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この国は俺のもの!?『トロピコ 6』独裁者となって島を繁栄させる都市開発の魅力

この国は俺のもの!?『トロピコ 6』独裁者となって島を繁栄させる都市開発の魅力

数は多くないが、根強いファンがいるためか意外とリリースされているのが『SimCity』シリーズに代表される都市開発系のシミュレーションゲーム。そのなかでも異彩を放っているのが、独裁者となって島国の繁栄を目指す『トロピコ』シリーズだ。多くのファンに支持される個性的すぎるポイントと魅力を紹介していく。

文 / 板東篤


この国はすべてあなたのものですぞ、プレジデンテ!

まずは『トロピコ 6』の概要を解説していこう。本作はリアルタイムに進行する都市開発シミュレーションゲーム。プレイヤーは独裁者“エル・プレジデンテ”となり、カリブ海に浮かぶ架空の島国トロピコを運営していく。具体的には、島に道路や電気などのインフラを通し、住宅や工場といった建物や施設を建設して、島に住む国民たちの生活基板や労働環境を整え発展させることになる。国家繁栄の礎である国民の数を増やすには、新たな子どもが産まれるのを待つか、定期的に訪れる輸送船でやってくる移民に頼ることとなる。ちなみに島にある組織や施設、建造物はほぼすべてが国営扱いで、建設資金や運営費、利益などはすべて国費扱い。つまり何を建てるか、どこに建てるかはすべてプレジデンテの思いのまま。各施設の稼働にどれだけお金をかけるか、生産施設で何を作るかなど細かな設定も自由自在。さらには資金の一部を個人のスイス銀行の口座に流し込んだり、そのお金で怪しげなブローカーに政治工作を依頼したり……と、黒い政治活動も画策できる。独裁者感をたっぷり堪能できる作りになっているワケだ。

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▲都市開発シミュレーションとしては珍しく、独裁者であるプレイヤーキャラクターが設定されている。髪型や服装、ヒゲなどキャラクターの見た目のカスタマイズも自由だ

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▲プレジデンテの能力である“特性”を複数候補からひとつ選択。一部の特性はゲーム中で条件を満たすとアンロックされる

こうして国家をどんどん大きくしていくのが基本的なプレイスタイルとなる。具体的な目標はゲームモードやミッションによって変化するので、あとで解説する。どのゲームモードにしても、建物と施設の建設や維持、外交など、すべての局面で使用する資金の残高には気を配る必要がある。ミッションごとに異なる初期資金が少ない場合は、序盤から資金稼ぎを意識した開発をする必要がある。特に年間収支などは表示されないため、直近の資産状況は自らデータの項目に見に行く必要がある。お金が足りなくなったら、およそ半年ごとに訪れる貨物船で生産アイテムが輸出されるのを待つか、布告という特別なコマンドでの借金を行使して資金を調達する。ただし、これらは目先の資金の調達に他ならない。根本的な資金難の解決は、赤字をなくすことだ。施設の維持費や賃金を下げて支出を減らしたり、輸出用のアイテムを作成するなどして、全体的な収支がプラスになるように行動を起こさなければならない。
本作ならではの大きな特徴は、国民の支持率にも気を配る必要があることだ。プレジデンテは選挙で選ばれた統治者なので、政権を維持するには国民の支持が欠かせない。一定期間ごとに行われる選挙で対立候補に投票数で負けてしまうと、政権の座を奪われてゲームオーバーとなり、再スタート(またはセーブデータからロード)となってしまう。独裁者は自身や親族のメリットを第一に考えて政治や軍事を好き勝手に行うイメージがあるが、本作では国民の支持を第一に考えなくてはならない。これこそが本作最大の特徴であり魅力といえる。

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▲国民にはどんな政策を支持するかという派閥があり、成人はいずれかの派閥に所属している。また、資本主義と共産主義、宗教信奉者と軍国主義者など派閥同士は対立している

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▲国民一人ひとりにカテゴリごとの幸福度が存在している。欲求を満たしたり環境を改善すると幸福度が上昇する。プレジデンテの支持率は幸福度、派閥、個人の経験などによって変動する

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▲選挙に負けるとゲームオーバー。ほかにもテロによってプレジデンテの住居である宮殿が破壊されたり、大国に攻められたりしても同様だ。ゲームオーバーになる条件はけっこう多い

『トロピコ 6』からの新要素としては、複数の島から構成されるマップの登場が挙げられる。島同士の行き来は港を建設して船で行うか、島同士を橋でつなげる必要がある。緑豊かな島と鉱石資源に恵まれた島をどのように接続して運営していくか、といったおもしろさを味わえるのは本作ならではだ。

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▲本作より複数の島からなるマップが登場。島間の移動や輸送手段を構築する必要がある

目標を達成していくミッションモードが楽しい!

