Report

初座長の佐々木彩夏が明治座を夏色に染める。百田夏菜子、玉井詩織、高城れにらの活躍も見逃せない『ももクロ一座特別公演』

初座長の佐々木彩夏が明治座を夏色に染める。百田夏菜子、玉井詩織、高城れにらの活躍も見逃せない『ももクロ一座特別公演』

ももいろクローバーZが8月17日(土)から26日(月)まで明治座で『ももクロ一座特別公演』を開催。これまで『幕が上がる』『ドゥ・ユ・ワナ・ダンス?』と舞台公演を行なっているが、今回が初の明治座進出となる。座長を務めるのは、グループの末っ子の佐々木彩夏。第一部は『座長・佐々木彩夏 大江戸娯楽活劇『姫はくノ一』』、第二部は『ももいろクローバーZ 大いに歌う』という芝居とライブの二部構成。第一部の『座長・佐々木彩夏 大江戸娯楽活劇『姫はくノ一』』は、劇団ラッパ屋を率いる劇作家の鈴木 聡と『踊る大捜査線』シリーズなど数々のヒット作を手がけてきた本広克行が作・演出を担当。江戸時代を舞台にした、コミカルな要素あり、迫力たっぷりな殺陣あり、グッとこさせる場面あり、という多くの人が楽しめる内容。出演は、ももクロメンバーに加えて、松崎しげる、国広富之など強力な布陣。ももクロが明治座という歴史ある劇場でいつもとひと味違う姿でたっぷりと楽しませてくれた本作をレポート。

取材・文 / 土屋恵介 撮影 / 上飯坂一


ももクロのアイドルとしてのコンセプトとシンクロする第一部

まず明治座となると、普段ももクロがライブを行う会場とはまったくの別空間。それだけでもテンションが上がるというものだ。ももクロは、和をモチーフにした楽曲も多いだけにこのマッチングは絶妙と言ったところ。

ももクロ一座特別公演 エンタメステーション舞台レポート

第一部『座長・佐々木彩夏 大江戸娯楽活劇『姫はくノ一』』。物語の軸にあるのは、わがままな姫の成長物語である。
上州桃亀藩の一人娘・あや(佐々木彩夏)は、父である藩主の桃井富之介(国広富之)に愛され育った天真爛漫な子。その姫が、江戸に入る場面から物語は始まる。

歓迎の余興では、奥女中のかな(百田夏菜子)、しお(玉井詩織)、れに(高城れに)たちが、舞台オリジナル曲「江戸春小町」を爽やかに披露。花道からは、あやが金の扇で顔を隠して登場する。その理由は、美しすぎてまぶしすぎるから。顔を見せると、“キラリン!”の効果音を周りにも観客にも強要する傲慢さ。さっそくの理不尽な振る舞いに、すでに周りの侍従たちも手を焼く始末。

ももクロ一座特別公演 エンタメステーション舞台レポート

彼女がわがままな振る舞いをしてしまうのは、妻を亡くした富之介が一人娘を愛するあまり、籠の鳥のように江戸屋敷に閉じ込めていたという理由があるのだが、そのなかで世間をもっと知りたいという思い、父親に対する反発があやに芽生え、このような態度を取るようになってしまったのだ。その心境をあやは、佐々木のソロ曲「あーりんは反抗期!」の替え歌「姫は反抗期!」でアピールする。

厳しさもありつつ手厚く愛され育てられたというのは、まさに佐々木のバックボーンそのもの。このようにメンバーの当て書きが随所に入っていることが、本作のいいスパイスとなっているのは間違いない。佐々木自身のちょっとわがままなキャラがファンにも浸透しているため、見る側もスッと物語の世界観に入りやすい。

