LIVE SHUTTLE  vol. 364

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乃木坂46 新世代の台頭と世代間の融合。卒業していくキャプテン・桜井玲香の思いが見えてくる全国ツアーファイナル。

乃木坂46  新世代の台頭と世代間の融合。卒業していくキャプテン・桜井玲香の思いが見えてくる全国ツアーファイナル。

乃木坂46 真夏の全国ツアー2019
2019年9月1日 明治神宮野球場

乃木坂46が4都市8公演で合計29万人を動員した「真夏の全国ツアー2019」のファイナルとして、今年で6年連続となる明治神宮野球場での3days公演を開催した。

初の単独野外ライブとなった2014年は学業のために活動を休止していた生田絵梨花の帰還があり、初の雨天開催となった2015年はメンバーが総出演したドラマ『初森ベマーズ』のコーナーが設けられ、舞台『すべての犬は天国へ行く』への出演が発表された。同年末に紅白歌合戦への初出場を果たし、2016年は「4th YEAR BIRTHDAY LIVE」と題し、それまでに発表していた全楽曲である112曲を3日間で全て披露。3期生が加入した2017年は1期、2期、3期とパートを分けたパフォーマンスがあり、ヒム子(日村勇紀/バナナマン)のサプライズ登場と初の東京ドーム開催の発表が大きなニュースとなった。そして、昨年は、明治神宮野球場と秩父宮ラグビー場を行き来しながら異なるセットリストでライブを行う「シンクロシニティ・ライブ」なっていた。2019年の神宮のトピックはなんであったのかといえば、やはり、グループ結成から8年間、キャプテンを務めてきた桜井玲香の卒業と新世代の台頭ということになるだろう。

2011年8月に乃木坂46の1期生オーディションに合格した桜井は翌年2月にリリースされたデビューシングル「ぐるぐるカーテン」の活動に向けて初代キャプテンに就任。センターは未経験ながらもシングル24作すべてに選抜メンバー入りを果たし、他メンバーから“ポンコツ”といじられながらも、マイペースな姿勢を崩さずに、清楚で大人しく、真面目なメンバーが多いグループを牽引し、1期生の一人として、乃木坂46を国民的グループにまで引き上げた。だが、乃木坂46のグループとしてのカラーを作り上げてきた1期生で残っているのは、彼女を含めて12人だけ。すでに20人以上が卒業しているが、全体では2期生9人、3期生12人、4期生11人という構成となっている。

3days公演の3日目、9月1日(日)の開演前には、今年7月に公開されたドキュメンタリー映画第2弾『いつのまにか、ここにいるDocumentary of 乃木坂46』の<桜井玲香 Another Story>として、前日の公演後の模様がスクリーンに映し出された。観客がいなくなった後の神宮のステージに1期生が集まり、膝の治療のために休演していた井上小百合を除く10人で記念撮影をしていた。円になって手を挙げて「1期!1期!」と声をあげ、全員で抱き合あった。生田絵梨花は目に溜めた涙をあくびだとごまかしなが涙を流す桜井を一人残して、ステージを後にした。

影アナには1期生の和田まあや、生田絵梨花、高山一実に加え、バナナマン日村が登場。生田は「かわいい花、咲かせるぞ!」と叫び、高山は「玲香ちゃんと最高の思い出を作りましょう」と3万5千人に及ぶ満員の客席と全国232館250スクリーンに7万人が集まったライブビューイングの観客に向けて語りかけた。

最初のMCでは2期生で桜井と仲の良い新内眞衣がリハの時から泣いてることを暴露され、涙を堪えるように空を見上げながら「玲香が最後なんです。どうしようと思って……。私たちは後ろから、皆さんは前から玲香を見ておいてください」と切々と訴えた。一方の桜井は「まだ4曲目だよ。全然実感ない」と笑いながら、「だって、私は今日も絶好調で、オープニングから振りを間違えたよ」と明かしたが、そこには“いつも通りやろう”というメッセージと、おそらく緊張しているであろう4期生たちに過度なプレッシャーをかけないようにしたいという意図があったのではないかと思う。

本編は齋藤飛鳥が「みんなでハッピーに終われたことが嬉しいです。夏は終わりますが、乃木坂46はまだまだ続きます」という言葉で締めくくったように、あくまでも恒例の「真夏の全国ツアー」の最終公演としての楽しく温かな雰囲気が漂っていた。それも桜井が作ったムードだったのかもしれないが、アンコールでは彼女のこれまでの活動を振り返る映像が流された後、白いドレスに身を包んだ彼女がたった一人でステージに上がり、2016年の夏に1ヶ月半ほど休業し、神宮ライブで復帰した当時のことを振り返り、こう語った。

