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大原櫻子をめぐり中川晃教と加藤和樹が対決!? 江戸川乱歩の世界をオリジナルミュージカルに仕立てた新作ミュージカル『怪人と探偵』が開幕

大原櫻子をめぐり中川晃教と加藤和樹が対決!? 江戸川乱歩の世界をオリジナルミュージカルに仕立てた新作ミュージカル『怪人と探偵』が開幕

9月14日(土)に開幕した新作ミュージカル『怪人と探偵』のフォトコールと初日会見が初日当日にKAAT神奈川芸術劇場にて行われ、会見には大怪盗・怪人二十面相を演じる中川晃教、名探偵・明智小五郎を演じる加藤和樹をはじめ、大原櫻子、高橋由美子、六角精児、演出の白井 晃、作・作詞・楽曲プロデュースの森 雪之丞が登壇した。

取材・文・撮影 / 櫻井宏充


乱歩オールスターが登場! 豪華キャスト・スタッフによる昭和モダンな極上のエンターテインメントが実現

新作ミュージカル『怪人と探偵』 エンタメステーションミュージカルレポート

昭和30年代を舞台とし、江戸川乱歩が生み出した大怪盗・怪人二十面相と名探偵・明智小五郎が「世界で一番綺麗な宝石」を巡って華麗な対決を繰り広げる新作ミュージカル『怪人と探偵』。
作・作詞・楽曲プロデュースを手がけるのは、日本を代表する作詞家でミュージカル界でも活躍著しい森 雪之丞。そして演出を担うのは、演劇界で次々に話題作を生む演出家にしてKAAT神奈川芸術劇場芸術監督も務める白井 晃。『GOLD』(2011)と『アダムス・ファミリー』(2017)でもタッグを組んだふたりが、満を持して日本発となるオリジナルミュージカルを生み出す。

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出演は、怪人二十面相に『ジャージー・ボーイズ』や『モーツァルト!』など唯一無二の歌声で人々を魅了するミュージカルスターの中川晃教、明智小五郎には『1789-バスティーユの恋人たち-』(2018)や『タイタニック』(2018)など大型作品の主演が続く加藤和樹、そして、ヒロインである子爵令嬢の北小路リリカに『FUN HOME ファン・ホーム ある家族の悲喜劇』(2018)や『メタルマクベス』disc2(2018)に出演し、次世代のミュージカル界の歌姫としても注目を集める大原櫻子が顔を揃えた。

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そのほかにも、少年探偵団の団長である成長した小林少年に水田航生、明智の姪で彼の秘書となった花崎マユミにフランク莉奈。北小路家の当主と妻に今 拓哉と樹里咲穂。二十面相の一味に有川マコトと山岸門人、成長した少年探偵団の団員に中山義紘と石賀和輝。さらに、二十面相の仲間であるネコ夫人に高橋由美子、明智と共に二十面相を追う中村警部に六角精児という豪華で個性派のキャスト陣が名を連ねる。

乱歩作品の登場人物たちが勢揃いし、ステージ上を縦横無尽に駆け巡る。豪華キャスト・スタッフによる昭和モダンな極上のエンターテインメント・ミュージカルが実現した。

中川と加藤による華麗なるミュージカル対決にアクションシーンと見どころ満載

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フォトコールでは第一幕一場から二場の冒頭までと、六場の2シーンが公開された。

第一幕一場では、二十面相の襲来に備えて探偵団と警官たちが博物館の秘宝の前に集合する。二十面相がどのように登場するのか緊張とワクワクをかきたてるナンバー「怪人の襲来」を中村警部(六角)と小林少年(水田)らが披露。

やがて、警官たちの前から秘宝が消え失せると、いよいよ二十面相と明智が登場する。明智の登場シーンや彼の推理展開、そして二十面相が姿を現すシーンなど、乱歩作品らしい心躍る展開が繰り広げられていく。日本文学史上最も有名なふたりの主人公による華麗なる対決は、ミュージカルナンバーにもおよぶ。探偵・明智小五郎(加藤)による「謎と蜜」と怪人二十面相(中川)による「蜜と謎」というふたつの相対するナンバーが“怪人”と“探偵”の対決を序盤から大いに盛り上げる。

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そして、東京スカパラダイスオーケストラが書き下ろしたテーマ音楽「憂愁モダン~怪人と探偵のテーマ」をバックに明智たちと、二十面相たちによるアクションシーンがスタート。昭和モダンでポップに弾けるリズミカルなインストゥルメンタルと共に数々のダイナミックなアクションが展開し、明智を演じる加藤のスタイリッシュで迫力ある格闘シーンも見応え満点となっている。

