HEATWAVE結成40周年企画  vol. 2

Report

HEATWAVE アルバム制作の過程をオーディエンスも体感。無敵のトリニティが織りなす音楽が生まれる瞬間

HEATWAVE アルバム制作の過程をオーディエンスも体感。無敵のトリニティが織りなす音楽が生まれる瞬間

HEATWAVE結成40周年企画第2弾
HEATWAVE SESSIONS 2019 “the boy 40”
2019年9月23日(月・祝)渋谷duo MUSIC EXCHANGE

HEATWAVE結成40周年企画第2弾は、9月23日に渋谷duo MUSIC EXCHANGEで行われた「HEATWAVE SESSIONS 2019 “the boy 40”」の様子をお届けする。これは、制作途中の新しい曲を、オーディエンスの前で演奏することでブラッシュアップさせていくという、卓越した技量も覚悟も試される、選ばれたバンドにしかできないライヴだ。それぞれのメンバーが響き合いながら、グルーヴが織りなされていく様は、バンドの醍醐味に溢れ、まさにHEATWAVEの真骨頂。大半がニュー・アルバムに収録される新曲で、今現在のバンドが浮かび上がると同時にアルバムへの期待が高まる。“HEATWAVE 40th Anniversary Tour 2019”も全会場発表され、ツアーへの期待も膨らむなか、HEATWAVEのライヴの魅力を紐解いてみる。

取材・文 / 平山雄一 撮影 / 三浦麻旅子


制作中のアルバムに収録予定の新曲が大半。それを聴いてもらい、制作に反映させるチャレンジングなライヴ

「HEATWAVE SESSIONS 2019 “the boy 40”」と題されたライヴだ。HEATWAVEが誕生して40周年。バンドにとってのお祝いとして、新しいアルバムを作ることを選んだのは、実にHEATWAVEらしい選択だ。

この日のセットリストは、制作中のアルバムに収録予定の新曲が大半を占める。それをファンに聴いてもらい、制作に反映させようという、何ともチャレンジングなライヴ。ファンもそのことを承知のうえで会場に詰めかけている。

新曲をいち早く聴きたいという純粋なファンとしての欲望と、聴いたことのない新曲ばかりの緊張を強いられるライヴに臨むという冒険心が混じり合って、開演前のduo MUSIC EXCHANGEはザワザワしている。

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40年間の中での節目のときに作った優しい雰囲気の曲を、オープニングに

細海魚、山口洋、池畑潤二の順でステージに入ってくる。この日のドレスコードなのか、細海はキャップ、山口はワークキャップ、池畑は中折帽をかぶっている。

位置に着くと山口がアコースティック・ギターでアルペジオを弾き始めた。そのアルペジオの三連符にピタリと合わせて、池畑のドラムがフィル・インする。ふたりの音を、すぐに細海のオルガンが包む。1曲目は「フリージア」。2007年のアルバム『land of music』の収録曲で、この時期、HEATWAVEはレコード会社との新しい関係を模索していた。

40年間の中での節目のときに作った優しい雰囲気の曲を、オープニングに選んだのは、“新曲ライヴ”をリラックスしてスタートさせたいという意図があったのだろうか。途中のギター・ソロも緩急が付いていて素晴らしく、まずは会場がなごんだのだった。

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ギター・ソロはピッキング・ハーモニックスを多様して、感情の深いところを刺激する

「よく来たね。今年最後の“HEATWAVE SESSIONS”です。今日、やるのは、みんなが知らない曲ばかりです。家族の歌を書いたので、それを歌います」

新曲第1弾の「OPEN」は、ゆったりしたアコギのコード・ストロークから始まった。池畑のドラムは、スネアのタイミングでハイハットを抜く、ストーンズのチャーリー・ワッツ・スタイルだ。語りのような歌からスタートして、“いったい なぜこの世界に生れてきたんだろう”と歌いかける。ギター・ソロはピッキング・ハーモニックスを多様して、感情の深いところを刺激する。さらにはスライドバーを指にはめて、ブルージーな展開に持っていく。歌は“家族っていったいなんだろう 楽しくて……切なくて”と続く。思っていた以上にジェントルな新曲だった。

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池畑のキックドラムが、ベースのように聴こえてくる。ベースがいなくとも、これほど豊かな音楽が生まれるのだ

