Interview

AIRFLIPがライアン・キーをプロデューサーに迎えた『NEO-N』をメジャーリリース。集大成とも言える本作からこれまでのバンドヒストリーを見つめ直す

AIRFLIPがライアン・キーをプロデューサーに迎えた『NEO-N』をメジャーリリース。集大成とも言える本作からこれまでのバンドヒストリーを見つめ直す

大阪発、4人組ポップパンクバンド、AIRFLIPがメジャー1stアルバム『NEO-N』を完成。現メンバーとなって4年。2017年に発表した「Brand New Day」のMVが32万再生回数を超えるなど、バンド活動が勢いに乗るなかで制作された今作は、惜しまれながら解散した伝説のパンクバンド、イエローカードのフロントマンである、ライアン・キーをプロデューサーに迎え、好評配信中の新曲「Meaning」をはじめとする新曲たちに加え、「Brand New Day」など既存曲の再録も含む、ここまでの集大成と言える意欲作。今作を完成させ、新たなステージに進もうとする彼らの今の声を、フロントマンであるSatoshi(vocal, guitar)に聞いた。

取材・文 / フジジュン 撮影 / 関信行


ひとつ集大成という位置付けの作品になりました

アルバム『NEO-N』が完成したAIRFLIP。アルバムを完成しての感想はいかがですか?

ベスト盤ではないですけど、過去の代表曲も再録していて。ひとつ集大成という位置付けの作品になりました。インディーズから含めると、長いことバンドをやっているんですが。今まではミニアルバムとかシングルばかりだったので、バンドのキャリアとしても初となるフルアルバムが完成して、すごく嬉しいです。

AIRFLIP Satoshi エンタメステーション

今作を聴いて、まず思ったのが“ライヴが観たい!”ということで。これまでライヴで積み重ねてきたことが作品にしっかり反映されているし、疾走感ある1曲目「Fly Away」で始まって、多幸感ある11曲目「Brand New Day」で終わるライヴの画がよく見えました。

楽曲を作る段階から、“ライヴで聴き手がどういう反応をするか?”というのを考えて作るのですが。僕らはフロント3人が満遍なく曲を作るので、聴いてもらうと楽曲のバリエーションも広く感じるんじゃないかなと思うし。作詞は全部僕がやっていて、曲を完成させる作業も僕がやっているのですが、そこでカチッとまとめられたと思っています。

現メンバーが揃って4年になりますが。メジャーデビュー作であり、ひとつ集大成となる今作は、今こそ出すべきタイミングだったと思います?

そうですね。僕が入って10年。インディーズ時代にいくつか作品を出させてもらって、現在のメンバーになって4年。それぞれの役割ややるべきことを意識できるようになってきて、すごく良いタイミングだったと思います。

日本語で書くのは時間がかかります(苦笑)

ヒストリーを見ると2018年に「Brand New Day」を出した頃から、状況が変わってきた感があて、今作を出すに至る裏付けが何かあったんじゃないかと思ったんですが。

「Brand New Day」は初めて日本語詞を入れた曲だったんですけど。そのときはレーベルに所属しながら、ほぼセルフプロモーションの状態で。MVも自分たちで撮って公開したんですが、すごく反応があったりして。しかも日本語を入れたことで、ライヴでのみんなの反応も全然違うことを体感して。“フロアのみんなをどう盛り上げるか?”“どうライヴをするか?”って考えながら曲を作るようになったのはそこからだったんです。

AIRFLIP Satoshi エンタメステーション

例えば、1曲目「Fly Away」の頭、〈この青い空へと 羽ばたいて自由に〉の歌詞から、ワッと世界が広がる感じがあって。日本語だと画が見えるんだよね。「Meaning」も英詞のカッコいいパートがフックになっているけど、日本語詞での曲の理解があることでよりそれが強調されて。日本語を入れたことは、バンドの表現の幅を広げたと思います。

そうなんですよね。ずっと英語で書いてきたこともあるし、言葉の引き出しが少なくて、今でも日本語で書くのは時間がかかりますけどね(苦笑)。ただ、ストレートに伝わってしまうぶん、ヘタな書き方をするとダサく聴こえちゃうし、すごく悩みます。

あと、Satoshiくんの歌声がすごく良くて。2ビートの曲もただのパンクにカテゴライズされることなく、ちゃんとAIRFLIPの曲になっているんですよね。

僕らは“ポップパンク”バンドと言われますけど、そこにこだわっているわけじゃなくて。メンバー全員が僕の歌声を良いと言ってくれて、それを生かす曲作りをしてくれて、個々にルーツも違うから、いろんな曲調の曲が出来て、そこがすごく面白いんです。ひとりが曲を作るバンドも多いけど、自分の中にはない発想や、ないメロディーを持ってきてくれるので勉強にもなるし。それで、曲が出来て歌詞を書いていくと、不思議と作った人のイメージどおりってことも多くて。メンバー同士で意思疎通がちゃんとできてもいるのかな?と思います。

AIRFLIP Satoshi エンタメステーション

歌詞の話に戻りますが、日本語と英語を使うことで、表現が広がった部分もあります?