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続く二場は一転し、東京の街角を舞台にヒロインのリリカによるミュージカルシーン。ランデヴーに心寄せる可憐な令嬢姿に扮した大原が、透きとおる声で情緒豊かにスローなバラード「東京ランデヴー」をたおやかに歌っていた。

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フォトコールのラストとなる六場は、風荒ぶ鉄塔の上に二十面相とネコ夫人、手下たちが集結し、二十面相が「一番綺麗なモノを手に入れてなかった」と告白するシーン。二十面相の大怪盗ならではの美学と、単なる悪役ではない日本を代表するダークヒーローの思いを、中川が「世界で一番綺麗な宝石」のナンバーに乗せ、ドラマチックに力強くも繊細な歌声で高らかに歌い上げていた。また、二十面相が盗んできた数々の美術品や“二十面相美術館”といった乱歩作品のキーワードが散りばめられたセリフの数々は乱歩ファンをニヤリとさせることこのうえない。

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森と白井の世界観、そして個性のある俳優たちの力が実り、そのすべてで出来上がった作品

フォトコール終了後の初日会見には、中川晃教、加藤和樹、大原櫻子、高橋由美子、六角精児、白井 晃、森 雪之丞が登壇し、初日を迎えた心境や意気込みなどを語った。

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作・作詞・楽曲プロデュースの森 雪之丞は、初日を迎えて「構想5年、そして音楽に1年半かけて、今日を迎えられることになりました」と振り返ると、「音楽ひとつとっても、これだけ時間をかけてつくることができたものはないと考えています。ミュージカルブームですけれども、日本のオリジナルミュージカルは本当に少ないと思っています。実際ゼロから今日に至るまで、皆さんの力でここまでくることができました。オリジナルミュージカルをつくることはとても大変ですけれども、日本語の美しさや日本語の歌詞だから歌える歌や、そういうものを目指して、江戸川乱歩さんの力をお借りして本作をつくることができました。素晴らしいキャスト陣、スタッフ、みんなの力で今日を迎えられたと思います」と手応えを感じさせるコメントを披露した。

演出の白井 晃は「森 雪之丞さんから5年前に“怪人二十面相”をテーマにしたミュージカルをつくってみたいと伺いまして、それは面白そうだと思いました。この劇場で初演を迎えさせていただくことを、本当に嬉しく思っております。昭和の少年少女たちが心躍らせた、昭和の日本が生んだダークヒーローを、なぜ今までミュージカルにしてこなかったのかと不思議に思うぐらいの面白い題材をいただき、5年をかけてやっと初日を迎えることができます」と感慨深い面持ちで挨拶をした。

続けて、「“明智小五郎”と“怪人二十面相”という永遠のライバルが、本作で奪い合うのは世界の財宝を超えたもので、それが、リリカを演じる櫻子さんであったりするのが本作の面白いところです」と見どころを語り、「日本でのオリジナルミュージカルは成立しにくい部分もありますが、頑張って、みんなの力でつくっておりますので、非常に面白いものになっていると自負しております」と自信をのぞかせた。

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大怪盗・怪人二十面相 役の中川晃教は「この役のお話を最初に雪之丞さんからいただいたときに、いろんな顔を持つ役を演じることができることに興奮しました」と当時の心境を語ると、「音楽と脚本と順次出来上がってくるものを見ながら、そして白井 晃さんとつくり上げてきた経験は、これまで僕がミュージカルでいろんな経験をしてきたなかでも、なかなか味わうことのできない経験だと思っています。白井さんの世界観、雪之丞さんの世界観、そして個性のある俳優たちの力が実り、そのすべてで出来上がっています。お客様に来ていただけるように最後まで頑張っていきたいですし、そこがひとつのゴールであり、スタートラインだと信じて、今日の初日の舞台に立ちたいと思っております」と意気込んだ。

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名探偵・明智小五郎 役の加藤和樹は「構想5年という時間を経てつくり上げられて、そこに僕たちが稽古から乗っかり、稽古を重ね、みんなで気持ちをひとつに初日を迎えました。明智のイメージは完璧でスマートな人だったんですが、そこに“愛”というひとつのテーマ、憎しみ、怒り、嫉妬のような人間の感情というものも感じています。白井さんの演出のもと、ただのエンターテインメントとしてだけでなく、二十面相も明智小五郎もひとりの人間なんだという人間ドラマもちゃんと描かれています」と魅力を挙げた。また、中川とは2回目の共演となることについては「またこうして相対する役を演じさせていただけることは光栄で、対峙するたびににやけてしまい、気持ちが高揚します」と明かした。