さて、多くの都市開発ゲームはプレイヤーの気が済むまで都市を発展させる、という内容が多い。本作にもそのような遊びかたは“サンドボックス”モードとして用意されているが、もうひとつの遊びかたとして用意されているのは“ミッション”モード。こちらはいわゆるキャンペーンモードで、各ミッション(ステージ)で「○○を何件建てろ」、「○○をしろ」などのストーリーに応じた目先の目標がメインクエストという形で提示される。これを順に達成していき、すべてのメインクエストを終えるとミッションクリアとなる。

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▲全15のミッションをプレイできる。ミッションクリア数に応じて、新たなミッションがアンロックされていく仕組みだ

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▲ミッションモードでは次々とメインクエストが提示される。この条件を達成させることがゲームの目的となる

都市開発ゲームは行えることが多いものだが、本作もそれは非常に多彩でゲームに慣れていないうちは何をすればいいのか、問題を解決するためにはどうすればいいのかわからない場合が多い。その点、ミッションモードでは具体的な目標が提示され、そこに向かって都市を発展させていけばいいのでとてもわかりやすく遊びやすい。操作やルールを学べるチュートリアルモードが用意されているが、ミッションモードは『トロピコ 6』の全貌を遊びつつ学べる、巨大なチュートリアルと考えても差し支えないだろう。

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▲全5章からなるチュートリアルモードでは実際にゲームをプレイしながら、ゲーム中のさまざまなルールを学べる。まずはこのモードで練習しよう

さらにクリアに必須ではない目標として、オプションクエストや各派閥、外国からの要求という目標もランダムで発生する。その内容は、「○○を建設する」、「○○を××個輸出する」、「○○を××個生産する」といった感じ。目標を達成すると報酬が得られるので、余裕があればチャレンジしていきたい。ただし、ミッション序盤からけっこう高難度かつ報酬が残念な依頼が来ることもある。たとえば「貝を1000個生産する」という目標の場合、まず海産物を採取する漁師の波止場を作る必要がある。この施設は初期状態では魚しか釣れないので、アップグレードを行って貝も取れるようにしなければならない。貝は魚に比べて収穫量が少ないため、波止場はひとつではなく複数を建設したい。このように、内容や島の状況によっては達成がとても大変な場合もあるので、メインクエストをおろそかにしてまでこちらを頑張る必要はないだろう。

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▲クリアに必須ではないオプションクエスト。今回は武器の輸出を行う内容だが、武器の生産はまず鉱山で鉄、石炭、ニッケルを採掘し、製鋼所で鉄と石炭から鋼を生産。さらに鋼とニッケルを用いて、武器工場で作成……という長い手順が必要になる。序盤で発生するわりには高難度だ

なお、ミッションごとに機能の一部が制限されるので注意が必要だ。たとえば本作には時代の概念があり、ゲームの進行と共に植民地時代、世界大戦時代、冷戦時代、現代というように時代が進化していく。新たな時代へは自動では移行せず、クエストとして目標が出され、達成すると新しい時代へと移行するシステムだ。プレイヤーのがんばり次第では、現実よりも早い時期に冷戦時代に突入なんてことも可能。のちの時代になるほど建設できる建物や施設の種類が増えたり、発布できる憲法の内容が充実していくため、いち早く新しい時代に突入したくなる。たとえば植民地時代にはそもそも発電施設は存在せず、世界大戦時代にやっと発電所が解禁される。これが冷戦時代に突入すると原子力発電所が登場して、さらに大きな電力を発電できるようになるワケだ。新たな施設を建てられるのは単純にワクワクして楽しいし、性能も前時代の施設と比べて向上していることで国民の生活や国家運営もより良くなり、プレイヤーも達成感を得られて嬉しい。しかし、ミッションでは時代が固定されていることが多いので、設定された時代でなんとか頑張らなくてはならない。これはこれで、制限された状況で知恵を絞って頑張るという楽しさが味わえるのだが。なお一部のミッションでは、条件を満たすと次の時代へと移ることができる。

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▲時代が進むメリットは多数あるが、目立つものでは新たな建物と施設の解禁がある。たとえばオフィスビルは現代でないと建設できない

建物と施設で住民を働かせるのだ!

