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大満足はふとももだけじゃない!『ライザのアトリエ』洗練されたシステムの魅力

大満足はふとももだけじゃない!『ライザのアトリエ』洗練されたシステムの魅力

ガストブランドの「アトリエ」シリーズ最新作である『ライザのアトリエ ~常闇の女王と秘密の隠れ家~』は、シナリオをガストブランドと「灼眼のシャナ」シリーズの原作者でもある高橋弥七郎氏、主題歌の歌唱を神田沙也加氏が担当するなど、発売まえからファンを賑わせてきた。そして、「アトリエ」シリーズに触れてこなかった人々も虜にしたのが、やはり主人公・ライザ(ライザリン・シュタウト)の“ふともも”だろう。その効果は絶大(?)で、事前予約数はシリーズ最多を記録。発売後も各店で品薄状態が続き、大きな話題になっている。
シリーズを通してプレイしてきた筆者としてはとてもうれしいことだが、もちろん作品の魅力はふとももだけではない。調合や戦闘などのシステムが一新された本作は、過去シリーズとはまた違った面白さをプレイヤーにもたらしてくれている。

文 / 長田雄太


普通の少女が出会ったのは来訪者と錬金術

作品の舞台となるのは、湖に囲まれた自然豊かで遺跡が数多く残るクーケン島。その島の“ラーゼンボーデン村”に住む普通の少女・ライザは平凡な日常に退屈しており、幼なじみのレント、タオと一緒に刺激的なことを求めていた。そんな折、隊商が島にやって来ると聞いた3人は、その様子を見るため立ち入り禁止とされていた島の対岸へと渡る。ライザはそこで、島の外から来た少女・クラウディア、そして錬金術士と出会うことになる。

ライザのアトリエ ~常闇の女王と秘密の隠れ家~ エンタメステーションゲームレビュー

▲ライザ(画像左)と島の外からやって来た商家の娘・クラウディア(画像右)はすぐに打ち解け、やがてかけがえのない親友になる

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▲クラウディアと同じく、島の外からやって来た錬金術士・アンペル(画像左)と女戦士・リラ(画像右)。ふたりは、島に数多く残っている遺跡の調査のため訪れたと言うが……

錬金術の力に惹かれたライザは錬金術士になるためアンペルに弟子入りを志願し、錬金術の腕を磨いていく。さらに、レントは北の果てにある塔を目指すため戦う力を身に着ける、タオも古文書を解読するというそれぞれが抱いていた目標を達成するため、アンペルとリラのもとを訪れるようになる。来訪者が、3人の日常を大きく変えていくのだ。

ライザのアトリエ ~常闇の女王と秘密の隠れ家~ エンタメステーションゲームレビュー
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▲ライザたちが住むラーゼンボーデン村。ライザいわく“なんてことない村”だそうだが、とても自然豊かで魅力的な村に見える

「アトリエ」シリーズの魅力のひとつとして、主人公たちの日常に焦点を当てたストーリーがあるが、それはもちろん本作でもしっかりと描かれている。村で暮らす人々との交流、外の世界にあこがれるライザたちと閉鎖的な島の人々の間で起こるトラブルなど、島を舞台にした作品ならではの人間関係も描かれており、いままでのシリーズとはひと味違った日常の物語を堪能できる。

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▲村の水源を握っている有力者モリッツ・ブルネンの息子・ボオス(画像右)と、その子分・ランバー(画像左)。島の生活では水が不可欠なこともあり、ブルネン家の人間は偉そうで親子そろって評判は良くない

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▲特に効果はないが、シリーズファンには恒例の“たる”への挨拶は済ませた。さあ、冒険へ出発だ

ライザは錬金術でいろいろなものを生み出し、島の対岸への冒険、村人の悩みの解決などをしながら、やがて自分と仲間だけが過ごせるような場所を作りたいと思うようになる。物語の序盤は、そんなライザたちの拠点作りと、そのために必要なアイテムを揃えることがひとまずの目標だ。

