モリコメンド 一本釣り  vol. 139

Column

SPARK!!SOUND!!SHOW!! “雑食性ハイブリッド・サウンド”のさらなる進化。独創的としか言いようがないバンドサウンド

SPARK!!SOUND!!SHOW!! “雑食性ハイブリッド・サウンド”のさらなる進化。独創的としか言いようがないバンドサウンド

<SPARK!!SOUND!!SHOW!!>で、通称<スサシ>というバンド名がまず最高。この3つのサウンドに小難しいことは何一つなく、初めてこの名前を見た人は“そうか、サウンドがスパークするショーをやるバンドなんだな”と思うはず。というか、それ以外の解釈が入り込む隙間はなくて、実際に彼らは、サウンドがスパークするようなショーをひたすら続けているのだった。

<SPARK!!SOUND!!SHOW!!>はタナカユーキ(Vo, G)、チヨ(B, Cho)を中心に大阪で結成されたロックバンド。2016年にイチロー(Dr, Cho)、2017年にタクマ(Key, G, Cho)が参加し、現在の4人体制に。これまでに「FUJI ROCK FESTIVAL」のROOKIE A GO-GO、「BAY CAMP」など大型フェスに出演し、徐々に知名度をアップ。2018年6月に初めての1stフルアルバム『火花音楽匯演』を発表し、“スサシ”の存在感は大きくクローズアップされた。

スサシの音楽的な特徴をわかりやすく言えば、“パンク、メロコア、ヒップホップ、R&Bなどを取り込んだ雑食性のバンドサウンド”ということになるだろう。個人的には、ハードコアパンクの匂いが漂ってくるのがポイント。メロディック・パンクが登場する以前のハードコアパンクは、曲のなかにメロディというものが存在せず、ひたすらビートが速く、音像が暴力的で、「とにかくめちゃくちゃにヤッてやる!」という音楽なのだが(すいません、だいぶ偏見が入ってます)、そういう衝動が漲っているのだ、スサシには。そのテンション感はもちろんライブにも反映され、彼らの爆発的なステージングはどこまでも強い刺激を求め続けるオーディエンスを魅了している。

2019年2月に会場限定シングル「SCAR」「感電!」を2枚同時リリース。自主企画東名阪ツアーは全箇所ソールドアウトとなり、「STANIC CARNIVAL ’19」「京都大作戦2019」 「RUSH BALL 2019」などに出演するなど活動の機微を拡大しているスサシ。その最新モードを体感できるのが、9月に発売された2ndアルバム『NU BLACK』だ。まず印象に残るのが、このバンドの最大の特徴である“雑食性ハイブリッド・サウンド”のさらなる進化。パンク、ハードコア、メタルから、レゲエ、ヒップホップ、ベースミュージックまで、さらに幅広い音楽が吸収され、独創的としか言いようがないバンドサウンドに昇華されているのだ。“やりたいことは何でもやる”“混ぜたいものは何でも混ぜる”というスサシのスタンスは、ライブハウス・シーンだけではなく、クラブ好きのオーディエンスにも大きな刺激をもたらすはずだ。

ライブの臨場感をリアルに伝えるサウンドも本作の特徴だろう。レコーディング、サウンドメイクは基本的にタクマが担当。きれいに整えられた(J-POP的な)サウンドとは真逆の、爆発力とテンション感を重視した音なのだが、これが驚くほどカッコいい。メンバー自身はそんなこと意識しないだろうが、ロックバンドにとって“いい音”とは何か?というテーマに一石を投じる作品だと思う。

「SCAR」「感電!」「GODSPEED」「†黒天使†」(読み:ブラックエンジェル)、など、既にライブでも披露され、ファンの支持を獲得している楽曲が詰まった『NU BLACK』。「スサシのマーチ」もまた、このアルバムを象徴する楽曲の一つだろう。バンド結成当初(いまから10年くらい前)に制作されたというこの曲には、曲名が示す通り、スサシの根本的なスタイル-――ハードコア直系のビート、高揚感溢れるサウンド、超キャッチーなメロディ――が凝縮されている。じつは現在の体制でレコーディングされたのは、今回が初めて。原点と最新を同時に体感できるという意味でも、「スサシのマーチが」収録された意味は大きい。

もう一つ紹介しておきたいのは、「Swinga! feat.R-指定(Creepy Nuts)」。スサシとCreepy Nutsは、2014年のフジロック「ROOKIE A GO-GO」に出演したことをきっかけに知り合い、交流がスタート。その後、対バンを繰り返し、Creepy Nutsの「合法的トビ方ノススメ」「助演男優賞」をスサシがバンド・リミックスするなど、きわめて深い関りがある。「Swinga!」はもともと、R-指定をフィーチャーすることを想定して制作された曲。なかなかタイミングが合わず、まずはスサシだけで仕上げ、会場限定でリリースしていたのが、今回のアルバムで満を持してR-指定のラップが入り、ついに完成したというわけだ。

現在行われているアルバムのリリース・ツアーも(ファイナルの2020年1月11日の東京・ WWW公演を含め)各地でソールドアウトを連発。すべての不安や葛藤を光速で置き去りにして、ロックミュージック〜ダンスミュージックの高揚感をひたすら追求するスサシは2020年以降、一気にブレイクに向かって突き進むことになりそうだ。

文 / 森朋之

オフィシャルサイト
https://sparksoundshow.wixsite.com/susasi

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