Interview

宮沢氷魚が渡辺 謙から吸収したい役者の覚悟。新生PARCO劇場オープニング・シリーズ第1弾作品として上演される舞台『ピサロ』で太陽のように輝く

宮沢氷魚が渡辺 謙から吸収したい役者の覚悟。新生PARCO劇場オープニング・シリーズ第1弾作品として上演される舞台『ピサロ』で太陽のように輝く

2020年3月にグランドオープンするPARCO劇場のオープニング作品第1弾として舞台『ピサロ』が来年3月13日(金)よりPARCO劇場にて上演される。
脚本は『エクウス』『アマデウス』といった傑作を生み出し、トニー賞最優秀作品賞、ニューヨーク劇作批評家賞と数多くの賞を受賞した英国の劇作家ピーター・シェーファーが手がけた、太陽を父とし、2,400万人を従えるインカ帝国の王アタワルパを、スペインの将軍ピサロとならず者167人が生け捕りにしてしまう物語だ。
演出を務めるのは、25年以上にわたりロイヤルバレエのメンバーとして出演し、振付師としても活躍、2014年に『ウィンド・イン・ザ・ウィローズ』でローレンス・オリヴィエ賞ベスト・エンターテインメント賞に輝いたウィル・タケット。主演のピサロ役には1985年に上演されたテレンス・ナップ演出の同作でアタワルパを演じた渡辺 謙が務め、オープニング作品に華を添える。
そして、当時、渡辺が演じていたアタワルパ 役を演じることになった宮沢氷魚に今の心境をインタビューした。

取材・文 / 竹下力 撮影 / 岩田えり


こんなにとてつもない膨大なボリュームの脚本は初めて

1985年に上演された『ピサロ』は傑作と名高く、2020年3月に装いも新たに蘇ります。今作に出演が決まったときのお気持ちから聞かせてください。

来年3月に新しく生まれ変わってオープンするPARCO劇場のオープニング・シリーズの第1弾作品に出演できることは光栄です。しかも、1985年に(渡辺)謙さんが演じたアタワルパ 役をいただけることは夢のような気がしていますし、これから始まる稽古や本番を心待ちにしています。

宮沢氷魚 エンタメステーションインタビュー

ピーター・シェーファーさんの戯曲を読んだ感想はいかがですか。

こんなにとてつもない膨大なボリュームの脚本は初めてで、同じくすさまじい脚本だった『豊饒の海』(2018)と似たような感覚を覚えています。ですが、無駄な台詞がいっさいなくて、言葉に重みがある、素晴らしい脚本でした。そんな世界で演じられる幸せを感じていますし、挑戦しがいのある舞台だと思っています。今作はフィクションではありますが、歴史上に起きた事実を元にしたお話なので、読んでいるだけで勉強になるし、謙さんが演じるピサロのこともアタワルパのこともリサーチできる、教科書を読んでいるような感覚を抱きました。僕の知らなかったことを知ることができるので、新しい発見が多い脚本です。そしてリアリティーがあるから、ペルーにあったインカ帝国の時代にタイムスリップしたような気持ちになりますね。

ご自身が演じるアタワルパの印象はいかがですか。

インカ帝国の王様ですから、まずは佇まいから堂々としていようと思います。脚本を読んでいるだけでそう思ってしまうので、これからどうなっていくのか、どんな王様になるのか自分自身ワクワクしています。アタワルパは自分を“太陽の子”だと信じていましたし、彼を信奉するインカ帝国の民がいますが、「彼のためなら死んでもいい」というカリスマ性のあるキャラクターで、今の舞台ではなかなか観ることができない人物だと思います。多くの人に愛され、信用される役なので、彼の人間性や内から醸し出す包容力を皆様にお伝えできれば嬉しいです。

宮沢氷魚 エンタメステーションインタビュー

現段階で役づくりとして心がけたいことはありますか。

今回はインカ帝国の王様らしくしっかりした身体を見せたいと考えているので、今まで以上に身体のケアをしたいと思います。参考文献を読むと、アタワルパは大きくて力強い人物だと思ったので、筋トレや走り込みをして身体づくりをしたいです。それに、アタワルパとピサロが登場するシーンは立っている時間が長いので。実際に舞台に立つだけのお芝居は、動いている演技よりもスタミナを使うんです。先日、演出家であるウィル・タケットのワークショップに参加をして彼ともお話をしたのですが、「相当エネルギーを使う舞台になる」とおっしゃっていたので、まずは体力をつけて、僕がイメージする身体になれればいいですね。ウィルが想像するアタワルパは、衣裳の色合いはゴージャスだけど、自然体の佇まいをイメージされているそうですが、「これから一緒に考えていこう」とおっしゃってくれたので、いろいろな意見を交換しながら役柄を詰めていきたいと思います。

