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大の男が感涙! 京アニ制作『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝』が紡ぐ姉妹の物語は物語前半から涙が止まらない

大の男が感涙! 京アニ制作『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝』が紡ぐ姉妹の物語は物語前半から涙が止まらない

2018年1月より放送された、京都アニメーション制作のTVアニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』。戦場で武器として戦ってきた感情を表現できない少女・ヴァイオレットが、手紙の代筆を行う仕事“自動手記人形”を通して「愛してる」の意味を捜し求める本作は、芸術ともいえるほどの作画と、観る人を作品の世界へと引き込ませる劇判が大きな話題に。何より、毎話異なる依頼人とヴァイオレットが紡ぐ感動の物語に、多くの人が釘付けとなって涙を流したはずだ。

そして現在、アニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の劇場作品となる、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 – 永遠と自動手記人形 -』が上映中。本来、9月6日より3週間限定での上映だったが、好評につき4週目以降も上映中だ。筆者も劇場で鑑賞したが、前半部分ですでに涙が止まらなかった。

本稿では、そんな本作の物語に触れつつ魅力を紹介。涙で視界がにじみながらも、エンドロールまで目が離せない至高の作品を、ぜひ劇場で鑑賞していただきたい。

文 / 長田雄太


妹を想う姉の手紙に感動必至

先述したように、TVアニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』ではヴァイオレットと、彼女に代筆を依頼する依頼人によって物語が紡がれていく。しかし、TVアニメのその後に当たる『外伝』では、ヴァイオレットが自動手記人形としてではなく、なんと教育係として良家の子女しか通えない女子高へ赴任。仕事を始めたときよりも感情豊かになっているヴァイオレットだが、「うまくできるのか……?」と不安な幕開けとなっている。

いっぽう、ヴァイオレットが礼儀作法を指導する女学生のイザベラは、将来を悲観して自暴自棄になっており、学校でも浮く存在。ヴァイオレットのことも最初は快く思っていなかったが、彼女と一緒に生活を送り優しさに触れることで、次第に心を開いていく。そんなふたりの関係性の変化は、かつてのヴァイオレットと依頼人の姿を見ているようで、TVアニメを観ていた方はほっこりとした気持ちになることだろう。

そんなイザベラの口から語られたのが、彼女にとって何ものにも代えがたい妹・テイラーとの過去について。とある出来事がきっかけでふたりは引き離され、二度と会えなくなってしまったことを聞いたヴァイオレットは、イザベラに妹へ手紙を送ることを提案する。そして、ヴァイオレットが代筆を請け負い、イザベラは妹へ手紙を送るのだが、そこに書かれていたのはたった一つの“魔法の言葉”。『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』では毎回、この手紙を読み上げる場面で視聴者を感動させるのだが、今回もその例に漏れることなく、劇場でも涙を流す人の姿が。むろん、筆者もその中の一人で、大の男がスクリーンをじっと見つめながら、涙を止められずにいた。

そして、心がスッキリとしたところで、そのままエンディングへ。……と、TVアニメでは基本そういう流れなのだが、劇場作品である『外伝』はまだ終わらない。というか、今までの流れはまだ前半部分で、もうすでに涙腺が崩壊していた筆者は、ここから涙を止めるのにかなり苦労した。姉妹の絆を描いた感動の物語は、まだまだこれからなのである。

4年後のライデンを舞台にベネディクトが活躍

後半は時が進み、テイラーへと手紙を送ってから4年後の首都・ライデンが舞台に。4年後のライデンは大きな変化こそないが、ある建築物が建造中だったり、あるキャラクターに想い人ができていたりと、少しずつ変わってきており、TVアニメを観た人にとってはその変化を知れるだけでも大きな感動となるはずだ。また、ヴァイオレットが手動式のエレベーターを“新兵器”と呼び、その操作に苦戦する様などは観ていてとても微笑ましい。

そんな4年後では、妹のテイラーを中心にストーリーが展開。郵便配達人になるべく孤児院を抜け出し、ヴァイオレットが働くC.H郵便社を訪れ、離れ離れになった姉妹の歯車が再び動き出す。

そして、後半を語るうえで欠かせないもう一人のキャラクターが、C.H郵便社の郵便配達人ベネディクト。TVアニメでは頻繁に登場するも、中心人物になることはなかったベネディクトだが、『外伝』ではテイラーに“師匠”と呼ばれ、今度は妹から姉への手紙を送り届けるため奔走することになる。しかも、テイラーが郵便配達人を目指すようになったのは、過去のベネディクトとの出会いがきっかけなのだ。姉妹の物語に彼がどのように関わっていき、感動をもたらしてくれるのか、ぜひ劇場で確かめていただきたい。

ヴァイオレットの成長にも注目

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』で欠かせない、もうひとつの要素がヴァイオレットの成長。武器として任務をまっとうすることだけを考えていたヴァイオレットが、自動手記人形の仕事を通して様々な人々や感情と出会い、愛する人を失った悲しみを乗り越え成長していく姿は、TVアニメを観ていた多くの視聴者の心を掴んだ。そんな彼女の成長は、もちろん本作でも見られる。

特に筆者の胸が熱くなったのは、教育係としての仕事を終えイザベラと別れる際、代筆のお代はいらないと断るシーン。そこで放ったヴァイオレットの言葉からは、イザベラとの堅い“友情”が感じられ、「そんなことを言えるようになったのか……」と、つい父親のような目線で感激してしまった。

そのほかにも、イザベラと別れる前、ヴァイオレットはデビュタント(社交界デビューとなる舞踏会)の相手役を務めるのだが、その際に着る凛々しいドレス姿は必見。C.H郵便社にやって来たテイラーに文字の読み書きを教えたり、郵便配達に付き添ったりしてお世話するなど、彼女の新たな一面にも注目だ。

『劇場版』の公開も控え、これからもまだまだ盛り上がること間違いなしの『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』。『外伝』をまだ観ていない人はスクリーンで観て、作品に触れたことがない人はぜひTVアニメも視聴して、心が洗われるような感動を味わってほしい。

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝 – 永遠と自動手記人形 – 』

大ヒット上映中

【STAFF】
原作:「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」暁 佳奈(KAエスマ文庫/京都アニメーション)
監督:藤田春香
監修:石立太一
シリーズ構成:吉田玲子
脚本:鈴木貴昭、浦畑達彦
キャラクターデザイン・総作画監督:高瀬亜貴子
世界観設定:鈴木貴昭
美術監督:渡邊美希子
3D美術:鵜ノ口穣二
色彩設計:米田侑加
小物設定:高橋博行
撮影監督:船本孝平
3D監督:山本 倫
音響監督:鶴岡陽太
音楽:Evan Call
アニメーション制作:京都アニメーション
主題歌:「エイミー」茅原実里
製作:ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会
配給:松竹

【CAST】
ヴァイオレット・エヴァーガーデン:石川由依
イザベラ・ヨーク:寿 美菜子
テイラー・バートレット:悠木 碧
クラウディア・ホッジンズ:子安武人
ベネディクト・ブルー:内山昂輝
カトレア・ボードレール:遠藤 綾

©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』オフィシャルサイト
http://violet-evergarden.jp/

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』オフィシャルTwitter
@Violet_Letter