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頼れる相棒は異形生物!? 『ASTRAL CHAIN』アクションの気持ちよさに注目

頼れる相棒は異形生物!? 『ASTRAL CHAIN』アクションの気持ちよさに注目

近未来の多国籍都市を舞台に警察の特殊部隊の一員になり、異世界からの侵略者“キメラ”と戦うアクションゲーム『ASTRAL CHAIN(アストラルチェイン)』。異形の生物と戦うゲームは数多くあるが、本作では主人公とその相棒“レギオン”と呼ばれる生体兵器を操作し、連携して敵を圧倒していく“デュアルアクション”が大きな魅力となっている。本稿では、作品の主な要素を紹介しつつ、その魅力について掘り下げていきたい。

文 / 長田雄太


主人公に託されたのは人類の希望……?

高層ビルが立ち並ぶ近未来の都市に突如出現した異世界に繋がる扉(ゲート)とキメラによって地上は汚染され、秩序は崩壊している。汚染された人間は偏移体と呼ばれる怪物に姿を変え、地球上には主人公たちがいる人工島・アーク以外は人類の居場所がないという、序盤からかなり切迫した状況になっている。

ASTRAL CHAIN エンタメステーションゲームレビュー

▲主人公は性別の選択や外見、名前の変更が可能。筆者は男性を選択したところ、選ばなかった女性が双子の妹としてストーリーに登場した

開始早々でいきなりキメラと戦うことになるのだが、なんと初戦闘にもかかわらず敵の姿が見えない。追い詰められたところで相棒となるレギオンを託されると、キメラを視認することができた。なんとか迎撃したのだが、どうやらキメラはレギオンを使える人間以外には見えず、ほとんどの人々がその存在すら知らないようだ。知らないうちに襲われているということか……。近未来を舞台にしたアクションゲームというのは間違いないが、思っていた以上にディストピア感が漂っている。

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▲担当する作品が終末ものばかりで、「終末世界が好き」、「現実に興味がない」と編集部でいじられてきた筆者。やっと念願のSFジャンルがプレイできると思ったが、どうも雲行きが怪しくなってきた……

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▲相棒となるレギオンは、キメラに対して有効な唯一の兵器。見た目こそかっこいいが、実は人間によって制御されたキメラなのだ。毒をもって毒を制すということなのだろうが、無理やり操られている異形生物が相棒という時点で嫌な予感しかしない

戦闘中に突然レギオンを託され、妹と共に義父が隊長を務めるレギオン使いの特殊部隊“ネウロン”に所属することになった主人公。新人警官でありながら人類の未来を託されることになり、以降キメラとの戦いに身を置くことになる。

ASTRAL CHAIN エンタメステーションゲームレビュー ASTRAL CHAIN エンタメステーションゲームレビュー
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▲主人公は“エクスバトン”と呼ばれる特殊な警棒を所持。近くの敵を素早く攻撃できるノーマルモード、離れた敵や上空にいる敵に有効なブラスターモード(銃)、強力な一撃で敵の防御を崩すことができるグラディエイトモード(大剣)に変形でき、状況に応じた戦闘が可能だ

そんな戦闘では複数のキメラと戦うことになり、ときにはひとりで対処できないような強力な個体も出現する。そこで重要になってくるのが本作の大きな特徴でもある、主人公とレギオンを同時に操作するデュアルアクションだ。……とはいっても2体を同時に操作していたら、逆に戦いにくいのではないか? 正直に言うと最初はそう思っていた筆者だが、『デビルメイクライ』や『ベヨネッタ』など、アクションゲームの名作を手掛けてきたプラチナゲームズの神谷英樹氏が監修を担当していることもあり、操作性はとてもいい。戦闘はデュアルアクションにより、爽快感が溢れる仕上がりになっていた。

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▲ネウロン部隊の“レギオニス(レギオン使い)”は、腕に装着する“レガトゥス”からレギオンを呼び出す。レギオンとレギオニスは鎖“アストラルチェイン(以下、チェイン)”で繋がれており、その姿は猛獣と使役者の主従関係のようだ

まずレギオンだが、ボタンひとつで呼び出すことも引っ込めることも可能。呼び出されたレギオンは近くの敵を自動で攻撃してくれるので、いちいち攻撃指示を出す必要はない。また、特定の敵にレギオンを飛ばして攻撃させたり、逆に離れているレギオンを引き寄せたりもできる。これによりレギオンと主人公で特定の敵に集中攻撃を仕掛けたり、別々の敵を攻撃したりと臨機応変に戦えるのだ。

