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行動はすべて結果になる『ファイアーエムブレム 風花雪月』緻密なゲームの見返りとは

行動はすべて結果になる『ファイアーエムブレム 風花雪月』緻密なゲームの見返りとは

『ファイアーエムブレム 風花雪月』(以下、『FE 風花雪月』)沼にドップリの大部です。こんにちは。やばいですよこのゲーム。何がやばいって、物語の歴史的背景、キャラクターたちの背景、どちらも深くて高密度。さらっとプレイしているだけでも「ここの話があそこのエピソードに繋がるんだ!?」という発見があるので、じっくりどっしり腰を据えるとまた新たに見えてくるものがあるという……自然と2周目、3周目を誘う驚異の吸引力。ダイ〇ンか!
頼りになる教師を目指しつつプレイしているわけだけど、嵐のように押し寄せる仲間たちの魅力に翻弄されてついつい頭のなかがお花畑に。いかんいかん、教師として気を引き締めねば。そんな本稿は前回の記事よりさらに踏み込んで、煌めく学園生活と複雑な戦闘について語らせていただくよ! 内容が内容だけにちょびっと暴走しているけど……。なお、筆者が選択した黒鷲の学級(アドラークラッセ)での解説がメインになっていくのでご了承を。

文 / 大部美智子


全力でキャラクターとの関係を深める

『FE 風花雪月』のひと月(節)は平日に行われる教育と週末の自由行動、そして節末にある課題出撃で過ぎていく。そんな生活のそこかしこで仲間たちの魅力がこれでもかってくらい味わえる。味わえ過ぎて推しがひとりに絞れないが、そもそもひとりに絞る必要はない。推しは他学級でも何人いてもいい……と最近開眼したので、存分に愛でようではないか!
たとえば前回、文字数の関係でサックリ紹介した“贈り物”は、ただ渡せばいいってものじゃない。相手の好みや趣味を理解したうえで好きそうなものをあげると好感度が上がるからか、支援値が大幅アップ! 仲間であればやる気もアップ! 散策中に会話を重ねて相手のことを深く知り、事前のリサーチと細やかな心配りでハートをゲットするのだ! 『FE 風花雪月』はそれを実現できるほど、キャラクターの設定がしっかりと構築されている。

▲贈り物はショップで購入、大修道院内で拾得、クエストの報酬などで入手。教育の回数を増やすため、行動回数を減らさない贈り物も利用してやる気はマックスまで高めたい

▲趣味や好きなものはステータスである程度確認することもできる。男性キャラクターに花をあげてもいちおう喜ばれるが、本当に好みのアイテムを渡すと格段に喜んでくれる。逆にまったく無反応の場合もあるので、それなりに慎重に選びたい

▲誰に贈っても喜ばれる“伝書ふくろうの羽根”は、おそらく大修道院中で見かける白いふくろうのもの。散策中にあちらこちらで拾える。『ファイアーエムブレム』(以下、『FE』)シリーズでふくろうといえば『ファイアーエムブレム ヒーローズ』のフェー。ちょっとむしりに行くか……

つぎに、相手との仲を深めるためにおすすめなのは誕生日の行動。一年に1回しかないので厚く祝いたい。プレイ開始直後は花を贈ることしかできないけれど、ストーリーの一定段階以上の進行で出現するクエストをクリアすればお茶会に誘えるようになる。このお茶会がなかなかのクセモノ。ちょっと刺激が強くてビッタンバッタンと床を転がることになった。電車やカフェなど、家の外でプレイする人は注意してね!! 顔がにやけるから!!

▲2周目はクロードのいる金鹿の学級を選ぶわ(チョロい)

お茶会は誕生日以外にも誘えるので、ごちそうしたい茶葉をいくつか見繕っておくとベター。お茶会パートでは3つの選択肢から話題が選べる。もし相手がその話題に興味があり、話が盛り上がると支援値がアップ。相手の好みの茶葉、興味のある会話でおもてなしできれば、その場で贈り物もできる。そして……。

▲顔が近―い!! もちろん男性キャラクターだけではなく、好みの女性キャラクターの魅力も堪能できる

“笑わせる”や“からかう”などの選択コマンドが出てくるのだ。イチャイチャタイム。こ、こら! 教師と生徒なんですよ!? ちなみにシルヴァンは元々ほかの学級におりましたが、前回の写真のとおりスカウトしましたよ。ええ。このイチャイチャタイムは続けようと思えば、この世の電力供給が途絶えるまで行える仕様。A、X、Yボタンを延々と押し続けて反応が楽しめるのだ。
……とまぁ、心の距離がグッと近づく恐ろしいシステム。リアルでは味わえないドキドキを高濃度で摂取させてくれる点は流石というほかない。わかってらっしゃるわー……。行動力を消費するので頻繁には誘えないところがまた特別感を高めてくれる。
相手の情報を知るうえで欠かせないのはふだんの会話だけれど、“支援会話”でも相手の一面を知ることができる。キャラクター同士の仲が深まると支援レベルが上がり、その際にふたりのプライベートなやり取りが見られるのだ! 