ももクロ一座特別公演 エンタメステーション舞台レポート

わがままな姫の物語は徐々に展開を見せていく。
かな、しお、れにの3人は夜にこっそり屋敷を抜け出し、街の長屋にある黒屋という居酒屋に向かう。その黒屋の実態は、桃亀藩を守るための忍者の修行場。かなたちは、亭主・黒兵衛(松崎しげる)と下男・佐助(オラキオ)の指導を受けながら、夜な夜な特訓に励んでいたのだ。それを目撃したあやは、自分もくノ一修行をしたいと申し出る。ここから、かなたちと身分を超えた交流が育まれていくこととなる。

ももクロ一座特別公演 エンタメステーション舞台レポート

松崎しげるは、ももクロファンには“南国ピーナッツ”の愛称で馴染みの深い存在。堂々と豪快な雰囲気は、忍者のボス的なポジションにぴったり。また、くノ一衣裳の彼女たちの姿は、ももいろクローバーZとなった2011年に「Z伝説〜終わりなき革命〜」と同時発売されたシングル「D’の純情」の衣裳姿を彷彿させるものがあり、ちょっとしたニクい演出という印象も受けた。

さて物語は、桃亀藩に不穏の空気が漂い始める。悪徳老中と悪徳商人の間で神田界隈の乗っ取り計画が進行していたのだ。その流れから、旧知の間柄の忍者の黒兵衛と藩主の富之介は再会を果たす。そしてあやは、自分の中に眠っていたくノ一の宿命を知り、くノ一として覚醒。仲間たちと共に桃亀藩の危機を救うために立ち上がる。果たして、どのような結末が待っているのか………というのが大まかなストーリー。

ももクロ一座特別公演 エンタメステーション舞台レポート

国広富之と松崎しげると言えば、オールドファンには懐かしいドラマ『噂の刑事トミーとマツ』の名コンビ。昭和に活躍したタッグが令和に復活し、しかも物語の中で大活躍するというのが、なんとも痛快。こうした演出が入るのも、ただ懐かしいだけではなく、いかにももクロのファン層が広いかというのを物語っている。

そして、悪役サイドのツワモノ用心棒的な存在として、ももクロのライブにも登場したことのある元プロレスラーの飯塚高史も登場。プロレスを引退した飯塚だが、タイムスリップした江戸時代でもクレイジーなヒール道を貫いていたと感じられる演出にはプロレスファンも喜びの声をあげたことだろう。

ももクロ一座特別公演 エンタメステーション舞台レポート

座長の佐々木は、全編にわたって可愛さと繊細さとパワフルさを織り交ぜてあやを熱演していた。人との触れ合いで子供から大人になっていく姿を表現する表情、セリフ回しはとてもしっかりしたものがあった。

さらに、ももクロメンバー全員の殺陣の見事さにも驚かされた。ハードなライブで鍛えたフィジカルがあるにせよ、剣や格闘も周りの演者に見劣りすることなく芝居に大きな躍動感を与え、これには「百戦錬磨のももクロさすが!」と素直に思ってしまった。

ももクロ一座特別公演 エンタメステーション舞台レポート

仲間と力を合わせて勝利を目指すという本作の物語は、まさにももクロのアイドルとしてのコンセプトとシンクロするもの。ももクロのパラレルワールドとしても見ごたえたっぷり。ポジティブで笑顔になれる、楽しさ全開の作品だった。

ももクロとキャスト全員が歌とダンスで壮大な景観を見せてくれる第二部

ももクロ一座特別公演 エンタメステーション舞台レポート

第二部の『ももいろクローバーZ 大いに歌う』は、ずばりタイトルどおりのライブショー。幕が開き、三味線の音色が響くアップチューン「ニッポン笑顔百景」からショーがスタートする。百田、玉井、高城はライブ衣裳だが、佐々木はピンクの着物姿で扇を振り優雅に振る舞う。曲の終わりで姫からあーりんに戻るかのように、佐々木は着物からライブ衣裳に早替え。

ももいろクローバーZ 大いに歌う エンタメステーション舞台レポート

続けて、KISSとコラボしたロックチューン「夢の浮世に咲いてみな」をたたみ込む。KISSのメイクは歌舞伎の隈取がモチーフと言われているだけに、明治座でこの曲が披露されるのもなかなか興味深い。曲中には第一部の演者のオラキオなどによる殺陣が繰り広げられ、ハードな楽曲の世界観がよりドラマチックなものとなった。

