Review

死は本当に希望の世界か?『鬼ノ哭ク邦』ハクスラの快感と命の真実

死は本当に希望の世界か?『鬼ノ哭ク邦』ハクスラの快感と命の真実

命と人の心について考えさせられるアクションRPG『鬼ノ哭ク邦』。生者と死者の調停者の役割を担う、輪廻転生の流れを保つ逝ク人守リ(いくともり)として邦(くに)のため戦う主人公カガチは、役目を遂行するなかでたくさんの魂や死と向き合い、邦に隠された秘密、そして抑圧されてきた人間の心に触れることとなります。生者の世界“現シ世(うつしよ)”と、死者の世界“幽リ世(かくりよ)”を自在に切り替えながら戦っていくという仕掛けは新鮮ながら、じつはかなり渋い戦闘システムにハマることができる本作。前回の記事では基本的な世界設定や戦闘について紹介しましたが、本稿ではやり込み派に嬉しい点や気になる物語の先について述べていきます。

文 / 内藤ハサミ


※記事の後半には『鬼ノ哭ク邦』PlayStation®4版パッケージソフトウェアのプレゼント応募情報を掲載しています!

戦闘と鬼ビ人の強化

ハックアンドスラッシュ(ハクスラ)の楽しみとは? その大きな要素のひとつには、戦闘を繰り返し経験値を貯めて自キャラを育て上げるという遊びかたがあると思います。強化の過程を楽しみたくて、本編そっちのけで戦闘に没頭するプレイヤーもいるのではないでしょうか。本作はストーリーにも力を入れており、戦闘を突き詰めることだけが目的のゲームというわけではないので、『鬼ノ哭ク邦』はハクスラゲームであると言い切るのは適当ではないかもしれません。しかし、プレイのしかた次第ではハクスラ的な遊びかたも十分に楽しめるという意味で、本稿ではハクスラという言葉を使わせてもらいます。

鬼ノ哭ク邦 エンタメステーションゲームレビュー

▲とにかく戦闘が楽しいのです

4つのボタンに振り分けた鬼ビ人固有の技を使いながら、次々と現れる敵をせん滅していくという基本の操作自体は決して難しくありません。憑依させる鬼ビ人により、効率的な動きかたは多少変わりますが、戦いのなかでしっくりと手になじむ戦闘スタイルを探っていける、比較的わかりやすい作りだと思います。持てる回復アイテムには上限があるので、敵の攻撃はしっかり回避してなるべくダメージを受けないようにすることも基本です。ゴリ押しプレイでは勝てない局面も多いですから。スピード感が重視された今どきのハクスラとは少し違って、キャラクターの動きに溜めがあったり、技の発動にかかる時間があったりなど、一定のテンポに乗るように進んでいく戦闘はやや懐かしいテイストです。

鬼ノ哭ク邦 エンタメステーションゲームレビュー

▲どうしても勝てなければ、現幽碑で難易度変更をするという手もあります

カガチが戦闘を続けていくと、憑依させている鬼ビ人との同調率が上がっていきます。画面左下に同調率を示すパーセンテージが表示されていて、これの上昇に伴い攻撃力が上がります。しかしリスクはあり、防御力は徐々に下がってしまいますから、同調率のコントロールは常に頭の隅に置いておく必要があるでしょう。技を使うなどすると、同調率はわずかに下がります。……とは書いてみましたが、筆者はずっと同調率最大のまま戦っていることが多かったですね。攻撃は最大の防御という言葉もあります。なあに、敵の攻撃に当たらなければいいのですよ! 

鬼ノ哭ク邦 エンタメステーションゲームレビュー

▲同調率200パーセント、フルマックス! 乱戦時には、気を抜いていると瀕死状態になってしまうことがありました

リスクは述べたとおりですが、上げた同調率が100パーセントを超えると、それまで貯めた同調率を解き放つ“鬼哭化”というアクションを使うことができます。攻撃力、鬼ビ人の技などが強化されるほか、技の隙が少なくなるなどの嬉しい効果も付き、戦況を有利に進める手助けとなるでしょう。コツコツと上昇させていた同調率を使ってダイナミックに鬼哭化するギャップは、実に爽快です。

