Review

令和の時代が求めた新ハード『メガドライブミニ』が心を釘づけにする!

令和の時代が求めた新ハード『メガドライブミニ』が心を釘づけにする!

この原稿を編集部に提出するのが遅くなるほど、この秋に発売された”新ハード“にはすっかりやられてしまった。2019年9月19日、年号が変わってから発売された令和初のゲーム機・メガドライブミニがその正体である。2016年に任天堂から発売されたニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータを発端に、“過去ハードのミニ化と名作タイトルの収録”が顕著となり、他メーカーもNEOGEO miniやプレイステーション クラシックを相次いで発売。我らのセガも2018年にメガドライブミニを発表し、クオリティアップによる1年の販売延期を経て、そして今秋ついにこの手に受け取った。待ちわびていたとはまさにこのことで、ひとたび電源を入れて遊んだ瞬間、寝食を忘れるほどに遊び込んでしまった。それでいて、収録されている全42タイトルをいまだ十分に遊びきれていないのだから、メガドライブミニが一台あれば年内いっぱいは過ごせそうな気がしている。そんな魅力がパンパンに詰まったハードの魅力と、「これを遊ぶべき!」というタイトルを5本ピックアップし、当記事で紹介する。

文 / クドータクヤ


まずは、ハードについて語る

「いつになったらセガはミニ化の流れに乗じるんだ!」とやきもきしつつ、(ミニと言えども)新ハードが出せるのか……という不安もあるなか、2018年4月に“セガフェス2018”にて発表されたメガドライブミニ。どのタイトルが収録されるのか、そもそも何タイトル収録されるのかというファンからの期待に対し、セガは収録タイトルの発表配信や販売店での実機展示といった積極的なPR活動を広げてきた。エンタメステーションでも収録タイトルの予想記事を書かせていただき、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ2』『ベア・ナックル2』『スーパーファンタジーゾーン』の3作が的中したことに安堵しつつ、大穴といえどもメガCDやスーパー32Xからの選出を期待したのはあまりにも欲張りすぎてしまったようだ……。そして9月19日、ついにその発売を迎えた。メガドライブミニの箱を開封し、まずは本体を手に取ってみる。オリジナルのメガドライブを55%縮小したと公表しているとおり、片手ですっぽりと持てるほどの小ささになっている。しかし、本体に刻印された黄金の”16-BIT“は30年の時を経た現在でも誇らしそうに輝き、パワースイッチを右に動かして電源を入れると赤色LEDのパワーランプがパッと点く。見た目こそミニであっても、まごうことなきメガドライブだ。テレビ経由ではなく本体から音声を出力できるヘッドフォンジャック端子の機能は割愛されているが、ボリューム調整用のスイッチはちゃんと上下に動かせるというあたりもギミックとしてはじつに心憎い。見てよし、触ってよし、飾ってよしの三拍子の仕上がりとなっている。

▲本体の前面にはコントロールパッドを接続するUSB端子、背面には電源供給用のマイクロUSBと映像出力のHDMI端子がついている。カートリッジ用のスロットもパカパカと開閉し、東京ゲームショウ2019の物販ブース設置のガチャガチャで入手できたミニカートリッジを差し込むことができる

本機にはメガドライブ標準の3ボタンパッドではなく、周辺機器として発売されたファイティングパット6Bが付属。複数のボタンを使用する『ストリートファイターⅡダッシュプラス CHAMPION EDITION』や『幽☆遊☆白書 ~魔強統一戦~』といった対戦格闘ゲームを全力で楽しむことができる。ただ、遊びやすさを犠牲にしてでも「メガドライブは、あのデカくて持ちづらい3ボタンパッドじゃなきゃダメだ! これじゃメガドライブ2じゃないか!」というユーザーもなかにはいるだろう(じつを言うと筆者もそのクチである)。そんな頑固なファンに向けて、セガはオリジナルサイズに準拠した3ボタンパッドを通販サイト・ebitenにて限定販売した。人気商品で現在は在庫切れだが、こちらを購入できた方は、”あるべき姿のメガドライブ“を堪能してほしい。もちろん、筆者も購入済みだ。

