Interview

宮藤官九郎舞台に初参戦の増子直純(怒髪天)。三宅弘城、皆川猿時と意欲を語る

宮藤官九郎舞台に初参戦の増子直純(怒髪天)。三宅弘城、皆川猿時と意欲を語る

11月13日に東京・池袋のサンシャイン劇場より上演される、作・演出 宮藤官九郎による『大パルコ人③ステキロックオペラ「サンバイザー兄弟」』。ロックと芝居を融合したオリジナル・ロックオペラとして、人気を博すこのシリーズ。今回は、瑛太やロック・バンド“怒髪天”の増子直純を迎えて豪華布陣で公演される! 芝居だけでなく、歌に踊りに演奏にとパワフルでスリリングなこの舞台について、増子直純、三宅弘城、皆川猿時に話を聞いた。

取材・文 / フジジュン 写真 / 冨田望


殺陣やったり踊ったり。『かくし芸大会』だと思って楽しんでほしい

11月の上演に向けて、稽古真っ最中の『サンバイザー兄弟』。舞台初挑戦の増子さん、やっぱりバンドのリハーサルとは全然勝手が違いますか?

増子 全然違うね(笑)。なんちゅうか、ルールが違うんだけど、誰も教えてくれないから、見て覚えるしかなくて。俺が師弟制度の一門に入ったとしたら、みんな兄弟子だからさ。兄弟子の挙動から学ぶところが多くて。若手のふたり、上川周作くんと篠原悠伸くんが(宮藤さんやスタッフから)言われてることを横でよ~く聞くようにしてるよ。それは本来、俺が言われるべきことだから。

三宅 舞台用語とか、わからないことありました?

増子 用語は大丈夫。そこまで出てきてないし(笑)。でも例えば、舞台上での体の向きとかさ、そういうのがバンドと基本的に違って。会話してる人のほうを丸々向いてると都合上良くないとか、知らなかったことを学ぶのはすごい面白いよ。

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三宅さん、皆川さんにしても、怒髪天で歌っている増子さんの姿はよく知ってると思いますけど、同じ舞台で演技するというのも不思議な感じじゃないですか?

三宅 僕は大パルコ人の前回の公演(『高校中パニック!小激突!!』)を終えて、「次に誰かやりたい人はいる?」って聞かれて、「増子さん!」って即答したんです。

増子 いや~、嬉しいねぇ!

三宅 だから、実際に一緒にやるって話になったときも「本当に来てくれた」って嬉しさがあって。

増子 でも、実際難しいよ、演技は。考えれば考えるほど難しいから、あんまり考えないようにしてるもん(笑)。感覚的にやってみて、怒られながら、修正されながらやったほうが絶対良いだろうなと思って。自分で考え過ぎても、そこに正解はない気がするからさ。

最初はやっぱり構えていたところもあります?

増子 あったよ。「しっかりやらなきゃ!」と思ったよ。話がきたときはチョイ役だと思ってて、こんなガッツリやるとは思わなかったもん(笑)。瑛太くんに「やっぱ舞台は大変だね」って言ったら、「いや、これは特別ですよ」って。「僕のキャリアの中でも一番大変です」って言ってたんだから! 前回、翔やん(綾小路 翔)の出てた『高校中パニック!』を観て、チームがすごい魅力的だから、これに混ざりたいなとか思って、チョイ役でも出れたら面白いなとは思ってたけど、まさかこんなねぇー。俺が一番ビックリしたよ(笑)。

三宅 やっぱ大変なんですね(笑)。僕らはマヒしちゃってて、そんなに感じなくなってたけど。

皆川 大変だよぉ(笑)。こんな大変なことを我々と一緒に先輩にやっていただいてね、俺も頑張ろうって気持ちになってますよ。

増子 いやいや、2人とも名だたる名優だから! 芝居の安定感もさ、声の大きさも違うんだよ。やっぱり場数を踏んでるし、すごい勉強になる。だって、句読点の中の意味を考える、なんちゅうこと、今までなかったもんね。ここで一息くらいの記号だと思ってたからさ。そこに意味があるなんて考えなかったよ。

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台本は宮藤さんが増子さんを理解してくれてるやりやすさもあるんじゃないですか?

増子 それはある。だから、これは特別だと思うよ。これによって役者としての評価うんぬんってことにはならないと思う。「今まで勉強しかしてこなかった、エリートのサラリーマン役をやってくれ」って言われたら無理だもん! なんの要素もないんだから(笑)。

皆川 これキッカケに見たいですけどね、ドラマとかでサラリーマン役やってる増子さん(笑)。

三宅 NHKでトラックの運転手役(『僕が父親になるまで』)をやったこともありますよね?

増子 あれも俺の中にある役だもん、あんま変わんない(笑)。前に映画に出たときもさ、ちょんまげかぶって女郎街で「お、いい女いるじゃねぇか!」って言ってたんだから。

三宅 そのまんまですね(笑)。でも、時代劇いいじゃないですか!

皆川さんは増子さんと一緒に稽古をやってみての感想はいかがですか?

皆川 演技もですけど、やっぱり歌ったときの説得力は本物だなと思いましたね。

増子 そっちは俺の領域だから(笑)。歌のシーンが入ると逆に安心するってところがあって、(今作の音楽を手がけている怒髪天のギタリスト・上原子)友康も毎日稽古場に来てくれてんだけど、遊びに来てるんじゃなくて、俺ら以上に仕事してるんだよね。曲やアレンジの追加がハンパねぇから、いつも忙しそうにしてて。

三宅 ヘッドホンの片耳はずして、宮藤くんの言ってることを全部聞いてるって言ってましたよ。

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真面目ですね! 今回、出演者みなさんが歌ったり、演奏されるんですよね?

増子 そう。役者ってすごいなと思ったのが、バンドってスキルを身に付けたら一生モンじゃない? でも、役者って一回の公演で頭に入れたセリフって、もう二度と使わないんだよ。それってすごくない? 俺ら、曲を一回覚えたら一生やってんだから(笑)。でも俺、32年間バンドでツアーとかやっててさ、「このままずっと続けばいいな」なんて思ったこと一回もないんだけど、今、稽古やってるだけで、「これが終わらなきゃいいな」と思ってるんだよね。まだ本番が始まってもいないのに(笑)。それくらい現場が楽しいし、作っていく過程も楽しいし、魅力的なチームでさ。本当に面白いんだよ。

三宅 「アルバムを作る作業に似てるな」って言ってましたよね?

増子 似てるね。だから、大人数のバンドを組み直した感覚に近いかな。曲作って練習してる感覚に近いものもある。それにこれだけちゃんとやってれば、本番もなんとかなるような気がしてるんだ。ツアーもそうだけど、「もう絶対にできる!」ってところまで練習してれば、あとは楽しむだけだから。そこまでが大変だと思うけど、毎日すごい楽しいよ。

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