鬼ノ哭ク邦 エンタメステーションゲームレビュー

▲鬼哭化の効果時間は結構長いので、敵に有効なラッシュをかけまくることができます

戦闘を続けるうちに貯まるのは同調率だけではありません。鬼ビ人のスキルを修得するのに必要な“鬼魂”が一定の確率で手に入ります。現在憑依させている鬼ビ人の鬼魂しか手に入らないので、育てたい鬼ビ人を使い続ける必要があります。ストーリーをクリアするまでに全員を最大強化するのは時間がかかりますから、筆者は特に気に入っている4人を重点的に強化しました。“この鬼ビ人のこの技がないと本編をクリアできない”というような極端なバランスではないので、育てかたの指針が縛られることはありませんが、初期から所持しているアイシャは動きに癖が少なく、使いやすいスキルが揃っていて動きも早いので育てておいて間違いないと個人的には思います。とはいえ重量級で動きに溜めが多いキャラクターが使いやすく、アイシャはほとんど使わなかったというプレイヤーの話も聞くので、実際に触ってみて自分に合った鬼ビ人を見つけるのが一番ですね。

鬼ノ哭ク邦 エンタメステーションゲームレビュー

▲それぞれの鬼ビ人に固有のスキルツリーがあります

スキルは戦闘に直接使う技のほか、“鬼哭中であれば攻撃力が上がる”など特定条件下で発動する特性、“クリティカル攻撃の威力がアップする”などその鬼ビ人を編成に加えていれば常に発動するスキル、鬼ビ人の過去を見る“記憶”なども解放できます。常時発動するスキルには同調率が下がりづらくなるものや回復力が上昇するものなど、シビアな戦況をサポートするのに使えるものが揃っているので、常時発動スキルを目当てにして編成するという考えかたもできます。各鬼ビ人のスキルを揃えるほど戦略も多様化できるので、自分だけの最強編成を作り出すというやりがいがあるんです。

鬼ノ哭ク邦 エンタメステーションゲームレビュー

▲お気に入りの鬼ビ人を鍛え上げる喜び!

エリアチェンジや現シ世と幽リ世をチェンジする際などに発生するロード時間の長さ、それと技を出したあとに発生する長すぎる硬直、ジャンプ後に方向転換ができないなど動きの不便もスキル解放によって解消するという点は、少々不満の残るところでした。スキルを得たことにより快適なアクションがより進化した、と感じながら気持ちよくプレイしたかったですね。はっ、もしかして、最初はお互いをあまり知らなかった鬼ビ人と一緒に戦うなかでシンクロ率がどんどん上がっていき、息もピッタリ合って最強の相棒になっていく……ということですかね。そう思うと、エモーショナルな演出かもしれません。

気になるストーリーの行方

懸命に逝ク人守リの使命を全うしようとするカガチたちですが、物語が進むうち、逝ク人守リのなかにも不穏な空気が流れ始めます。怪しい動きをする者や任務中に突然死んでしまう者なども出始め、邦からの信頼も揺らいでしまいます。

鬼ノ哭ク邦 エンタメステーションゲームレビュー

▲大事なメンバーが死んでしまっても、邦の幹部からは弔いの言葉をかけられるどころか、「邦の恥」と叱責されてしまい不信感は高まります

鬼ノ哭ク邦 エンタメステーションゲームレビュー

▲死者に祈りを捧げるふたり。たくさんの死を見ることで、カガチの心境には変化が生まれます

自らが両親を亡くした経験もあり、死を絶対の希望として扱う邦の方針を忠実に信じ守っていたカガチですが、その考えに疑問を持たせるような出来事が立て続けに起こり始めます。事件のなかで死んでいった人たちは、来世への希望を胸に笑顔であの世にいける人たちばかりではありませんでした。むしろ、そうではない人の魂とばかリ触れ、その内面を知り、少なからず共感してきたのです。そして、同じく邦に忠実であった逝ク人守リの仲間ですら死に際の感情はさまざまで、強い悔いを残したり、死に恐れを感じる者もいました。カガチの考えは、次第に変わっていくのです。今まで当たり前に軽口を叩きあっていたキャラクターもあっけなくいなくなってしまうという展開には、思わずゾッとしてしまいました。人の命は儚く、別れは一瞬。ここに何の疑いもなく希望だけを持て、というのはかなり難しいことですね。