▲手に持った写真のとおり、コンパクトなサイズのファイティングパット6B。PCに接続するとUSBゲームパッドとして認識し、使用できるというオマケつきだ

ただ単にミニ化して復刻したわけではなく、追加要素を“プラスワン”している。1ゲームにつき4箇所ならばどこでもセーブ&ロードできるという機能だ。特定の場所でしかセーブできないRPGのほか、アクションゲームやシューティングゲームではボス戦の直前にセーブし、ミスした際は即座にロードしてリトライすることができる。じっくりと腰を据えてゲームを遊ぶ時間がとりづらい……けれどクリアするまで遊びたい、というユーザーにとっては便利な機能だ。また、あまりの難しさに当時は挫折してしまったという場面での雪辱を果たすこともできるだろう。

▲ゲームをプレイ中に本体のリセットボタンを押下すると、どこでもセーブ&ロードやソフト選択画面に戻れるシステムメニュー画面が表示。1ゲームにつき4スロットまでセーブすることができるので、苦手な場面だけではなく、ゲームの序盤、中盤、終盤と小分けにして長く遊ぶという楽しみかたもできる

収録タイトルは文句なしのラインアップ!

収録されている全42タイトルのなかには、誰もが名作として太鼓判を押す鉄板ソフトや、万人受けはしないがメガドライブを愛する者なら納得できるソフト、そして「もしメガドライブで発売されていたら……」というifを叶えた2本のソフトが含まれている。収録タイトルはオフィシャルサイトや文末のフォトギャラリーで確認していただくとして、今回は5本に絞り、それぞれの面白さを紹介したい。

まずは、メガドライブのローンチソフトとして発売された『スペースハリアーII』。1985年にリリースされたアーケード用3Dシューティングゲーム『スペースハリアー』の続編で、メガドライブミニのソフト選択画面ではトップバッターとして鎮座している。『スペースハリアー』といえば、当時としては目まぐるしいスピードと操作感、未来感のあるファンタジーなキャラデザイン、評価の高いBGMと爽快感を高揚させる効果音の魅力にあふれる一作。その続編だというのだから、否応なしに期待せざるを得なかったのだが、一度遊んでみてわかる“なんともいえない気まずさ”があった。ぎこちないフレームレート、不気味なキャラクターデザイン、ボス戦ではステージスクロールが停止するために疾走感が欠けるなど、遊ぶほど「うーん……?」と小首をかしげてしまった。だが、こうした思いもまた、メガドライブの歴史において欠かすことができないファクターだ。1988年10月29日、意気揚々とメガドライブと同時購入したユーザーたちが感じた“気まずさ”を、まずは通過儀礼として追体験してみてほしい。久々にプレイし、「これはこれでアリかな」と許容できたのは、それだけ大人になったということなのだろう。

▲超能力戦士・ハリアーがドラゴンランドの危機を救ってから10年後。テレポート能力増幅装置の完成によって活躍の場を広げたハリアーは、ファンタジーランドを巣食う魔物たちを倒すため旅に出るというストーリー。SFやメカよりも、ギリシャ神話や中世ファンタジーからの色濃い影響が窺える

2018年7月にセガ本社が大鳥居から大崎に移転したことと併せて紹介したいのが、セガ本社のあった大鳥居の周辺駅名をもじった街を舞台にした1991年のアクションRPG『レンタヒーロー』だ。コージャ(糀谷)やオートリー(大鳥居)、マカタ(蒲田)にグッズリバー(品川)などを行き来しながら情報収集する見下ろし視点のRPGパートと、パンチやキックで敵を倒す横スクロールのアクションゲームという、異なるジャンルが場面に応じて切り替わる構成となっている。
本作のストーリーは、どこにでもいる普通の青年・やまだたろうが、センセーショナル・カフェテリア(略してセカ)から押しつけられたコンバットアーマーを身にまとってヒーローに変身し、中華料理屋の出前といった雑用や落石事故の作業員救出などの仕事をこなしていくなかで、悪徳企業やギャングを退治する本物の英雄となっていくというもの。2000年にドリームキャストで奇跡のリメイクを果たした際につけられた“超一流のB級”というキャッチコピーのとおり、ヒーローといえども決して華やかではなく、シビアで現実的な日常を送ることになる。仕事で得た報酬の大半は、レンタル料が課せられているコンバットアーマーの支払い、ヒーロー活動時のエネルギーとなる電池の購入代に充てられる。ヒーロー姿のままで銀行のATMでお金を振り込み、コンビニで電池を買っている光景はいささかシュールだが、世のため人のために活動する涙ぐましい姿なのだ。こういった笑いの小ネタも豊富だが、ストーリーが進むにつれシリアスなシーンも落とし所として用意されており、そのメリハリに思わずグッとくる一作だ。

▲父親の転勤でエアロシティに引っ越してきたやまだたろうが、出前の注文をするためにセカへ電話をかけたところ、なぜか無料サービスとしてコンバットアーマーが届き、半ば押しつけられた形でヒーローへの道を歩むことに。ところで大崎を”レンタ読み“する場合はなんて呼べばいいのだろうか……?

