアレンジされた「Dragon Night」を大合唱。さらに「このツアーにこの曲がどうしても必要だと思って、途中から入れました」(Fukase)という「銀河街の悪夢」へ。10代の頃のFukaseのシリアスな経験をもとにした歌、ヘビィなベースの音色を軸にしたサウンドによって、大きな感動が生まれる。最後は『Eye』収録の「すべてが壊れた夜に」。この曲からは、深遠なメッセージを放ち続けてきたSEKAI NO OWARIの現在地を確かに感じ取ることができた。

アルバム『Eye』『Lip』の豊かな魅力、そして、メンバー自身の現在の思いを体感できた今回のツアー。こんなにもセカオワを近く感じられたのは、おそらく初めてではないだろうか。そう、メンバーの4人はいま、もっともっとリスナーのそばで音楽を鳴らし始めているのだと思う。

文 / 森朋之
撮影 / 太田好治、立脇卓、鳥居洋介、横山マサト

「SEKAI NO OWARI TOUR 2019 The Colors」
2019年7月24日 幕張メッセ国際展示場4〜6ホール

セットリスト
01. Death Disco
02. Witch
03. 眠り姫
04. Monsoon Night
05. ドッペルゲンガー
06. Goodbye
07. Food
08. Mr.Heartache
09. illusion(アコースティック)
10. スターゲイザー
11. LOVE SONG
12. Missing
13. 蜜の月
14. Blue Flower
15. エデン
16. MAGIC
17. スターライトパレード
EN1. Dragon Night
EN2. 銀河街の悪夢
EN3. すべてが壊れた夜に

ライブ情報

LIVE TOUR 2019 「The Colors」特設サイト
https://sekainoowari-tour.jp/thecolors2019/

SEKAI NO OWARI

2010年、突如音楽シーンに現れた4人組バンド「SEKAI NO OWARI」。
同年4月1stアルバム「EARTH」をリリース後、2011年8月にTOY’S FACTORYよりメジャーデビュー。
圧倒的なポップセンスとキャッチーな存在感、テーマパークの様な世界観溢れるライブ演出で、子供から大人まで幅広いリスナーにアプローチ、「セカオワ現象」とも呼ばれる加速度的なスピード感で認知を拡大する。
2015年アルバム「Tree」をリリース、同年7月18日、19日には日本最大規模の会場日産スタジアムにて「Twilight City」、2016年アリーナツアー「The Dinner」、2017年ドーム・スタジアムツアー「タルカス」を完遂。
2018年、その圧倒的なスケールで彼らのライブエンターテインメントを世の中に知らしめた野外ライブの全国版「INSOMNIA TRAIN」を開催することを発表。また、同年2月平昌オリンピック・パラリンピックNHK放送テーマソング「サザンカ」を担当。
2019年、約4年振りのアルバムを3枚リリースすることを発表。SEKAI NO OWARI として、「Eye」と「Lip」を2枚同時リリース、名実ともに、日本を代表するグループとなったSEKAI NO OWARI。
新しい音楽シーンの最前線の旗手として、止まることなく、攻め続ける新世代の才能である。

オフィシャルサイト
https://sekainoowari.jp

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