初心者からファンまで楽しめる奥深い調合システム

「アトリエ」シリーズにおいて重要になってくるのが、フィールド“探索”での素材集めと、錬金術で複数の材料から新しいものを生み出す“調合”の要素。探索でさまざまな材料となる素材を集め、それを使っていろいろなアイテムを調合する。これを繰り返すことで、ライザは錬金術士として成長し、さらに新しいアイテムを調合できるようになる。

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▲ライザには通常のレベルとは別に“錬金レベル”が設けられており、アイテムの調合で経験値を得ると錬金レベルが上がっていく。各アイテムには調合するのに必要な錬金レベルが設定されており、そのレベルに達すると初めて調合が可能になる

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▲ストーリーでは、特定のアイテムを求められるような場面が多々ある。物語を進めていくうえで、錬金術の腕を磨くのは必要不可欠なのだ

というわけで、まずは素材集めのために各地を探索をしていくことになるのだが、フィールドには木、草、岩、木箱など採取可能なポイントが多数あり、そこを調べたりすることで素材を入手できる。採取可能な素材は数百種類と豊富にあり、なかには特定の場所でしか採れないレアなものも存在する。木材ひとつとっても探索する場所、採取ポイント、採取に使う道具によって採れる種類が異なるので、「このポイントではどんな素材が手に入るのだろう?」と、新たな探索地では毎回宝探しのような気分を味わうことができる。

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▲島の対岸には魔物が生息し、戦闘になるリスクがある。対して村には魔物がおらず、採取ポイントも数多くあるので、戦闘に慣れていない人でも序盤は安心して採取に勤しむことが可能だ

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▲述べたように対岸にはさまざまな魔物が徘徊している。戦闘を避けたいときは魔物に接触しないなどの注意が必要だ。ただ、対岸のフィールドは広大で採取ポイントも採れる素材の種類も豊富。物語を進めていくと新たな採取地に行くことが可能になり、まだ見ぬ素材に出会うこともある

探索中はハンマー、虫取り網、草刈り鎌など、特定の採取ポイントで活躍する“採取道具”が使えるのだが、同じ植物が生えた採取ポイントでも、虫取り網では昆虫、草刈り鎌では葉っぱなど採れる素材がまったく異なるのも面白いところ。過去のシリーズでも採取道具は存在したが、同じ採取ポイントで道具を切り替えても異なる素材が手に入ることはなかった。採取道具の切り替えで意外なところから意外な素材が採れたりと思わぬ発見もあるため、過去のシリーズと比べて探索が格段に面白くなっているのだ。

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▲“植物エキス”という素材を求めていた筆者。草木を何度も杖で叩いたり、草刈り鎌で切ったりしても全く採れなかったが、なんとハンマーで叩くと採取できることが判明。同じ採取ポイントでも、まだまだ未知なる素材が眠っていると思うと、先述した宝探し感覚の楽しさもさらに増してくる

探索を終えるといよいよ調合へ。システムが一新された本作では、新たに“リンケージ調合”という調合システムが用いられている。さまざまな形をした“マテリアル環”に指定された条件を満たす材料を投入することで、別のマテリアル環が開放するのだ。以降もそれに沿って材料を投入していくことでアイテムを作ることができるので、シリーズ初心者でもわかりやすい調合となっている。

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▲調合で作れる各アイテムには複数のマテリアル環で構成された“レシピ”が用意されており、指定の材料を投入していくことで、繋がっている別のマテリアル環にも材料が投入できるようになる

過去のシリーズでは指定された複数の材料を決まった数だけ投入する必要があったが、今回はマテリアル環に指定されている材料をその調合で決められた最低回数投入するだけでも調合が可能になった。逆にその調合で決められた投入回数内であれば、複数のマテリアル環に材料を投入していき、戦闘でより大きなダメージを与えてくれる高品質のアイテムが作れるなど、プレイヤーの裁量次第で同じアイテムを調合しても完成品は大きく異なってくる。

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▲一度の調合で材料を投入できる回数は決まっており、無尽蔵に投入できるわけではない。投入できる回数は錬金レベルが上がると増えていき、同じアイテムでもより良い効果を持ったものを調合できるようになっていく