続いて、本作のキモとなる建物と施設の運用方法について紹介しよう。本作には非常に多くの建物や施設が登場し、それぞれが恩恵を生み出す。まずは国民のための住宅。集合住宅タイプや一軒家などがあり、それぞれ“住居の質”が異なる。質が高い住居に住むほど、住居の幸福度が上がる。ただし、各住居には住む条件として個人の裕福度が設定されている。たとえば、6世帯が住める“宿泊小屋”は貧困以上の人が住めるが、極貧の人は住めない。同様に簡易住宅は裕福以上、高級住宅は富豪以上というように、住める裕福度の最低ランクが設定されている。

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▲建物と施設の建設に必要なのはお金だけ。どこに何を建てるのか指示すると、建設業者の従業員が来て建設を行う。建設する速度が遅い場合は建設業者の従業員が不足していることが多いので、新たに建設業者を作成する必要がある

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▲序盤にお世話になる住居の宿泊小屋。貧困以上の6世帯が住めるが、質は37とかなり低め。ちなみに最高級の住宅である大邸宅で予算を最大に設定すると、質はなんと141まで上昇する

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▲データ画面で国民の幸福度を調べられる。写真のプレイ時には住居の改善に力を入れていたので、幸福度が53まで上昇した

近くに住める住宅がないと、国民は勝手にバラックを建設して住み着いてしまう。質は最低だし、周囲の犯罪率を上げる悪い効果もあるのでなるべく改善していきたい。なお、時代が進んで電気が使えるようになると、電化のアップグレードを行って質を上げることもできる。

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▲住める家がない場合、国民は空いている土地に勝手にバラックを建てて住み着いてしまう。住居の幸福度が大きく下がる原因のひとつだ

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▲建物と施設はアップグレードを行える場合もある。住居の場合は電化することで効率(つまり住居の質)が上昇する

続いて農園や鉱山など、資源を作成する第一次産業の施設について。農園ではバナナやコーヒーなどを栽培でき、何を作るかはプレイヤーが決定できるが、土地ごとに栽培に適した作物が異なる。できるだけ土地に合ったものを作りたい。こうして生産された作物は食べ物として国内に流通するほか、物によっては加工品の材料にしたり、国外に輸出して外貨を稼ぐこともできる。ただし、こういった建物や施設は従業員が働いていないと稼働せず、アイテムが生産されないばかりか維持費だけはかかって大赤字となってしまう。データの就労状況を見て、失業者が多い場合はこういった職場を作って雇用の機会を国民に与えていくといい。逆に失業者がいない場合には、新たな建物や施設の建設を控えたり、多くの移民を呼び込んで労働者を増やしてから建物や施設を建てるなど、赤字を防ぐ戦略が重要になる。鉱山や牧場も生産されるアイテムが異なるだけで、基本的な性質はほぼ農園と同じ。ただし、鉱山だけは資源がある場所に建設しないと意味がないことに気をつけよう。

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▲農園を配置するときに何を生産するかを選択できる。その作物に適した土地かどうかは、写真のように色分けして表示される。赤いところは避けて、緑色の部分を選びたい

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▲環境グリッド画面では、島のどこに資源があるのか調べられる。同様に治安や医療範囲といったデータも視覚的に確認が可能