どんなハードにも「このゲームを遊ぶために存在している」と言わしめるようなソフトが一本は存在している。幸いなことにメガドライブでは名作ソフトが多く出ているが、そのなかから個人的ベスト1として、シューティングゲームの『武者アレスタ』を選出したい。『ぷよぷよ』を生んだコンパイルによる『アレスタ』シリーズのひとつである本作は、ロボットアニメを彷彿とさせる演出に、城や能面といった和テイストを敵機のデザインに取り入れた意欲作だ。通常弾は前方ショットのみだが、画面上に現れる特殊兵器アイテム(ビーム、機雷、バリアのいずれか)を取得することで自機の攻撃力はグンと増す。ステージの地形によってはビームが壁に遮られたり、バリアよりも他の特殊兵器を強化させたほうが進行しやすい場面もあるため、自分なりの装備パターンを構築するのも一興だ。シューティングゲームが苦手な人でも満足感を得られるゲームバランスは難と易の配分が絶妙で、何十回、何百回と遊んでも飽きさせないものになっている。特徴的なのは、プレイヤーの気力と意欲を聴覚からメラメラと高めてくれるヘヴィメタル調のステージBGMで、どれもこれも名曲揃い。なかでも、1面BGMの『Fullmetal Fighter』は特に評価が高く、イントロを聴いた瞬間からヘッドバンギングしたくなるほどハイテンポな1曲。メガドライブミニで初めてメガドライブのゲームに触れる人や、「血がたぎるような熱いゲームが遊びたい!」という人には、迷うことなくこのゲームをおすすめしたい。

▲美少女とロボット、近未来と和風など、異なるジャンルや世界設定を違和感なく融合し、カッコよさを突き詰めた『武者アレスタ』。メロディックなメタルサウンドが“激闘ロボットシューティング”をより熱くする!

セガの歴史が変わっていたかもしれない幻の新タイトル!

厳選した3タイトルをピックアップし、残すはあと2タイトル。1990年代当時に発売されていないものと、発売されることのなかった幻の作品を続けて紹介しよう。タイトーが1986年にアーケード用シューティングゲームとして発表した『ダライアス』は、3個のブラウン管モニターを搭載した専用筐体で、ハーフミラーを用いることによりつなぎ目のない超ワイド画面を実現。当時のアーケードゲームの勢いと技術力を感じる一作で、水棲生物をモチーフにした巨大ボスの数々は、プレイヤーたちにインパクトを残した。いまでこそPlayStation®4やNintendo Switch™で『ダライアス』シリーズが移植されているが、4:3のブラウン管テレビが一般的で、家庭用ゲーム機とアーケードゲーム基板とのスペック差も大きかった1990年代において、移植は不可能とされていた。しかし、「もしもメガドライブで『ダライアス』が発売されていたら」という夢を、このメガドライブミニが叶えてくれたのである。しかも独学でプログラミングを覚えた個人が目コピーで作り上げたものをベースに、メガドライブミニのために開発された新作というのだから驚きだ。こうしたバックボーンを抜きに、もしこれが当時発売されていたとして、「『ダライアス』が自宅で遊べる!」と喜ぶか、「1画面の『ダライアス』なんて認めない!」と怒るか……その評価は真っ二つに分かれていたと思うが、メガドライブミニという新たなハードのローンチタイトルとしては十分すぎるほどのサプライズだ。

▲1画面といえども、巨大なボスの圧倒的存在感はそのまま。アーケード版だけではなく、全26体のボスと戦い続けるボスラッシュモードも併せて収録されており、ファンにとってはいたれりつくせりな内容となっている