「楽しんどる? 大人なんだから、ダイブとかモッシュとか、やれるもんならやってみな(笑)。新しく出したシングルをやります」と、次は「HEAVENLY」。細海の浮遊感のあるエレピが、70年代初頭のアメリカのフォークロック・グループ“Youngbloods” を彷彿とさせる。池畑のキックドラムが、ベースのように聴こえてくる。ここで初めて、「ああ、HEATWAVEはベースのいないバンドなんだ」ということを思い出した。ベースがいなくとも、これほど豊かな音楽が生まれるのだ。

この2曲を聴いて、新作はきっと情感溢れるアルバムになるのだろうなと思っていたら、山口はグレッチのエレキ・ギターに持ち替えて、池畑のスネアのリムショットとシェイカーに合わせてギターリフを弾き出す。リズミックな新曲「コンプライアンス」だ。歌詞は“右でも左でもなく”など社会性を帯びているが、活き活きしたリズムのおかげで楽しく盛り上がる。エンディングは派手なものになった。

「ほんとはこんな曲じゃないんだけど(笑)、みんなのおかげで熱くなった。それでいいんだよ」と山口。新曲を録音して発表する前にオーディエンスに聴いてもらうのは、自分でも気づかない楽曲のエネルギーや方向性を見つけるためでもあるようだ。思いがけない反応に、歓びを隠さない山口の姿がそこにあった。

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オーディエンスから声が上がる。火の出るような歌と演奏で、第一部は終わった

そのお返しのように、人気曲「BLIND PILOT」をはさんで、前半の最後に「夢に取り組んでみよう」を歌う。その前に山口が話す。

「8年くらい前にアメリカで、ブルース・スプリングスティーンの『Working On A Dream』を聴いたとき、俺の耳には“あなたがいくつであれ、夢に取り組んでみよう”って入ってきた。まさかそれを俺が歌うとは思ってなかったけど、それぞれの夢に取り組んで欲しい」。

ギターアンプはフィードバックが起こるほどボリュームが上げられ、ロッカバラードのリズムがパワフルに会場を揺らす。“取り組んでみよう”と何度も繰り返し歌う山口に、オーディエンスから声が上がる。「コンプライアンス」を上回る、火の出るような歌と演奏で、第一部は終わった。

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「みんなのおかげだよ、40周年をやれると思わなかった。この40年間は、俺にとってまばたきするくらい一瞬だった」

15分ほどのインターバルをはさんで、第二部が始まる。

「楽しんでる? みんなのおかげだよ、40周年をやれると思わなかった。ただ、周年としてこれまでHEATWAVEに関わった人をゲストに呼んでライヴをやることは考えなかった。それより新しいアルバムを作って、ちゃんとライヴをやろうと思った。12月に日本橋三井ホールでやります。みんなの高齢化が止まらないから、椅子、あるよ(笑)。今回のアルバム作りで、一番最後に書いた曲をやります。この40年間は、俺にとってまばたきするくらい一瞬だった。“40years in a blink”。それを聴いてくれよ」と山口。
“一瞬を積み重ねて 永遠と続く”と歌うこのブルースロック「BLINK」は、最後に書かれただけあって、非常にテンションの高い一曲だった。強い感動を残して、その歌詞のとおり、あっという間に終わった。

「今度のアルバムはソリッドなものにしたくて、ストーンズの『Some Girls』や『Emotional Rescue』のように、一曲一曲が短い。昔のカセットテープの46分に入りきるのが目標。って言いながら、次にやるのは長い曲(笑)。遠藤ミチロウさんが『この歌を広めてくれ』って言ってた」と、ミチロウの故郷である福島の民謡「相馬盆唄」をカバーする。山口はギターをブズーキに持ち替えて、三味線のように弾き、今年亡くなったミチロウに捧げたのだった。

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「今日もたくさん実験させてくれて、ありがとう。12月にはニュー・アルバムを届けます」

ここからは新曲を立て続けに5曲。山口のコメントのままに、短くて狙いのはっきりした曲が並ぶ。兄弟愛について言及して歌った「BROTHERHOOD」では、昨年、バンドを去った渡辺圭一のことがふと頭をよぎる。

友達が教えてくれた言葉、“空(くう)”についての「NOTHING OR EMPTY」、細海が素晴らしいシンセ・ソロを披露した「君をこえて」、悩み相談されることにウンザリして書いたという「ぜんぶイチからやり直せ」など、パンチとウィットに富んだ佳曲が続く。引き締まったアルバムに期待が膨らむ。