▲ベルナデッタ、うしろ! うしろー!!

▲引きこもりがちなベルナデッタと、エーデルガルトの従者であるヒューベルトの貴重なツーショット。ベルナデッタの魅力が存分に描かれているこのエピソードは、プレイヤー全員に見てほしい……!

▲カスパルとブリギット出身のペトラの場合は、意外な接点が語られる……

メインストーリーではあまりいっしょにいない印象だったキャラクター同士がコミュニケーションをとっている様子や、ストーリーでは語られていないキャラクターの出自に関するシリアスな話、親世代の戦いにまつわる確執などなど……さまざまなエピソードが支援関係の組み合わせのぶんだけ存在する。すごい、すごい量だ……。
こういった登場キャラクターのエピソードが物語に厚みを増して、さらに『FE 風花雪月』の世界にどっぷりと浸からせてくれる。SNS、とくにTwitterのタイムラインでは『FE 風花雪月』のいい評判しか見かけないけれど、「なるほど」のひと言に尽きる。
ある程度メインストーリーが進み、主人公と仲間たちが親密になると“外伝”の戦闘に出撃できるようになる。支援会話のように仲間たちの物語が戦闘を交えて展開していくのだ。宝箱やクリア報酬のアイテムがなかなかうれしい内容だったりするので、仲間のことがわかるわアイテムがもらえるわでウハウハ。スケジュールに余裕があったら毎週でも出撃するのに! 主人公の指導レベルが上がれば出撃回数も増えるので、生徒の育成にも利用できるのがうれしい。

▲イングリットの縁談に待ったをかけるドロテアと主人公。その真意は……

大聖堂内には“投書箱”があり、そこに投書された匿名の悩みを主人公が回答していくのだが、これが意外とむずかしい。シルエットから投書主を絞れるときもあるけど、何度回答しても「投書主は回答に不満なようです」と告げられることが多い。唯一、◯◯◯をむちゃくちゃに意識した投書があって、「これはフェルディナント以外いないだろう」と彼好みの解答をチョイスしたら満足いただけた。投書の回答は常識的なものや教師として導く言葉よりも、相手が本当に欲しい言葉を返すほうがいいのかもしれない。むずかしい! しかしここもまた、キャラクターたちの悩み、転じて考えや個性を知ることができるいい場なので「もっと知りた―い!」という方は足を運ぼう。

キャラクターをただのコマと考えて本作をプレイしている人はほとんどいないと思うけど、親しみを持ち彼らに踏み込んで行動を共にすると、ゲーム純度の高い本作は必ず見返りをくれる。そして、キャラクターと密に接して関係性を深め、あるいはパーソナリティを知り抜くことで、おそらくゲーム後半に起こる出来事を特別な想いで受け止めることになる。本作が人生で印象に残る一作となるかならないかは、大修道院での行動次第といえる。

▲THE貴族という感じのフェルディナント。その人間臭さがだんだん好きになってきた。キャラクターと積極的に接するほど、好ましい対象がどんどん見つかる

仲間が同じ敵を攻撃できる範囲にいると連携攻撃で命中率と回避率が上がる、というのは前回お伝えしたとおりだけど、支援レベルが高いほど連携攻撃の効果も上がる。主人公と仲間が、そして仲間どうしが仲よくなっていて損はない……! 敵を倒したときに近くの仲間が「すごい!」のような賞賛の声をかけてくれることがあるのも地味にうれしい。実際の戦場でも信頼のおける仲間が近くにいた場合、いつも以上に力を発揮できるというのは想像に難くない。こういったところに無意識にリアリティを感じ、物語に集中して楽しめているのだと思う。魔法や魔物といったフィクションの存在と、物語の歴史的背景やキャラクターの人間的な想いなどのリアリティがほどよいバランスで成り立っているのが『FE 風花雪月』、そして『FE』シリーズなのかもしれない。

