Interview

藤田恵名が女殺し屋を身体を張って熱演。主演映画『WELCOME TO JAPAN 日の丸ランチボックス』公開間近!

藤田恵名が女殺し屋を身体を張って熱演。主演映画『WELCOME TO JAPAN 日の丸ランチボックス』公開間近!

シンガーソングライター・藤田恵名の主演映画『WELCOME TO JAPAN 日の丸ランチボックス』が「シッチェス映画祭 ファンタスティック・セレクション2019」にて劇場公開(10月11日より)されることが決定した。本作は、過激なスプラッタアクション映画『蠱毒ミートボールマシン』を手がけた西村喜廣が監督を務めた藤田の1stシングル「言えない事は歌の中」(2018年6月発売)のミュージックビデオを映画化したバイオレンスムービー。
撮影から1年半。“日の丸メイク”という攻撃的かつ衝撃的なビジュアルで、戦いのなかで人間性に目覚めていく女殺し屋を熱演した彼女に公開を間近に控えた心境を聞いた。

取材・文 / 永堀アツオ 撮影 / 増田慶


監督の頭の中って、やっぱりカオスだなと思いました

藤田恵名 エンタメステーションインタビュー

「言えない事は歌の中」のMVを映画化した『WELCOME TO JAPAN 日の丸ランチボックス』がいよいよ日本でも公開されます!

もともと同時に撮っていたんですけど、MVから映画公開まで間が空いてしまったので、ファンの方には告知してからずいぶん待たせてしまったなっていう感じがあります。しかも、MVだけを観ると、“なんじゃこりゃ?”ってなるような描写が多かったと思うんですよ。あれは、映画の予告編のようなものなので、映画を観て“こういうことだったのか”っていう答え合せをしていただけたらと思います。

「言えない事は歌の中」MV(検閲済 ver.)

映画出演は本作で3作目になりますね。

3作目なんですけど、全部、殺したり、死んだりしてるんですよね(笑)。1作目の『EVIL IDOL SONG』(2016年8月公開)は歌で人を殺すという役柄だったんですけど、ずっと音楽をやってきてマンネリしていた時期に出会えた作品で、すごく刺激になりましたし、あの映画に出たことで、自分の中で音楽性も変わったんです。

どんな変化をもたらしたんですか?

曲への向き合い方というか、私はこういう歌を歌っていいんだっていう、新しい世界が広がったんです。それまでは歌は上手に歌うものだと思っていたんですけど、あの作品では、歌で人を殺す、殺したいくらいの気持ちをもって歌っていて。そこで、ムカついたりだとか、怒りとかを込めたまま歌ってもいいんだって気づかされました。叫びながら歌うっていうか、感情のままに歌っていいと思えた、自分の音楽性がガラッと変わるきっかけとなった作品だったなって思います。

藤田恵名 エンタメステーションインタビュー

悪魔に憑依された殺人歌手に続いて、2作目はグロテスクなスプラッタホラー『血を吸う粘土』(2017年8月公開)でした。

出番は少なかったんですけど、お客さんとして観たら、トラウマになっちゃうくらいの恐ろしい映画でしたね。梅沢壮一監督は怖がらせ方もピカイチだなと思ったんですけど、実際の監督はすごく優しいんですよ。そんな人が、人の残酷な部分や恐怖をこんなにもグロく描くんだなって感じて。ただ、私もよく人に「本当に恵名ちゃんが歌詞を書いてるの?」って言われたりもするので、人ってそういうものだよなと思いました(笑)。でも、とにかく怖かったなっていう思い出しかないですね。自分が撮影をしてないシーンを映画館で観たときに普通に怖くて、やっぱり、私、ホラー映画は嫌いだと思いました。

藤田恵名 エンタメステーションインタビュー

あはは。はっきりと“嫌い”と言う。3作目となる今作はホラーではないですけど……。

インパクトと、“なんじゃこりゃ感”が強い作品ではありますね。お弁当箱で人を殺める殺し屋の役なんですけど、西村監督がご飯とか食事にこだわって作っていて。日本ならではの文化でもある“お弁当”を監督が大事にしているんですよ。その描写をより強く描くためにお弁当箱っていう武器を手にして、日本で悪さをする不良外国人を抹殺していくっていうお話です。お弁当箱に食材を詰めていくシーンは、まるで銃を磨いているかのような、武器を大事に扱うような風にも見えてきて、監督の頭の中って、やっぱりカオスだなと思いました。アクションシーンもお弁当箱を持ったままなのでいろいろと不自由な点も多かったし、足には鎖が繋がれていて、アタッシュケースを引きずる状態で、ただでさえ衣裳が重たいのに、それをつけたまま走れって言われて、うまく走れなかったりもしたんですけど、監督の世界の中にちょっとでも寄り添って入り込みたかったので、やっていくうちにこの姿でいることも不思議じゃなくなっていって、面白かったですね。

藤田恵名 エンタメステーションインタビュー

脚本を読んだときはどう感じました?