「メンバーにはめちゃくちゃ迷惑をかけたのに、みんな定期的に連絡をくれたんです。 最初乃木坂に入ったときは、メンバーといってもライバルだから、友達なんていらないと思っていたんです。1人でやってやるくらいの気持ちでいたんですけど、みんなが自分のことのように私のことを心配して、いろんなことを考えてくれて。そのタイミングで、本気でこのグループを守らなきゃなって思ったんですよね。

私が卒業を決めたのは、もうアイドルいいかなと思ったからではなく、卒業してもずっと乃木坂に一生関わっていくと思ったからです。メンバーはこれから現役として乃木坂を作っていくと思いますけど、私は卒業した後に、『桜井玲香って乃木坂46だったんだよ。しかも、キャプテンだったんだよ。すごくない?』って言ってもらえるような人になりたい。そのためには、早く新しいスタートを切らないと、メンバーに背中を見せられるような人になれないと思い、卒業を決断しました。私はこれからも乃木坂です。だから、寂しくないのかなと思います。これからはメンバーとして一緒に活動することはなくなるけど、これからも乃木坂46を作り続けていく1人だという思いを胸に刻んで、これからも活動していきたいと思います」

そして、初のソロ曲「時々 思い出してください」を歌い始めると、場内は彼女のイメージカラーであるピンクのサイリウムに染まった。<守らなきゃいけない何かは/次の世代へと繋げばいいと気づきました>という歌詞を涙をこらえながら歌っていたが、徐々に涙腺が崩壊。ステージに登場したメンバーに支えられながら最後まで歌い切ると、観客がサプライズで掲げた桜の花びらを描いたプレートを前に「あ〜あ、泣いちゃった」とこぼし、「みんな本当に本当にありがとうございます。幸せだな、本当に」と感謝の気持ちを、たっぷりと実感を込めて伝えた。さらに「このメンバーで披露するのは最後になります」と語った最新シングル「夜明けまで強がらなくていい」に続き、「ロマンティックいか焼き」では、新内とフロートに乗り込んで場内を一周。「玲香」コールが起きたトロピカルハウス調のシンセポップ「僕だけの光」では、休養中の同期生、井上小百合がメインステージで桜井を出迎え、驚く桜井に向かって、「遅くなっちゃった。ごめんね」と声をかけた。

ここで次期キャプテンの秋元真夏が「まだどうしても玲香がいなくなることを想像できません。面と向かってこんなことを言うべきじゃないのはわかっているけど、本当は寂しすぎてどうしたらいいのかわかりません」と声を震わせ、「できることならずっと一緒にいたかったけど、これからは私たちは誰よりも玲香の応援団になって、背中を押します。この先、大変なことやつらいことがあったら、私たちを頼ってね。8年間、本当にお疲れ様でした。今までありがとう。大好きな玲香へ」と手紙を読み上げると、桜井は「みんながいたからやってこれた。本当に青春だよ、私。一生、大切な友達だわ。ずっと笑っててほしい」と返答。そして、「やっぱり乃木坂46といえばこれだな。私の乃木坂46人生でめちゃめちゃ支えになっていた曲です」と紹介し、パープルのペンライトが光り輝く中で「乃木坂の詩」をセンターポジションで熱唱。さらに、ダブルアンコールが実現し、デビューシングルのカップリングに収録されていた「会いたかったかもしれない」を秋元と桜井が肩を組みながら歌った後、ステージを降りてグラウンドを一周。ベンチ付近で卒業生で同期の若月佑美が花束を持って登場。「おめでとう。よく頑張りました。ここからが長いですからね。これからは戦友として一緒に頑張りましょう」という言葉をかけられると、桜井は涙を流して若月に抱きついた。

メインステージに戻った桜井は最後に円陣を組み、「また新しい乃木坂46を作っていきましょう!」と声を張り上げ、「乃木坂に入ってよかったです。みんなだーい好き。ありがとう。またね。バイバイ」と手を振ってステージをあとにした。

キャプテンのバトンは、こうして、1期生で25歳の桜井から、同期で年齢が1つ上である26歳の秋元へと手渡された。ここには、“世代交代”を進めるのではなく、“世代間の融合”を果たしたいという思いがあったのではないかと思う。本編では選抜メンバーがサマーソングを4曲立て続けに披露した後、3期生と4期生によるコーナーが設けられていた。前者はやはり華やかさがあり、観客に高揚感を与えてくれるエンターテインメント性に溢れたパフォーマンスとなっており、チャックの制服に身を包んだ後者には、「ぐるぐるカーテン」や「おいでシャンプー」の頃の乃木坂46が持っていた清楚で凛々しい佇まいがあり、そのファルセットやスカートの揺らめきには瑞々しさや青春感を湛えていた。

