LIVE SHUTTLE  vol. 367

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ポルノグラフィティ 東京ドーム“~神vs神~”ライヴ初日で感じた熱気と、二人が歩んだ20年の歳月に思いをはせる

ポルノグラフィティ 東京ドーム“~神vs神~”ライヴ初日で感じた熱気と、二人が歩んだ20年の歳月に思いをはせる

20th Anniversary Special LIVE “NIPPONロマンスポルノ’19〜神vs神〜”
2019年9月7日 東京ドーム

ポルノグラフィティ20周年イヤーの締めくくりとなる、10年振りの東京ドーム公演“20th Anniversary Special LIVE NIPPON ロマンスポルノ’19 ~神vs神~”の初日、9月7日の公演を観た。ただただ圧巻だったが、少し時間をさかのぼって、この公演の約1ヵ月前の8月12日――ポルノグラフィティは“ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2019”のメインステージ(GRASS STAGE)で、神セットリストを用意し約6万人のお客さんを熱狂の渦に巻き込んでいた。思えばあれは、この東京ドーム公演のための前哨戦だったのかと思うほど、まさに圧巻のステージだった。

20年――。岡野昭仁(Vo)、新藤晴一(G)、彼らに影響を受けたと公言するアーティストも多く、ひたちなかの関係者観覧エリアには若手バンド、アーティストが駆け付け、わずか8曲のステージだったが、誰からも愛される、共感を得るポップソングという名のヒット曲を多く持ち、追求し、攻め続けてきたからこその力の違いを見せつけた―――そして9月7日、東京ドーム。「神セットリストvs神セットリスト」ということで、2日間違うセットリストが投下されたが、この日も一曲一曲イントロが流れる度に、大歓声が沸き起こっていた。オープニングナンバーは美しいハーモニーの「プッシュプレイ」だ。このライヴの大きな意味を持つ1曲目となる。

ポルノグラフィティ エンタメステーションライブレポート

まさにドームが巨大なライヴハウスと化し、一体感がものすごい熱気を生み出していた

太くうねるベースが鳴り、早くも「メリッサ」を披露。<さぁ 愛に焦がれた胸を貫け>の部分はロングトーンで、軽く12小節は伸ばしていただろうか。その岡野の変わらない伸びやかな声に、大歓声が起こる。パワフルな「THE DAY」を演奏し、岡野は「今日はペース配分なんか気にしないよ」と気合が入っていることを伝え、新藤は「すごいよお前ら、この光景、目に焼き付けたい」と興奮した様子で語ると、すかさず岡野が「いつもより声がでかいね」と突っ込む。ポルノグラフィティは10年前に“東京ロマンスポルノ’09 ~愛と青春の日々~”と題し、東京ドームでライヴを行っている。この時は35曲、4時間超えという数字に、お客さんにとにかく喜んでもらいたいという気持ちが表れているが、当時を振り返り、新藤は「あの時は、ただ“球場でライヴをやっている”感じだったけど、今日は最初からしっかりとしたライヴができていると思う」と語っているように、この日はまさにドームが巨大なライヴハウスと化し、一体感がものすごい熱気を生み出していた。

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「20年という歴史を手繰り寄せることができるのは、この人しかいません」と本間昭光が登場

そして「20年という歴史を手繰り寄せることができるのは、この人しかいません」と岡野が作曲家/編曲家/音楽プロデューサーの本間昭光を呼び込むと、大歓声に迎えられ笑顔で本間が登場。ak.homma名義で「アポロ」「ミュージック・アワー」「サウダージ」「アゲハ蝶」「メリッサ」など、初期~中期のポルノを支えたプロデューサーとの共演は、ファンにはたまらないシーンだ。本間の美しいピアノの音色が加わり、メドレーがスタート。「ミュージック・アワー」では、岡野がピアノを弾く本間の肩を抱き寄せ、客席から歓声が起こる。サビでの恒例5万人の“変な踊り”は、まさに圧巻。「マシンガントーク」「ヴォイス」「狼」、そして「ミュージック・アワー」をリフレインする。数々のエピソードを紹介し、ウェーヴを作り出したり、まるで師匠と弟子のほのぼのとした会話のような、ゆったり流れる時間を、客席は温かく見守っていた。そして本間のアイディアで、新藤が9月、岡野が10月生まれということで、「Happy Birthday to You」を本間のピアノ演奏に合わせてオーディエンスが大合唱し、二人に贈られた。

