映画『アズミ・ハルコは行方不明』  vol. 1

Interview

ハルコの恋人役・石崎ひゅーい&松居大悟監督が大人の思春期を語る

ハルコの恋人役・石崎ひゅーい&松居大悟監督が大人の思春期を語る

「攻めてるぞ、松居!」っていうことだけは言える。そんな映画かなと

(笑)本作のヒロインである安曇春子を演じた蒼井優さんは「女性には30歳になる前に第二次思春期がくる」とおっしゃってました。

松居 あー言ってた。男はどうなのかな? 僕、まだ第一次思春期中だと思います。10代から始まってる思春期が終わった気がしないです。

石崎 思春期って?

松居 なんかオナニーいっぱいしたいっていう頃。

石崎 あーぁ、じゃあ今かな。

松居 あはは。

この男女の違いはなんでしょうね。

松居 ほんと、そう思う。女性は15年くらいに全部が凝縮されているような気がして。男が一生かかって辿り着くような輪廻を、女性は15年くらいでぶわーっと回ってる気がします。周りがまったく見えてなくて、とにかく今が楽しくて、最強だと言ってる10代がいて。なんとなく世界の広さがわかってきて、その中で何者かになりたいと思うけど、なれない、悔しいとなるのが20代。そして、何者にもなれないとわかりだしながら、その中でどうやっていこうと悩むアラサー。で、一周回ってアラフォーがそれでも生きていくんだよっていう。男が80歳くらいになってから気づくようなことを、10代後半から30代までで生きてるような気がする。

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男性にとっての年齢というのはどう捉えてますか?

石崎 個人的には、あんまり変わってない気がするんですけど、30代に入ってから、20代に比べると焦ったりはしなくなりましたね。例えば、結婚しなくちゃいけないとかいうのもないし。いろいろなことであんまり焦らなくなりました。それがいいことなのか悪いことなのかはわからないですけど。

松居 僕の場合は20代が焦りまくっていて。27~29歳が超やばかったんですけど、30歳になった瞬間に「なんで、あんな焦ってたんだっけ?」と思って。ただ、その理由がわからないんですよね。“Don’t Trust Over 30”っていう言葉があるけど、きっと30歳以上の俺が考えていることはつまらないと思ってて、だから29歳までになんかやらないとっていう焦りがあった。今、力は抜けたんですけど、面白いものができるかどうかは……わかんない。

石崎 あはは。えーーー! あれ、この映画は?

松居 『アズミ・ハルコ』は29で作ってるから。ギリギリ。仕上げ中に30になったけど。

石崎 いや、30も面白いよ!(笑)

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(笑)映画公開まであと1ヵ月を切りました。今、どんな心境ですか?

松居 なんかいけないことをしてるみたいな感じがしてます。とにかくカウンターで作ろう、らしくないものを作ろうと思っていて。それは、できた気がしているんですね。いろんなクリエイターのいい人たちを見つけて、みんなを巻き込んで、近い世代の人たちと尖ったものを作って。東京国際映画祭も決められて、いよいよホントに人に観られる。なんか学生運動してるみたいな気持ちというか。ちょっと背徳感もありますね。

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人に観られたくない?

松居 いや、感想をあんまり直接聞きたくないっていう。先に観た人からいろいろ言われたりするんですけど、良い反応、悪い反応、どっちを言われても、「あーそういうふうにすれば良かったな」とはならなくて。ただただ恥ずかしくなって。さっき「らしくないもの」っていう言い方をしたけど、それは「映画らしくない」という意味で。僕は、生き物を作ろうと思ったし、すごくいいものができたけど、その生き物に対して「ここはいい。ここはいまいち。ここはわかりにくい」と言われても、「俺は好きだよ」としか思えない。だから、すごく不思議な感覚なんです。

石崎 僕はもうどんどん宣伝したいですね! ポスターが出来上がったら、僕の知ってるバーとか居酒屋とかに貼りまくりたい。ホントにそんな心境なんです、今。完成した映画を観たときに、自分がその中に入ってるから変な気持ちもあったんですけど、それ以上に「松居大悟がまたヘンなことやってんなぁー」っていうようなイメージがいっぱいあって。場面の構成の仕方とかが普通の映画っぽくないなというか、言葉では説明できない面白さがあるというか……。だから、「どうだった?」と聞かれても、うまく答えが見つからなくて。

松居 いいこと言うね。

石崎 でも、「攻めてるぞ、松居!」っていうことだけは言える。そんな映画かなと思います。


After Talk vol.1 石崎ひゅーい編

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Q.ひゅーいくんだけが知っている松居監督の秘密を教えてください。

石崎 2つあるんですけど、1つは、ここ(頬のえくぼのあたり)からヒゲが生えちゃうこと。通常のヒゲが生える位置からちょっと離れたところなんだよね?

