Interview

ユニコーン ハイペースで仕上がった最新アルバムの内容とは? 5人の発言から新作の旨味を読み解く

ユニコーン ハイペースで仕上がった最新アルバムの内容とは? 5人の発言から新作の旨味を読み解く

この春、アルバム『UC100V』をリリースして、「ユニコーン100周年ツアー“百が如く”」に出たUNICORNが、またまたアルバムをリリース。新作『UC100W』は、ツアー前半と後半のインターバルにレコーディングされたという。80年代から活躍を続ける(UNICORNは途中で休憩があったが)ベテランバンドが、このペースでアルバムを発表するのは、きわめて異例。そこで彼らのタフネスぶりについて、緊急インタビューを実施してみた。果たして平均年齢55才のメンバー5人の回答は?!

取材・文 / 平山雄一


『UC100V』と『UC100W』と、1年でアルバムを2枚作ってるから、言ってみればこの2枚はセットでもある(奥田)

『UC100V』に続いて『UC100W』を出すなんて、UNICORNはますますパワフルになってますね!

奥田 『UC100V』と『UC100W』と、1年でアルバムを2枚作ってるから、言ってみればこの2枚はセットでもあるじゃないですか。そう考えたら、いろんな曲が入っててバランスがいい。2枚組アルバムだって考えられるようなバランスかなって。

EBI 2枚で22曲って、すごくないですか?

ABEDON 俺たち、すごくないっすか?(笑)

間違いなく、すごいですよ!!

EBI (笑)。

前に1年でミニアルバムを2枚出したことがありましたよね。

奥田 あれはアルバム3枚。

手島 1990年に出した1枚は、フルアルバムの『ケダモノの嵐』で、あとはミニの『踊る亀ヤプシ』とミニの『ハヴァナイスデー』。

ABEDON 今回はフルフルだからね。

奥田 まあでも、ひとりずつにしたらミニよ。

一同 (笑)。

奥田 ひとり4、5曲書けばいいから、稼働はミニ稼働。

ABEDON ミニ稼働ね(笑)。

確かにひとり4、5曲で、アルバムが2枚できる。改めて、全員が曲を書いて歌うって、すごいことだね。

手島 なんかあったときにいろいろと。

川西 なんかあったとき(笑)。

真面目なプロデューサーは、若いバンドのメンバーに「メインのソングライターになにかあったときには、自分たちが曲を書くことを考えとけ」って言うよね。

手島 でも、考えとけって言われても、パッとできるもんじゃないから。

奥田 ほら、俺が言ったろ? 「みんなで、印税を分け合って暮らそう」と。あ、分け合ってじゃないや、自分の食い分は自分で稼げって(笑)。

一同 (笑)。

ABEDON やっぱり俺たち、すごくないですか?

すごい!すごい!!

手島 曲を書く時点で、すでにメンバーの顔が浮かんでるので。

奥田 気持ち悪いこと言うな!

ABEDON (笑)。

手島 それを想定して作るじゃないですか。

EBI デビュー前は曲を書くとか、詞を書くとか、歌をうたうとか、まったく想定になかったですから。

川西 昔ね。

EBI そうそう。だってずっと民生が歌うものだと思ってたから。

手島 と思ってデビューしたから。

奥田 俺がそこから逃げ出した(笑)。

EBI (笑)。

手島 今はみんなでやるっていう感じだから。

奥田 しかも電大を経て、この3人はもっと歌いたくなって、帰ってきたわけよ(笑)。

EBI (笑)帰ってきた。

手島 歌がちょっと上手になった(笑)。

奥田 どんだけ歌いたいんや、こいつらと思って。

手島 ちょっとは上手になったでしょ。ちょっとだけね。

奥田 もはや、誰も俺に歌ってくれって言わないんですもん。

(笑)。

手島 恐れ多くて(笑)。

奥田 誰も言わないですよ(笑)。

手島 歌ってみたらって。

EBI よっぽど合うなあって曲が出来たら言う。

一同 (笑)。

奥田 (笑)よっぽどか!

EBI よっぽど、「これ民生でしょ!」ってのが出来たら頼む(笑)。

奥田 よっぽどのことがないと(笑)。

全然、あてにされてない(笑)。

川西 民生にこそ歌ってもらいたいって曲ができたらってことでしょ?