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▲レギオンを繋いでいるチェインでキメラをぐるりと囲めば、“チェインバインド”が発動。囲んだキメラの動きを一定時間封じ、一方的に攻撃ができる

さらにプレイヤーの操作で主人公とレギオンを同時に移動させられるので、素早く敵を囲んでチェインバインドに持ち込んだり、レギオンを動かして敵の意識を反らしている間に離れたところから銃で攻撃したりと、ユニークな戦いかたも楽しめる。

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▲敵が突進してくる際は、そのルートが光のラインとなって表示される。そのライン上にチェインを張っておけば、敵の突撃を受け止め弾き返すことが可能。弾かれた敵はしばらく倒れているので、チェインバインドが発動したときと同じく一方的に攻撃できる

極めつけがレギオンとの“シンクアタック”だ。主人公が敵の攻撃をギリギリで避けたり、連続して攻撃を当てたりするとレガトゥスが青く光る。そのタイミングで特定のボタンを押すと、レギオンとの連携攻撃が発動する。この連携攻撃は大ダメージを与えられるだけでなく、レギオンとの息ピッタリなアクションが見られることで、うまく決まるととても気持ちがいい。筆者はその快感を求めるあまり、わざと敵の攻撃をギリギリでかわそうとしてダメージを受けてしまったりして、振り返ればかなりダメな戦いかたをしていた。

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▲敵の体力がなくなったタイミングでさらに特定のボタンを素早く押すと、“フィニッシュ”という特殊なアクションが発動。これがとてもかっこよく、主人公の体力も回復する。強力なキメラ相手にフィニッシュが決まると、たまらずスクショを連写してしまう

ただし、何も考えずにレギオンと主人公で敵を次々となぎ倒していけるほど本作は簡単ではない。レギオンには“リミッターゲージ”というものが存在し、呼び出しているあいだは円形のゲージが徐々に減少。また、レギオンが敵の攻撃を受けた際も減少し、ゲージの数値がゼロになると引っ込んでしまうのだ。そうなってしまったら、ゲージが完全回復するまで呼び出すことができない。リミッターゲージは時間経過やアイテムで回復は可能だが、その間に複数の敵に襲われでもしたら袋叩きに遭ってしまう。

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▲レギオンが敵の強力な攻撃を受けると、そのぶんリミッターゲージも大幅に減少する。主人公が攻撃を避けることは最優先だが、そればかりに気を取られているとレギオンのゲージがあっという間になくなってしまう

戦闘ではデュアルアクションと同様に、レギオンを呼び出すタイミングなどの駆け引きも重要になってくる。主人公だけで対処できそうな敵なら、あえてレギオンを呼び出さない。リミッターゲージがなくなりそうな場合、敵が強力な攻撃を仕掛けてきそうな気配がある場合はレギオンを引っ込めて攻撃を受けさせないようにする。ただ攻め続けるのではなく、ときにはあえて引いてみるといった戦略も求められるのが、戦闘をよりスリリングで刺激的にしているのだ。なお、リミッターゲージはフィニッシュを決めることでも回復するので、敵の体力が少ない場合は肉を切らせて骨を断つといった“あえて無理をする”選択もできるのが、また面白いところだ。ネットでもアクションに対する評価は高い。このハマる爽快感は、体験すれば納得できる。

レギオンは戦闘以外でも大活躍

突如としてゲートから現れ、人々を混乱に陥れるキメラ。しかし、一般人にその姿は見えず、事件の現場ではまず情報を集める必要がある。人が忽然と消えるような事件があった場合、現場に残ったキメラの痕跡を調べたり、「幽霊を見た」などの一般人の突拍子もないような目撃情報を収集。そのなかから事件に関係がありそうな情報を抜き出し、事件のあらましを推理する“捜査”の要素もあるのだ。

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▲“アイリス”と呼ばれるシステムを使うと、通行人の個人情報やさまざまな事件の痕跡、事件発生時の監視カメラの映像などあらゆる情報が3D映像で投影される。一見何もない場所にある痕跡もアイリスを起動すれば発見できたりと、肉眼では見えない部分で捜査を手助けしてくれる

この捜査でもレギオンは有用だ。キメラと同様にレギオンも一般人には見えないため、他人に聞かれたくないような話をしている対象にレギオンを近づけると、会話の内容を聴き取ることができる。捜査中に突然逃げ出すような怪しい人物もいるが、そんな相手にはレギオンをぶつけると怯むので、あとはチェインバインドで縛ってしまえば動くことはできない。
捜査中は事件現場周辺を歩きまわって情報を集める必要があるのだが、ときには高所から高所へと飛び移ったりしなければいけないようなときもある。そんな状況では浮遊しているレギオンの特性を活かし、レギオンのみを対岸へと移動させる。その後、主人公がレギオンのいる場所まで跳躍できるアクション“チェインジャンプ”をすることで、難なく飛び移ることができる。デュアルアクションが特徴の本作ならではのユニークな捜査が楽しめるのだ。