デビュー曲「アポロ」は、前半は本間のピアノと新藤のギターのみで、後半バンドが入ってくるという、この日限りのスペシャルアレンジをセッション。3人の心には20年前のどんな風景が広がっていたのだろうか。ライヴで演奏されるのは2008年“横浜・淡路ロマンスポルノ”以来、約11年ぶり(ファンクラブ・ライヴを除いて)に披露された「グラヴィティ」では、月にかけたブランコを漕ぐ少女のアニメ映像が流れ、幻想的な照明と共に、曲の世界観の深さを、浮かび上がらせる。美しいメロディの「Twilight,トワイライト」では、新藤のむせび泣くようなギターソロが印象的だった。ポルノグラフィティの活動を振り返る、懐かしいモノクロ映像が流れると、改めて20年経ったんだなと時間の流れを感じる。それは客席も同じだったはずだ。

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「“神vs神”スペシャルバージョンでお届けします」と「愛が呼ぶほうへ」を披露

彼らは、1999年9月に1stシングル「アポロ」でデビューすると、そのキャッチーなメロディと、岡野の圧倒的な活舌の良さから放たれる、一つひとつの言葉が立体的に飛び込んでくるその歌声は、それまで感じたことがない高揚感や爽快感を与えてくれた。2000年7月3rdシングル「ミュージック・アワー」がスマッシュヒットになり、その年の『NHK紅白歌合戦』に4thシングル「サウダージ」で初出場を果たした。01年は6thシングル「アゲハ蝶」が大ヒットし、確固たる地位を築く。03年はTVアニメ『鋼の錬金術師』の第1期オープニングテーマの「メリッサ」をリリースし、これも大ヒット。ファン層をどんどん広げていった――感慨深くなり、頭の中で勝手にポルノ・ストーリーを振り返っていると、岡野のソロコーナーのスタートを告げる小鳥のさえずりが聴こえてきた。

岡野が「自分の立ち位置に悩んだ時期に、そのもどかしさを閉じ込めた曲です」と、弾き語りで「n.t.」を歌い上げる。続く新藤のソロは、カントリーテイストの「Hey Mama」を、アコギの弾き語りで披露した。そして「渦」ではゲストのホーンセクションバンド・FIRE HORNSが登場。8人が奏でる分厚い管と、ヘヴィなギターが作る迫力ある音が客席に向け、放たれる。「ジレンマ」で客席を煽り、岡野が「“神vs神”スペシャルバージョンでお届けします」と「愛が呼ぶほうへ」を披露。FIRE HORNSと作る新しいアレンジにファンも満足げだ。

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新藤のギターが「ハネウマライダー」のイントロを奏でると、さらに会場の温度が上がる

そしてここから後半戦へ。「ヘヴィロックであんたらを上げてやる!」と岡野が叫び「ラック」から、怒涛のヒットナンバー祭りがスタート。「キング&クイーン」ではハンドクラップが一体感を生む。再びFIRE HORNSのホーンが鳴り響き「Mugen」を披露。ステージを駆け回り、間奏の<WOW WOW WOW>は客席全体が叫び、FIRE HORNSを引き連れ、長い花道を歩く。「ネオメロドラマティック」は、ホーンが入るとさらに破壊力を増す。しかし、後半のこの位置で、言葉数が多く、どこでブレスを入れているのだろうと思ってしまうこのエネルギー高めの楽曲を歌う、岡野のスタミナと喉はやはり規格外だ。新藤のギターが「ハネウマライダー」のイントロを奏でると、さらに会場の温度が上がる。空気が変わる。そして5万人がタオルを振り回すシーンは、まさに圧巻。岡野と新藤も心から楽しんでいるのが伝わってくる。さらに「アゲハ蝶」ではハンドクラップと<La~La~La>の大合唱で、ドームがまさにライヴハウスと化す。

岡野が「25年前、スタジオに入って、ただ音を出しているだけでとにかく楽しかった。でもいつも夢を思い描いていて、そこに向かって続けていたら、みんながここに連れてきてくれた。今までで一番の景色を見せてくれてありがとう」と、涙を浮かべながらファンに感謝の言葉を贈り、本編最後は、過去と現在の自分を対比させ、しかし未来に向けた尽きることのない夢と希望を描いた最新ナンバー「VS」を、二人でセンターステージで披露。<あの少年よ こっちも戦ってんだよ>という最後の歌詞の後に、岡野が<あのロッカー まだ闘ってっかな?>と1曲目の「プッシュプレイ」のフレーズを歌うと、客席に感動が広がっていくのが伝わってくる。二人の“覚悟”を、ファンの前で“約束”した。

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誰からも愛されるポップソングを20年間作り、歌い続けてきたポルノグラフィティが作ってきた“王道”

アンコールはラテンフレーバーが心地いい「オー!リバル」から。二人は別れてフロートに乗り、アリーナを1周しファンの近くへと行き“顔見せ”。岡野はバズーカーでスタンド席のファンへプレゼントを飛ばすが、歌詞も一緒に飛ばしてしまうという、ファンにはおなじみのシーンも。<オーレーオーレーオー>と客席が一体となった大合唱は、まるでドームが揺れるような感覚が伝わってきた。「Century Lovers」では20年間続くポルノとファンとのおなじみのコール&レスポンスで、ノリは最高潮に。