あります。でもまだ未熟なので、勉強したくて本をめっちゃ読むようになりましたし、良い歌詞を思いついたときに書き留めてというのが習慣になりました。今作は自分でも素直に書けたと思っていて、特に「Meaning」は今の心境をすごく素直に書けました。“葛藤”をテーマに書いた歌詞なんですが、誰でもひとつのことを本気でやっているといろんなものが見えてきて、好きで始めたことだけど壁にぶつかったり、やりたくないことをやらなきゃいけないことへの葛藤もあったりする。けど、今も続けてるということはやっぱり好きでやってるということで。“葛藤の先になりたい自分が待ってるんじゃないか?”ということを書きました。

「Meaning」を聴いて思ったのは、今の気持ちを正直に歌った歌詞だけど、5年後10年後にも同じ気持ちで歌える曲なんじゃないか、ということで。5年後には今より先に進めてると思うけど、結局、今と同じようなことで悩んでたりもして。そのときに、5年前に書いた曲に励まされて、〈This is all about my life=これが僕の人生だってことだ〉と、同じ結論に達することができると思うんです。

たしかに。好きでやっていると、一生満足できることはないと思うし、その都度、新しい課題があると思います。その中での葛藤は絶対ありますからね。

AIRFLIP Satoshi エンタメステーション

だから、きっとこれからバンドのテーマソングになるだろうし、ずっと歌い続けていく意味のある曲だと思います。

めっちゃ、いいこと言ってくれますね、ありがとうございます。

ほかの取材で、自分が考えたみたいに使ってください(笑)。そして「Brand New Day」はすでにライヴアンセムになっているだろうから、これからも歌い続けられる曲になりましたしね。

そうですね、今は僕らの代表曲って感じです。この曲はスタジオでみんなでゼロから作った曲で、出来るべくして出来た曲なのかなと思ってて。出来たときから「すごい良い曲が出来たな」と全員が思ったし、ライヴでやることでバンドがこの曲に引っ張り上げられたというか。今のライヴのやり方もこの曲が出来てから大きく変わったんで、僕らの大きなターニングポイントになった曲ですね。

AIRFLIP Satoshi エンタメステーション

そして今作はプロデューサーにパンクバンド、イエローカードのライアン・キーを迎えての制作となりましたが。キッカケは前作での共演だったんですか?

はい。前作もプロデュースのお願いをしていたんですが、時間が合わなくてボーカルとベースで参加していただいて、今回は満を持して、フルプロデュースでやっていただきました。もともと、海外からプロデューサーを招いて一緒にやってみたいという話がメンバー内にあったので、レーベルの方に何人か選んでもらったんですけど、その中にライアンの名前があって、憧れのバンドのボーカリストということでお願いしたんです。特にベースのFujimonがイエローカードの大ファンで。彼の熱意もあって実現したところがあると思うし、僕らもひとつ夢が叶って嬉しかったです。

メジャーという場所で、光を集める存在になっていければ

ライアンのプロデュースでアルバム制作をしてみて、いかがでした?

ずっと勉強しっぱなしでした。僕に関しては英詞を歌っているんで、英語の間違った文法を添削してもらったり、英語の発音を指摘されたり。僕、ロサンゼルスに留学していたんで、英語は生活に不自由ないくらい喋れるんですけど、やっぱり歌う発音とはちょっと違う部分があるんですよね。あと、ライアンは耳がすごく良くて、センシティブな絶対音感を持っているので、僕らが全然気づかない音の違いまで気づいてくれて。全パートをライアンの指示のもとでやって、めっちゃ緊張しましたけど、スキルアップできたと思います。ライアンも日本のバンドをプロデュースするのは初めてで、環境に慣れないなかでやってくれたと思うんですけど、すごく真摯に向き合ってくれたし、普段はすごいフレンドリーで気さくな方で、ライアンにやっていただけて本当に良かったです。

AIRFLIP Satoshi エンタメステーション

そして、そんなアルバムに“新しい”という意味の“Neo”と“光”の“Neon”を合わせた『NEO-N』というタイトルを付けました。ここから新しいAIRFLIPを見せていきたいっていう気持ちは、メンバー全員の中にある?