松居 これ、コンプレックスなんです。ドンガバチョみたいなの。

石崎 あとね、オシャレに興味がある。撮影のとき、ちゃんとした服を着てくるんですよ。この間は、全身茶色だったんですね。上はちょっとフォーマルなのを着てて、下は七分丈のハーフパンツ。そのパンツが、ギターのまわりにハイビスカスがうわーってあるデザインになってて。で、そのスボン、実はドン・キホーテで買ったっていう。これが監督の秘密です。

松居 ……あれ、ステテコだったんです。なんか、すみません(笑)。

映画『アズミ・ハルコは行方不明』

2016年12月3日公開

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とある地方都市に住む27歳の〈安曇春子〉は独身で恋人もなく、実家で両親と祖母と暮らしている。会社では社長と専務に「女性は若いうちに結婚するべきだ」とセクハラ三昧の言葉を37歳の先輩〈吉澤ひろ子〉と共に浴びせられ続けていた。ある日の仕事帰り、春子の目の前を女子高校生たちが軽やかに走り抜けていく。それを追って公園へ向い、暴行され倒れている同級生の〈曽我雄二〉の姿を見つける。そこから春子と曽我はお互いのむなしさを埋め合うように関係を重ねていくのだが……。
とある地方都市に住む20歳の〈木南愛菜〉は成人式の会場で同級生の〈富樫ユキオ〉と再会、付き合い始める。ある日、2人はレンタルビデオ店でバイトをしていた同級生の〈三橋学〉と出会う。ユキオと学はグラフィティアーティストのドキュメンタリー映画に共感し、〈キルロイ〉と名乗り、グラフィティアートを始め、28歳で行方不明の安曇春子を探す張り紙をモチーフに街中に春子の顔とMISSINGという文字を拡散していくのだが……。
異なる時間軸が交錯。2つのストーリーの意外な結末とは?

【監督】松居大悟
【原作】山内マリコ(幻冬舎文庫刊)

【キャスト】
蒼井優 高畑充希 太賀 葉山奨之 石崎ひゅーい
菊池亜希子 山田真歩 落合モトキ 芹那 花影香音
/柳憂怜・国広富之/加瀬亮

【劇中アニメーション】ひらのりょう
【音楽】環ROY
【主題歌】「消えない星」チャットモンチー
【配給】ファントム・フィルム

オフィシャルサイトhttp://azumiharuko.com/

©2016「アズミ・ハルコは行方不明」製作委員会


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アズミ・ハルコは行方不明

山内マリコ (著)
幻冬舎

地方のキャバクラで働く愛菜は、同級生のユキオと再会。ユキオは意気投合した学と共にストリートアートに夢中だ。三人は、一ヶ月前から行方不明になっている安曇春子を、グラフィティを使って遊び半分で捜し始める。男性を襲う謎のグループ、通称“少女ギャング団”も横行する街で、彼女はどこに消えたのか? 現代女性の心を勇気づける快作。


松の間

2人の初対面は、松居大悟がMCを務めていた動画連載「松の間」に石崎ひゅーいがゲスト出演したときのこと(2015年3月)。そのときの模様はこちらでご覧いただけます。
★「松の間」第8回:石崎ひゅーい様<一の間>

★松居大悟MCの動画連載「松の間」の全貌はこちら。
石崎ひゅーいがゲスト出演した<一の間>以降の動画も見られるほか、『アズミ・ハルコは行方不明』の音楽を手がけている環ROYのゲスト出演回もご覧いただけます。
「松の間」サイト

 

石崎ひゅーい

1984年生まれ、茨城県出身。ミュージシャン。2012年にミニ・アルバム『第三惑星交響曲』でデビュー。2015年に劇団“劇団鹿殺し”の『彼女の起源』にて主演を務め、俳優デビューを果たし、本作でスクリーン・デビュー。2016年8月にテレビアニメ『NARUTO-ナルト- 疾風伝』のエンディング曲として書き下ろした「ピノとアメリ」をシングル・リリース。C/Wには、文中にあるように本作で演じた曽我の気持ちで書いたという「お前は恋をしたことがあるか」を収録。また、5月にリリースしたアルバム『花瓶の花』収録の同名曲をもとに松居大悟が監督、蒼井優が出演した短編映画「花瓶に花」はショートショートフィルムフェスティバル&アジア2016 MUSIC VIDEO部門で優秀賞を受賞している。

オフィシャルサイトhttp://www.ishizakihuwie.com

松居大悟

1985年生まれ、福岡県出身。劇団ゴジゲン主宰、全作品の作・演出・出演を担う。2009年にNHK『ふたつのスピカ』で同局最年少の脚本家デビュー。2012年に『アフロ田中』で長編映画初監督。その後、『自分の事ばかりで情けなくなるよ』『スイートプールサイド』などを発表。『ワンダフルワールドエンド』でベルリン国際映画祭出品、『私たちのハァハァ』でゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて2冠、両作でTAMA映画賞最優秀新進監督賞受賞。MOROHA、クリープハイプなどのミュージック・ビデオ制作など活動は多岐にわたる。原作を手がけた漫画『恋と罰』が10月末より連載開始。

ウェブコミック連載『恋と罰』
オフィシャルサイトhttp://www.gorch-brothers.jp

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