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100回超えても尽きないおもしろさ『グノーシア』 口コミでプレイヤー急増中

100回超えても尽きないおもしろさ『グノーシア』 口コミでプレイヤー急増中

『グノーシア』は宇宙船を舞台にした“人狼ゲーム”。『メゾン・ド・魔王』などで知られるインディーゲームメーカー・プチデポットにより開発された、PlayStation®Vita用のダウンロードソフトだ。15人乗りの宇宙船の乗員であるプレイヤーは、船内に紛れ込んだ未知の敵“グノーシア”を見つけ出すため、ほかの乗員たちと議論を交わし、投票によって疑わしい人物をコールドスリープさせていく。しかし、人間のふりをするグノーシアを見抜くのは困難で、誤った選択をすれば本物の人間が犠牲になってしまう。さらに、主人公はこの戦いをループして何度も体験することになるが、そのたびに乗員の数や役割がシャッフルされ、グノーシアが誰なのかが異なるのだ。あるときは主人公自身がグノーシアとして人々を陥れることも……。推理や人心の誘導、そして大いなる謎を解き明かす醍醐味も味わえる『グノーシア』。今回は、この珠玉の一本を全力でおすすめ!

文 / 小泉お梅


グノーシアだーれだ? 進化を遂げた人狼ゲーム

まずは、『グノーシア』の流れを簡単に解説しましょう。本作は人狼ゲームがベースになっています。敵であるグノーシアが誰なのか不明の状態で、「アイツが怪しい」、「私もそう思う」、「いや、怪しくなんかない」と、皆で意見をぶつけ合うことで相手の正体を見極めていきます。グノーシアは見た目だけではわからないので、言動から探るほかないのです。
なお、最初にグノーシアの総数だけ判明していますが、誰であるかはもちろん、残りのグノーシアは何人かなどもわかりません。全部で何人か、のヒントしかないわけですが、途中で増えたりしないだけマシというもの。のちほど触れますが、ゲームを進めていくと乗員の人数やグノーシアの数を任意で設定できるようになります。

グノーシア エンタメステーションゲームレビュー

▲最初にプレイヤーキャラクターを設定します。以降はこのキャラクターを引き継いでプレイ

グノーシア エンタメステーションゲームレビュー
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▲もともとは健常だった人間が、なんらかのきっかけで汚染されてグノーシアとなり、人間を襲うようになるのだとか。主人公は人間であっても、グノーシアだと疑われる場合もあります

つぎに、それぞれがグノーシアだと思う人物に投票を行い、得票数がいちばん高い人物がコールドスリープさせられることになります。ただし、1日にひとりしか処理できないため、ハズレだったり、グノーシアが複数いる場合は翌日以降も議論が続きます。船内を移動して乗員と交流を図る夜パートのあと、グノーシア側は誰かひとりを人間側に気取られることなく消滅させてしまいます。

グノーシア エンタメステーションゲームレビュー
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▲それぞれの正体は、基本的には決着がつくまでわかりませんが、少なくともグノーシアに襲われた乗員は人間だったと読み取れます

ちなみに、ゲーム中ではグノーシアではないという意味で人間という言葉を用いているので、イルカのオトメも汚染されていなければ人間です。なお、調査能力があるエンジニア、ドクターなどの役割を持つ人物が現れる場合もあります。彼らの報告は大きな手掛かりとなりますが、グノーシアが成りすまして嘘をついている場合も。偽物が皆を言いくるめて本物を排除する、なんて危険性もあるので、役割があれば必ずしも有利というわけでもないのです。

グノーシア エンタメステーションゲームレビュー
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▲エンジニアは乗員1名をグノーシアかどうか調べられます

本物のエンジニアは毎回ひとりだけで、正しく調査できるのも本物だけ。エンジニアが複数名乗りを上げている場合はどちらかのエンジニアが偽物、つまり敵側だということになります。なお、グノーシアが複数いる場合、グノーシア同士は誰がグノーシアであるか予めわかっているので、連携してきます。妙にかばい合うヤツらがいたら、怪しいということですね。

最終的にグノーシアを全員コールドスリープさせれば人間側の勝ち。反対にグノーシアが人間を消滅させていき生存者の半数以上を占めれば、グノーシア側の勝利となります。とはいえ、グノーシアが最初に3体いたけれど残り1体になってしまった場合。当初は人間の生存者を3名残すだけでよかったのに、1名になるまで減らさないと勝利とはならないのです。グノーシアは、数での劣勢を逆転しなければいけないわけですね。なお、プレイヤーの勢力の勝敗に関わらず、戦いが終息すればまた初日の状態に巻き戻ることになります。

グノーシア エンタメステーションゲームレビュー
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▲ゲーム中盤から、新たなゲーム開始時に条件を任意で設定できるようになります。乗員の上限は15人。全乗員の数で変わりますが、乗員15人の場合はグノーシアを最大6人に設定できます

主人公がグノーシア側でプレイするとき、グノーシアを複数人に設定すれば、ほかのグノーシアはランダムに選ばれます。ただ、グノーシアも一枚岩というわけでなく、票が割れたり、保身のために裏切られることも……。

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▲この回では彼女もグノーシアで味方なのに、こちらをグノーシアとして告発してきた……! ヒドイ!!