「あー、すっきりした! 今日もたくさん実験させてくれて、ありがとう。明後日からスタジオに入って、あと3曲録って、12月にはニュー・アルバムを届けます。最後の曲は、アルバムの1曲目にする予定。でもまだ録ってない。今どき、こんな曲を書くのは、山口洋か佐藤タイジか(笑)」。第二部のラストは「FREEDOM」だった。自由を叫び、ワイルドなギター・ソロを決める。きっと力強いアルバムのオープニングになることだろう。

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よりソリッドにメッセージを伝えるHEATWAVEに、充実した40年間を見た

アンコールは「知ってる曲をやるからね」と「銀の花」や「CARRY ON」などでオーディエンスを楽しませる。それでも1曲だけ、新曲を織り交ぜる。“また逢えたらいいね 最後の言葉はそれがいいね”と歌う「私がこの世から消える日」が終わると、大きな拍手が巻き起こった。

これらの新曲がニュー・アルバムにそのまま収められるとはかぎらないが、よりソリッドにメッセージを伝えるHEATWAVEに、充実した40年間を見た思いのするライヴだった。

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HEATWAVE SESSIONS 2019 “the boy 40”
2019年9月23日(月・祝)渋谷duo MUSIC EXCHANGE

SET LIST

01.フリージア
02.OPEN(新AL収録予定曲)
03.HEAVENLY(新SG収録曲)
04.コンプライアンス(新AL収録予定曲)
05.BLIND PILOT
06.夢に取り組んでみよう(新AL収録予定曲)
07.BLINK(新AL収録予定曲)
08.相馬盆歌
09.BROTHERHOOD(新AL収録予定曲)
10.NOTHING OR EMPTY(新AL収録予定曲)
11.君をこえて(新AL収録予定曲)
12.ぜんぶイチからやり直せ(新AL収録予定曲)
13.FREEDOM(新AL収録予定曲)

EN1.銀の花
EN2.私がこの世から消える日(新AL収録予定曲)
EN3.CARRY ON
EN4.LOST HIGHWAY

HEATWAVE

山口洋(vocal,guitar)、細海魚(keyboard)、池畑潤二(drums)。
1979年、福岡にて山口洋を中心に結成。以来アルバム14枚、ミニアルバム3枚、ベスト盤1タイトル、セルフカヴァー・アルバム1タイトル、BOXセット3タイトル、ライヴ盤7枚を発表。1995年発表のアルバム『1995』には、阪神・淡路大震災後に作られた「満月の夕」が収録され、多くのミュージシャン、幅広い世代に現在も歌い継がれている。2018年3月に渡辺圭一が脱退し、その後3人で新生HEATWAVEとしての活動を開始。バンド結成40周年となる今年、これまで以上に精力的にライヴとレコーディングを行っており、最新シングル「HEAVENLY」がライヴ会場および通販で発売されたばかり。11月からはHEATWAVE結成40周年全国ツアーがスタート。ファイナルは12月22日、東京 日本橋三井ホールに決定した。ニュー・アルバムも12月にリリース予定。

オフィシャルサイト

ライブ情報

HEATWAVE 40th Anniversary TOUR 2019

11月10日(日)高松オリーブホール Supported by RUFFHOUSE
11月16日(土)長野ネオンホール Supported by NEONHALL
11月17日(日)仙台 CLUB JUNK BOX Supported by smoke / VORZ BAR / そば食堂やぶ信
12月6日(金)福岡 Drum Be-1
12月13日(金)大阪 バナナホール
12月22日(日)東京 日本橋三井ホール
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山口洋(HEATWAVE)the boy 40 tour

10月10日(木)福島県いわき市 Music Bar burrows(バロウズ)
10月12日(土)岩手県奥州市 おうちカフェMIUMIU(ミゥミゥ)
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リクオ スペシャル・ライブ「グラデーション・ワールド」 *ゲスト出演

11月26日(火)下北沢 GARDEN
出演:リクオ with HOBO HOUSE BAND
ゲスト:古市コータロー(ザ・コレクターズ)/ 山口洋(HEATWAVE)ほか
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SMILEY’S CONNECTION~ノイズホテル TOKYO~

12月8日(日)渋谷 LOFT HEAVEN
出演:フルノイズ(from 福岡)、山口洋(HEATWAVE)、百々和宏 with有江嘉典
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