高校の文化祭でバンドを組んだ二人が、ポルノグラフィティという人生を歩み、こんなにも多くのファンに愛される存在になり、自身もファンにとっても、この日感じた思い、見た光景は忘れることができないはずだ。新藤は「20年間、調子に乗ったこともダメな時もあった。でもそれも全部地続きで途切れていない。それを自分の手で汚したくないと思って、やってきました。また次のポルノグラフィティを見せていきたい」と語った。岡野はファンを始め、ポルノグラフィティに関わってくれているすべてのスタッフ、関係者に感謝の言葉を贈り、「これからも頑張っていきます」と力強く伝えた。そして再び本間、FIRE HORNSを呼びこみアンコール最後のナンバー「ライラ」を披露。メンバーとオーディエンスの絆を示すように、合唱のボリュームはどんどん大きくなる。

最後は「これまでの人生で一番素敵な時間だった。ありがとう!」と岡野はマイクを通さず、生声で感謝した。誰からも愛されるポップソングを20年間作り、歌い続けてきたポルノグラフィティが作ってきた道は、いつしか、様々な人の音楽人生に影響を与える“王道”になり、それは、先が見えない遠くまで、まだまだ続いているということを、確認させてくれたドームライヴだった。

文 / 田中久勝

ポルノグラフィティ エンタメステーションライブレポート

20th Anniversary Special LIVE “NIPPONロマンスポルノ’19〜神vs神〜”
2019年9月7日〜8日@東京ドーム

SET LIST

—DAY1—

M01.プッシュプレイ
M02.メリッサ
M03.THE DAY
M04.<メドレー>
ミュージック・アワー〜マシンガントーク〜ヴォイス〜狼〜ミュージック・アワー
M05.アポロ
M06.グラヴィティ
M07.Twilight,トワイライト
M08.n.t.
M09.Hey Mama
M10.渦
M11.俺たちのセレブレーション
M12.ジレンマ
M13.愛が呼ぶほうへ
M14.ラック
M15.キング&クイーン
M16.Mugen
M17.ネオメロドラマティック
M18.ハネウマライダー
M19.アゲハ蝶
M20.VS
EN1.オー!リバル
EN2.Century Lovers
EN3.ライラ

—DAY2—

M01.プッシュプレイ
M02.Mugen
M03.THE DAY
M04.<メドレー>
ミュージック・アワー〜マシンガントーク〜ヴォイス〜狼〜ミュージック・アワー
M05.アポロ
M06.n.t.
M07.Twilight,トワイライト
M08.瞳の奥をのぞかせて
M09.ウェンディの薄い文字
M10.リンク
M11.サウダージ
M12.ブレス
M13.愛が呼ぶほうへ
M14.Zombies are standing out
M15.サボテン
M16.ヒトリノ夜
M17.瞬く星の下で
M18.ハネウマライダー
M19.アゲハ蝶
M20.VS
EN1.オー!リバル
EN2.Century Lovers
EN3.ライラ

ポルノグラフィティ 20th Anniversary Special Live Box
2019年12月25日リリース

【Blu-ray】 SEXL-140~144 ¥24,000(税込)
【DVD】 SEBL-280~287¥20,000(税込)

【収録内容】
①「16th ライヴサーキット“UNFADED”」横浜アリーナ公演の模様
②「16th ライヴサーキット“UNFADED”」ツアードキュメント映像
③  スペシャルな20周年LIVEの映像(スペシャルな内容の詳細は後日発表)
④これまでのライヴを振り返りながらメンバーが語る、本ボックスのために収録した「しまなみテレビ特別編」
その他、豪華特典封入予定!!

ポルノグラフィティ

岡野昭仁(Vo)、新藤晴一(Gt)によるロックバンド。広島県因島出身。1999年に1stシングル「アポロ」でメジャーデビュー。以降、「ミュージック・アワー」「サウダージ」「アゲハ蝶」「メリッサ」など多くのヒット曲を生み出す。2018年はドラマ『ホリデイラブ』主題歌「カメレオン・レンズ」、映画『劇場版ポケットモンスター みんなの物語』主題歌「ブレス」、『Sony WALKMAN® A50シリーズ』WEB CMソング「Zombies are standing out」、映画『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』主題歌「フラワー」などを手掛けた。そしてメジャーデビュー20周年となる2019年は、約4年ぶりの開催となるアリーナツアー「16th ライヴサーキット”UNFADED”」の完走、50作目となるシングル「VS」をリリースするなど、精力的にアニバーサリーイヤーを駆け抜けた。その締めくくりとして、2日間異なるセットリストで開催した東京ドーム公演では10万人を動員した。

オフィシャルサイト
https://www.pornograffitti.jp

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