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これが音楽配信のファイナルアンサー? “ハイレゾ”ストリーミングサービス「mora qualitas」を使ってみた

これが音楽配信のファイナルアンサー? “ハイレゾ”ストリーミングサービス「mora qualitas」を使ってみた

より高音質に音楽を楽しめる「ハイレゾ音源」。せっかく興味を持っても、楽曲ごとにダウンロードして購入するしか方法がなく、気軽に試聴してみることができなかった……という人は多いはず。すでにハイレゾ・リスニングを楽しんでいるオーディオファンにとっても、プレイリストなどストリーミングサービス以降の楽しみ方を取り入れたかった人は多いはずだ。10月24日(木)よりスタートしたハイレゾストリーミング音楽配信サービス「mora qualitas(モーラ クオリタス)」は、そうした葛藤に答えてくれるかもしれない。現在11月24日(日)まで、無料先行体験が可能となっている。

▲「mora qualitas」ティザーサイトより。

ハイレゾ音源とは、従来のCDを超える情報量を持つ高音質音源。楽器や声の生々しさやツヤ感、ライブ会場の臨場感などのディテールを表現することが可能とされ、近年ではスマートフォンでも再生対応機種が増えている。
mora qualitasでは可逆圧縮(元の音源データから情報量を保ったまま圧縮する方式)のFLACというファイル形式で、最高24bit/96kHzのハイレゾ音源を取り扱う(この数字が大きいほど、より音源ファイルの情報量が多い)。インターフェース上では、24bit/44.1~96kHzのファイルにはハイレゾ音源であることを示す[HR]マークが付いているのでわかりやすい。また、CD音質相当の音源も配信されており、こちらは同じくFLACで16bit/44.1kHzというスペックだ(CD音質の音源でも、AACやmp3といった“非可逆”圧縮ファイル形式の音源より音質が良い)。

▲宇多田ヒカルのアルバム一覧。ハイレゾ音源には[HR]というマークとともにスペックが表記されている。

PCオーディオにおいて、より高い音質を求めるなら必須の“排他モード”を搭載しているのもmora qualitasの特長だ。通常、PCは複数のアプリで同時に音を鳴らすため、各アプリから出力されるバラバラの音声フォーマットを「オーディオエンジン」という機構に集約させている。これにより、mora qualitasのようなハイレゾストリーミング音楽配信サービスと動画サイトから流れる音声が均質化されてしまうのだが、“排他モード”を選択することで搭載アプリの音声だけを特別なラインから出力して再生することができる。mora qualitasの設定画面から出力先をUSB-DACなどに設定すれば、そこからさらにハイレゾ対応のスピーカーにつなぐことで、紛うことなきハイレゾ・リスニング環境を整えることができる(近日リリース予定とされるモバイルアプリでも、ぜひこの辺りの機能の実装は期待したい)。

▲設定画面から、オーディオ出力デバイスを選択できる。(USB-DACを繋いでいる状態だと、「WASAPI」表記の後ろにその機器の名称が表示される)

新しい音楽との出会いはどうだろう。ソフトを立ち上げるとすぐに、おすすめのアーティストが3組表示される。この「Close-Up」コーナーには、ユーザーの再生傾向や「お気に入り」に登録されている楽曲によって変化するようだ(インストール直後は「King Gnu、松任谷由実、星野源」といった並びだったのが、何度か試聴して再起動してみたところ「ジョン・レノン、エレクトリック・ライト・オーケストラ、ポール・コゾフ(ザ・フーのギタリスト)」といった渋い並びに変わっていた!)。また、「ラジオ」コーナーでは「80’s Rock ラジオ」「Hip-Hop Hits ラジオ」などジャンルや年代別にまとめられたヒット・ソングをエンドレスで聴くことができる。選曲はアプリケーションが自動で行うので、思いがけない出会いを楽しむことができるだろう。「おすすめ」欄から飛ぶことのできる公式プレイリストも充実している。

▲ラジオのチャンネル選択画面。

▲(サービス側が提供している)プレイリストの選択画面。

現在配信されている楽曲数は公表されていないが、宇多田ヒカルや松任谷由実などのJ-POP作品、キース・ジャレットや上原ひろみといったジャズ作品、クイーンやマイケル・ジャクソンなどの洋楽名盤、クラシックコンサートの録音など、ジャンルを問わずラインナップされている。好みの楽曲を組み合わせて自分だけのプレイリストを作成できる機能も、もちろん標準搭載である。

今後に期待したい点もある。まずmoraの名前を冠しているが、ダウンロードストアである同サービスとまったく同じラインナップが揃っているわけではなく、たとえばLiSAや藍井エイルといったアニソンアーティストの作品はほとんど配信されていない。松田聖子や岩崎宏美のベスト盤など、オーディオファンにとって定番とも言えるハイレゾ音源の配信も未だなく、正式ローンチまでのさらなるラインナップ増強が待たれるところだ。

また、スペック別の検索に対応していないのも気になった。アーティスト名で検索したときに、ハイレゾ音源とCD音質の音源の双方が配信されている楽曲の場合、後者のほうが上位に表示されることがある。公式に提供されているプレイリストにも、楽曲間でスペックを揃えるためなのかハイレゾ音源が入っていないことが多い。実際にはハイレゾ音源が配信されているのに、CD音質の音源しかない……とがっかりするのはもったいないので、ぜひ検索機能の充実もお願いしたいところだ。

“ハイレゾリスナー”になることで楽しいのは、時代やジャンルにかかわらず「よい録音」をされた作品かどうかという評価基準が自分の中にできることだ。それは各楽器セクションのバランスだったり、ボーカルの微妙な息遣いのテクニックだったり、スタジオの空間感であったり……耳がハイレゾ音源を聴くことに慣れてくると、結果的にそれまで接点のなかったジャンルの音楽も聴くことにつながる面白さがある(筆者はここ数年ダウンロードサービスを用いてハイレゾ音源を楽しんでいるが、ジャズやクラシックなど生演奏のスリリングさが際立つジャンルを多く聴くようになった)。よく聴かれる音楽の種類が異なるのだから、ランキングやリコメンドもSpotifyなどの既存ストリーミングサービスとは当然違ったものになるだろう。これから無料体験をする際には、そうして気になった「よい録音」の楽曲を集めて、ぜひプレイリストを作るなどしてみてほしい。「ハイレゾ」かつ「ストリーミング」というまったく新しい音楽文化は、そうしてひとりひとりの体験が重なり合うことで作られていくはずだ。

定額制ストリーミング音楽配信サービス「mora qualitas」

サービス概要
・開始時期:2019年初春
・配信形態:月額・定額制ストリーミング配信
・価格:1,980円(税抜)/月
・配信型式:Losslessストリーミング
・音質:24bit/44.1~96kHz(ハイレゾ)/16bit/44.1kHz(CD音質)
・ファイルフォーマット:FLAC
・楽曲数:未定
・デバイス:PC(Windows、Mac)将来的には、スマートフォンなどのモバイルデバイスへも対応予定

専用サイト
https://mora-qualitas.com/

※「mora qualitas」の名称およびそのロゴは、株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメントの商標または登録商標です。
※「mora」の名称およびそのロゴは、株式会社レーベルゲートの登録商標です。
※サービス内容は、変更になる可能性があります。