Interview

CHEMISTRYが再始動後初のアルバムを発表。あらためてふたりの歌の魅力を味わえる快心作!

CHEMISTRYが再始動後初のアルバムを発表。あらためてふたりの歌の魅力を味わえる快心作!

2017年に活動を再開したCHEMISTRYが、再始動後初となる通算8枚目のアルバム『CHEMISTRY』を9月25日にリリースした。
CHEMISTRYのふたり、ソロと、それぞれのパートを独立させた“三位一体”をコンセプトにした前作『Trinity』から7年半。tofubeatsやSTUTS 、Alfred Beach Sandalなど“CHEMISTRYチルドレン”世代が多数参加し、約10年ぶりのドラマ主題歌「Angel」を含め、再始動後にリリースした4枚のシングルを網羅した充実作に、デビュー20年目にして初となるセルフタイトルを付けた。アーティスト人生で一度しか付けられないセルフタイトルの作品を今、このタイミングで付けた意味とは。同じく、セルフタイトルに加えて、アルバムのラストを飾る新曲をサブタイトルに冠した全国ツアー〈CHEMISTRY LIVE TOUR 2019「CHEMISTRY〜Still Walking〜」〉に向けた意気込みも聞いた。

取材・文 / 永堀アツオ
撮影 / 青木早霞(PROGRESS-M)


『CHEMISTRY』っていうタイトルにすべての意味がある

オリジナルアルバムとしては実に7年半ぶりとなりますね。

川畑 要 7年半ぶりっていうのは周囲から言われて気づいたくらいで、正直びっくりしましたね。しかも8月にリリースした「Angel」が“10年ぶり”のドラマ主題歌というのも驚きでした。それだけ時間が経っていたんだなってあらためて思います。そもそも再始動してからアルバムまでっていうのは、最初は考えていなかったことだったので。ふたりの中ではライヴってものを一番に考えていたから。でも、ツアーをやりながらシングルを出していくなかで、再始動から2年半経ってアルバムが出せることになった。ここまでじっくりやってこられたのかなと思いますね。

堂珍嘉邦 いい時代になりましたよね。かつては年に必ずアルバムを1枚出すっていうタームで動いていたので。そういう決まりが当たり前ではなくなってきて、海外と似てきたなって思うところもあり、そういう意味ではいいタイム感になったなって思うし、その間に僕らはじっくりと時間をかけながらシングルをリリースさせてもらって、アルバムに向かうっていう期間もちゃんと設けられたのかなと思います。

CHEMISTRY エンタメステーションインタビュー

アルバムに向かう過程ではどんな作品にしようと思っていましたか?

川畑 タイトルの話を先にしちゃうと、『CHEMISTRY』っていうタイトルにすべての意味があると思います。あらためて「いいね、ケミって」って言ってもらえると嬉しいですし、僕たちのこの十数年を知らない方たちにもこのアルバムを聴いてもらって知ってもらえるきっかけになったらいいなって思うので、すべては“届けたい”って気持ちですね。

タイトルを見たときにグッときました。前作はケミパートとそれぞれのソロパートの3つをコンパイルした作りとなっていましたから。

堂珍 いい流れですよね。“3本の矢。毛利元就です”ってやってからの今だから(笑)。今回も最初、それぞれ誰かとコラボするっていう案もスタッフから出たりしたんです。でも、やっぱり違うなっていう話になって。再始動後最初のアルバムだから、全部ふたりでやりたいと。しかもアルバムには、tofubeatsさんやAlfred Beach Sandalさん、STUTSさん、ケンカイヨシさん、ちょっとおこがましいかもしれないですけど、CHEMISTRYチルドレンみたいな方たちに参加してもらって。みなさん、「最初に買ったCDはケミだった」とか言ってくださるんですよ。そういう人たちと一緒にお仕事をさせていただいて、面白く、楽しんでやれました。

川畑 あらためて松尾 潔さんのプロデューサーとしての視点とアンテナの張り方がすごいなと思いました。流行っている音楽や凄腕のクリエイターに目をつけるのも早いし、僕らの音楽を好きだとか、影響を受けたって言ってくれている方たちをちゃんとチェックして、このアルバムに呼んでくれた。まずそこに愛があるじゃないですか、僕らに対しての。そういうことって大きいし、作品自体にも思いきり出るだろうなって思うので。

CHEMISTRY 堂珍嘉邦 エンタメステーションインタビュー

では、CHEMISTRYチルドレンが参加した楽曲から聞かせてください。アルバムのオープニングを飾る「Get Together Again」は、tofubeatsさんが作曲に加わったディスコ調のパーティーソングになっていて、作詞におふたりも参加しています。

川畑 この曲、めっちゃいいですよね。歌詞は松尾さんにテーマを投げたんです。そのときはまだアルバムの1曲目になるとは決まっていなかったんですけど、このアルバムにライヴで楽しめる曲が何曲か欲しいっていうのをそもそも考えていたので、そういうなかで、みんなでノレる感じの曲が出来て嬉しかったです。シングルではエモくて歌い上げる曲が多いから、そこじゃない部分にもっと行きたいっていうところでテーマを投げたのかな。

堂珍 実は、お互いが松尾さんにどんなことを投げたのか知らないんですよ。

川畑 そう、知らないですね。

そうなんですね!!  川畑さんが“ライヴでノレる”というテーマを投げる一方、堂珍さんはどんなものを求めました?

