SPITZ ニューアルバム『見っけ』発売記念特集「私とスピッツ」  vol. 2

Interview

小学生から現在までスピッツに魅了され続ける男、ハライチ・岩井勇気が語る。「局所的に僕に刺さる」

小学生から現在までスピッツに魅了され続ける男、ハライチ・岩井勇気が語る。「局所的に僕に刺さる」

スピッツ3年ぶり・16作目のニューアルバム『見っけ』のリリース(2019年10月9日)を記念して、スピッツ・フリークの表現者たちに「私とスピッツ」について語っていただく特集の第二回です。
前回の上白石萌歌に続いてオファーを受けてくれたのは、岩井勇気。ハライチの「ネタを作ってる方」だったり、アニメにも造詣が深かったり、コンビでもピンでもレギュラーのラジオ番組を持っていたり、愛猫家でもあったり、『ゴッドタン』では「腐り芸人」のオリジネーターとして脚光を浴びたり、9月26日に初の著書『僕の人生には事件が起きない』を上梓したばかりだったり──と、実に多様なこの方、スピッツについても、いや、「ついても」じゃない、「ついては特に」超ドープでした。以下のインタビューで、スピッツの歌詞を1ブロックくらい口にしている箇所がありますが、彼はそれ、なんにも見ずにしゃべっています。

取材・文 / 兵庫慎司 撮影 / 荻原大志


初めて観たスピッツは、大宮アルシェの公開収録

スピッツとの出会いはいつ頃ですか?

最初は、小学生の時に、母親がクルマで流してたのを、とにかく聴いてたっていう記憶はあります。母親がスピッツ好きで、その頃ヘビーローテーションでかけてたのが、『インディゴ地平線』だったんですけど。小学校3~4年とか、そんなもんじゃないですかね。それで僕も好きになって。『フェイクファー』ってアルバムが、そのあとですね。そこからさらにはまって、母親も僕も。このふたつはいちばん聴いたかもしれないですね。アルバムをループして聴いていたから、曲順も憶えてます。歌詞も全部憶えてるな。

岩井勇気 エンタメステーションインタビュー

その二作以降はどうなるんでしょうか。

以降は、お小遣いをもらえるようになったんで、買ってました。母親が買った『インディゴ地平線』と『フェイクファー』のあとに『ハヤブサ』が出たんですけど、それは自分で買ったのを鮮明に憶えてます。お小遣いで「買った!」っていう(笑)。大宮アルシェだったと思うんですけど。買って、まずパッケージを開けて、「うわ、どんなんだろう?」ってワクワクしながら聴いた記憶があって。そこからさかのぼって全部買いましたね。

岩井少年はよくCDを買う子だった?

いやいや、スピッツだけです。『ハヤブサ』の前に「ホタル」のシングルCDを買ったんですね。これも大宮アルシェで、予約して、発売当日に買いに行ったら……大宮アルシェにNACK5のブースが入ってるんですけど、そこに公開収録でスピッツが来る、CDを買うと観覧券が当たる、という。で、当たったんですよ。学校を休んで観に行って。ライブより近いぐらいの距離で、ブースの目の前で……来てる人は、だいたい大人で、中学の男は僕ぐらいしかいなくて、緊張しながら観た記憶が。しかも別に曲をやるわけじゃないから、トークを聴くっていう。それが初めて生で観たスピッツ(笑)。

初めて生でライブを観たのは?

大人になってからですね。20歳すぎたぐらいだったから、もう芸人にはなってました。大宮ソニックシティで、「初恋クレイジー」を最初に歌ったんですよ。それが初めてライブで観たスピッツでしたね。メンバーが出て来た時に、なんか「あ、ほんとに来たじゃん!」って思いましたね(笑)。それまで信じられなかったんでしょうね、なんか。

岩井勇気 エンタメステーションインタビュー

ライブはよかったですか?

めちゃくちゃよかったです。知らない曲なんてひとつもないし、歌詞も全部わかるし。中学の時に『ハヤブサ』より前のアルバムと『RECYCLE Greatest Hits of SPITZ』、それを全部MDに落として……僕は放課後サッカークラブに通ってたんですけど、行き帰りに毎日聴いてましたから。

そこからライブもよく行くようになる?

毎年行ってましたね、ツアーは。

チケット、よく取れましたね。

ファンクラブに入っていて。母親も妹も入ってるから、誰かがチケットを取れる、みたいな(笑)。今度のツアーのチケットも、12月の横浜アリーナ、当たりました。

岩井勇気 エンタメステーションインタビュー

『見っけ』の試聴会で、「ラジオデイズ」で目頭熱くなってきて

いちばん好きなアルバムは? って言われたら、どう答えます?

