Interview

『べっぴんさん』で主人公を支える栄輔役を好演中の松下優也(X4)とは?

『べっぴんさん』で主人公を支える栄輔役を好演中の松下優也(X4)とは?

2008年に18歳でソロ歌手としてデビューし、翌年に映画『悲しいボーイフレンド』(草野陽花 監督)で銀幕デビュー。以降、舞台を中心に、映画やテレビドラマでも数々の話題作に出演し、歌手と俳優の二足のわらじを履いてきた松下優也。音楽活動のほうでは昨年、自らが中心となってX4というダンスボーカル・グループを結成し、あらたな道を邁進。役者業では、10月3日にスタートしたNHK連続テレビ小説『べっぴんさん』で初の朝ドラ出演を果たし、幅広い層での認知度アップが期待されている。歌手として、俳優として、人気にさらなる拍車が掛かりそうな松下優也とはどんな男なのか。今回は俳優業の道を振り返りながら、芝居に対するこだわりや仕事に対するモットーなどを語ってもらった。

取材・文 / 猪又 孝(DO THE MONKEY) 撮影 / 関 信行
スタイリスト / 鹿野巧真(TAKUMA KANO)
ヘアメイク / Coomie (B★side)


松下優也だったら絶対にできないこと。役者だからこそできること

松下さんは『悲しいボーイフレンド』(2009年公開)で俳優デビューされました。その前年、2008年に歌手デビューしていますが、その時点で役者業は志望していたんですか?

ゼロでしたね、最初は。『悲しいボーイフレンド』のときも「え、ホンマに?」みたいな。しかも、最初の撮影が、相手役の女性とのキスシーンと、その子の胸に触って親からビンタされるっていうシーンだったんです(苦笑)。だから、「何なんだろう、これ?」と思って。本当に失礼な話ですけど、嬉しいとかそういうのはなかったです。

ところが、映画に続いてすぐ、2009年5月に上演されたミュージカル『音楽舞闘会 黒執事〜その執事、友好〜』で主役に抜擢されます。

そのときも、何のことかよくわかってなかったですね。ただ、今思えば、よくわかってなかったからこそ飛び込めたのかなと思います。その世界のことを知っていたら、恐れ多くてできなかったんじゃないかと。

実際、そこで初舞台を踏んでみた感想は?

お客さんが僕を “松下優也”ではなく、“セバスチャン”という役柄で観てくれている心地良さはあったかもしれないです。「俺は今、俺じゃない」という感じ。思っていた以上に良い評価をされたことに対する嬉しさもありました。

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以降、舞台、映画、テレビドラマと、多くの作品に出演してきましたが、役者として手ごたえを掴んだという意味で転機となった作品は?

『Paco〜パコと魔法の絵本〜 from「ガマ王子vsザリガニ魔人」』(14)という舞台ですね。僕は“室町”という、売れっ子の子役だったんだけど、大人になってからはうまくいかず自殺未遂を繰り返しているという人物をやらせてもらったんです。初めてのストレートプレイだったんですが、「芝居ってこういう感じなんや」って思えたんです。

芝居の面白さに気づいた感じですか?

演技の落差がすごかったんです。飛び降り自殺しようとした室町を救おうとした人間が誤って落ちてしまう場面があるんですが、そのシーンではステージ最前まで行ってお客さんの目の前で鼻水を垂らすぐらい号泣して、そのあとすぐに劇中劇として“ザリガニ魔神”というオカマの化け物みたいなキャラにならないといけないんです。ボロボロ泣いたあと、袖に戻ってメイクして早着替えして、さっきとは全然違うキャラをやる。その切り替えというか、落差というか。しかも前の場面がシリアスでフリが効いているので、すごいんですよ、ギャップが。あれは松下優也だったら絶対にできないこと。役者だからこそできることだなと思ったんです。

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役者だと別人格になれると。

そう。自分じゃない人になれるというのが役者の面白い部分だなと。あと、その舞台では、室町が睡眠薬を飲み過ぎてフラフラになるとか、酒を飲んで酔っ払いまくるっていうシーンもあって、人間の生理的な反応の演技も勉強できたんです。「こういうときって人間の体ってこうなるやん」みたいな。

気持ちを表現する演技だけではなくて、ということですね。

そうです。例えば、ご飯を食べるシーンでセリフになったら手を止めて話す。そういう演技はやりたくないんです。だって、現実は食べながら話すことが多いですから。そういう生理的な動きで嘘をつきたくない。今年出演した『花より男子』という舞台を演出された鈴木裕美さんもその点に厳しかったんです。普段、後ろから右肩を叩かれて、左側に振り返ることはしないですよね。もちろん舞台的なデフォルメはありますが、どんな役でも人間の根っこにあるものは変わらないし、そういう生理的なところで嘘をつかなければ大丈夫だと思っているんです。

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テレビ、映画、舞台と、場によって演技に取り組む姿勢も違いますか?

映像作品はそれほど慣れていないからめっちゃ難しいです。デフォルメの世界が違うんです、舞台とは。

ドラマや映画だと顔のアップがありますしね。

あと、映像作品ってタイミングが少しズレるんですよね。誰かのセリフがあって僕の表情っていうときに、そのセリフの次に顔を抜かれるから、ちょっと間が空くんです。だから自分が思ってもいないような顔が映っているときがある。でも、映像での芝居に関しては、今のところ、そういう自分の不本意なタイミングで抜かれる顔も含めて、そっちのほうがリアルな人間味が出ていいんじゃないかと思ってます。

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そういう難しさは、現在出演中の朝ドラ『べっぴんさん』でも感じていますか?

感じています。でも、現場は楽しいですよ。出演者のみなさんともよく喋りますし。特に生瀬(勝久)さんは、僕と同じ兵庫県西宮市の出身なんです。だから共演できてすごく嬉しいですし、生瀬さんはもともと舞台出身の方だから、そういう方が映像のお芝居をやっているのを間近で見られるのは面白いし、勉強になりますね。

生瀬さんからアドバイスをもらったりは?

アドバイスはないです。焼肉に連れて行ってもらっただけです(笑)。

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