Review

スピッツ、16thアルバム『見っけ』から「変わらないけどいつも新鮮なスピッツ」であり続けられている理由を考察する

スピッツ、16thアルバム『見っけ』から「変わらないけどいつも新鮮なスピッツ」であり続けられている理由を考察する

※SPITZ ニューアルバム『見っけ』発売記念特集「私とスピッツ」にて、上白石萌歌さん、岩井勇気(ハライチ)さん、奥貫薫さん、西野七瀬さんのインタビュー掲載中。特集は こちら


スピッツはずっと変わらない、ずっとおんなじ、でも本当にずっとおんなじだったとしたら、聴く方は飽きてしまうわけで、実はちょっとずつ変わっている、毎回どこかしらに何かしらの新しい試みや挑戦がある、その結果として「いつも変わらないけどいつも新鮮なスピッツ」であり続けられている──。

というのは、スピッツを語る際に、それこそもう25年くらい言われ続けてきたことである。僕個人のジャッジとしては、スピッツがそのような「変わらないけど新鮮」というフェーズに入ったのは、1994年リリースの8枚目のシングル『空も飛べるはず』あたりからではないか、と判断している(と、書いてみて気づいたけど、デビューから3年しか経ってなかったんですね)。

とはいえ、その「いつも変わらないけどいつも新鮮」の中にも、「そんなに変わらない」時期もあれば、「けっこう変わっている」時期もある。という視点から言うと、約3年ぶり・16作目になるこの『見っけ』は、後者、しかもその後者の中でもかなり大きめな振れ幅の作品だと、最初に聴き通して、まず感じた。

オーケストラを導入した『オーロラになれなかった人のために』(ミニアルバム、1992年)の時みたいに、極端に振れているわけではないが、たとえば「メモリーズ」(シングル、2000年)のAメロで草野マサムネの声に過剰にエフェクトがかかっていたのを聴いた時、「お、スピッツこんなことやる?」と新鮮だった、あの感じに近い曲が、いくつも入っている。という言い方だと、伝わるだろうか。

たとえば、えっ、この明るくてドラマチックなイントロでアルバムが始まるの? と一瞬驚くオープニング・チューン「見っけ」。たとえば、フルートの効いた三拍子がいきなりラウドに変わる、別の2曲をくっつけたみたいな「まがった僕のしっぽ」。たとえば、あえて力いっぱい初期に戻ってみたようなイントロだけど、Aメロのスウィート(70年代に人気だった英国のバンド)みたいなアレンジはスピッツにおいてめずらしく感じる(そしてサビでイントロのノリにまた戻る)「ヤマブキ」。

というようなアレンジの多彩さは、草野マサムネの書いてきた曲がそういうものだったので、それにバンドが対応して生まれたものなのだろう。「ラジオデイズ」の間奏明けのブロック、そこにしか出てこない歌メロが突然出て来るのとかも、普段なかなか書かないし、マサムネ。

で、歌詞。(マサムネにしては)驚くほど平易な言葉でわかりやすく書かれた「ありがとさん」や「初夏の日」のような歌詞もある。逆に、意味の細部まではきっと草野マサムネにしかわからない、聴く人の大半が「はて?」となりながら惹きつけられるスピッツの真骨頂である「YM71D」のような曲もある。かと思えば「ラジオデイズ」のように、はっきりと特定の何かについて歌った歌もある。

スピッツのファンは、アルバムが出たら、歌詞はもちろん各楽器の細部まで口で歌えるくらい、何度も何度も何度も何度も聴き込む人が多い印象があるが、そんな長年のファンにとっても、スピッツの作品の中でも「くり返しに耐える度」において、上位に入るアルバムなのではないかと思う。歌詞の面でも、音の面でも。聴けば聴くほど味が出る。リピートすればするほど「あ、ここのアレンジ、こうなってたんだ?」「この歌詞こういう意味だったのか?」という、新しい発見がある。

それから。そんな、受け取り方も、解釈の仕方も、楽しみ方も、多彩で自由なアルバムの1曲目が「見っけ」で、ラストが「ヤマブキ」だというのが、本当にいいなあと思う。こんなふうに考えています、こんなふうな意志を持っています、こんなふうにしたいと思っています、こんなふうに生きていきます、という宣言として聴けるので、この2曲は。

あとひとつ。「ラジオデイズ」、ハライチ岩井勇気はラジオをやる側として試聴会で目頭が熱くなるほど感動した、という話をしていたが、僕は、昔も今もラジオを聴くのが大好きな側として、それはもう大変に刺さった、この曲が。

初めて自発的に何か文字を書いたのが、10代の頃のラジオへのネタ投稿だったので。20代になって間もない頃、熱心に聴いていたラジオ番組のDJが経営している会社が社員募集をしていたので、出してみたら受かって現在に至るので。つまり、ラジオで人生が決まった人間なので。

文 / 兵庫慎司

ライブ情報

SPITZ JAMBOREE TOUR 2019-2020 “MIKKE”

2019年
11月30日(土)  静岡エコパアリーナ
12月05日(木)  武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナ
12月07日(土)  武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナ
12月08日(日)  武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナ
12月12日(木)  横浜アリーナ
12月14日(土)  横浜アリーナ
12月15日(日)  横浜アリーナ
12月27日(金)  マリンメッセ福岡
12月28日(土)  マリンメッセ福岡

2020年
1月18日(土)  大阪城ホール
1月19日(日)  大阪城ホール
1月28日(火)  大阪城ホール
1月29日(水)  大阪城ホール
3月28日(土)  YCC県民文化ホール(山梨県立県民文化ホール)
3月31日(火)  高崎芸術劇場
4月07日(火)  米子コンベンションセンター・BiG SHiP
4月09日(木)  広島文化学園HBGホール
4月10日(金)  広島文化学園HBGホール
4月14日(火)  宇都宮市文化会館
4月18日(土)  和歌山県民文化会館 大ホール
4月19日(日)  姫路市文化センター 大ホール
4月21日(火)  レクザムホール・大ホール(香川県県民ホール)
4月28日(火)  市民会館シアーズホーム夢ホール(熊本市民会館)
4月30日(木)  大分iichikoグランシアタ
5月05日(火・祝)名古屋国際会議場センチュリーホール
5月06日(水・振)名古屋国際会議場センチュリーホール
5月08日(金)  名古屋国際会議場センチュリーホール
5月12日(火)  金沢歌劇座
5月14日(木)  新潟県民会館
5月19日(火)  札幌文化芸術劇場hitaru
5月20日(水)  札幌文化芸術劇場hitaru
5月26日(火)  仙台サンプラザホール
5月27日(水)  仙台サンプラザホール
6月01日(月)  沖縄コンベンションセンター劇場棟
6月02日(火)  沖縄コンベンションセンター劇場棟
6月07日(日)  松山市民会館・大ホール
6月08日(月)  高知県立県民文化ホール・オレンジホール
6月12日(金)  山形県総合文化芸術館
6月14日(日)  リンクステーションホール青森(青森市文化会館)
6月21日(日)  帯広市民文化ホール大ホール
6月23日(火)  コーチャンフォー釧路文化ホール
6月29日(月)  大宮ソニックシティホール
6月30日(火)  大宮ソニックシティホール
7月05日(日)  福井フェニックスプラザ
7月06日(月)  滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール 大ホール
7月08日(水)  岡山市民会館
7月14日(火)  三重県文化会館大ホール
7月16日(木)  長良川国際会議場メインホール

SPITZ オフィシャルサイト
https://spitz-web.com/

SPITZ mobile(SPITZ オフィシャルモバイルサイト)
http://spimo.net