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▲聞き込みやアイリスで情報を一定数集めたら、それらを整理。得られた情報からさらに手掛かりになりそうなものを絞り込んでいくことで、事件のあらましが明らかになり、事件の発端となったキメラを追うことができる

捜査の際に個人的に面白いと思ったのが、“業務評価ポイント”の要素。業務評価ポイントは一定数貯まるごとにプレイヤーランク(階級)が上昇。主人公の体力の最大値が上昇したりととても重要な要素なのだが、このポイントはポイ捨てされた空き缶を拾いゴミ箱に捨てるといった地味な行動でも貯めることができる。逆に、戦闘中でもないのにエクスバトンを振り回して物を壊したり、赤信号で車道に飛び出したりするとポイントが減少。主人公は警察官なので、ただ捜査してキメラを倒すだけでなく、常に人々の模範となるような社会的な行動が求められるのだ。空き缶拾いは捜査に直接関係があるわけではないので無視することもできるが、こういうちょっとしたプレイにアクセントが盛り込まれている点も本作を楽しめるポイントとなっている。

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▲捜査中、各所でキメラやゲートの影響で汚染された場所を見つけることがある。そんなときはレギオンを呼び出し、その場所まで移動させると瞬時に汚染を浄化。業務評価ポイントも貯まるので積極的に行おう

キメラとの手に汗握る戦闘アクション、推理だけではない個性的すぎる捜査とふたつの異なる試みと刺激が楽しめる本作。しかも、大きな特徴でもあるレギオンを使ったデュアルアクションの要素が戦闘と捜査の両方にふんだんに盛り込まれており、新鮮な気持ちでプレイすることができた。特に、鎖を利用したアクションに関しては、「こんな面白い使いかたがあるのか!」と連続する驚きを体験できた。その過程で駆け引きや戦略性、アクセントとなる要素も盛り込まれており、作品をより引き立ててくれていた。また、今回説明しきれなかったがレギオンには成長要素があり、キメラを倒した際に入手できる“ジーンコード”を消費し、新たなスキルなどが習得可能。加えて主人公の武器・エクスバトンの強化も可能で、レギオンと武器を強化することで繰り出せるアクションの幅もどんどん広がっていく。

捜査を進めていくと、主人公がキメラとの戦闘中にゲートに引きずり込まれてしまい、異世界へ踏み込むストーリー展開になる。そこでネウロンの仲間と合流できるものの、地球上の生物にとっては汚染物質まみれの異世界の影響で体調に異常をきたし、レギオンたちも暴走するという最悪な現実を突きつけられてしまう。

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▲異世界モノが人気の昨今だが、こんなに禍々しく汚染物質にまみれた異世界は命がいくつあっても足りない

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▲仲間たちのレギオンが暴走し窮地に立たされるが、主人公だけはレギオンを繋ぎ止めることに成功する

元はキメラであるレギオンは暴走し主人から解き放たれたことで、人類の最終兵器から人類の脅威へと転じる。主人公たちはなんとか自分たちの世界に帰還を果たすが、義父である隊長だけが囮役として異世界に残り、行方不明になってしまう。現在、キメラに対抗できるレギオンは主人公が繋ぎ止めた1体だけとまさに前途多難。刑事ものの作品といえば背中を任せられる相棒の存在が不可欠だが、元異形生物相手に背中を任せて大丈夫なのか? 次回は異世界から帰還後の主人公たちの新たな任務、アクションを楽しむためのその他のスキル、アビリティの習得などによるレギオンと主人公の強化、そして、より多彩なアクションと自分好みの戦闘スタイルが楽しめるレギオンの形態などについて掘り下げていく。絶望な状況ではあるが、楽しむための要素も数多くあるのだ。

フォトギャラリー
ASTRAL CHAINロゴ

■タイトル:ASTRAL CHAIN
■メーカー:任天堂
■対応ハード:Nintendo Switch™
■ジャンル:デュアルアクション
■対象年齢:15歳以上
■発売日:発売中(2019年8月30日)
■価格:パッケージ版・ダウンロード版 各7.980円+税


『ASTRAL CHAIN』オフィシャルサイト

© 2019 Nintendo/PlatinumGames Inc.
Main Character Design ©桂正和/集英社