調合できるアイテムには特定のマテリアル環に材料を投入することで、別アイテムのレシピに変化するものもある。今までのシリーズでは、レシピ本を買ったりストーリーを進めたりすることで新たなアイテムのレシピが開放されていたが、これに加えて調合中にもレシピをひらめくようになったのだ。このおかげで調合の奥深さがさらに増したのは言うまでもない。初心者に優しく、かつファンでもより楽しめるようになった調合システムは、まさに本作が話題作となっている魅力のひとつと言っても過言ではないだろう。

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▲パールクリスタルのレシピにある、“レシピ”と表示されているマテリアル環を開放。そこにブロンズアイゼンを投入すると、装飾品グナーデリングのレシピに変化した

新たなシステムで戦闘はよりスピーディーに

探索や採取、調合などプレイを進めていくうえで欠かせない要素がもうひとつある。それが魔物との戦闘だ。島の対岸ではさまざまな魔物がフィールドを徘徊しており、それらと接触することで戦闘に移行するのだが、素材のなかには倒した魔物からしか手に入らないものもある。また、探索では異なるエリアに移動すると魔物も強力になったりするうえ、ストーリーを進めていくと強力な敵とも戦うことになるので、レベル上げという意味でも戦闘は避けて通ることができない。

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▲シリーズを代表する魔物“ぷに”には青、赤、シルバーなどの種類が存在し、倒した際に手に入る素材・ぷにぷに玉も色によって異なる

最大3人編成のパーティで挑むことになる戦闘では、画面左に上から下へと降下していく敵と味方のアイコンがあり、先にいちばん下に到達したアイコンのキャラクターから攻撃、スキルの使用などの行動ができる。行動したキャラクターのアイコンは再び上部から降下しはじめ、これを繰り返して味方全員のHPがゼロになるより先に敵をすべて倒せたら勝利となる。

そんな戦闘も、調合と同様にシステムが一新。操作キャラクターの行動選択中も時間が止まらず進行していく“リアルタイムタクティクスバトル”によって、よりスピーディーかつ爽快感のある戦いが楽しめるようになっている。各キャラクターはレベルを上げていくとスキルや必殺技を覚えていき、それらは“AP(アクションポイント)”を消費することで使用可能になる。APは通常攻撃やアイテムの使用など、文字どおり行動することで溜まっていくのだが、戦闘ではこのAPをどのように使っていくかで戦況が大きく変わっていく。というのも、APは限界まで溜めたあと、それをすべて消費することで“タクティクスレベル”が上げられるようになる。“タクティクスレベル”は基本的に戦闘のたびにレベル1からスタートするのだが、APを消費してレベルを上げていけば、単発だった通常攻撃が連撃にできたり、スキルの威力が上昇したりといった恩恵が得られるのだ。そのため、戦闘ではAPを使ってスキルで一気に畳みかけるか、温存してタクティクスレベルを上げていきより有利な状況で敵を倒していくかといった、プレイヤーの判断で戦況が大きく変わるような手に汗握る戦いを味わうことができる。

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▲フィールドにいる敵にスイングを当てると、APがMAXの状態で戦闘に突入。瞬時にタクティクスレベルを2に上げることができ、スキルでの攻撃で大ダメージを与えることもできる

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▲戦闘中、自分が操作しているキャラクター以外は自動で行動してくれるうえ、別のキャラクターを操作したい際には簡単に切り替えられる。味方にスキルを積極的に使うよう指示を出すのもボタンの上下で操作できるようになっていて、リアルタイムの戦闘に慣れるのにあまり時間はかからなかった

戦闘でもうひとつ重要になってくるのが、錬金術で作られたアイテムの数々。「アトリエ」シリーズでは調合で作ることができる攻撃・回復アイテムも数多く用意されており、それらを使って戦況を一気にひっくり返すといったかなり重要な役割を担ってきた。そんなアイテムはもちろん今回も大活躍してくれるのだが、そのアイテムは使っても消費されることはなく何度でも使用できる。おかげで探索に出てはアイテムを使い果たし、また調合するといった手間がかからなくなっており、探索に持っていきたいアイテムを最低でも1個ずつ作っておけば問題ないのだ。

