特集“シド ニューアルバム『承認欲求』リリース記念企画”  vol. 1

Interview

シド ソロインタビュー① Shinji〜シンプルに作る難しさと達成感〜

シド ソロインタビュー① Shinji〜シンプルに作る難しさと達成感〜

前作『NOMAD』から2年の歳月を経て、メジャー6枚目のフルアルバム『承認欲求』をリリースしたシド。その完成を記念して、本日からデイリー更新でメンバー1人ずつのソロインタビューで新作の魅力に迫っていく。まず第1回目はギターのShinjiが登場。リード曲「承認欲求」を含む全4曲の作曲を手掛けた彼に、シドの制作現場やギタリストとしてのこだわりについて語ってもらった。

取材・文 / 東條祥恵 撮影 / 今元秀明


シド Shinji エンタメステーションインタビュー

これまでもいろいろと振り幅のある曲をやってますけど、今回はそこがより広めに振り切れた部分を出せたかな

いよいよリリースとなるニューアルバム『承認欲求』ですが、作品の手応えはいかがでしょうか?

わりとシドというのは、これまでもいろいろと振り幅のある曲をやってますけど、今回はそこがより広めに振り切れた部分を出せたのかなと思ってます。

今作はサウンドがシンプルだから、ギターが際立ってるという印象を受けましたが。

そうですか?

ええ。そのギターも、前みたい何本も音を重ねて作るのではなくて、曲によってはギターが1本しか入ってないものまであって。明らかにこれまでとは違う発想でギターのアプローチを考えていったのかなという感覚がありました。

元々自分は音楽を始めたとき、シンプルなものを聴いてカッコいいなと思ってバンドを始めたんですね。盛り盛りな楽曲ももちろん好きなんですけど、そういうものはもうシドでやり尽くしたような気もしてるので。ギターがね、これは何本入ってるんだっていうぐらい重ねた曲も、それはそれで完成したときは楽しいんですけど。ライブではライブバージョンで弾くことになるじゃないですか?

Shinjiさん1人でギターを演奏するとなるとそうなりますよね。

メンバーそれぞれここの考え方は違うと思うんですが……。音で完全再現できない部分は同期を使って流して成立するのも音楽なんですよ。だけど、僕は自分が弾いたギターがライブ会場で同期で流れてるというのは極力なくしたいんです。

以前からライブは自分のギター1本だけでいきたいとおっしゃってますけど。そういう考えに至った理由は?

やっぱり、ライブ中にマスタリングされた音がパーンて(スピーカーから)出てくると、生で弾いてるギターの音とぶつかっちゃうんですよ。どうしても。ペタンとした音像と生で弾いてるものとでは抑揚が違いますからね。それが重なると音も濁っちゃうんで、音作りも難しくなるんです。だけど、レコーディングしたときのものが極力シンプルなものになっていればいるほど、ライブでの再現性も高くなると思うんですね。シンプルなもので曲を成立させるのって一番難しいことだと思うんですよ。しかも、音数が少ないと、たいしたことをやっていなくても聴こえてくるんです。1発白玉をパーンと鳴らしただけで、後ろになにも音が重なっていなければそれが聴こえてきますから。シンプルな音というのは、もしかしたらいまのシドのブームなのかもしれないんですけど、個人的にはこれからは、できるだけ曲作り、アレンジはマイナスの方向で考えていきたいんですよ。

シド Shinji エンタメステーションインタビュー

レコーディングのときに音数が多いなかで無駄にギターをたくさん弾くのは、正直どうかなって思うんです

マオさんも以前似たようなことをおっしゃってましたよ。迷ったときは、音を重ねるんじゃなくて引いていくのがいまのシドだと。

自分は特にそういう考えがあります。今回のアルバムでいうと、明希の「Blood Vessel」という曲のギターは、家で詰めの作業をしたんです。そのときスタジオで別の作業をしてた明希とやり取りをしているなかで「あのLで鳴ってるギター、いらなくない?」ってメッセージがきて「それ、俺も思ってた!」って返したんです。俺が現場に行ったときに言おうと思ってたことを明希も感じてたから、同じアレンジの方向を向いてたんですよね。

