Interview

飽きるまで続けるというザ・クロマニヨンズのロックンロール道

飽きるまで続けるというザ・クロマニヨンズのロックンロール道

ザ・クロマニヨンズの10作目『BIMBOROLL』は、最強のロックンロール・アルバムだ。甲本ヒロト(Vo)と真島昌利(G)による、今の日本で鳴るべきロックンロールにして、ずっと歌って聴かれていくべきキラー・チューンが12曲、みっちり詰まっている。ザ・フーやオートバイはもちろん、クリームパンも光線銃も彼らにかかればザ・クロマニヨンズのロックンロール。ロックンロールのスタイルやルーツにとことんこだわりながら、ロックンロールがどれほど自由かを体現しているのがザ・クロマニヨンズだ。その楽曲から滲み出る二人の視線や個性も魅力の一つ。ザ・ブルーハーツに始まりザ・ハイロウズを経て今に至る二人は、ぶれることなく凄みと軽さを増している。

取材・文 / 今井智子 撮影 / HIRO


ザ・クロマニヨンズのオリジナル・アルバムとして新作『BIMBOROLL』は10作目になりますね。ジャケットで渦巻いているものが「BIMBO」というものでしょうか?どんな意味なんでしょう?

甲本 わかんないです。今度のアルバムが『JUNGLE 9』(前作のタイトル)でもいいんですよ。何でもいいんです。そのぐらいなの。内容とは関係ないし。

『BIMBOROLL』を聴いて、ちょっとブリティッシュ・ロックな感じがしました。曲名がピート(・タウンゼント。ザ・フーのギタリスト)で、その曲にザ・フーの曲名「マイ・ジェネレーション」が入っていたりするし、他の曲でもサウンドがブリティッシュ風だったり。これまでは「底なしブルー」のサニーボーイ(・ウィリアムソン)とか、ブルースをモチーフにすることが多かったですよね。

甲本 僕とマーシーは、ブリティッシュ・ロックを通じて、アメリカのブルースに行ったわけだから、そこを通ってるんですよね。ローリング・ストーンズとかビートルズとかがやる黒人音楽が元で、チェス・レーベルとかを知ったし。大きいと思います。

そういう、ブルースとブリティッシュ・ロックへの、二人のヒストリカルなものを、このアルバムは感じさせます。

甲本 言われることはわかります。ブリティッシュっぽいアレンジは、具体的に何箇所か施してあると思います。「デトマソ・パンテーラを見た」の面白いアレンジは、絶対イギリス人だと思う。

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その辺は意識してやってるんですか。

甲本 意識しないから、そうなるんじゃないですかね。自然にやると、自分たちの好きなものがポロポロと出てくるんだと思うんですよ。僕らのリスナーとしての蓄積がそこに出てくるだけだから、そんなに深い意味はないんですね、ふふふ。

コーラスがいいタイミングで構成されている曲が多くて、ライヴでお客さんが歌うのが眼に浮かびます。

真島 (笑)

甲本 コーラスは、一発録りした後に、みんなでやるんですよ。その場のノリで。興が乗ればいっぱい入るし。楽しいよ。ねえ?

真島 うん楽しい。

甲本 コーラス入れ楽しいよ。

みんなで色々意見を出しながら?

甲本 出したり出されたり。もう1トラック重ねようって、何回も歌ったり。

じゃあ「ピート」のイントロも後で入れたんですか?ライヴの始まりみたいな感じになってますね。

甲本 そうそう、最初ガヤっぽくはいってバンドが乗っかってくる。あれ完全に後付けですよ。後付けで編集で足したんですよ。

これは昔、ザ・フーのライヴをアメリカで見た経験が生きてるんじゃないですか?

甲本 どうでしょう?もちろん見てますけど。すごかったねえ、アメリカで見たんだよ最初。キース・ムーン(Ds)はいなかったけど、ジョン・エントウイッスル(B)はいた。すごかったー!

80年代ですか?

甲本 いや90年代?

真島 いや、ザ・フーの25周年のツアーで89年だった。

甲本 89年かあ!

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有名な、ピートがギターで手を怪我して流血騒ぎになったライヴですね。

甲本 そうです。そのことが新聞に載ってたんだよな。この話しましたっけ?それから10年経って、ピートがやっとあの日のことを語ったっていう話を。それもアメリカに行って、地下鉄乗るのに雑誌買ったら、小さなコラムにピートのインタビューが載ってて。そしたらそのインタビューの中で”10年前に俺大怪我してさあ”って。で”あんなに痛いことはなかった、痛くて痛くてたまんなかった”って。でも、そのツアー、キャンセルしなかったんですよ。ギプスはめて、ギプスにピック装着して、まだギターぶんぶんウインドミル奏法で弾き続けたんですよ。それに対して記者が、やめませんでしたねっていうと、”当たり前だろ、痛いという理由でリングを降りるボクサーがいるか!”って。かっこいー(笑)。もう電車の中で泣いちゃって。

そういう気持ちから「ギブソンでぶっ壊してくれ 僕の部屋」と歌詞に?

甲本 照れくさいから、あんまりその辺は(笑)

(笑)子供の頃、部屋にポスター貼ってました?