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▲各キャラクターは複数の“コアクリスタル”を持っており、コアクリスタルに登録した“コアアイテム”のみ探索に持っていくことができる

その代わりに“CC(コアチャージ)”と呼ばれるポイントが用意されており、探索ではあらゆるコアアイテムを使用するたびにこのCCが消費されていく。CCはフィールドにある魔払いの花で休んだり、ライザの部屋やライザのアトリエに戻ると回復するが、足りなくなるとアイテムが使えなくなるため、アイテムに頼らず戦う局面の見極めも必要になってくる。先述したAPの使いかたと同様、戦闘ではプレイヤーのとっさの判断力がとにかく求められ、小気味よく対応できると気持ちいいのだ。

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▲探索を終えるまで選択したコアアイテムを使用できなくする代わりに、CCを回復する“コンバート”が行える。長時間の探索や戦闘中にCCが不足した際は、これをうまく活用するのもひとつの手だ

もちろん戦いがリアルタイムで進行していくなかで、状況を判断し戦略を組み立てていくのにはある程度の慣れが必要。ただ慣れてしまえば、手に汗握る戦闘の緊張感がむしろ病みつきになること間違いなし。じっくりと戦略を練って行動を選択できるのも面白いが、とっさの判断で戦況を覆したり、強敵を倒せたりしたときの爽快感は格別だ。特に過去シリーズをプレイしてきたファンにとって、新たな戦闘システムから今までにない刺激を受けられるはず。

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▲気のせいか、戦闘中にライザが行動する際よくローアングルになるので、自然とふとももに視線が動いてしまう……

今回は探索と採取、調合、戦闘と過去シリーズでも柱となっている要素を紹介してきたが、先述したように本作ではこれらの基本的な要素も大きく様変わりしており、とても新鮮なものになっていた。過去シリーズをプレイしてきた筆者だが、初めて錬金術を知り、立ち入りが禁じられていた島の対岸へと飛び出したライザと同じように、初めて尽くしのワクワク感を味わえ序盤から楽しくて仕方ない。特に簡単な一方で奥深い調合システムは誰でも幅広く楽しめ、新システムが作品をより魅力的にしてくれていることがよくわかる。
アンペルとの出会いをきっかけに錬金術士としての才能を開花させていくライザ。物語を進めていくと、島の対岸に大人の目を気にすることなく仲間たちと自由に過ごせる場所として“ライザのアトリエ”を建設する。クラウディアも仲間に入り、それぞれの目標実現のため歩み出していく。しかし、一方で謎の巨大な魔物と遭遇し、それを機に突然竜が出現したりと島の周りではさまざまな異常が起こるようになる……。次回は、そんな島の危機に対処すべく奮闘する、ライザたちの新たな冒険を紹介。また“ライザのアトリエ”で行える素材の栽培や模様替えといった機能、さらに一度調合したアイテムを調合し直し強化する“アイテムリビルド”など、今回では紹介しきれなかった錬金術の魅力を掘り下げていこうと思う。
さて、最後に悲しいお知らせをひとつ。本稿を執筆中に”サマーアドベンチャー!衣装”の配信が期間限定で行われていた。掲載写真の多くでライザの露出度が高い魅力的な衣装がそれだ。すでに配信は終了しており、入手できない衣装になっている。持っていない方は残念だが、写真で我慢していただきたい。

フォトギャラリー
ライザのアトリエ ~常闇の女王と秘密の隠れ家~ロゴ

■タイトル:ライザのアトリエ ~常闇の女王と秘密の隠れ家~
■メーカー:コーエーテクモゲームス
■対応ハード:PlayStation®4、Nintendo Switch™、PC(Steam®、DMM GAMES)
■ジャンル:錬金術RPG
■対象年齢:12歳以上
■発売日:発売中(2019年9月26日)
(Steam®は10月29日、DMM GAMESは発売日未定)
■価格:パッケージ版・ダウンロード版 各8,580円(税込)


『ライザのアトリエ ~常闇の女王と秘密の隠れ家~』オフィシャルサイト

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