明希さんも音を重ねるんじゃなく、マイナスの方向でというイメージだったわけですね。

そうなんです。俺はギターが確かに好きですけど、レコーディングのときに音数が多いなかで無駄にギターをたくさん弾くのは、正直どうかなって思うんです。だから「これ必要ないよね?」というものは極力弾きたくないんです。ダブリングも必要だったらやりますよ。けど、それは同じことを2回弾くことになるんですね。ただ音圧を稼ぐためだけにそれをやるのはどうなのかなって俺は思っちゃうから。だったら、もっと違うアレンジにするとか、他にも方法はある。「Blood Vessel」の場合は明希と思ってることが同じだったから、最終的にギターの音数を減らしたんです。まああの曲自体、アルバムのなかでは音数が多いほうですけど。

ギターの本数でいうと、7曲目の「淡い足跡」。こちらはアコギ1本で弾いてるんですか?

いいえ。ギター1本でいったのは、じつは5曲目の「see through」のほうなんです。シドって、レコーディングでは基本的にギターが真ん中にいたら、その両サイドにも1人ずついてというのが多かったんですね。俺はその両サイド(のギター)をなくしたくて。1本弾きがあったとしたら、それだけの音でいって。それが、この曲で言うとAメロに入ったら片サイドからワウ(ギター)が鳴ってるという状態になる。この曲はそういうふうにアレンジしていきました。

「see through」は曲調的にはもっとロックなアレンジに振ることもできたじゃないですか。それを、こういうファンキーなアレンジに持っていった理由は?

自分が最初に弾いてるギターリフがあるじゃないですか。あれは俺、なんとなく作ったものだったんですね。でも、曲を作っていったら、あれに勝てるものがなかったんですよ。だから、あのリフをそのまま残して。弾いてるのはロックフレーズなんですけど、そういうものを、例えばジャミロクワイとか。そういうちょっとファンクな要素があるところの上で弾いてるというのが、どこか懐かしくて面白いかなと思って作ってみました。元のサビはもっとメロメロしたものだったんですよ。けど、曲のベースがファンク要素のあるものになったので、あえてリズミカルなサビに変えちゃいました。あそこでメロメロしたサビがきちゃうと90年代の“いい曲”になっちゃって、とたんに“ジャパニーズ”な香りがしてくるんですね。なので、サビメロをリズムに寄せてみました。

その絶妙なバランスを考えての、あのアレンジだったわけですね。

ええ。もちろんメンバーの要望とかもあるんですけど。どうしても、自分はいつも通りに作っちゃうとメロメロ方向にいっちゃうんで。そうなると、メロはいいんだけど変に古くない? っていうバランスになりがちなんですよね。それで、サビメロはあえて音階をつけずに、一定な感じで流れていくリズミカルなものにしてみたんです。

ピューンとかいろいろな効果音が入ってますけど、あれはギターで入れたんですか?

違います。電子音ですね。

起きるのは通常は7時ぐらいですけど、曲作りのタームに入ると朝5時とかに起きるんです

3曲目の「手」はアイリッシュとモンゴルが混ざったようなトラディショナルな匂いを感じさせる不思議なコード感が印象的でしたけど。曲のモチーフはどんなものだったんですか?

自分はゲーム、なかでもRPGが好きでよくやるんですけど。そのRPGの広大なフィールドで佳境には入ってない。まだそのフィールドを進み始めた頃の悲しげな雰囲気というのかな。そこで流れてたらいいなという想像から作りましたね。じつはこれ、曲自体は昔からあった曲なんですよ。なかなか日の目を見なかったんですけど、俺のなかでは渾身の作だったので、今回この曲が選ばれたときはすごいうれしかったです。

バンドサウンド以外に、民族楽器も入れました?

うん。電子ですけどバグパイプとか入ってますね。

そういうサウンドをバックに、広大なフィールドをどんどん歩いて進んでいくイメージですね。

Aメロとかは特にそうですね。そこから曲を広げていったので。サビは壮大になってきちゃうんで、歩いてたフィールドとはまた違う感じなんですけど。

クワイヤのようなコーラスを効果的に使われてましたけど。

あれ、めっちゃいいですよね。

いいですね。どういうところからあれはイメージがわいてきたんですか?

『GET SPORTS』(テレビ朝日スポーツドキュメンタリー番組)かな?

