Interview

荒木宏文&有澤樟太郎の“結婚観”とは? “ムズキュン”必至の朗読劇・恋を読むvol.2『逃げるは恥だが役に立つ』開幕間近!

荒木宏文&有澤樟太郎の“結婚観”とは? “ムズキュン”必至の朗読劇・恋を読むvol.2『逃げるは恥だが役に立つ』開幕間近!

昨年初演され大ヒットを記録した《恋を読む》シリーズ第1弾の朗読劇『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』は今年3月に早くも再演を迎え、新たなファンを生んだが、その《恋を読む》シリーズの第2弾にあたる『逃げるは恥だが役に立つ』が、10月2日(水)よりヒューリックホール東京にて上演される。
原作は、夫=雇用主、妻=従業員の“契約結婚”という選択をした男女が、従来の価値観にとらわれることなく仕事や夫婦のあり方に向き合っていく海野つなみの漫画で、テレビドラマ化もされ“逃げ恥”ブームを巻き起こしたのは記憶に新しい。
今作でも三浦直之(ロロ)ら新進気鋭の若手クリエイティブ陣が集結。個性豊かな4人のキャラクターを、様々な分野で活躍するトップランナーが日替わりで演じる。
そこで出演日は違うものの、同郷で共演歴もある津崎平匡を演じる荒木宏文と風見涼太を演じる有澤樟太郎にインタビューをした。

取材・文 / 竹下力 撮影 / 冨田望


気負わずに僕のできる精一杯をやりたい

原作もテレビドラマも大ヒットし、社会現象になった“逃げ恥”ですが、今度は朗読劇として豪華なメンバーが集います。

荒木宏文 《恋を読む》シリーズのvol.2ということで、前作が成功したから今回があるので、その期待を超えないといけないプレッシャーがあります。とはいえ、“逃げ恥”の人気もあったからこそ選ばれた作品で、朗読劇として上演されると決まっただけで周りに評価をいただいているから少しだけ安心しているところもあるので、気負わずに僕のできる精一杯をやりたいと思います。

有澤樟太郎 僕は今まで恋の物語でお芝居をしたことがなくて、役者を続けてきて挑戦してみたかったジャンルだったので、お話をいただいたときは嬉しくて、今作を経て役者として新しい世界が見えると信じています。僕の出演する日には、素晴らしい声の持ち主の濱田めぐみさんもいらっしゃるので、いったいどうなるのかワクワクしながら稽古をしています。

恋を読むvol.2『逃げるは恥だが役に立つ』 荒木宏文 エンタメステーションインタビュー

荒木宏文

なぜ、“逃げ恥”がここまで多くの人に愛されていると思いますか。

荒木 現実の恋愛や結婚の面倒くさいところを省きながら、恋愛の美味しいエッセンスを抽出してつくられているので、原作の読者に憧れや夢を抱くことができるスペースが生まれるからだと思います。“契約結婚”を描いている作品ですが、リアルにしてしまえば、もっと難しい問題が出てくるし、フィクションとして描くことであえてリアルさを追求しなかったことが“胸キュン”に繋がって、多くの人に受け入れられたと思います。「そんな契約があればいいな」という多くの方が抱く願望も描かれているので、共感を持って迎えられたと思います。

有澤 単純に胸が“キュンキュン”するのが大きい理由だと思います。実際に脚本を読んで稽古をしたのですが、原作の話がキュッと詰め込まれていて、稽古中に相手の朗読を聞いていてもドキドキします。仕事として家事代行サービスを始めた女性が“契約結婚”をしてしまうお話で、ある種の運命の出会いを描いている点も重要だと思います。僕もマンションのポストに家事代行サービスのチラシがあったりするので(笑)、誰しもに起こり得る日常のお話を描きながら、奇跡のような出会いが起こることが多くの人を惹きつけている要因だと思います。

恋を読むvol.2『逃げるは恥だが役に立つ』 有澤樟太郎 エンタメステーションインタビュー

有澤樟太郎

人生のターニングポイントを描いたお話

荒木さんは津崎平匡(つざき・ひらまさ)を有澤さんは風見涼太(かざみ・りょうた)を演じますが、どんなキャラクターだと思いますか。

荒木 平匡は効率的な生き方を選択する理数系男子ですね。仕事一筋で、自らがどう生きていくかプランを計画的に立てる性格なので、人生に邪魔なものとして省いていったものが“恋愛”だった。ライフスタイルの波長に合うパートーナーを見つける作業が非効率的だったからこそ、ひとりで生きていく選択をして、異性との交流も芽生えなかった。それがヒロインである森山みくりに出会うことで他者と触れ合う大切さに気づかせてもらうんです。これまで自分の思いどおりにならない人ばかりと出会っていたのに、初めて自分が求めている以上のことをストレスなく返してくれる相手と出会い、徐々に心を開いて他人にも興味を持っていくので、平匡の成長物語としても描かれているし、人生のターニングポイントを描いたお話だと思います。

有澤 僕の演じる風見涼太は、原作ではハイスペック系イケメンという……。

荒木 その呼び名は面白いね(笑)。たしかに、(有澤)樟太郎のイメージに合ってる。

有澤 そんなことないですよ!(笑)平匡の会社の同僚で、一見すると正反対の性格に見えるのですが、恋愛に興味がないのは共通しています。ただ、煩わしいから恋をしたくないと思っていたはずなのに、最終的には恋をするキャラクターなので、感情が揺れ動く人間味のある人物だと思います。今の段階では原作で描かれたハイスペック感をどうやってお芝居で伝えていくか考えています。