甲本 今でも貼ってます(笑)

「おれ今日バイク」は甲本さん作ですが、真島さんの「オートバイと革ジャンパーとカレー」(5作目『Oi! um bobo』収録)に続くバイク・シリーズでしょうか?

甲本 僕ら二人ともバイク好きだよねえ。僕は今でも乗ってます。

真島 僕は最近は乗ってない。10代20代の頃は乗ってたけど。

甲本さん愛車は何ですか?

甲本 今は3台所有していて。ハーレーとトライアンフとヤマハ。こないだもそれで、西伊豆とか箱根ターンパイクとか。すげえ久しぶりに行った。バイカーのツーリングですね、ベタなところに久しぶりに行って。やっぱいいなあと思って。長い距離移動してると、いろんな歌歌ってるんですよね、ヘルメットの中で。

何を歌うんでしょう?

甲本 いろいろ。なんでこんな曲がとか、気がつくと新曲がそこでできていたり。その中で、けっこう「おれ今日バイク」も歌ってましたよ。”安全てなんだー!”って(笑)。

これもコーラスがいいですね。

甲本 実は、ものすごいゆったりしたテンポの曲だったんですよ。それを早くしたもんだから、忙しくなっちゃって、「おれ今日バイク!」って。コーラスが楽しかったです。

そのせいか歌というよりセリフ状態になってますよね。

甲本 (笑)みなさん、いい演技をなさってます。

ライヴで、どこで誰がいうのか見るのが楽しみです。お客さんもコーラスすると思うんですけど、ハードルあげてますよね。

甲本 俺たちも演奏しながらできるのかなあ?

真島 そうだね、まだやってないから。

甲本 まあ、できなければゆっくりすればいいし。

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真島さん作の「デトマソパンテーラを見た」は、パンを落としたら車が走ってきたのか、車を見てパンを落としたのかどっちなんだろうと思ったんですけど

真島 それは、公園でクリームパンを食べようとしたら、包装が固くて、力いっぱい開いたら、バン!てなってパンがこぼれて。あれ、もうちょっと開けやすくできないんですかね、菓子パンの袋とか、お菓子の袋とか。こんなに技術が発達してるのに、どうしてできないんだろう(笑)

で、パンを落として洗ってたら、車が走ってきたということですか

真島 うん。砂を払ったんだけど、細かいのが付いてて、やだなと思って水洗いしてたんですよ。ちょっとだけ水出して。

パン、水で洗いますか?

甲本 あれね、表面すこーしオイル・コーティングしてるから。

真島 ちょっとテラっとしてるじゃないですか、菓子パンて。

甲本 蒸しパンはだめだね。

真島 そうだね。

甲本 クリームパンでよかったね。

その後そのパンは食べたんでしょうか?

真島 もちろん!

最後の「大体そう」も真島さんですけと、大抵の日には何もないっていう歌で。

真島 普通に暮らしていれば、大抵何もないですよ。そんなに面白エピソードはないですよ、毎日毎日。ふふっ。

甲本 カツジ(桐田勝治 :Ds)と一緒にいたら、毎日何かありそうだな。

真島 面白エピソード?(笑)

甲本 なんか面白いんだよな(笑)

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そうなんですか?ベースのコビー(小林勝)さんは?

甲本 コビーも面白いんだけど、コビーはカツジの面白さを、一緒に楽しんでくれる仲間っていう感じ。

最初にも言いましたが、本作で10作目。バンドも結成して10年経ちました。お二人が今までやってきたバンド(ザ・ブルーハーツ、ザ・ハイロウズ)はどちらも10年で解散してたから、クロマニヨンズにとってこの10年目は大きいと思うんですよ。

甲本 周りからよく言われるんですよ。別に10年て意識してたわけじゃないし。ストレスがないんじゃないですかね。幸いなことに、僕らはずっと恵まれていると思います。周りから、いつまでにアルバム作れとか、次のアルバム何枚売れなかったらとか、そんなこと誰も言わないで自由にやってるわけだから。行ってみれば、高校生が、週末に集まってバンド活動やってるのと、やってることは同じです。

でも高校生はこんな立派なアルバム作れませんよ。

甲本 だから、すごい恵まれてると思う。だからやめる理由はないです。

じゃあクロマニヨンズは続くということですね。

甲本 飽きるまで。飽きてまでやってたら、それも立派だと思うけど、飽きたらやめるというのも別の立派さがあると思う。

ツアー・スケジュール

「ザ・クロマニヨンズTOUR BIMBOROLL 2016-2017」
11/17(木)長野CLUB JUNK BOXよりスタート!
詳細はこちら・・・http://www.cro-magnons.net/live/

ザ・クロマニヨンズ

2006年7月23日 13時41分「FM802 MEET THE WORLD BEAT 2006」にて、甲本ヒロトVo.  真島昌利G. 小林勝B.(nil) 桐田勝治Dr.(Gargoyle)のメンバーでザ・クロマニヨンズ出現!その後、シングル15枚、アルバム9枚、アナログ盤25枚、映像4作をリリース。
ツアー、大型ロックイベント出演を重ね、11月2日には待望のニューアルバム「BIMBOROLL」をリリースし、11月17日から、56本に渡る全国ツアー「ザ・クロマニヨンズTOUR BIMBOROLL 2016-2017」をスタートさせる。