EBI もちろん、もちろん。

奥田 そういうときはそういうときで俺、断ったりなんかして。

一同 (笑)。

ABEDON あるね、あるね。

手島 やっぱこれは川西さんでしょって。

川西 それか「テッシーでしょ、これ」って振ったりする(笑)。

さっさとレコーディング終わらせて、余った時間に違うこともしたいでしょうから(笑)。(ABEDON)

『UC100V』を作っているときの手応えが、よほど凄かったんですか?

ABEDON アルバムとしての曲数を考えたときに、メンバーのテンションも含めて、もう1枚行けるなっていう感じだった。みんなにそう言ったら、みんなも反応してくれたので、それで行こうっていうことになったんですね。

『UC100V』のレコーディング中に、もう1枚作ると決まったところで、スケジュール的には大丈夫だったんですか?

ABEDON 今回の「ユニコーン100周年ツアー“百が如く”」は、前半と後半があって、その間に夏フェスに出ようかってことになってたんですけど、夏フェス自体がね、ちょっとなんかこう、疑問があるっていえばいいの?

川西 暑いからね。

(笑)。

ABEDON ちょっといろいろ考えるところがあって。気候的にもそうだし、夏フェス自体のあり方っていうものを、少し考える時期でもあるのかなと思って。今回、ちょっと一回休んで、レコーディングをしようと。

EBI フェスにはこれまでけっこう出させてもらいましたから、もうそんなに“出たい出たい派”ではなくなった(笑)。

一同 (笑)。

かっこいいなあ(笑)。

ABEDON まあ、それもあるよね。

EBI 「どうしても出たいんだ!」っていうのはないですから(笑)。

手島 そりゃ、みんなはそうでしょうよ。俺は“出たい派”だけど。

EBI (笑)。

手島 でも、どうしても出たいっていうのじゃないので。

ABEDON 全体にそういう感じがあったんですよね。

川西 バイオリズムみたいなやつね。

ABEDON だったらその時期を使ってレコーディングをやれば、いけるんじゃないかと。

レコーディングは効率的に進んだんですか?

ABEDON さっさとレコーディング終わらせて、余った時間に違うこともしたいでしょうから(笑)。

結果、『UC100W』に入ってる曲たちは、バラエティに富んでますね。全曲テレビドラマのタイアップ狙いかっていうくらい、いろんなドラマを感じる。特にEBIさん作の「TYT」とか。

ABEDON あ、「TYT」(笑)。

EBI 食いつきがいい!(笑)。でも、この曲にはあんまり触らないでほしいんです。

東海テレビが作る昼ドラのテーマみたいな感じ。

川西 東海テレビの昼ドラって(笑)。

EBI わかりやすい感じね(笑)。

ABEDON 食いつきすぎだろ(笑)。他の曲にも食いついてよ。

レコーディングしていくうちに、どんどん変わっていくわけだから、「あれ?」って。コーラス入れるときに「ん?(笑)こんな曲あったっけ」って(EBI)

本当にドラマティックな曲が多い。1曲目の「M&W」は、イントロからドカンと爆発してて、何が始まるのかと思った。

ABEDON ほんとよね。

どういうアルバムなんだろうっていう期待が膨らむ。

手島 俺もそう思う。イントロ聴いて、「なんじゃこれ?」と思った。

メチャクチャ、はったりがきいてるよね、あの1曲目って。

ABEDON はったりって言うなよ(笑)。

EBI いろんな音が入ってて、僕らも「おお、これはどうなっていくんだろうな」って思った。

手島 イントロの一発目だけ聴くと、「踊る亀ヤプシ」を思い出すよね。

EBI かわいいね(笑)。しかもレコーディングしていくうちに、どんどん変わっていくわけだから、「あれ?」って。コーラス入れるときに「ん?(笑)こんな曲あったっけ」ってぐらいに変わっていったんで。

このドラムって、生ドラム?