恋を読むvol.2『逃げるは恥だが役に立つ』 有澤樟太郎 エンタメステーションインタビュー

平匡と涼太はヒロインのみくりと一種の三角関係のようになったりします。平匡と涼太にとってみくりはどんな存在ですか。

荒木 自分の仕事を効率的にするために家事代行サービスを探していただけなのに、みくりと出会って期待以上の答えを出してくれて、彼女がきらきら光る感性の持ち主だと理解し始めて次第に惹かれていくので、魅力的な存在です。平匡にとっては、恋愛はゼロからのスタートで、経験もないので知識がなかったし、会社の同僚たちにアドバイスをされるだけ。ある意味、自分の価値観で生きてきたのではなくて周りに流されて生きてきたとも言えて。それを打ち破るのがみくりだと思います。

有澤 おっしゃるように一瞬だけ平匡と涼太とみくりは三角関係になるのですが、決してそうとも言えなくて、最初から恋愛感情はないし、恋愛の対象でもなかった。平匡をうらやましく思って彼女を家事代行サービスとして呼んでしまうのですが、涼太はみくりの性格に影響を受けて徐々に新しい恋を見つけていきます。恋人としてよりも、ひとりの女性として尊敬していると思います。

恋愛とは結婚までに積まなければいけない経験値

原作やテレビドラマを観ていると、恋愛の本質が垣間見える気がします。

荒木 そうですね。僕は、恋愛とは結婚までに積まなければいけない大切な経験値だと思っています。結婚は自分だけの幸せを終える行為だとさえ思っていて、子孫を育てるためには人生を捧げないといけないから、自分の願望を持った時点で子供たちに100パーセントの愛情を注ぎ込むことができなくなってしまう。なので、恋愛をする期間を終えるまでに、恋をたくさんして、生涯の相手を見つけられたら幸せですね。恋愛は人間にとって本当に幸せになるための準備期間だと思います。

有澤 僕は恋愛とは青春だと思っていて、僕自身はずっと青春をし続けたいので、平匡とみくりが“契約結婚”をするのは驚きますし、まだ僕にとって結婚はどこか遠い存在なんです。いつまでもそういう恋愛はできないとはいえ、中高生のときの恋愛は楽しかったですよね。だから、荒木さんがおっしゃったように、これでもう恋愛は終わりという位置に辿り着いた瞬間に、決してネガティブな意味ではなく、人は新しく成長するためのスタートラインに立つのかもしれません。

恋を読むvol.2『逃げるは恥だが役に立つ』 荒木宏文 有澤樟太郎 エンタメステーションインタビュー

今作は朗読劇ですが気をつけたいことはありますか。

荒木 演出家にもよりますが、役者はまず“朗読劇”と“演劇”の違いを認識する必要があると思っています。朗読劇でも脚本から目を離す演出をつけられる方がいらっしゃるのですが、そうすると脚本を読みながらお芝居をしている視覚的な必然性が削られるので、「目の前の役者は稽古日数がなかったから脚本を持ったままお芝居をしている」と誤解を抱かれてしまうと朗読劇は負けになってしまう。なので、まずは“朗読劇”というお芝居をつくり上げることを意識しています。

有澤 僕も朗読劇に出演するときは家で脚本を読み返さないようにしています。とはいえ、初めての朗読劇はどういったやり方がいいのかわからず緊張していました。稽古時間も普段出演する舞台にすれば少ないですし、文字を読んでいるとつい早口になってしまう心配も出てくるのですが、経験を積んでいくと声だけでモノローグとダイアローグを成立させたり、声色で演じ分けることも楽しくなっていく。朗読劇はなによりその場でできることを楽しんで、新鮮な気持ちで舞台に立つことが大切だと思います。

恋を読むvol.2『逃げるは恥だが役に立つ』 荒木宏文 エンタメステーションインタビュー

朗読劇の魅力は、舞台でしか味わえない緊張感や匂いを声だけでリアルに伝えられること

“朗読劇”の魅力は何だと思いますか。

荒木 朗読劇の魅力は、舞台でしか味わえない緊張感や匂いを声だけでリアルに伝えられることだと思います。動いていない絵や見えないはずの景色をお客様の中でどんどん膨らませることができるのは朗読劇ならではだと思います。

有澤 僕もそう思います。僕が出演した朗読劇の『陰陽師』(2017)のときは、声優の釘宮理恵さんとご一緒したのですが、声を職業にされている方は、声色だけで何役も演じ分けられるし、声で生々しさを伝えるお芝居が想像力をかき立ててくれて驚きました。今回はキスや手を繋いだりハグといった具体的な行動を声だけでお客様に想像させなければいけない。キュンキュンさせる仕草をお客様にリアルに感じていただけるお芝居を心がけたいですね。

技術的な部分で特徴はありますか。

荒木 いわゆる“演劇”の舞台と違うのは、身体でごまかしがきかないところです。演劇の場合は、台詞がないときも表情や身体の緊張感で空気をお客様に伝えているのですが、朗読劇は、脚本を持ちながら少し下を向くので、ト書きに書かれていないかぎり、表情をお客様に見せることがない。なので、声の深みや広さですべてを表現することが重要になります。そういった技術は演劇に必要な要素でもあるので、朗読劇に出演できることは僕自身の課題も見つかるので、役者にとってありがたいですね。

有澤 とにかく言葉を聞き取りやすくすることです。僕は朗読劇で力が入ると、脚本に顔が埋まってしまうぐらい前のめりになる癖があって。

荒木 わかる! そうなるよね。

有澤 感情的なシーンになると、あきらかに顔が見えなくなってしまって(笑)。朗読劇なので顔を見せる必要はないのですが、姿勢を戻してしまうと素に戻ってしまうし、共演者の声を聞いているときの芝居もどうしたらいいのか考えながら朗読しています。朗読劇は“聞く芝居”だと言われますし、上手な人は共演者の声を聴きながらきちんとリアクションをとることができるので真似をしてみたいですね。

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