Interview

椎名鯛造が“劇団鹿殺し”待望の新作『傷だらけのカバディ』で新たな役者に変貌する。盟友・鈴木拡樹のことも聞いた!

椎名鯛造が“劇団鹿殺し”待望の新作『傷だらけのカバディ』で新たな役者に変貌する。盟友・鈴木拡樹のことも聞いた!

“劇団鹿殺し”の3年ぶりの新作本公演である『傷だらけのカバディ』が11月21日(木)より、あうるすぽっとにて上演される。
舞台は2020年の東京オリンピックでカバディが正式種目となり、そこで活躍した面々が2030年のとある田舎町で再会して新たな人生を始めるというストーリー。作に丸尾丸一郎、演出に菜月チョビ、音楽にオレノグラフィティと鹿殺しにはなくてはならないコンビが帰ってきて嬉しいかぎりだが、客演陣も豪華で、椎名鯛造、小澤亮太、ダンスカンパニー「梅棒」主宰の伊藤今人の参加も決定している。
そこで本作に出演する椎名鯛造にインタビューをすることができた。劇団への熱き想い、俳優仲間である鈴木拡樹のことまで語ってもらった。

取材・文 / 竹下力 撮影 / 岩田えり


カバディというスポーツと2030年の世界をどうやって融合させていくのか楽しみ

まずは、待望の“劇団鹿殺し”の本公演、新作の『傷だらけのカバディ』に参加される気持ちを聞かせてください。

最初に声をかけていただいたときは嬉しかったです。オファーをいただいたはずなのに、僕のほうから「ぜひ出させてください」と変なお答えをしてしまったぐらいで(笑)、本当に光栄です。

椎名鯛造 エンタメステーションインタビュー

“劇団鹿殺し”の作品をご覧になったことがあるそうですね。

“劇団鹿殺し”の作品は『岸家の夏』(2011)や『名なしの侍』(2016)など何作品か観ていて、役者をして作品に触れると職業柄冷静に観てしまう癖があるのですが、そんなことは忘れてしまうほどストーリー展開にスピード感があって、ひたすら楽しいと思いました。

今作は2020年のオリンピックでカバディが正式種目になり、主人公たちにひと波乱があって、その10年後を描くということですが、作品への印象はありますか。

どういった作品にするのか丸さん(丸尾丸一郎)から話を聞くと、どんなにつらいことがあっても何度も立ち上がることができる勇気を与えられる作品にしたいとおっしゃっていて、そこから、カバディという日本人にとってあまり馴染みのないスポーツと2030年の世界をどうやって融合させていくのか楽しみです。架空の世界ですから僕らはやりたい放題で、おそらく“劇団鹿殺し”がやりたい放題の舞台をつくればとてつもなく面白いことになるので(笑)、脚本を早く読みたいです。

椎名鯛造 エンタメステーションインタビュー

やりたい放題の楽しさとは?

描かれるのは、2020年から10年後の日本ですから、もしかしたら、日本で第三次ベビーブームが起きてしまう世界かもしれないし、子供が多くてカバディが注目されていることもあり得ますよね。想像の世界ではどんなお芝居もできる自由度があると思います。

そういった舞台で演じるうえで気をつけたいことはありますか。

できるだけニュートラルでいるように心がけています。それぞれの役者が自由になりすぎると収拾がつかなくなってしまうので、演出家が言った幅の中で、自由に遊べるようにしたいです。個を出しすぎないようにしながら、萎縮しないように、バランスを保って演じたいと思います。

椎名鯛造 エンタメステーションインタビュー

丸さん(丸尾丸一郎)は言いたいことを包み隠さずに言う人

脚本の丸尾さんとは『家庭教師ヒットマンREBORN!』the STAGE(2018)のときにご一緒していますね。

“REBORN!”のときは演出家としてご一緒しましたが、丸さんは言いたいことを包み隠さずおっしゃる方で。出身が大阪なので関西のノリがあって、僕は岐阜県出身で吉本新喜劇を観て育っているので、そのノリがよくわかるので共感できます。

その当時の思い出はありますか。

丸さんも僕のことをそれほど知らない時期でしたが、アクションをするシーンがあって、さわりだけアクションをしたときに「動けるんだね」と優しくおっしゃってくださったのが、本気ではない状況なのに僕が何をしたかったのか汲み取ってくれたと思うと感動しました。そこから、アクション監督がいない状況になると「周りの役者のアクションを見ておいて」と任されだして、「アクションリーダーはお前だ」と託されたような気分がして嬉しかったです。

椎名鯛造 エンタメステーションインタビュー

今回、ご自身が演じる役について言われていることはありますか。

丸さんからは「特攻隊長のように元気のいい役」と言われて、個人的には演じやすいです。クールでカッコいい役よりも元気な役を演じたいので、きっと面白いお芝居になるので期待してください。出演もする丸さんから「ふたりでバカ騒ぎをするシーンが描きたい」とおっしゃっていただいたので、丸さんと元気いっぱいに演じたいです。

椎名さんもおっしゃったように、脚本の丸尾さんが役者としても舞台に出演しますが、役者としては気になるものですか。

“ANDENDLESS”主宰の西田大輔さんも、脚本も書いて演出もして、演者でもあるという方でしたが、舞台上でご一緒したときも特に意識はせずに、ひとりの役者として対等に接することができました。今作も脚本を書いているのは丸さんだけれど、舞台上で台詞を交わすときは噛み砕いて自分の言葉として発しているはずなので違和感はないと思います。

椎名鯛造 エンタメステーションインタビュー

菜月チョビさんは伝えたいことだけを明確に伝えてくれる方

今作の演出は“劇団鹿殺し”にはなくてはならない菜月チョビさんになります。

初対面は“劇団鹿殺し”の作品を観たときに楽屋に案内されて、知っている役者と話をしているときだと思います。コミュニケーションを積極的に取らずに、伝えたいことだけを明確に伝えてくれる方だと思いました。そこから幾度かお話をさせていただくと、そのイメージはありつつも、仲間になったら信頼してくれるだろうという印象を受けて頼もしかったです。演出はとにかくスピード感があるので、今作ではどのような演出をされるか興味がありますし、初めて演出を受けるので未知なところがあるぶん、目一杯楽しめればいいと思いながら今からワクワクしています。

ご自身が劇団に入って演じることの面白さはありますか。

これまで“少年社中”や“ANDENDLESS”などの劇団の舞台に出演したのですが、とても刺激的な経験でした。劇団ごとに色が違って、演出家がすべてを握っている劇団もあれば、劇団員が自由に演じているところを演出家がまとめたり、それぞれにカラーがあるので劇団の舞台に出演できることは嬉しいです。

椎名鯛造 エンタメステーションインタビュー

椎名さんご自身も劇団に憧れがあるんですね。

ありますね。演劇の世界を知らないまま東京に出てきて、初めて観た舞台が小劇場だったので、「こういう世界があるのか」という驚きから始まって、劇団のことを知ることになりました。劇団は“ただいま”と言える場所だと思うので憧れていたんです。役者は個人事業主ですから、毎日同じオフィスに行って会社仲間がいる世界ではないので、役者にとって帰る場所がある劇団という存在はありがたいですよね。

“劇団鹿殺し”に参加してみるとまた違う体験になりそうですね。

新たな挑戦になるはずなので稽古を心待ちにしています。劇団の方にはこういうお芝居ができる役者だと思っていただければ嬉しいですし、今作ではそんな存在でありたいです。

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