鬼ノ哭ク邦 エンタメステーションゲームレビュー

▲要所にたびたび現れる黒夜叉。いったい何者で、どんな目的を持っているのでしょう……

今まで疑いもなく信じてきたものが次第に崩れ、邦もめちゃくちゃになっていくなか、カガチは真実を追い求め物語の核心に迫っていきます。「輪廻転生の理とは、一体何なのだろう……」

終盤もショッキングな展開の勢いは落ちません。エンディングは数種類あり、イベント内の選択肢で分岐します。カガチの分身であるプレイヤーは、どんな最後を選び取るのか。今まで見てきた人たちの死を思い出し、自分なりの結論を出しましょう。エンディングに至ってもどこか割り切れないものを感じていた筆者ですが、中盤でリンネが発した“とあるセリフ”を思い出し、開発陣がこのゲームに込めたメッセージを感じ取ることができたと納得しています。プレイの際は、登場人物の台詞を見逃さないように! そこに込められた人と命への想いが、きっとプレイヤーの心に刺さるでしょう。

プレイヤーキャラの挙動やロードの長さなど細かな部分に改善を期待したいものの、キャラクターを成長させる面白さを存分に味わうことができる本作。“逝ク人守リ”、“鬼ビ人”など作中で使われる専門用語が非常に多く、独特のダークな世界設定も相まってややプレイヤーを選ぶ印象ですが、強さを追い求めたストイックなプレイを楽しむ人や秀逸な物語に浸りたい人にもおすすめできる作品です。クリアまでの時間は、鬼ビ人の強化を最低限にして20時間前後というところでした。クリア後のお楽しみ要素や鬼ビ人強化もしっかり楽しむとなると、もっともっと時間が必要です。
死をテーマに新しい世界を描き出した『鬼ノ哭ク邦』。既存作品の続編ラインアップがどうしても目立ってしまう現在のゲームシーンですが、そんななかで挑戦を続ける新規IPにはこれからも期待し、追っていきたいと思っています。

フォトギャラリー

抽選で1名様に『鬼ノ哭ク邦』PlayStation®4版パッケージソフトウェアをプレゼント!

鬼ノ哭ク邦パッケージ
応募期間

9月12日(木)~9月19日(木)消印有効

応募方法

郵便はがきに、郵便番号、住所、氏名、電話番号、年齢を明記し、アンケート内容をご記入の上ご応募ください。

ハガキ応募
アンケート

①今後エンタメステーションで取り上げてほしいゲームタイトルは?
②ジャンル「RPG」で好きなゲームタイトルは?(ハードウェア問わず)
③ご感想、編集部へのお便りなどご自由にお書きください。

あて先

〒107-6214
東京都港区赤坂ミッドタウン・タワー SME六本木オフィス

株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント
カルチャー&エンタテインメントメディアグループ
メディア企画3部 エンタメステーション編集部
鬼ノ哭ク邦 プレゼント係



【応募に関する注意事項】
・応募にかかる郵便費用は応募者の負担となります。
・プレゼントキャンペーンは予告なく変更・中止することがあります。あらかじめご了承ください。

・応募は日本国内にお住まいの方に限らせていただきます。
・当選の発表は賞品の発送をもってかえさせていただきます。落選者へのご連絡はございませんのでご了承ください。
・ご住所や転居先が不明などの理由で賞品のお届けが出来ない場合は、ご当選を無効とさせていただく場合がございますので、予めご了承ください。
・賞品および当選の権利は当選者本人のものとし、第三者へ譲渡・転売することは一切禁止させていただきます。譲渡・転売が発覚した場合、当選を取り消し賞品をお返しいただく場合があります。

※個人情報の取扱いについて
・お客様からいただいた個人情報は、当キャンペーン当選者様へのお問い合わせのために利用いたします。なお、個人情報を当該業務の委託に必要な委託先に提供する場合や関係法令により求められた場合を除き、お客様の事前の承諾なく第三者に提供することはありません。上記をご承諾くださる方のみご応募ください。


鬼ノ哭ク邦ロゴ

■タイトル:鬼ノ哭ク邦
■メーカー:スクウェア・エニックス
■対応ハード:PlayStation®4、Nintendo Switch™、Steam®
■ジャンル:アクションRPG
■対象年齢:12歳以上
■発売日:発売中(2019年8月22日)
■価格:パッケージ版、ダウンロード版 各5,800円+税


『鬼ノ哭ク邦』オフィシャルサイト

© 2019 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
Developed by Tokyo RPG Factory.