『インディゴ地平線』『フェイクファー』が、一番思い出には残ってるんですけど……『惑星のかけら』ですかねえ。

4枚目ですね。

「ロビンソン」とか「チェリー」で世に出たあとの曲は、わりとキャッチーな感じの曲もあるんですけど、『惑星のかけら』は一番ロックだなって思います。「惑星のかけら」「ハニーハニー」「オーバードライブ」……すごいゆったりしてるのに、ギターをかき鳴らしたり、激しい演奏が多くて。歌詞も、ロックな曲に、草野さんの空想する世界観の歌詞が乗っかってる、みたいなのが多くて。それがすごくスピッツっぽいなあって思います。

じゃあ、いちばん好きな曲は? っていうのは難しいでしょうから、「今日いちばん好きな曲は?」だったら答えられます?

うーん……最近は全曲シャッフルで聴いてるんですけど。めちゃくちゃ聴いてる曲ばかりなんで、普段はサラッと流してるんですけど、この曲が流れたらちょっと聴き入っちゃうな、っていうのが「歌ウサギ」ですね。歌詞が「何のことを言ってるんだろう。」とドキッとすると言うか。「『何かを探して何処かへ行こう』とか そんなどうでもいい歌ではなく」って、よく聴くと攻めたことを言ってるなあ、と感じるところとか。
そういう意味で、「グリーン」って曲も聴いちゃいますね。テレビに出てて、「なんか嘘っぽいなあ」とか、「何がおもしろいんだろうなあ」って思うことが結構あるんですけど、この曲に、そういう気持ちが乗っかっちゃうんですよね。二番の歌詞の「コピペで作られた 流行りの愛の歌 お約束の上でだけ 楽しめる遊戯 唾吐いて みんなが大好きなもの 好きになれなかった」っていう後に、「可哀想かい?」ってひとことがあるんですけど。みんなが好きなものを好きになれないっていう、一見不便なようなことも、こう終わることによって、ひとつも気にしてない感じになるじゃないですか。そこが好きです。

岩井勇気 エンタメステーションインタビュー

わりと最近の曲ですけど、きっと中高生の頃の岩井さんよりも──。

今、刺さってますね。この取材があるってことで、新しいアルバムの試聴会に行ったんですけど、「ラジオデイズ」っていう曲も、すごい刺さりましたね。

ああ、自分もラジオをやってるから。

そうですね。ほんとに歌詞が全部刺さりました。スピッツって、決してわかりやすい歌詞ではないじゃないですか? でも、わかりやすくないがゆえに、局所的に僕に刺さる、みたいな。ラジオを聴く側の気持ちで書かれた曲に聴こえるんですけど……僕は昔からラジオを聴いてこなかった人間で、ただ、ラジオパーソナリティとして……歌詞が、喋る側のことを言ってくれてるような気がして。
僕はラジオをやり始めて、すごく仕事の道が拓けてきたようなところがあるんですよ。そこに凄く刺さったんですね、この曲が。試聴会で最前で聴いてたんですけど、同じ芸人のアキラ100%さんが隣に座っていて。この曲の途中で目頭熱くなってきて、アキラさんの方を向けなかったですもん。「うわ、こいつ感極まってる」てバレると思って。

草野マサムネにインタビューするとしたら、いちばん訊いてみたいことは?

うーん……私生活のことじゃないですか?(笑)。全然わかんないんですよね。ライブでも、三輪さんと崎山さんは自分の家での話とかもするんですけど、田村さんと草野さんは、ほぼほぼそういう話は出てこない。何が楽しいのかとか、何をおもしろがってるのかとか、時間あったら何をするのかとか、何を買った時にテンション上がるのかとか。っていうのを訊くと、曲がが違うように聞こえるのかなと思ったりして。クルマ運転すんのかなあ、移動とかどうしてるんだろう、とか……タクシーに乗ってるイメージも、湧かないですよね。それがいい、っていうのもあるんですけどね。ライブと歌詞だけでイメージが構成されてる、っていう。

岩井勇気 エンタメステーションインタビュー

「この曲、古いな」と感じる曲、全くないですからね

「優しいあの子」は、どう思われました?

『なつぞら』で……アニメーションにスピッツの曲が付いてるの、割と珍しいので。で、キャラクターのデザインが今どきじゃないのが、すごく合ってました。『ホッタラケの島』っていうCGアニメの映画があったんですけど、そのエンディングで「君は太陽」が使われてて(2009年)。僕はその曲を映画館で聴くためだけに、二回観に行ったんです。それも子供向けのかわいらしい世界観だったんですけど、その時も、スピッツと合ってるなあと思いましたね。

ニューアルバム『見っけ』、全体としてはいかがでした?