宮沢氷魚 エンタメステーションインタビュー

ウィル・タケットは『豊饒の海』の演出家のマックス・ウェブスターと雰囲気が似ている

ワークショップでお会いしてウィルさんにどんな印象を持ちましたか。

優しい方ですね。『豊饒の海』でご一緒した演出家のマックス・ウェブスターと雰囲気が似ています。ワークショップでは、ムーブメントやテキストを含めてみんなでいろいろとお芝居をしたのですが、メソッド(演技理論)が似ていて、どんなことがあっても否定をしないので感動しました。初めて試みるエクササイズではうまく動くことができなかったのですが、決してダメ出しをしないで、「上手にできている」と褒めてからアドバイスをしてくださる。自然とチームワークも出来上がっているように感じたので、これからキャストが揃って、どんなカンパニーになるのか楽しみにしています。

宮沢氷魚 エンタメステーションインタビュー

宮沢さんは今作で4作品目の舞台への出演になりますが、これまで日本の演出家だと“マームとジプシー”“CITY”の藤田貴大さん、そして外国の演出家とタッグを組んでいますね。日本と海外の演出家の違いを感じられたりしますか。

もちろん違うところはあるのですが、共通していると思ったのは、皆さん“チーム”をつくることから始めることです。マックスはワークショップを通してチームをつくっていくし、藤田さんは本稽古が始まってから1週間、みんなでボードゲームをして士気を高めていきます。ウィルは、チームづくりを優先して演じやすい空気をつくってくれる。僕もそういったスタイルが好きなので、みんなが自由に参加できる風通しの良い座組みにしてくださると思います。

渡辺 謙との共演は緊張しかない

1985年で宮沢さんが演じるアタワルパを務めた渡辺 謙さんと共演される気持ちを聞かせてください。

緊張しかないですね(笑)。ご本人が演じたアタワルパ 役を目の前で演じるのでドキドキしていますが、わからないことはたくさんあるので、役づくりに関していろいろ聞いてみたいです。もちろん、1985年とは演出家もキャストも違っているし、僕は新しい作品だと捉えているので、わからないところは助けてもらいつつ、今作ならではのアタワルパをつくっていきたいと思います。

渡辺さんから役者としてどんなことを吸収したいですか。

学ぶことしかないと思います。ハリウッドの映画やブロードウェイの舞台に出演されて、日本人としてではなく、アジア人として活躍するのはまだ僕には想像もできないことです。それを乗り越えて今の謙さんがいると思うので、これまでのキャリアで培ってきた役者の“覚悟”を吸収したいです。謙さんもアタワルパを演じたことで「役者を続けたい」とおっしゃっていたので、僕も役者を続けるためのきっかけになる役にしたいですね。

宮沢氷魚 エンタメステーションインタビュー

宮沢さんは、いろいろな役者の方とご一緒するとき、どんなことを最も意識していますか。

舞台で演じているときは、良くも悪くも自分のことで精一杯になってしまうのですが、千秋楽を迎えると無意識のうちに多くのことを共演者から吸収している実感があります。演技のスキルもそうですが、舞台に立ったときの存在感は誰かに教えてもらえるわけではないので、自らほかの役者を観察してお芝居を肌で感じて、僕にとって必要な要素を取り入れていく。そうすると、公演が終わったときに役者として変わったことに気づかされます。

2017年に俳優デビューされてから、コンスタントに舞台に立っていらっしゃいますね。心境の変化はありますか。

舞台は何本も経験すれば緊張しなくなると思っていたのですが、まったくそんなことはなくて(笑)、板の上に立てば立つほど怖くなります。ただ、それは僕だけではなくて、この間の『CITY』(2019)でもそうでしたが、袖で待機しているときに舞台に立つ共演者からも緊張感がひしひしと伝わってきました。ただ、その緊張感をプラスに変えれば気持ちが燃えてくることがわかるようになると、舞台に立つことが快感に変わるので、僕にとって舞台に出演することはやめられないですね。

宮沢氷魚 エンタメステーションインタビュー

どんなときに緊張することが多いですか。

本番よりも稽古場で緊張するケースが多いです。舞台は本番が始まれば、稽古で積み重ねてきたことを丁寧にこなすことが大切になりますが、稽古は何もないところから始まって、試行錯誤しながら僕の持っている想像力をフルに使わなければいけないので、プレッシャーになります。

役者になるきっかけは父のライブ

ちなみに、宮沢さんが役者になるのを決意したのはお父様でミュージシャンの宮沢和史さんの影響だそうですね。

きっかけは父のライブだったんです。たった2時間でたくさんの観客を感動させる姿を見て、僕も誰かの前に立って喜んでもらえることがしたいと思いました。その頃はまだ学生で、自分がこれから何をしたいのか悩んでいる不安定な時期だったので、父のライブは僕の人生を変えてくれるターニングポイントになりました。

役者になるとおっしゃったときのお父様のリアクションはいかがでしたか。

最初は「そんなに甘くない世界だ」と反対されました。僕も反対されることはわかっていたんですが、僕の役者人生において父が一番最初の壁になってくれて、その壁を乗り越えたおかげで今の自分がいると思うと、父に感謝したいです。