ああー(微笑)。「Ameno」ですかね。

あれ俺、すっごい好きなんですよ(微笑)。ああいうのが出てきたらいいなと思って入れました。『GET SPORTS』自体、昔から好きでよく観てたんです。最近は12時前には寝ちゃうんで観てないですけど(笑)。

就寝時間、早めなんですね。

寝るのも起きるのも最近は早いんですよ。起きるのは通常は7時ぐらいですけど、曲作りのタームに入ると朝5時とかに起きるんですよ。

早起きにはなにか理由があるんですか?

寝てても曲のことばっかり考えちゃうんですよ。アイデアが出てきたりして眠れないから、パッと起きちゃって曲を作るんです。

今作に収録されてる曲はそうやって朝方に作ったものばかりなんですか?

だいたい朝作ってますね。「承認欲求」なんて、朝5時に起きて、15分で作りました。

アルバムの1曲目、幕開けを飾るリード曲は15分でできた、と。

ええ(笑)。その日、お昼の1時から選曲会があったんですよ。で、2曲ぐらい持っていこうとしてたんですけど、まだ1曲は納得がいってなかったんですね。それで、これはいかんと思って朝5時に起きて、なんとなくコードを弾き始めたらすらすらすら~っとサビまでできて。それを選曲会に持っていったんです。でも、あまりにもできたてホヤホヤすぎて「この曲いいね」って言われても、産み落としたばかりだから自分でもよく分からなかったです(笑)。このときの選曲会は、アコギだけで曲を持ってこようよというものだったんですね。俺らって、いつもアレンジまでビシッと作り込んじゃうんで。

選曲会に曲を持っていくまでの時点で。

ええ。だけど、今回は事務所の社長が入ってきて。アレンジまで作り込んじゃうと、そのアレンジで曲が持ってかれちゃうところがあるから、純粋にコードだけで聴きたいという提案があって。それは面白いなと思ったんですね。いままでやったことないし。それでコードだけで持っていって選ばれたのが「承認欲求」だったんです。

そうだったんですね。朝作る曲と夜作る曲は違うものですか?

ああー。俺はたぶん関係ないかな。昔は曲を作るとき、シチュエーションまで大事にしてたんですよ。例えば、ウインターな曲を作るときはパソコンのデスクトップを雪景色にしてみたりとか、作業部屋のテーブルを窓のほうに向けて外の景色を見ながら雰囲気のある曲を作ったりとか。いろいろやってみた結果、そういうのは関係ないなと。やっぱ、出ないときは俺、なんも出ないんですよ。そういうことをどんなにやっても。自分が一番得意なのは、お題がないなかで作ることなんですよ。でも、どうしてもこういうプロの現場ではこういう曲を作ろうとかお題が出てくるものなんですね。そうなると、昔だったらそういうシチュエーションを作ったり、譜面台の前に企画書を置いたりして作ってたんです。それをやると俺はどんどん頭がそればっかりになっちゃって曲が浮かばなくなるんですよ。だから、最近はお題があるときは頭の片隅にそれを置いとくぐらいにして、作るようにしてます。

シド Shinji エンタメステーションインタビュー

 マオくんに言わなくても勝手にサビが“ラララ~”になって届いたんで、想いは伝わってたんだなと思いました 

「淡い足跡」は少ない音数のシドで勝負してて、すごく攻めてるなという印象を受けました。

この曲はまず、マオくんが低音ヴォイスの曲を歌いたい、と。それで、歌メロは自分でも歌えるぐらいひたすら低くして。なおかつAメロとかはベースとドラムだけなんですけど、小賢しいことは一切やってない。譜面にするとすごい簡単な演奏なんだけど、それを少ない音のなかでやってるのが逆にアダルトな感じに見えるかなと思って。こういうことって、なかなか20代の頃では表現するのが難しいんですよ。いまだからできることなのかなって気がしてます。例えばゆうやのドラムとかにしても、スコアにしたら絶対書かれないだろうゴースト(ノート)の演奏具合とか、若い人には難しいんだろうなって思いますよ。