「ヤマブキ」は聴いたことあったんですよね、ライブで。アルバムは、すごい柔軟だなあって思いますね。現代のテイストを入れてるじゃないですか。打ち込みもやってみたりして。あのキャリアで、凝り固まってなくて、どんどんアップデートしていってるのは、すごいなって思いましたね。若いなあ!って(笑)。なんか、もう一回ブレイクしようとしているみたいな。別にずーっとブレイクしたまま下がってないのに。
おごってないというか、若手バンドと気持ちが一緒な感じがするんですよね。若手と対バンする時も、全然上からじゃないし。先輩バンドと後輩バンドみたいなやり取りじゃないんですよね。そのバイタリティが、このアルバムにもすごい出てて。
あと、300曲以上あるのに、「これ、昔のあの曲っぽいな」っていうのがないですもん。それがすごいですね。普通、売れた曲のテイストと近い曲とか作るじゃないですか。 それから──そもそもなんですけど──シャッフルして聴いてて、昔の曲が出てくると……音質は古い感じするんですけど、「この曲、古いな」と感じる曲、全くないですからね。たとえば1991年の曲、音質よくしたら今年でも全然いけるんじゃないの? みたいな。それがすごい。もはやスピッツという一つのジャンルの感じがしますよね。

岩井勇気 エンタメステーションインタビュー

これからのスピッツに期待することは?

うーん……『見っけ』を聴いて思ったのが……『醒めない』もそうですけど、「若返ってるな」みたいな感じがしたんですよね。どんどんスピッツというバンドを極めていくのかな、と前は思ってたんですけど、「いや、違うな」と。極めていくっていうよりは更新していく。「スピッツって、こういう音楽のバンドです」っていうのが、最新アルバムでアップデートされてる。「これもスピッツなんだ?」みたいな新しいスピッツを、毎回見せてくれる。今後もびっくりさせてほしい、っていうのは、僕はいつも思っています。


次回は奥貫薫さんが登場!
10月10日(木)17時掲載予定です。

ライブ情報

SPITZ JAMBOREE TOUR 2019-2020 “MIKKE”

2019年
11月30日(土)  静岡エコパアリーナ
12月05日(木)  武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナ
12月07日(土)  武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナ
12月08日(日)  武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナ
12月12日(木)  横浜アリーナ
12月14日(土)  横浜アリーナ
12月15日(日)  横浜アリーナ
12月27日(金)  マリンメッセ福岡
12月28日(土)  マリンメッセ福岡

2020年
1月18日(土)  大阪城ホール
1月19日(日)  大阪城ホール
1月28日(火)  大阪城ホール
1月29日(水)  大阪城ホール
3月28日(土)  YCC県民文化ホール(山梨県立県民文化ホール)
3月31日(火)  高崎芸術劇場
4月07日(火)  米子コンベンションセンター・BiG SHiP
4月09日(木)  広島文化学園HBGホール
4月10日(金)  広島文化学園HBGホール
4月14日(火)  宇都宮市文化会館
4月18日(土)  和歌山県民文化会館 大ホール
4月19日(日)  姫路市文化センター 大ホール
4月21日(火)  レクザムホール・大ホール(香川県県民ホール)
4月28日(火)  市民会館シアーズホーム夢ホール(熊本市民会館)
4月30日(木)  大分iichikoグランシアタ
5月05日(火・祝)名古屋国際会議場センチュリーホール
5月06日(水・振)名古屋国際会議場センチュリーホール
5月08日(金)  名古屋国際会議場センチュリーホール
5月12日(火)  金沢歌劇座
5月14日(木)  新潟県民会館
5月19日(火)  札幌文化芸術劇場hitaru
5月20日(水)  札幌文化芸術劇場hitaru
5月26日(火)  仙台サンプラザホール
5月27日(水)  仙台サンプラザホール
6月01日(月)  沖縄コンベンションセンター劇場棟
6月02日(火)  沖縄コンベンションセンター劇場棟
6月07日(日)  松山市民会館・大ホール
6月08日(月)  高知県立県民文化ホール・オレンジホール
6月12日(金)  山形県総合文化芸術館
6月14日(日)  リンクステーションホール青森(青森市文化会館)
6月21日(日)  帯広市民文化ホール大ホール
6月23日(火)  コーチャンフォー釧路文化ホール
6月29日(月)  大宮ソニックシティホール
6月30日(火)  大宮ソニックシティホール
7月05日(日)  福井フェニックスプラザ
7月06日(月)  滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール 大ホール
7月08日(水)  岡山市民会館
7月14日(火)  三重県文化会館大ホール
7月16日(木)  長良川国際会議場メインホール

SPITZ オフィシャルサイト
https://spitz-web.com/

SPITZ mobile(SPITZ オフィシャルモバイルサイト)
http://spimo.net


岩井勇気

埼玉県出身。ワタナベエンターテインメント所属。幼馴染の澤部佑と2005年に芸人コンビの「ハライチ」を結成。アニメラジオであるTBSラジオ「ハライチ岩井勇気のアニニャン!」パーソナリティーをはじめ、「ハライチ岩井勇気のアニ番」、「おはスタ」等、TV・ラジオのレギュラー多数。「TV Bros.」「小説新潮」でエッセイを連載。「小説新潮」でのエッセイは好評ののち終了し、9月に単行本を出版。

著書『僕の人生には事件が起きない』

著:岩井勇気
価格:本体¥1,200+税
出版社:新潮社

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