宮沢氷魚 エンタメステーションインタビュー

そこから舞台やテレビなどに出演されますが、映像との違いを感じたりしますか。

どちらが優れているわけではないのですが、テレビドラマの場合は、稽古もなく、脚本をもらって現場に行って、段取りをしてカメラテストをしただけで本番なので、しっかりシーンのことを考える時間がないので瞬発力のあるお芝居をする必要があります。舞台の場合はお芝居のことを考える時間が十分にあって、ひとつのシーンを膨らませながら演じることができるのが特徴だと思います。

プレッシャーがあるからこそ強くなれる

舞台作品であれば、今作も含め重厚な作品が続いていますが、どんなところに舞台の魅力があると思いますか。

初舞台の『BOAT』(2018)のときはお芝居をするのにたじろぐだけで、すぐそばにいるお客様の前に普通に立つ舞台役者のすごさを感じました。多くの台詞を覚えながらお芝居をして、舞台の転換にも関わっているのを見て「超人的だ」と唸ってしまって(笑)。それでも、初舞台が終わったあとには心に爽快感が残ったし、舞台は長い稽古があって密度の濃い時間を過ごすので、成長のレベルが何倍もあるような気がしています。つまり、プレッシャーがあるからこそ強くなれるので、舞台を経験することによって僕は役者として成長していると思います。

宮沢氷魚 エンタメステーションインタビュー

宮沢さんは役者として“満足していない”と思っていらっしゃることがたくさんあるんですね。

そうですね。出演する作品が終わったときに「このお仕事をして良かった」と感じるのは、役者として伸び代がある証拠だし、同時に未熟だと思わせてくれるので、これからも役者として多くの作品に挑戦し続けて成長していきたいと思います。たとえば『豊饒の海』は、三島由紀夫の世界は難しくて、僕にとって演じがいのある役だったのですが、それに挑戦してやり遂げたことが自信に繋がったし、役者としても人間としてもひと皮向けたと思っています。そうやって、作品に出演することで、前の作品よりも成長できたと思うことができるし、成長するための課題が見つかる。ほかの俳優に僕と共演してみたいと思っていただける役者になりたいし、演出家からも「宮沢氷魚を使いたい」とおっしゃってもらえる存在になりたいです。

宮沢氷魚 エンタメステーションインタビュー

宮沢さんにとって役者とはどんな存在になっていますか。

役者はとても難しくて、悩むことも多いのですが、自分ではない人間になってその人の気持ちを理解することは、普通に生活をしているとできないことですから、ありがたいし、幸せなことだと思います。違う人物の人生を経験しながら自分自身の人生を歩むことができる喜びを噛み締めて、そんな喜びを求めてこれからも役者として歩んでいきたいと思います。

新しい『ピサロ』を新しい劇場で上演するからこそ意味がある

それでは、最後に意気込みをお願いいたします。

1985年の『ピサロ』をご覧になった方もいらっしゃると思いますが、謙さんもウィルも僕も、新しい『ピサロ』を新しい劇場で上演するからこそ意味があると思っています。お客様は新鮮な気持ちでご覧になっていただけると思うので、ぜひ劇場にいらしてください。

スタイリスト / 秋山貴紀

衣裳協力
ニット(¥42,000)・パンツ(¥34,000):(08サーカス) / 08ブック
その他:スタイリスト私物


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PARCO劇場オープニング・シリーズ 第1弾『ピサロ』

2020年3月13日(金)~4月20日(月)PARCO劇場

<チケット一般発売日>2019年11月23日(土・祝)AM10:00〜

作:ピーター・シェーファー
翻訳:伊丹十三
演出:ウィル・タケット
企画・製作:パルコ

出演:
渡辺謙
宮沢氷魚 栗原英雄 和田正人 大鶴佐助
首藤康之 小柳友 田中俊介 菊池均也
浅野雅博 亀田佳明 金井良信 下総源太朗
竹口龍茶 松井ショウキ 薄平広樹 中西良介
広島光 羽鳥翔太 加藤貴彦 萩原亮介 鶴家一仁
王下貴司 前田悟 佐藤マリン 鈴木奈菜 宝川璃緒
外山誠二 長谷川初範

オフィシャルサイト
オフィシャルTwitter(@parcostage)

宮沢氷魚(みやざわ・ひお)

1994年4月24日、アメリカ・カリフォルニア州サンフランシスコ生まれ、東京都育ち。2017年にテレビドラマ『コウノドリ』で俳優デビュー。2018年にマームとジプシーの『BOAT』で初舞台。主な出演作品には【舞台】『BOAT』、『豊饒の海』、『CITY』【テレビドラマ】『トドメの接吻』、『R134/湘南の約束』『偽装不倫』【映画】『映画 賭ケグルイ』などがある。出演待機作には、映画『his』(2020年1月24日公開予定)がある。

Profile
オフィシャルTwitter(@miyazawahio)

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