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子爵令嬢 北小路リリカ 役の大原櫻子は「新作ミュージカルということで、オリジナルミュージカルがこんなに大変なんだなということを実感しています。私以上に雪之丞さんや白井さんをはじめスタッフの方がすごくご苦労されている姿も横で感じつつ、今日こうやって初日を迎えることができて本当に嬉しく思います」と初日を迎えた心境を語り、「オリジナルということなので『もっとああしたほうがいいんじゃない?』とか『こうしたほうがいいんじゃない?』というのが、これからもっと出てきて、千秋楽に向かってどんどん変わっていくんじゃないかと思っています。こんなに変化のできるミュージカルはないと思っていますので、ぜひ何回も観に来てください」と呼びかけた。

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初ミュージカルという中村警部 役の六角精児は「普通の芝居よりもスポーツに近い感じがします。こんなに身体を動かすのは久しぶりだなという実感があります」と笑いながら、「今回、最年長になるんですが、皆さんとやっていると気持ちが新鮮になるのが一番に実感できました。エネルギーのやりとりも舞台上でするわけですけど、ミュージカルが本当に初めてですから、お客さんがここに入ってどんな感じに変わるのか、それを舞台上から感じられるということをワクワクしています」と期待を寄せた。

個性派揃いのカンパニーと言われる中で、ひときわ目を引くネコ夫人の衣裳で登壇した高橋由美子は「完全に個性的なコスチュームの高橋です(笑)」と笑いを誘うと、「カンパニー自体もですけど、スタッフさんや陰で支えてくださっている方々、みんな一丸となってこの作品をつくり上げました。六角さんを含め、私もこんなに走る舞台は劇団☆新感線以来で、いい感じでボディーラインがキープされればと思っています」と茶目っ気たっぷりに語り、あらためて「とても面白い作品になっていると思います。お子様が観ても面白い作品だと思いますので、ぜひお子様がいらっしゃる方は一緒にご覧ください」とアピールした。

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最後に、中川が「江戸川乱歩の世界を、日本人であれば誰もが知っているであろう原作をもとに、強力なスタッフの皆様と、私たち全員でつくってまいりました。本当にドキドキしています。劇場いっぱいにキラキラと、ギラギラと、エナジーが届くように最後まで頑張っていきたいです」と意気込み、会見を締め括った。

神奈川公演は9月29日(日)までKAAT神奈川芸術劇場で上演。その後、10月3日(木)から10月6日(日)まで兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールで上演される。

新作ミュージカル『怪人と探偵』

新作ミュージカル『怪人と探偵』

神奈川公演:2019年9月14日(土)~9月29日(日)KAAT 神奈川芸術劇場 ホール
兵庫公演:2019年10月3日(木)~10月6日(日)兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール

STORY
昭和34年(1959年)東京麻布。
元子爵北小路家の令嬢・リリカと安住財閥御曹司・竜太郎の婚約発表の日、北小路家の大広間では、華やかな仮面舞踏会が催されていた。
パーティの最中、不思議なことに、誰も気づかぬうち、大広間の柱時計には怪人二十面相の犯行予告状が貼り付けられる。
『3日後10時北小路家の家宝「パンドーラの翼」を頂戴する』。
指定の日時、二十面相の犯行を阻止するために、探偵・明智小五郎が北小路邸を訪れる。
明智を一目見た北小路家の令嬢のリリカは明らかにショックを受ける。
明智も動揺を抑えている。
実はリリカには暗い過去があり、明智とリリカには深いつながりがあったのだ。
10時を告げる鐘の音と共に、予告通り怪人二十面相が現れ、「パンドーラの翼」は爆発、明智は負傷し、二十面相がリリカを連れ去ってしまう……。

原案:江戸川乱歩
作・作詞・楽曲プロデュース:森 雪之丞
テーマ音楽:東京スカパラダイスオーケストラ
作曲:杉本雄治(WEAVER)
音楽監督:島 健
演出:白井 晃(KAAT神奈川芸術劇場芸術監督)

出演:
怪人二十面相/安住竜太郎 役:中川晃教
明智小五郎 役:加藤和樹
北小路リリカ 役:大原櫻子
小林芳雄 役:水田航生
花崎マユミ 役:フランク莉奈
北小路邦麿 役:今 拓哉
北小路雅子 役:樹里咲穂
楢崎平吉/せむし男松吉 役:有川マコト
森田 守/灰色の服を着た巨漢 役:山岸門人
羽柴壮二 役:中山義紘
大野敏夫 役:石賀和輝
浪江はな/ネコ夫人 役:高橋由美子
中村警部 役:六角精児
一寸法師ほか 役:齋藤桐人
紅蜥蜴ほか 役:碓井菜央
北小路家のメイド/新谷時枝ほか 役:加藤梨里香
警官/怪人二十面相の手下ほか 役:石井雅登、菅谷真理恵、大久保徹哉、咲良、清水 錬

オフィシャルサイト
オフィシャルTwitter(@parcostage)