ももいろクローバーZ 大いに歌う エンタメステーション舞台レポート

明治座でのライブとなると、常設の花道はもちろんのこと、ステージの大きな回り舞台でセットが変わるのも特別なポイント。「ゴリラパンチ」の曲中にステージが大きく回転していく様は壮観だった。続くGLIM SPANKYが手がけたカッコいいロックナンバー「レディ・メイ」では、ももクロはスタンドマイクを使いワイルドなムードを漂わせる。

ももいろクローバーZ 大いに歌う エンタメステーション舞台レポート

さらに「ももクロの令和ニッポン万歳!」では、大きな富士山をバックにステージや花道をたっぷり使ってパフォーマンス。芝居の演者も続々と登場し、大人数で日本一周を敢行すると、「笑一笑〜シャオイーシャオ!〜」で、ももクロとキャスト全員が賑やかにダンスを繰り広げ、壮観な光景が広がる。芝居からの流れで見ると、ベビーフェイスとヒールが戦いを終えてノーサイドといった雰囲気がある。

ももいろクローバーZ 大いに歌う エンタメステーション舞台レポート

会場が一体となって盛り上がったあとは、ももクロは4人だけで壮大なスケールのバラード「灰とダイヤモンド」をドラマチックに歌唱。大きなステージで星空をバックに歌い上げる彼女たちの姿には、神々しさすら感じたほどだ。

ももいろクローバーZ 大いに歌う エンタメステーション舞台レポート

感動的なシーンのあと幕が降りる。一転してカラフルなミラーボールの光から再び幕が開くと「ロードショー」できらびやかな世界へ。ジュリアナ直系レイヴサウンドで全キャストが踊りまくる。全員のノリノリ感が実にいい。ハッピーさ満点の空間が作り上げられたところでライブショーはフィニッシュとなった。

ももいろクローバーZ 大いに歌う エンタメステーション舞台レポート

芝居とライブという2つの楽しさを一気に味わえた今回の『ももクロ一座特別公演』。明治座というスペシャルな空間も相まって、劇場に来た人すべてが大きなインパクトを受けたことだろう。なにより、歌もダンスも演技も殺陣もしっかりと見せてしまう、ももクロのポテンシャルの高さを改めて痛感させられた。何度も見たいと素直に思うほど、実に充実度と満足度の高い公演だった。

明治座『ももクロ一座特別公演』

ももクロ一座特別公演

2019年8月17日(土)~8月26日(月)明治座

作:鈴木 聡
演出:本広克行

出演:
〔ももいろクローバーZ〕
あや 役:佐々木彩夏
かな 役:百田夏菜子
しお 役:玉井詩織
れに 役:高城れに

黒兵衛 役:松崎しげる
桃井富之助 役:国広富之
佐助 役:オラキオ
スカピン 役:福本伸一
長介 役:俵木藤汰
木之崎屋 役:高木トモユキ
田貫腹ヱ門 役:両國 宏
獅子丸 役:藤澤アニキ
直次郎 役:小多田直樹
まつ 役:安宅陽子
一蔵 役:菊池正根
二蔵 役:金子陽祐
三蔵 役:山城秀彬
梅 役:松尾悠花
竹 役:権田菜々子
七郎佐 役:田中 慶
クレイジー坊主・寅五郎 役:飯塚高史(新日本プロレス)
弥吉 役:林祐太朗
花奴 役:飯田 碧
由吉 役:石黒 仁
月奴 役:石井仁美
あい 役:愛来(アメフラっシ)
ひかる 役:大平ひかる(アメフラっシ)
ちほ 役:高井千帆(B.O.L.T)
るな 役:内藤るな(B.O.L.T)
さと 役:平瀬美里(B.O.L.T)

オフィシャルサイト
オフィシャルTwitter(@meijiza_theater)