Interview

彼女たちが可愛くてしょうがなかった─アニメ『BanG Dream!(バンドリ!)』“バトルもの”構想から始まった2nd Season誕生の舞台裏

彼女たちが可愛くてしょうがなかった─アニメ『BanG Dream!(バンドリ!)』“バトルもの”構想から始まった2nd Season誕生の舞台裏

アニメ『BanG Dream!』シリーズ構成・脚本担当 綾奈ゆにこインタビュー(前編)

2015年にその姿を現した『BanG Dream!(バンドリ!)』プロジェクト。月日を重ねるごとにその領土は拡大を見せ、ライブ、スマートフォン向けゲーム、コミックとそれぞれの分野で盛り上がりを見せていった。その中でも物語性という意味で軸の役割を果たしたのはやはりアニメである。特に2nd Seasonは、群雄割拠するガールズバンドたちをアニメならではのストーリーの中に織り込み、キャラクターに、そしてプロジェクト全体に深みを与えていった。

そのアニメ2nd SeasonのBlu-rayが同梱された、各バンドのニューシングルが順次リリース中、さらに9月13日からは劇場版「BanG Dream! FILM LIVE」の公開も控えている『BanG Dream!』。ここではシリーズ構成としてアニメの1期・2nd Seasonを牽引した綾奈ゆにこを迎え、本作で描いたテーマにスポットを当てる。

取材・文 / 清水耕司(セブンデイズウォー)


かっこよくて素敵な女の子を描きたいというのが最初でした

TVアニメ『BanG Dream!(バンドリ!)』第1期より

まずはあらためて、綾奈さんが『BanG Dream!』プロジェクトに参加したときのことから教えていただけますか?

綾奈ゆにこ TVアニメ『きんいろモザイク』や『普通の女子校生が【ろこどる】やってみた。』といった作品に関わっていた頃に声をかけていただきました。可愛い女の子たちを可愛く描くのが好きなら、きっと向いているだろうと(笑)。

その時点ですでにリアルバンドは活動を始めていて、初めてPoppin’ Party(『BanG Dream!』で主人公・戸山香澄が中心となって結成されたバンド。以下、ポピパ)を見たのは、大橋彩香さんがバンドに加入したライブ(BanG_Dream!4th Live「ようこそ!ぽっぴん☆PARTY!!!!!」)でした。メンバー5人で奏でた「スタビ」(=「STAR BEAT!~ホシノコドウ~」)が素晴らしくて、初めて聴いたのに泣いてしまって……その感動をアニメに込めたいと思ったのが、アニメ『BanG Dream!』の始まりでした。リアルバンドの皆さんからのフィードバックを込められたら素敵だなと。

ブシロードさんからは、前向きで明るい、等身大の女の子たちの物語にしてほしいというオーダーがありました。中村航先生の原案小説からキャラクター性も含めての再構成をしつつ、大槻(敦史)監督と一から物語を作っていったのですが、小説にある素敵なエピソードは残したくて……たとえば、香澄が落ち込んで下を向いていたら星のシールを見つけ、有咲の家の蔵でランダムスターと出会うところなどは、ほぼそのままです。

TVアニメ『BanG Dream!(バンドリ!)』第1期より

アニメの第1期で描きたかったテーマとはなんだったのでしょうか?

綾奈 「やりたいことをやる」ですね。現実では、何かしたいことがあっても、なかなかできなかったりします。でもやっぱり、やりたいことはやりたいし、好きなことは好きと言いたい。香澄は、それができる子。くすぶって立ち止まっている子たちは彼女のパワーによって引っ張り上げられ、救われます。そういう香澄はカッコいいし、ヒーローといってもいいかもしれない。カッコよくて素敵な女の子を描きたかったです。

しかも、香澄に限らず、登場する女の子たちが「いい子」で、「ヒーロー」である香澄が悪意と対決することはありません。そういった点は意識されていたのでしょうか?

綾奈 悪と戦う作品ではないんですよね。香澄が対決するのは、むしろ自分自身で。他の女の子たちについても他者の失敗を許せるとか、相手の立場になって考えられるとか、そういう優しい子たちであってほしいと思っていました。

自分が素敵なヒーローとして描いていた香澄が挫折を体験する回は、書いていてきつかった

TVアニメ『BanG Dream!(バンドリ!)』第1期より

その1期の中で印象に残っているエピソードを教えてください。

綾奈 香澄が挫折する回(#11)は書いていて一番きつかったですね。無知を知り、現実を突きつけられる話です。わたし自身も似たような経験があるので、それはもうきつかったです。毎話わーわー言ってた香澄がほとんど喋らない、という状況は意図して入れました。これまでなんとも思わなかったことが怖くなって、歌えなくなってしまう。

公園で香澄をたえたち4人が囲んで歌っていました。

綾奈 放送で初めて見た時、「歌の力ってすごい……!」と感動しました。4人が順番に気持ちを歌って、香澄が自然に歌い出せるようにうながす。香澄の言動を肯定し、香澄のやってきたことは否定されたわけではない、と示してくれるんですよね。今度は、みんなが引っ張り上げてくれる。

香澄自身がキラキラドキドキしている存在だというセリフがありました。

綾奈 「何か追っかけてる香澄、すごい輝いてるんだよ」ですね。香澄が追いかけている輝きを、有咲たちは香澄に見ていたんです。

TVアニメ『BanG Dream!(バンドリ!)』2nd Seasonより

2nd Seasonで、たえがRAISE A SUILEN(アニメ2nd Seasonから登場するガールズバンド。ポピパの花園たえがサポートギターで参加していた。以下、RAS)ではなくポピパを選ぶ理由にもつながる部分だと感じました。

綾奈 たえはRASで演奏しても、ポピパへの気持ちは変わらないんですよね。彼女の中で、そこはぶれない。柿本(広大)監督が第1期のことをすごく大事にしてくださって、2nd Season#11の音楽シーンで第1期の回想を入れたんです。あそこは全て新規に作られたシーンで……正気かと(笑)。第1期は2D作画だったので、3DCGで作る2nd Seasonにそのまま使えないんです。

あえての新規作成だったんですね。

綾奈 第1期の回想が入ることで脈々と続く絆のお話として説得力が出ましたし、「スタビ」(=「STAR BEAT!~ホシノコドウ~」)にも合っていて素敵でした。あと、香澄とたえの思い出のギターケース袋やスピーカーなども出せて嬉しかったです。現場の負担になるのではと毎回おそるおそる相談するのですが、監督がすごく粘ってくださるのでありがたいです。

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