堂珍 僕は“オリオン”っていう言葉を投げたんですけど、そのまま入れてくれましたね。この曲はちょっとケミに寄ってくれたのかなって思うんですけど、一緒にやるんだったらtofubeatsさんらしさも出して欲しいなと思っていましたし、僕たちとしてはモダンなディスコっぽい感じで、ちょっと今っぽくしたいなというのもあって、カラッとしてるところが出るといいなとは考えていました。

再会を祝し、一緒にクラップしながら楽しんでいるような雰囲気ですよね。

川畑 それがまずパッと浮かびますよね。

堂珍 だから、レコーディングも楽しんで、ノリノリでやりましたよ。

川畑 僕もそうですね。<もっともっと声を出して>とか、頭から目の前のファンの人が見えるような、ライヴをやっている絵が見えてくるような感じがあったので、楽しんで歌いました。

CHEMISTRY エンタメステーションインタビュー

MPCプレイヤーとして知られるSTUTSさん提供の「Horizon」も収録されています。再始動1発目のシングル「Windy / ユメノツヅキ」のカップングに入っていましたが、ケミのオリジナル曲だと思っていました。

堂珍 そうなんです。これはSTUTSさんのオリジナル曲(Alfred Beach Sandal + STUTSによるコラボレーション作品『ABS+STUTS』に収録)をカバーしているんですよ。でも、そうやって、僕らっぽく聴こえていたらシメシメっていう感じです。STUTSくんごめんね、みたいな(笑)。でも、僕らにはこういうノリも絶対に必要だと思っていたので。

メロウだけどエッジが立ったアーバンなR&Bナンバーになっています。作曲は北里彰久さんのソロユニット、Alfred Beach Sandalが手がけていて。

川畑 オリジナルは、もちろん僕たちとは歌い方も全然違うし、それはそれですごく素敵で、力の抜けた感じがいい楽曲だなと思っていました。単純にふたりのボーカルが歌うことで、またその色が変わるだろうと思いながら歌わせてもらって。このグルービーな感じというのもこれまでになかったですし、ライヴでもやったんですけど、やっぱりいいんですよね、身体が揺れる感じのグルーヴが。この曲がアルバムに入ったのも実はギリギリで決めたんですけど、アルバムの前半のセクションがR&Bだったので、この曲が入ったことでよりR&B感が出たなと思っています。

CHEMISTRY 川畑 要 エンタメステーションインタビュー

続く、「サイレント・ナイト」はシンガーソングライターの磯貝サイモンさんとボカロPとしても知られる宮田“レフティ”リョウさんの共作になっています。

川畑 どう届きましたか?

楽曲タイトルだけを見たときは、王道のウィンターバラードかなと思ったんですけど、聴いてみたらバンドサウンドでびっくりしました。

川畑 バンドだから、歌っている感じもポップスみたいな感じだよね?

堂珍 そう、ポップロックみたいなナンバー。

川畑 で、ちょっと歌ラップっぽいような感じで、エフェクターをかけていて。ただ、ちょっと声が枯れちゃったりもしてたんですけど、曲自体がめちゃめちゃ良かったし、僕らっぽくない部分が出るのも逆にいいんじゃないかなっていうことで。歌詞も松尾さんが僕らが歌う感じに寄せてくれていたので、この曲がどうみんなに届くのかなっていうのが楽しみなんですよね。うん、たしかにタイトル見たらバラードって思っちゃいますよね。

堂珍 しかも、歌の世界観が可愛い話でもあるわけですよ。好きな人に思いを伝えられなくて、失敗したらどうしよう、みたいな。クリスマスの時期にそういうことってよくあるよね? クリスマスを一緒に過ごしたいけどなかなかその気持ちを伝えられない。そういう男子向けというか、それを理解してくれる女子向けというか(笑)。

川畑 そうだね、若い世代にも届きそうな曲ですよね。

堂珍 言いたくても言えないっていうところで「サイレント・ナイト」っていうタイトルにもちょっとかかってるというか。

CHEMISTRY エンタメステーションインタビュー

なるほど! クリスマス限定ではないですよね。メロラップはやってみてどうでしたか。

堂珍 楽しかったです。

川畑 俺、鬼のように風邪をひいていたんで、レコーディングは地獄でした(笑)。すごい楽しみにしてたのに。その中でも精一杯を出しましたけど……だからこの曲、早くライヴで歌いたいんですよね(笑)。もっと違う感じを出せるはずだから。

堂珍 ああ、あのときの記憶を消したいみたいな?(笑)

川畑 そういうことはあるんですよ、人間なんでね、僕も(笑)。2Aの部分とか好きなんですよ。オクターブ下の、耳元でささやいているような声っていうのは……もっと出せたんですけどね(苦笑)。

堂珍 いやいや、いいじゃない。あの瞬間の要の歌声も貴重だから(笑)。

川畑 ありがとうございます!(笑)

(笑)じゃあ、ツアーではまた違うものが聴けると?

川畑 いや……かといってそんなに変わるわけじゃないです(笑)。

堂珍 あはは! 気持ちが変わるんだよね?

川畑 そう、ライヴでは僕のこの曲に対する思いが溢れると思います!

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