LIVE SHUTTLE  vol. 70

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これまでの名曲と進化を感じさせる新曲で FLYING KIDSが放つグルーヴィーなステージ

これまでの名曲と進化を感じさせる新曲で FLYING KIDSが放つグルーヴィーなステージ

FLYING KIDS Billboard Live 2016 @Billboard Live Tokyo 2016.10.8

「初代グランドイカ天キング」として80年代後半からのバンドブームを牽引し、また、ジャパニーズ・ファンクを確立させ後進のミュージシャンに多大な影響を与えてきた存在でもあるFLYING KIDS。ビルボードライブ東京で行われたライブでは、気心知れたメンバー間のグルーヴが、大きなうねりとなって会場全体を飲み込んでいった。高揚感と解放感あふれるステージは、バンドとしての充実ぶりを示すかのようにパワーアップし、進化していることを感じさせるアグレッシブな新曲も披露した。加速を続けながら常に新しい領域を開いていく彼らのステージの様子をお届けする。

取材・文 / 木村由理江 撮影 / 藤井絢巴


土曜の夕暮れのミッドタウン東京。そぞろ歩く家族連れ、友人や恋人同士の間を縫い、「鈴木其一 江戸琳派の旗手」で賑わうサントリー美術館を横目に見ながら4階を目指す。FLYING KIDSのビルボードライブ東京でのライブは去年に続き2度目(ビルボードライブ大阪での公演は9月18日に終了)。ドリンク等のオーダーを終えて見回すと、メンバーと共に年を重ねてきたと思われる妙齢の方々が目立つ。グラスやお皿を前にした客席は、ざわめきにもアダルトな響きがあった。

やあやあ、と旧交を温めるよう温かさと余裕を感じさせつつメンバーとサポートメンバー4人を合わせた計9人が登場。全体的にシックな色合いの衣装の中、ドラムの中園のパステルカラーの上下がキュート。サポートメンバー女子2人のワンピースとスカートの赤も印象的だ。

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「みんな、元気ですか〜。六本木〜。いくよ〜」
ボーカルの浜崎の第一声でスタートしたライブは、シックでアダルトな空気をかき乱すようなグルーヴと音圧で、助走なしに疾走モードに突入。その勢いに少し飲まれつつも、「そうそう、これを楽しみに来たんだった」と気を取り直したようにすぐに彼らのペースに乗せられていく。さっきまで冷えたグラスやカトラリーに触れていた手が、少しずつあちこちで打ち合わせられていく。「どんどん盛り上がっていくよ〜」と、曲間に浜崎がさらに煽る。落ち着いていた椅子の上で、お尻も腰もムズムズと動き出した。

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2曲を終えて、改めて浜崎が挨拶。来場への感謝の言葉を口にした。「ビルボードライブ東京でのライブも2度目になり勝手がわかってきた」、「必要以上の声援と拍手をよろしく」、「最後まで楽しんで」と語りかけ、「去年の今頃リリースしたシングル」と『クエスチョンズ』へ。社会的なメッセージのヘヴィでパンチのある曲調と内容は、前2曲とは別の心のツボをグイグイと刺激する。サポートコーラスのElliとのデュエットで聴かせた『してきちゃいなよ』では、さらにまた別のツボが揉みほぐされたのだった。

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「懐かしい曲ばかりやっていられない。常に進歩している、とういことで新曲です、『ウスアカリ』」

バラードかも、とよぎった一瞬の予想は、あっけなく裏切られる力強い曲。ノリよく何度も繰り返されるサビの“精一杯の声を張り上げ 青春の夢を取り戻せ”がストンと胸の奥に落ちる。平均年齢50歳を越えてなお、空飛ぶ少年を名乗る彼らだからこその自戒と、年齢を重ねることでむしろ自由を手に入れて、さらにアグレッシブになっていこうとする彼らの心意気を感じて嬉しくなったし、こちらの気持ちと背骨もシャキッとなった。年齢相応になんかならなくていい、なんでも自分から進んで楽しめばいい、という気持ちになった。会場の熱気もぐんと高まった気がする。この曲で客席も一段と解き放たれたのではないだろうか。

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続いて、この秋、リリースされる7インチシングルの3タイトルを紹介。その中から「21年ぶりくらい」に『君とサザンとポートレート』を披露し、26年前にリリースした2枚目のアルバム『新しき魂の光と影』収録の、ギターの丸山をフィーチャーした『ギターボンゴ』と昨年のビルボード東京でのライブ前日に浜崎がレコーディングした「ピタゴラスイッチ」の『ビーだま・ピーすけの大冒険』をメドレーで聴かせた。意味があってもなくても構わない、相手が大人だろうが子供だろうが構わない、彼らは枠という枠を取り払って、なんでもFLYING KIDSにしてしまうんだよな、と感じて口元がほころんだ。

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「立っても大丈夫ですよ」的な浜崎の一言を弾みに、『我思うゆえに我あり』から3曲は、客席の大半が立ち上がり、手拍子をし、ともに歌う盛り上がりに。『我思うゆえに我あり』のサックスのソロに合わせた、メンバー揃いのおなじみのステップに会場が沸く。視界の中でギターの加藤が飛び跳ねていた。