強烈なキャラクター、そして宇宙の秘密とは

ここまでのルールだけを聞くと少し複雑に思えるかもしれませんが、本作は実際にプレイしつつ段階を踏みながら学んでいけるので、心配は無用です。

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▲遊びかたの解説も充実。具体的で、プレイヤーに寄り添ったわかりやすい言葉で書かれています。これぞインディーならではのキメ細やかさ

キャラクターも総勢15人(主人公含む)ですが最初から全員登場するわけではなく、徐々に人数が増えていくので混乱することもありません。本作は、そういった段階的なスケールアップがお見事。その恩恵でしょうか、キャラクターへの理解や愛着が深まることで、議論で敵対して疑われたり冷たくされても憎いとか嫌いという気持ちにはなりませんでした。

グノーシア エンタメステーションゲームレビュー
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▲キャラクターの登場シーンで印象的だったのは可憐なククルシカと、グレイな外見のしげみち。しげみちの第一声、センスあり過ぎでしょ……。ちなみに、この写真のセリフで言う“宇宙人”とは、グノーシアを指すのだと思われます

キャラクターたちのプロフィールは、イベントを見ることでアンロックされていきます。なかには条件が少し特殊なものもありますが、ゲームを進めると解放されるイベントサーチ機能を使うことで発生しやすくなります。

グノーシア エンタメステーションゲームレビュー
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▲ネタバレになるのでお見せできませんが、キャラクターが豹変するシーンなどは鳥肌モノ! 姿や口調はそのままなのに、表情がまるで別人のよう。その一方で、複数のメンバーがワイワイ会話するユニークなお話もあります

主人公のプロフィール代わりとなるのがステータスです。主人公は“カリスマ”や“直感”などのステータスを以降のループでも引き継いで成長させられます。いずれの能力も数値が高いほど議論で有利になりますし、一定数に達すれば“助けを求める”など、便利なスキルが使えるようになります。
主人公のように自由に成長させられるわけではありませんが、ほかのキャラクターにもステータスがあり、ループを重ねるごとに少しずつ能力値が上がっていきます。基本的に得手不得手の傾向は変わらないものの、彼らの秘密を知り、特筆事項が解放されるごとに大幅に能力がアップします。

グノーシア エンタメステーションゲームレビュー グノーシア エンタメステーションゲームレビュー
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▲勝負の結果発表時に経験値を獲得でき、それを割り振ることでステータスアップ。スキルは発言の際に使えます。ちなみに、ある条件を満たして乗員の夕里子さまに会えば、何度でもステータスの振り直しが可能。人間側とグノーシア側で欲しいスキルや能力が異なってくるので、夕里子さまにはお世話になりました

前述のとおり、主人公には毎回ループしてグノーシア会議の初日に戻されるという特殊な点があります。じつは彼と同じ乗員の“セツ”もループしており、ともにこの謎めく現象を解き明かそうと試行錯誤することになります。なぜこのふたりだけループをくり返すのか、消された人間はどこへ行くのか、そしてグノーシアとは何なのか……? 本作を始めた当初はこれほど先が気になるストーリーだとは思わなかったので、いい意味で裏切られたと感じました。

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▲セツはあれこれアドバイスをくれます。ループによって彼女とは敵対勢力になる場合もありますが、お互いにベストを尽くそうという前向きな関係なので気にせず攻められます

推理の楽しさと策略のおもしろさ

本作のルールとキャラクターをざっくりと知っていただいたところで、あるループの攻防を例に推理のポイントを見ていきたいと思います。皆さんもいっしょに誰がグノーシアか考えてみてくださいね。

今回のループでは、プレイヤーキャラクターの“えんた”は、コールドスリープされた人物を調べられるドクターとしてスタート。議論開始早々に勘のいい少女・コメットがアリバイを証明したので、彼女の発言を信頼することにしました。

グノーシア エンタメステーションゲームレビュー
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▲今回のコメットの“留守番”という役割は、身の潔白を表すもの。疑いの対象にならないものの、グノーシアにとっては邪魔な存在なので、真っ先に消される危険性が高い

1回目の投票では票がバラけて、そこまで怪しい素振りもなかった中年男性・ジョナスがコールドスリープ行きに。案の定、ドクターとして調べてみれば、彼は人間でした。それを翌日の2日目に報告しようとしたところ、セツがドクターとして名乗りを上げてきて……!? 慌ててコチラもドクターだと明かすことに。

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▲自分こそが本物のドクターなわけですから、セツはグノーシア側であることがハッキリしました