音数が少ないなかでただシンプルな演奏をしているだけではないんだぞ、と。

ええ、違います。昔だったらドラムもここにフィルを入れたいとか、ベースだったらこのあとハイポジ(ション)に動きたいとかになって、どんどんアレンジが細かくなっていってたと思うんですけど。それを噛み殺して、ずっと8符をシンプルに刻んで。Bメロからやっとギターが出てきたと思ったら、これもすごいシンプルなアルペジオで。アコギも入ってるんですけど、そのアコギもなくてもいいかなって俺は最初思ったんで、抜いたんですよ。そうしたら、さすがに隙間がありすぎて(笑)。コード感を出してる人が誰もいなくなっちゃったんで残しました。8符の曲なんですけど、アコギだけは16符で弾いてて。それが、この曲の隙間を埋めていく役割を担ってます。

こんなにシンプルに見えて、実はものすごく奥深いアレンジが施されてたんですね。そういう音の輪郭まで、じっくりと味わってもらいたい楽曲ですね。

そうです。音がシンプルな分、この曲はサウンド全体のリバーブ感がポイントでした。とくにヴォーカルは、かなりウェッティななかで歌ってて、喉の奥の音まで聴こえてきそうな歌い方。そこまで伝わるような曲にしたかったんですよ。歌では、サビで歌詞がないというところもこの曲のポイントだと思いますね。

ラララ~ですからね。

元々俺が入れる仮歌はいつもラララ~なんですけど。この曲は、俺のなかではサビは歌詞じゃないなという感じだったんですね。それをマオくんに言わなくても勝手にサビが“ラララ~”になって届いたんで、想いは伝わってたんだなと思いました。

リスナーの皆さんにはどのようにこの新作を聴いてもらいたいですか?

新しいこともやってるし、王道っぽいシドの曲もあったりするし。いろんなとらえ方で自由に聴いてほしいですね。

シド エンタメステーションインタビュー

ヘアメイク / Hideaki Sakanoi(Alpha Knot)、Shuko Ohdaira
スタイリスト / Wataru Okumura

衣装協力
AKM
CRADLE
FAGASSENT


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その他のシドの作品はこちらへ。

ライブ情報

SID TOUR 2019 -承認欲求-

9月13日(金) 千葉県 松戸・森のホール21 ~ID-S限定LIVE~
9月14日(土) 千葉県 松戸・森のホール21
9月23日(月・祝) 群馬県 ベイシア文化ホール(群馬県民会館)
9月25日(水) 神奈川県 カルッツかわさき
10月5日(土) 宮城県 東京エレクトロンホール宮城
10月12日(土) 埼玉県 大宮ソニックシティ
10月14日(月・祝) 岡山県 岡山市民会館
10月19日(土) 大阪府 大阪国際会議場
10月20日(日) 大阪府 大阪国際会議場 メインホール
10月22日(火・休) 福岡県 久留米シティプラザ ザ・グランドホール
11月2日(土) 愛知県 日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
11月3日(日・祝) 愛知県 日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
11月5日(火) 東京都 中野サンプラザホール
11月6日(水) 東京都 中野サンプラザホール
11月9日(土) 新潟県 新潟テルサ
11月13日(水) 北海道 カナモトホール(札幌市民ホール)

SID TOUR 2019 -承認欲求- FINAL

11月21日(木) 東京国際フォーラム ホールA

詳細はオフィシャルサイトへ
https://sid-web.info/

SID(シド)

2003年結成。マオ(vo)、Shinji(g)、明希(b)、ゆうや(ds)からなる4人組ロックバンド。
2008年、TVアニメ『黒執事』オープニングテーマ「モノクロのキス」でメジャーデビュー。
2010年の東京ドーム公演では4万人を動員。結成10周年となった2013年には、初のベストアルバムをリリースし、オリコンウィークリー1位を獲得。同年、横浜スタジアムで10周年記念ライブを開催、夏には初の野外ツアーで4都市5公演で5万人を動員し大成功を収める。2014年には香港・台湾を含む全国ツアーも開催した。
2018年にバンド結成15周年を迎え、8月にはキャリア初のミニアルバム『いちばん好きな場所』をリリース。9月からは全公演SOLD OUTの中、<SID 15th Anniversary LIVE HOUSE TOUR 「いちばん好きな場所2018」>を開催。
そして、今年2月にアジアツアーを開催、3月10日には15周年アニバーサリーイヤーのグランドファイナルとして、横浜アリーナでの公演を実施した。
9月4日に2年ぶりとなるアルバム『承認欲求』をリリースし、全国ホールツアーを開催する。

オフィシャルサイト
https://sid-web.info

シド・Shinjiフォトギャラリー

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