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その勢いのまま『♂+♀(ボーイミーツガール)』へ。浜崎の「みんなで歌おう」で始まった『風の吹き抜ける場所へ』のサビは大合唱。心にまとったあらゆる不必要なものを吹き飛ばすような風を、確かに感じることができた。大きなうねりが生まれていた。

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アンコール1曲目は物販メドレー。リーダーでベースの伏島がマイクを持ち、今年亡くなったデビッド・ボウイやモーリス・ホワイトの名曲3曲の印象的なメロディに乗せて、“ブッパン”、“Tシャツです”、“ステッカーです”と物販グッズを紹介。しょうもなさに会場は大ウケ。

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笑顔が充満した中に『君にシャラララ』のイントロが流れるとステージ後ろのカーテンがゆっくりと開き、六本木の夜景が広がった。ため息と歓声が上がる。

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あとは『幸せであるように』のラストまで、強く熱い一体感が会場を包んだ。夜空の背景がFLYING KIDSによく似合っていた。

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結成して丸10年で活動休止、約10年のブランクを経て2007年に活動再開してほぼ10年を迎えるFLYING KIDS。「30周年を飾るライブを皆さんと過ごすことができました。来年は新しいFLYING KIDSのアルバムを出します」という浜崎の言葉は、今の充実ぶりをよく示していると思う。起きてきたことは何一つ無駄ではなく、全てが今に繋がっているし、これからも未来へ繋げていけばいいんだよね、という気持ちになった。FLYING KIDSと彼らのファンである自分の、過去と現在と未来を展望するような豊かなライブだった。ビルボードライブ東京を後にした時の颯爽とした気持ちは、今もまだ続いている。

Billboard Live Tokyo 1 st セットリスト

1. JOY
2. ドマナツ
3. クエスチョンズ
4. してきちゃいなよ
5. ウスアカリ
6. 君とサザンとポートレート
7. ギターボンゴ~ビーだま・ピーすけの大冒険
8. 我想うゆえに我あり
9. ♂+♀(ボーイミーツガール)
10. 風の吹き抜ける場所へ

アンコール1. 物販メドレー
アンコール2. 君にシャラララ
アンコール3. 幸せであるように

リリース情報

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「我想うゆえに我あり」
2016年10月12日発売
JS7S141(アナログ) ¥1,836 (税込)

A1. 我想うゆえに我あり
B1. 毎日の日々

js7s142

「君とサザンとポートレート」
2016年10月12日発売
JS7S142(アナログ) ¥1,836 (税込)

A1. 君とサザンとポートレート
B1. TWO HEARTBEAT

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「風の吹き抜ける場所へ」
2016年10月12日発売
JS7S143(アナログ) ¥1,836 (税込)

A1. 風の吹き抜ける場所へ
B1. 大人

ライブ情報

浜崎貴司 集まれ! オールクマモト GACHI スペシャル in 熊本城
2016年10月29日(土)熊本県 熊本城二の丸広場 特設ステージ

音楽プロジェクト Vol.7『All You Need Is LOVE ~音楽は自由を目指す~』(浜崎貴司出演)
2016年11月5日(土)世田谷区民会館

『‐MASA‐ Stars Falling Release LIVE』(浜崎貴司ゲスト出演)
2016年11月6日(日)目黒 BLUES ALLEY JAPAN

浜崎貴司 弾き語りツアー ”LIFE WORKS LIVE ~Since2011/終わりなきひとり旅”
sono113 ※ゲスト:坂本サトル
2016年11月18日(金)青森 BAR SPACE 1/3
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出前GACHI
浜崎貴司 vs. 藤巻亮太 vs. YO-KING
025 ~札幌場所 ウニ、イクラ、カニ、最強三色丼スペシャル
2016年11月28日(月)札幌 PENNY LANE 24
026 ~帯広場所 三切れだけどなまらうまいぜ、豚丼スペシャル
2016年11月29日(火)帯広 MEGA STONE

出前GACHI
027 ~広島場所 広島カープ優勝記念スペシャル!
浜崎貴司 vs. 奥田民生
2016年12月1日(木)広島クラブクアトロ

長嶋有の朗読で五番勝負 第2回ゲスト・浜崎貴司
2016年12月15日(木)高円寺JIROKICHI

出前GACHI
028 ~奈良場所
浜崎貴司 vs. トータス松本
2016年12月21日(水)なら100年会館 中ホール

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FLYING KIDS

浜崎貴司(vo)、丸山史朗(g&cho)、加藤英彦(g&cho)、伏島和雄(b&cho)、中園浩之(ds)。1988年2月、バンド結成。翌年、TBS「イカすバンド天国」に出演し、5週勝ち抜きで初代「グランドイカ天キング」に輝く。
90年4月、「幸せであるように」でメジャー・デビュー。ジャパニーズ・ファンクを確立させ、音楽シーンに大きな影響を与える。「風の吹き抜ける場所へ」「暗闇でキッス~Kiss in the darkness~」「ディスカバリー」などのヒット曲を世に送りながら、98年2月にバンドを解散。浜崎貴司はソロ・アーティストとしても活動をスタートさせるが、2007年、RISING SUN ROCK FESTIVAL 2007 in EZOに出演し、再結成。その後もコンスタントに活動を続けている。
今年10月、CDシングル3タイトル「我想うゆえに我あり」「君とサザンとポートレート」「風の吹き抜ける場所へ」が7インチアナログ盤として発売されたばかり。

オフィシャルサイトhttp://fk6.jp/

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