ABEDON 生ドラム。僕は今、モジュラーという新しいツールにハマってて、モジュラーには音の組み合わせの正解がない。自分の意図してない音が出るんですよね。その偶然みたいな音が気に入ってて。まるで違うメンバーが入ったみたいに、自分のイメージの範疇から飛び出してくれる。ソイツがおかしな音を出すもんだから、それに対しての川西くんのドラムが、すごくいい。

川西 俺はおかしな音とは、あんまり思わなかったですね。

仲間みたい?(笑)。

川西 (笑)。

手島 僕はこういうのがもともと好きなんで。

ABEDON おっ、寄ってきた(笑)。

手島 ピーター・ガブリエルがボーカルやってた頃のジェネシスっていうか。僕、そういうのが好きなので、この曲はプログレに感じる。でも最初にこの曲のリズムマシーンを聴いた時点では、「ああ、ABEDON、壊れはった」と思ったけど(笑)。

「M&W」と2曲目の「チラーRhythm」のギャップがすごい。

ABEDON 「M&W」を1曲目に置いたのは、民生くんですよ。

奥田さんは自分の作った「チラーRhythm」を目立たせるために、「M&W」を犠牲にしたんだ(笑)。

手島 犠牲に(笑)。どっちが犠牲になっとるか、ようわからんけど。

奥田 共倒れになっとるやないか(笑)。確かに「M&W」は、コイツどうすりゃいいんだみたいな。ホントに困って1曲目にしました。

一同 (笑)。

奥田 まあでも、オープニングSE的でもあるじゃない。

ABEDON それはある。

奥田 なんつうの? 組曲的でもあるじゃない。だから、まあ。

今回のツアーは、『UC100V』の1曲目の「10Nuts」から始まってたりするから、ツアー後半は「M&W」から始まるのかも?

奥田 みたいな、扱いをね。そういうのもあるかなと思って1曲目にした。

「ちら」から逃げられなくなって、結局、入れるしかなくなったから(奥田)

で、2曲目の「チラーRhythm」は? これは奥田さん作詞作曲の、70年代末のディスコ・サウンドですね。

奥田 ライブでやればいいんじゃないかと思って、作りましたからね。これは作ってるときに、ABEDONが「ちら〜」って言い出したからこうなった。デモテープに「ちら~」はなかったんだよ(笑)。

ABEDON (笑)説明しなかったっけ? ♪ちらっ、みたいな。

EBI なかった。

奥田 「ここは後でなんかやりまーす」みたいなとこだったの。

手島 デモテープは弾き語りだったんだから。

EBI で、曲録ってるときに、ABEDONが「ちら~」とか言い出して。「え? そういうの入れるんだ」と思って(笑)。

奥田 「ちら」から逃げられなくなって、結局、入れるしかなくなったから。

ABEDON (笑)。

EBI そうか、そうか。

手島 その「ちら~」を、歌詞で物語に発展させるのがすごいなと思ったよ。

奥田 (笑)ありがとうございます!

EBI (笑)褒められてる。

手島 これは世界観がすごいなと思って。どう考えてもマッチョな男たちみたいな方向に行きかけてたから。結果、ビレッジピープル的なところに持っていくってのはすごいなと思う。

奥田 でもこれ、俺が歌ってる感は、そうでもないんですよ。基本的に全員が歌ってることにしたかったので。

追っかけコーラスが面白い。

EBI 面白い(笑)。

面白くちゃいけないの?(笑)

EBI いや、面白くていいですよ。

川西 (笑)面白くていいですよ。

EBI そういうふうにしてるし(笑)。

手島 二回目の、「ちらちら」の川西さんがたまらん、もう、あそこは。

川西 ♪ちらちら〜。

手島 ♪ちらちら〜って、途中で空気が抜けるんだよ(笑)。

そういう意味で言うと、奥田さんのリードボーカルもかなり変だった。

手島 これ、全員そうだもん。全員、声色(こわいろ)だから。

奥田 オカマっぽく。

手島 オカマっぽくもないけど(笑)。

奥田 ていうか、あれでしょ。「YMCA」っぽく。

「ちら~」に徹してる!!

「人生ってこんなもんだよ」みたいなことが言える年になったんだなっていう(手島)

そして、テッシー作の「That’s Life」は、聞いたときにカナダのB級ハードロックバンドかと(笑)。

川西 (笑)。

EBI カナダ?(笑)

ABEDON ああ〜、でも、あるね。頭にあったよ、それは。

川西 バックマン・ターナー・オーヴァードライブみたいな(笑)。

そうそうそう(笑)。もしかしたらテッシーのルーツにあるのかな?

EBI あるでしょ。

手島 まあこれは、普通にいつもどおり作ったんですけど。

EBI ダッツ・ライフですよ。ダッツ・ライフ。

奥田 ダッツ。

手島 ダッツ(笑)。「ザッツ・ライフ」ってそろそろ言ってもいい年なんだなと思ったりして。

EBI どういう意味?