全員にあると思います。インディーズで大きな実績を残したうえでのメジャーデビューというわけでもないので、ここから着実に一歩一歩上がっていかなきゃいけないと思うし。また、新しいスタート地点に立った気持ちですね。歌詞は一曲ごとに伝えたいことも違うんで、一番伝えたいことはタイトルに込めました。新天地のメジャーという場所でしっかり地盤を築いて、光を集める存在になっていければと思っています。初めましての人にもたくさん聴いてもらえる機会があると思うので、この作品をキッカケにもっとファンベースを築いて、もっと大きいバンドになっていきたいですね。

何かを始めるのに遅いってことはない

あと、作品の話に夢中で聞き忘れていましたが……プロフィールを見て驚いたんですけど、AIRFLIPってバンドを結成したオリジナルメンバーが誰も残っていないんですよね?

そうなんですよ。前のボーカルが抜けて僕が加入したんです。僕はバンドをやるのはAIRFLIPが初めてで、社会人をやりながら、趣味でバンドをやろうくらいの軽い気持ちで始めたんですけど、気づいたらレーベルが決まって、仕事を辞めて、メジャーデビューして。

軽い気持ちで入ったのが、ずいぶん長く続きましたね(笑)。で、誰かが抜けてはひとり入って、気づいたらオリジナルメンバーがいなかったってこと?

はい。僕がその前もバンドをやっていたら、絶対に「バンド名を変えよう」と言ったと思うんですけど。何も知らない状態でバンドを始めたので、そういう発想がなかったんですよね(笑)。けど、今となってはAIRFLIPで定着してるんで、このままいくと思うんですけど。

AIRFLIP Satoshi エンタメステーション

しかし、夢のある話ですよね。“学生時代、バンドやっとけば良かった!”って人にも、夢を見るのに遅いってことはないっていうのを証明しましたからね。

そうですね。バンドを始めたばかりの頃は、ここまでこれるとは思っていなかったですけど。何かを始めるのに遅いってことはないということは言えますね。

今後の目標として、海外でもライヴをしたいという願望はあります?

もちろんやりたいですね。まずは日本での基盤を作ってからだと思うんですけど、その先に海外での活動が待っていたら嬉しいです。ここまで走ってきて、思うようにいかなかったことも、思った以上のこともあって、紆余曲折がありながら今に至るんで。今は先のことより目の前に見えるものを着実にこなして、一歩ずつ上にのぼっていこうと思っています。

“NEO-N Tour 2019-2020”

2019年10月13日(日)渋谷GARRET udagawa
2019年10月19日(土)F.A.D YOKOHAMA
2019年10月27日(日)名古屋 R.A.D
2019年11月16日(土)京都LIVE HOUSE GATTACA
2019年11月23日(土)HEAVEN’S ROCK Utsunomiya 2/3(VJ-4)
2019年11月30日(土)札幌 SPiCE
2019年12月14日(土)LIVE HOUSE FOR ME(八戸)
2019年12月15日(日)仙台LIVE HOUSE enn 3rd
2020年1月5日(日)MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎(兵庫)
2020年1月11日(土)新潟CLUB RIVERST
2020年1月13日(月)八王子RIPS
2020年1月18日(土)出雲APOLLO
2020年1月19日(日)広島 SECOND CRUTCH
2020年2月1日(土)岡山CRAZYMAMA 2nd Room
2020年2月2日(日)高松TOONICE
2020年2月8日(土)大分club SPOT
2020年2月9日(日)福岡Queblick
2020年2月15日(土)心斎橋Anima
2020年2月22日(土)名古屋Rad Hall
2020年2月22日(月・祝)渋谷TSUTAYA O-Crest

AIRFLIP(エアーフリップ)

Satoshi(guitar, vocal)、Fujimon(bass)、Ritsuya(drums)、Gucci(guitar)。
2015年7月に現メンバーとなり大阪を中心に活動。TOTALFAT、HEY-SMITH、SWANKY DANK、GOOD4NOTHING等のツアーに参加、STATE CHAMPS、AS IT ISなど海外バンドのサポートアクトも務める。本作をメジャーリリース。

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