2回目の投票では、セツを追い詰めるまでには至りませんでした。代わりに、ネコ好き男性・シピが槍玉に挙げられて……。彼もやはり人間でした。

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▲投票結果では、誰が誰に票を入れたかもわかります。今回は勘がいいコメットを信頼していたけど、彼女が投票していたシピは人間で、大ハズレ……。それでも結果から「消された人物を嫌っていた乗員が怪しい」など、関係性を探るのは有効な手段です

3日目開始時点で、誤ってコールドスリープされた人間2名、グノーシアに襲われた人間2名と計4名の犠牲者を出してしまいました。「このままではマズイ、せめてセツを退けなくては」という焦りから、彼女を糾弾すると……。「お前、ウルサイんだよ」と皆からいぶかしがられ、逆に疑われる結果に……。こういうときはすぐに反論せず、誰かが弁護してくれるのを待つのがいいのですが、現在の仲よしキャラクターはなんとライバルのセツ。同情を誘う“哀しむ”スキルを発動させるも、盛り返すことはできませんでした。

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▲夕里子さまに目をつけられたのが運の尽き。貴族のような振る舞いの彼女は、カリスマのステータスが高く、みんなへの影響力が強いのです。敵に回ると苦戦しがち……。夕里子さまは、エンジニアだと名乗っていましたが、報告では人間だったシピをグノーシアだと告発していました。正しい報告ではないということは、偽物ということ。わかっていたのに……。悔しいぃぃぃ!

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▲えんたはダントツで票を獲得し、コールドスリープに入るハメになりました。なお、メニューでは、現時点で仲のいい人物や報告などが確認できます。データを見比べることが勝利へのカギですね

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▲最後にみんなの正体が明かされます。やっぱり夕里子さまはグノーシアでした。セツはAC主義者という、人間でありながらグノーシアを崇拝し味方する厄介なヤツでした

このように、正体がわかっていても話の持って行きかたを間違うと失敗してしまいます。グノーシアを攻めなくては犠牲者が増えていくばかりでいずれは負けてしまう、かといって目立ちすぎると自分自身を危険にさらすことになりかねません。この駆け引きが毎回スリリングで、勝っても負けても「もう1回!」とボタンを押してしまうのです。

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▲目立たないように皆の話を聞くばかりで黙っていると怪しまれます。誰かの言葉に「そうだ、そうだ!」と便乗する形で攻めるのが効果的ですが、やはり焦るとあからさまになってしまいがち……

本作には、人間とグノーシアとは異なる第3の勢力も登場します。それは“バグ”。バグが勝てば宇宙全体が壊れてしまうという、恐ろしい存在です。バグの勝利条件は、人間対グノーシアの勝敗がついた時点で生存していること。つまり、「やれやれ~! 潰し合え~」と高見の見物をしていればよい、ということなのです。グノーシア側で味わう“暗躍感”をさらに超越したような感覚で、ニヤニヤが止まりません。ただ、バグは毎回1名だけ。さらにエンジニアに調べられると消滅してしまうという弱点があるので、ここでも目立たないテクニックが重要になります。

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▲バグは人間側・グノーシア側にとって、残しては上がれないジョーカーのようなもの。その天敵であるエンジニアは守らなければなりません

本作は、人狼ゲームのルールや役職をうまくSFに反映しつつ、シングルプレイでも対人戦のような熱い駆け引きを実現しています。キャラクターたちの思考が人間らしく、バランス感覚を持ち合わせているような印象を受けます。そんなシステム面ももちろんなのですが、相手と会話をしていると感じさせる、キャラクターたちの生っぽい言葉遣いが一層効果的だとも感じます。アクが強いキャラクターでも言葉のチョイスがいいからなのでしょう、不思議とリアルな存在感があります。その存在感ゆえか、プレイ中に「ごめんね、守れなかった……」とか、「だからコイツが怪しいって言ったのに~、みんな騙されちゃって」とか、ついつい心の声が出てしまう場面もありました。俯瞰して彼らを見ているつもりでも、何だか気持ちは画面の向こう側にいるようでした。そんな感覚が芽生えることも、100回以上プレイしながら毎回こんなに楽しめることも予想だにしていませんでしたが……。

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▲執筆の時点で176回ですが、毎回条件を変えてやっているので飽きる気配なし

2019年3月でPlayStation®Vitaは出荷完了となりましたが、『グノーシア』はその有終の美ともいえる名作でしょう。Vitaユーザーの皆さん、本体を仕舞うのは、まだ早いですよ!

フォトギャラリー
グノーシアロゴ

■タイトル:グノーシア
■メーカー:メビウス
■対応ハード:PlayStation®Vita
■ジャンル:SF人狼シミュレーションロールプレイングアドベンチャー
■対象年齢:12歳以上
■配信日:2019年6月20日
■価格:ダウンロード版 2,480円(税込)


『グノーシア』オフィシャルサイト

©Petit Depotto.Publishing by mebius.