そして、「この夏限りのユニット」コーナーでは、「自由の彼方」を2期生の堀未央奈がセンターを務め、同期の佐々木琴子、3期生の伊藤理々杏、佐藤楓、吉田綾乃クリスティー、4期生の早川聖来と北川悠理という7人でパフォーマンス。枝を離れた葉、堀の背中に生えた翼から散る羽を映像とダンスで表現し、強い目力も見せつけた。続く、「他の星から」はセンター常連のエースである1期生の齋藤飛鳥と最新シングル「夜明けまで強がらなくてもいい」のセンターに抜擢された4期生の遠藤さくらのデュオで、コンテンポラリーダンスを披露。センターステージで待つ齋藤の元に遠藤が歩いていき、強く手を組むシーンはセンターの継承とも言える象徴的な場面だったと思う。その遠藤とともに初選抜入りした4期の賀喜遥香は、生田がセンターを務め、2期生の伊藤純奈と3期生の久保史緒里とともに、「白米様」をパフォーマンス。60〜70年代のモータウンのガールズグループのような高い歌唱力と見事なハーモニーを響かせた。限定ユニットの最後は、桜井がセンターを務めた「自分じゃない感じ」。同期の中田花奈、和田まあや、3期生の阪口珠美、4期生の金川紗耶さんの5人でヒップホップダンスを披露。B-BOY風のファッションで光るスニーカーを履いた彼女たちが、低音の効いたEDMに合わせて暗闇で踊る場面もあった。乃木坂46の中では特異なジャンルではあるが、「アイドルらしさや乃木坂らしさに合わせて、自分の個性を殺す必要はない」という桜井からの無言のメッセージが込められていたように思う。

本編の後半には、齋藤のソロドラムから生バンドとストリングスを従えたコーナーもあった。「おいでシャンプー」では桜井と齋藤がハグし、「今日はメンバーをいっぱい触ろうと思う」と宣言していた白石麻衣も桜井をバックハグ。また、「ジコチューで行こう!」ではだるまさんがころんだの鬼役である齋藤に3期生の与田祐希がチューをせがみ、「Sing Out!」では1期生の高山一実の晴れやかな笑顔がスクリーンの映し出せれた。この日はどうしても桜井を中心にした1期生や選抜常連メンバーに目がいってしまったが、ここから、秋元新キャプテンの時代がスタートする。1期生から4期生まで、経験の異なる世代間を融合させ、バランスの良いグループを作り上げながら、次なるエースをどう育てていくのかが楽しみでならない。

文 / 永堀アツオ

乃木坂46 真夏の全国ツアー2019
2019年9月1日 明治神宮野球場

セットリスト

1.ガールズルール
2.太陽ノック
3.夏のFree&Easy
4.裸足でSummer
5.三番目の風
6.4番目の光
7.トキトキメキメキ
8.キスの手裏剣
9.自由の彼方
10.他の星から
11.白米様
12.自分じゃない感じ
13.インフルエンサー
14.命は美しい
15.何度目の青空か?
16.シンクロニシティ
17.滑走路
18.日常
19.あの日 僕は咄嗟に嘘をついた
20.ここにいる理由
21.不等号
22.僕のこと、知ってる?
23.そんなバカな…
24.ハウス!
25.世界で一番 孤独なLover
26.スカイダイビング
27.おいでシャンプー
28.ジコチューで行こう!
29.Sing Out!
<ENCORE>
30.時々 思い出してください
31.夜明けまで強がらなくてもいい
32.ロマンティックいか焼き
33.僕だけの光
34.乃木坂の詩
<W ENCORE>
35.会いたかったかもしれない

フォトギャラリー

ライブ情報

「NOGIZAKA46 Live in Shanghai 2019」

10月25日、10月26日 上海メルセデス・ベンツアリーナ
http://www.accessbright.com/nogizaka46/

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乃木坂46

秋元康総合プロデュース。2011年8月に結成。2012年2月にシングル「ぐるぐるカーテン」でCDデビュー。同年5月にシングル「おいでシャンプー」にてオリコンランキング初の1位を獲得。2015年には「NHK紅白歌合戦」に初出場を果たす。
現在までにシングル23作品・アルバム5作品をリリースし、トータルセールス1,500万枚を突破するモンスター・アイドルグループ。
2019年10月には、中国・上海メルセデスベンツアリーナで2Daysのライブを開催。
当会場での2Days開催は、日本アーティストで初となる快挙。

オフィシャルサイト
http://www.nogizaka46.com

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