どんなシチュエーションかよくわからない点もたくさんありましたね。監督と話をしていくうちに、理解できるところもあったし、汲み取れる部分もいっぱいあったんですけど、監督の本音やメッセージのすべてはわかってないと思います。私としては、東京オリンピック開催にあたって、日本にはお弁当という文化がありますよっていうことと、スポーツという名の戦いがあるけど、人を恨んだり、殺し合ったりしてはダメだよねっていうメッセージなのかなと思いつつ、とにかく、女の殺し屋のキカという役柄に没頭しました。ただひとつだけ、この場をお借りして、私の思想は1ミリも反映されてないということは、強く言いたいです(笑)日の丸メイクで、ギターも日章旗にリメイクしてるんですけど、私はどちらでもないし、思想的には透明ですっていうことを言っておきます。でも、思想的な問題で上映できないところもあったりして。そういう、ギリギリをいってるという意味では、まるで自分の活動を見ているようでもあって(笑)。私も露出や発言が麻痺してきているのですが、監督の作品って、やっぱりロックだなって思いましたね。

思想ではなく、姿勢としては共感する部分もあったっていうことですよね。

うん、そうですね。

藤田恵名 エンタメステーションインタビュー

圧倒的存在感を持っているキカを通じて、本当の意味での強さやカッコよさが少し習得できた

藤田さんが演じたキカはどんな女性でしたか?

お寺で育てられて、鳥居みゆきさん演じるこけし様の命令のままに動く子なんですけど、ひとりの少女と出会って、初めてキカの人間味のある部分が出てくる。ある出来事がきっかけで、キカが初めて感情をむき出しにして泣くシーンがあって。それまでほぼ喋らないんですけど、そこで初めて声を荒げて「金がなんだ!」って叫ぶんです。でも、実はそのシーンはアドリブで、役に入り込めたからこそ出た言葉で、涙もめちゃくちゃ溢れて。そうやって心がどんどん形成されていく、人間味が出てくるっていう意味では、キカは本当はすごく寂しい子だったんだろうなって思いました。あと、キカって、西村監督の子供の名前なんですよ。

そうなんですか!?  自分の子供の名前を殺し屋の主人公の名前にしたんですね。

そうなんですよ。そのことを知って、監督のこの作品への思い入れもより感じました。たくさんの作品を作られてきた監督が自分の娘の名前を主人公に当てた、その役を私が演じるのだから、きちんと役割を果たさないといけないというプレッシャーにも似た思いを感じました。キカは純粋なんだろうなって思います。殺しが悪とは思わないまま殺しを働いていて、やがて、人が死ぬことの悲しさを思い知っていく。キカのささやかな成長を自分が作り上げられていたらいいなと思います。

藤田恵名 エンタメステーションインタビュー

キカが人間味を得ていく過程で藤田さん自身も何か目覚めはありました?

ありましたね。これまでも戦闘力がある歌を歌いたいって言ってきたんですけど、どうしてもグラビアをやっていたり、ビキニで歌っていたり、女性っていう保険をどこかにかけてる部分があったし、おっぱいとか、外見にすごく注力していたんですよね。でも、いくらカッコいい歌を歌えても、カッコいい振る舞いができないとだめだなと思っていたときにキカと出会えて。キカは歩き方や仕草、振る舞いも隙がなくて鋭いし、本当に強くてカッコいいんですよ。圧倒的存在感を持っているキカを通じて、本当の意味での強さやカッコよさというものが少し習得できたのかなって思います。

藤田恵名 エンタメステーションインタビュー

ライヴのパフォーマンスも変わりました?

そうですね。自分の中にまだキカがいて。あのときの感覚がいまだにあるので良かったなって思います。女なんだけど、男っぽくてカッコいいっていう部分は、キカが憑依する感じがあるし、ずっと身体の中に染みついてますね。

藤田恵名 エンタメステーションインタビュー

精神力だけは誰よりも負けないでおこうと思って挑んだ

攻撃的なビジュアルについてはどう感じてました?

最初は顔面のメイクだけで1時間半とかかかってたんですよ。髪の毛は紙粘土で固めているので、キューティクルもなくなっちゃって。最初、キカのビジュアルを考えているときに監督から「黒髪にするか、モヒカンにするかどっちがいい?」って聞かれて(笑)。消去法で黒髪にしたんですけど、毎日、紙粘土で固められるっていう。あと、アクション稽古もして、身体中にあざはできるし、怪我もしたし……このビジュアル、結構身体張ったなって思いますし、日の丸の赤い部分に目力が負けないように、目つきに関しては撮影中もすごく意識してました。

藤田恵名 エンタメステーションインタビュー

アクションシーンはどうでした? 

そもそも自信もなかったし、案の定、手こずりました。アクション稽古に何回も行かせてもらって。体力はあるのに、運動神経が足りなくて、思うように身体が動かないんですよ。しかも、お弁当箱を持ってのアクションだったし、みんなのように素早く動けないし、アクション、もうやりたくないって思いました(笑)。でも、本番中は、たとえうまく立ち回れなくても、精神力、こいつを殺すぞっていう気持ちだけは誰よりも負けないでおこうと思って挑んだので、意外とカッコよく映ってて。表情も殺気立っている感じなので、そこは見どころですね。後半になってアクションシーンもヒートアップしていくので。

藤田恵名 エンタメステーションインタビュー

特に印象に残っているシーンを挙げるとすると?

「言えない事は歌の中」のMVでも私が走りながらコケてるシーンがあるんですけど、あれは、NGカットだったんですよ。監督に「使わないでくださいね」って言ったのに使われちゃって(苦笑)。あの、花火をアタッシュケースに刺して、火に追いかけられながら走ったことは忘れられないですね。あと、アカペラで歌うシーンも映画の中にあったりしますし、私のビジュアルだけじゃなく、全裸でサランラップを巻いてる女の人とか、鳥居みゆきさん演じるこけし様とか、LINEスタンプにしたら面白いんじゃないかっていうくらい、それぞれのキャラクターも立ってるなって思います。

1 2 >