手島 「人生ってこんなもんだよ」みたいなことが言える年になったんだなっていう。

そして、東海テレビの昼ドラのテーマ曲みたいな「TYT」は、EBIさんの作品。

川西 問題の(笑)。

EBI いやいやいや(笑)。

手島 食いつきのいい。

EBI 食いつきが半端ない(笑)。

♪あなたにあえて幸せでした♪って、悲しすぎる!

EBI ハッハッハッハッ。厳しいご意見、ありがとうございます!(笑)

奥田 そのまま終わるんかいっていう感じもあるしね。

EBI いたってシンプルです。「TYT」は、僕の亡くなったいとこのイニシャルで。

ABEDON それをね、平山さんはね。

EBI それをあなたはね(笑)。

ABEDON ずっとあなたはね、ひどいことをね。

手島 何を言っとるんだと。

EBI 何を言っとるんだと(笑)。

す、すみません!

EBI この曲のデモを聴いたとき、メンバーは泣いてくれたんですよ!

ABEDON それをね、揚げ足をとるようにね(笑)。

本当にすみませんでした。

EBI 揚げ足って(笑)。

よその人の曲を聴いたとき、リズムがすごく気になって入ってくる。「あ、これ面白いな」って思ったりすることがたくさんある(川西)

すでに人気曲になってる「4EAE」は、ABEDONの曲に川西さんが詞を書いた。

ABEDON やっぱり川西さんの詞のリズムが独特で、感心しました。

川西 ドラムやってるから、独特になるんかね。

ABEDON この歌詞で、川西風味を体感したんだよ。

川西 よその人の曲を聴いたとき、リズムがすごく気になって入ってくる。「あ、これ面白いな」って思ったりすることがたくさんあるんで、なんか自然にこういうのがいいんじゃないのかなと思ったりするんじゃないですかね。

ABEDON なんてったってね、川西くんが歌ったテイクがあって、それをこっそり聴いたんだけど、なかなか凄かった。それは真似できない。覚えきれなかった(笑)。僕がそれを歌ってる途中に、川西くんが指導してくれるんですけど、すごい新鮮でしたよ。

川西 演奏のリズムに対して、歌のメロディーがこう入ったほうがスピード感が増すとか、そういうのを考えてるからじゃないですかね、きっと。

俺は弓で弾いてるから、変則リズムはどうでもよかった(笑)。(奥田)

ABEDON作詞作曲の「D-D-D-, Z-Z-Z-」は?

奥田 これ、なんて読むの?

ABEDON ディーディーディー、ズィーズィーズィー。

EBI ドゥードゥードゥー。

ABEDON ドゥードゥードゥーって(笑)。

これも変わった曲。変拍子で、幻想的! それに合わせて、奥田さんがギターをバイオリンの弓で弾いてる。

奥田 俺は弓で弾いてるから、変則リズムはどうでもよかった(笑)。

EBI 俺もべースを弓で弾いたんですよ。でも使われなかった。

ABEDON 使ってる、使ってる。

EBI 使ってんの?

ABEDON 入ってるよ、前半に。

奥田 ちょっと入ってる。

EBI マジで? よかった! 

自分で弾いたのに、わからんのかい?(笑)。で、『UC100W』を出した後のツアー後半は?

ABEDON 当然、セットリストに『UC100W』の曲が入って来ます。

『UC100W』はとにかく楽しいアルバムなので、ツアー後半も期待してます!! ありがとうございました!

全員 ありがとうございました!

その他のユニコーンの作品はこちらへ。


ユニコーンアルバム『UC100W』/ユニコーン100周年特設サイト
https://www.unicorn.jp/special/100th/uc100w/

ライブ情報

ユニコーン100周年ツアー”百が如く”

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UNICORN

ABEDON、奥田民生、川西幸一、EBI、手島いさむ。1986年、広島で結成。1987年10月アルバム『BOOM』デビュー。バンドブームを牽引し、「大迷惑」「働く男」「すばらしい日々」など次々とヒット曲を生み出す。それぞれのソロ活動を経て、1993年解散発表。2009年に再始動を発表し、以降も楽曲制作、ライブと精力的に活動を続ける。

オフィシャルサイト
http://www.unicorn.jp/