戦場でうまく采配を振るうために

戦闘で大事なのは仲間それぞれのステータスを把握して、うまく指揮していくことだと思う。と言っても大事な仲間や推しのことは自然と詳しくなっていくので、そこまで苦労はしない。『FE 風花雪月』では兵種、能力値、行動順、装備、技能、スキル、戦技、地形、騎士団、紋章などなどなど、戦況を左右する要素がこれでもかというほどあるので、今回は前回紹介できなかったスキル、戦技、紋章を順に紹介していくよ。
まずスキルは、個人の資質に深く関わっていてその内容がとてもおもしろい。一例だけど、いつも気だるげにしていて眠そうなリンハルトのスキルはずばり“居眠り”。行動せずに待機していると最大HPの10%が回復するというもの。歌劇団出身のドロテアのスキルは“歌姫”で、ターン開始時に隣接する味方を最大HPの10%回復してくれる。ほかのキャラクターもそれぞれ、その人らしさが戦場・戦況に影響を与えていて、こういった要素が戦場での戦いを無機質なものに感じさせないんだと思う。

▲とどめを刺すときにピッタリのスキル

つぎに戦技は、文字どおり戦闘中に使える技。攻撃力が上がるものもあれば、命中値が高まるものだったり、特定の敵に大ダメージを与えるものだったりと多岐に渡る。一撃で仕留めたいときに剣術の“剛撃”、攻撃を外したくないときに弓術の“曲射”、騎馬の敵に有効な槍術の“葬騎の一撃”などなど。相手に有効な戦技をうまくぶつけることができれば、仲間の被害や損失なく強敵を撃破することも可能になるのだ。武器の耐久は大きく消費してしまうが、戦技の選択と行動順をしっかりと考えれば、自軍ユニットが大きな被害を被らないように強敵のユニットにダメージを重ね、レベルアップさせたいキャラクターにとどめを刺させることができる。このロジックがうまく組めると気持ちいい。戦技は武器に関連する技能のレベルが上がると習得できるが、理学や信仰は技能レベルが上がっても戦技を覚えない。その代わりに新しい魔法を覚えていく。
戦闘まえにマップで、進行やダメージに関わる地形の特性、魔物、飛行ユニット、重装・騎兵ユニット、弓・魔導兵の有無や割合が確認できるので、適したスキルや戦技の付け替えを行って勝率を上げられるのがうれしくもある。

▲誰が攻撃しても反撃の一発でやられてしまう強敵、いったいどうしたら……と悩んでいたときに、シルヴァンさんが葬騎の一撃で仕留めてくれました! さすが! ヒューッ!

最後に紋章について。『FE 風花雪月』の世界には紋章という力があって、これははるか昔に女神が授けたと言われている不思議な力。力が大きな大紋章とやや劣る小紋章があり、紋章は血によって受け継がれると言われているけれど、親や先祖に紋章があったとしても紋章が発現しなかった人もいる。フォドラの大地ではこの紋章がかなり重要視されていて、貴族だと紋章の有無で家督の継承に影響もあるようで、そのことは物語にも深く関わってくる……。
しかし、たとえばベルナデッタの紋章はたまに2回攻撃になったり、リンハルトの紋章は回復魔法の威力がたまに上昇したりと、「あったらうれしいけどなくても平気」という印象。それなのに貴族さまは頭が固いなぁ……と思ったけれど、これもフォドラの歴史が大きく影響を与えている様子。物語を追っていくうちにだんだんと明かされていく真実があるので、ぜひ最後まで見届けてほしい。

▲ごくまれに発動する紋章。主人公も謎の紋章を宿しており、その正体は物語が進めば明らかになる

教育に自由行動に出撃に……メリハリの利いた学園生活で、時間が許す限りプレイしていたくなる『FE 風花雪月』。はー、もっとイチャコラしたい……が、私は教師なのでキリッと生徒たちを導かなければならない! 生徒と密に接し、行動のひとつひとつを考え抜くのだ。必ず見返りがあり、それが進行を飽きさせない。
次回はネットワークの利用、そして第二部とされている5年後に見えてくる波乱の物語をネタバレしない範囲で紹介! 大修道院内を駆け回り、いろいろなキャラクターとしっかり会話をしていくと、何やら秘密の断片がこぼれ始め、何者かの暗躍もちらつき始めてきた。気持ちのいい学園生活だけではない事態が迫っているのかもしれない気がする。
最後に大事なことなので言いますが、カスパルが戦闘終了後に言う「力も実力のうちだぜ! ……あれ?」は最高に尊いのでぜひ聞いてください。

フォトギャラリー

■タイトル:ファイアーエムブレム 風花雪月
■メーカー:任天堂
■対応ハード:Nintendo Switch™
■ジャンル:ロールプレイングシミュレーション
■対象年齢:12歳以上
■発売日:発売中(2019年7月26日)
■価格:パッケージ版・ダウンロード版 各6,980円+税


『ファイアーエムブレム 風花雪月』オフィシャルサイト

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