こうして生産したアイテムは、第二次産業の施設で加工することができる。たとえば、農園で作成した砂糖からお酒を生産するラム酒蒸留所などがある。多くの場合は材料をそのまま出荷するより売値が高くなるので、資金稼ぎのために作成したい施設だ。ただし、アイテムを生産するには材料が必要となる。ラム酒蒸留所の場合は上記のように砂糖が必要だ。まずは先に多くの農園を建設し、砂糖を大量に生産しておきたい。
こうしたアイテムの運搬は、国営の運送業でまかなう必要がある。農園で作られた砂糖をラム酒にする場合は農園からラム酒蒸留所まで、輸出する場合はラム酒蒸留所から港まで運ぶ。農園は十分にあるし問題なく生産されているのに、ラム酒が全然作られない……という問題が起きた場合は、運送業者が足りなくて輸送が間に合っていない場合が多い。こうして問題を自分で発見し、解決手段も自分でなんとかしなければならない。すべてを自分で行える自由度の高さには、すべての問題も自分で解決する必要があるという問題も産まれる。独裁者もなかなかにツライのだ。

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▲ラム酒蒸留所。国民一人ひとりに思考や幸福度が設定されており、実際に島内を行動している描写が描かれる。彼らの日常生活を眺めるのも楽しい

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▲地上の物流はトラックで行われる。実際にトラックが島内を移動してアイテムを運ぶので、施設間の距離なども効率に影響してくる

ほかにも発電所や入国管理局といった政治系の建物や施設など、非常に多くの種類が存在する。建物や施設によっては、働ける人の学歴が重要になることもあるので気をつけよう。高校や大学を建設し、国民が学校に通って卒業するとその国民の学歴が変わるので、より高等な建物や施設で働けるようになる。どうしても大卒の人材がすぐに欲しい、などという場合にはお金を払って国外から従業員を呼び寄せることも可能だ。なお、教育を受けていない人でも働ける製材所や皮革工場などの加工施設があるので、序盤から第二次産業に着手することは可能。逆に、現代で解禁される工場畜産や自動鉱山など、より効率的な第一次産業の施設も存在する。こうした産業に頼らない国家経営はかなり難しく、縛りプレイのレベル。食料をすべて輸入に頼らねばならず、それを購入する資金も生産品を売る以外の手段で調達しなくてはならないからだ。ちなみに観光関連の建物や施設は充実しているので、ミッションやマップによっては観光業を中心とした国家経営を行うこともできる。

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▲たとえば、消防署は高卒以上の人しか働けない。人材が足りない場合は有料で外国人労働者を雇える

建物や施設を作って都市を発展させていくという基本は同種のゲームと同様なれど、“政権を維持しつつ”という条件が大きな個性を生み出している本作。このため、どちらかといえばゆっくりプレイできる都市開発ゲームなのに、本作では緊張感あふれるプレイを楽しめる。ゲーム内のテキストは軽いテイストで描かれており、加えてBGMは底抜けに明るいラテン系の音楽なのも特徴。個人的に気に入っているのはミッションモードで、そのミッションごとに簡単なストーリーを楽しみながら都市を開発できるのが楽しい。国民は一人ひとりが個人として描写されており、どんなことを考えているのかも表示され、彼らをじっくり調べるのもまたおもしろい。
プレイヤーは独裁者という立場ながら、終始明るい雰囲気でゲームを楽しめるのはシリーズの大きな魅力と言えるだろう。独裁者と言っても有権者にそっぽを向かれるとゲームオーバーになるため、必然的に国民が住みやすい国家を作ることになり、独裁もそんなに悪くないのかななんて思ったり。結局、政治形態よりも政治を行う人物のほうが重要と言うことだろう。ちなみにゲーム中でもプレジデンテというキャラクターが存在しており、建物や施設(有料だが)を訪問させられる。訪問した施設は一定期間効率が上がるというメリットもある。念のために述べておくと、色恋沙汰は特にない。なにぶん行えることが多いため、本稿だけでその全貌を語り尽くせないのが心苦しいところ。次回は、選挙や憲法などの話や、ちょっとした悪事を行えることを紹介していきたい。

フォトギャラリー
トロピコ 6

■タイトル:トロピコ 6
■メーカー:カリプソメディア(グローバル) / スクウェア・エニックス(国内)
■対応ハード:PlayStation®4
■ジャンル:独裁国家運営シミュレーション
■対象年齢:17歳以上
■発売日:発売中(2019年9月27日)
■価格:パッケージ版・ダウンロード版 各7,980円+税

『トロピコ 6』オフィシャルサイト

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