最後は、形の異なるブロックを効率よく積み上げて消していくパズルゲームの王道『テトリス®』。全国のゲームセンターで大ヒットを巻き起こしたアーケード版の移植と言ってしまえばそれまでだが、(ミニといえども)メガドライブで『テトリス®』が遊べるという念願、悲願にただただ感無量な一本なのだ。アーケード版の移植に、タイムアタックモードやオリジナル要素を加えたメガドライブ版『テトリス®』は1989年に発売が予定されていたのだが、権利に関する諸事情により、量産化を待っていたソフトたちは日の目を見ることなく消え去ってしまうことに……。その後、PlayStation®2用ソフト『SEGA AGES 2500 シリーズ Vol.28 テトリスコレクション』にて、メガドライブ版が収録されるという復活が果たされた一方、「当時これが出ていれば」という積年の思いをぶり返してしまったユーザーも少なくない。そして、このメガドライブミニに収められている『テトリス®』は、メガドライブ版の再録ではなく、アーケード(SYSTEM 16)版を完全移植したリファインとなっていることもまた、当時の諸事情を知っているであろう開発スタッフたちによる悔しさと熱意の結晶に思える。いろいろあったメガドライブ版『テトリス®』問題を、4マスの長細いテトリミノが一気に消し去ってくれたような思いに、一ユーザーとしてホッと胸を撫で下ろしている。

▲テトリミノの色彩、「ダンッ!」という落下音、背景のイグアナとおなじみのサル……PlayStation®2版『テトリス®コレクション』に収録されていたメガドライブ版の再録ではなく、アーケード版をメガドライブで完全移植。レバーをコンコンと入力しながら感じたテトリス・ハイがふたたび!

偏りはあったかもしれないが、メガドライブミニの魅力や素晴らしさを紹介させていただいた。冒頭でも記したとおり、全タイトルを隅々まで遊びきれていないほどのボリュームには100%以上の満足度を感じている。メガドライブのゲームはこれまでさんざん遊んできたが、「知ってるからいいや」という気分にならないのが不思議なぐらいだ。これでいて販売価格は10,000円を切っているのだから、「もう1台、さらにもう1台」と複数台を購入している熱心なファンもいるだろう。メガドライブミニは日本版以外にもアジア版、北米版、欧州版と種類があり、収録タイトルにも一部の差異がある。なかでも、日本以上にメガドライブの人気が高い北米で販売中のGenesis miniには、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』や『ソニックスピンボール』といったソニック作品や、『獣王記』、『ザ・スーパー忍II』などのアクションゲームが収録されている。また、アジア版には『アイラブミッキーマウス ふしぎのお城大冒険』、『ワンダーボーイV モンスターワールドIII』、『エイリアンソルジャー』、『ストライダー飛竜』など、日本版に入っていてもおかしくない名作アクションゲームの数々が収録されているので、もう1台を検討している人は海外版の入手もありかもしれない。
メガドライブミニがどれほどヒットしているのか明かされていないが、セガファンとしてはこれだけにとどまらず、セガ・マークIIIミニやセガサターンミニの登場にも期待をしたい。

フォトギャラリー

■商品名:メガドライブミニ
■メーカー:セガゲームス
■発売日:発売中(2019年9月19日)
■価格:メガドライブミニ(1PAD) 6,980円+税、メガドライブミニ W(2PAD) 8,980円+税


メガドライブミニ オフィシャルサイト

©SEGA
©TAITO CORPORATION 1986, 2019 ALL RIGHTS RESERVED.
Tetris ® & © 1985~2019 and Tetris trade dress are owned by Tetris Holding.
© SEGA
©1992 GAME ARTS
©extreme
©TOAPLAN Co., Ltd. ©TATSUJIN Co., Ltd.
ORIGINAL GAME©LAT
ORIGINAL GAME©Nihon Falcom Corporation. All rights reserved. REPROGRAMMED GAME©SEGA
© 1993, 2019 Electronic Arts Inc. Road Rash is a trademark of Electronic Arts Inc.
©CAPCOM U.S.A., INC. 1991, 2019 ALL RIGHTS RESERVED.
©CAPCOM CO., LTD. 1988, 2019 ALL RIGHTS RESERVED. REPROGRAMMED GAME©SEGA

原作/冨樫義博「幽☆遊☆白書」(集英社「ジャンプコミックス」刊) ©Yoshihiro Togashi 1990年-1994年 ©ぴえろ/集英社

©CAPCOM CO., LTD. 1994, 2019 ALL RIGHTS RESERVED.
© Disney
©Konami Digital Entertainment
©1992-2019 SUNSOFT
監修:野田昌宏 協力:株式会社オニロ ORIGINAL ILLUST DESIGNED BY SUEMI JUN ORIGINAL WEAPON ILLUST DESIGNED BY KUNIO AOI
©2019 D4Enterprise Co.,Ltd. 「魔導物語」はD4エンタープライズの登録商標です。
©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.