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杉江大志&三浦海里らがゲームを通じて描く群像人情劇。舞台『ゲームしませんか?~荒野行動~』レポート

杉江大志&三浦海里らがゲームを通じて描く群像人情劇。舞台『ゲームしませんか?~荒野行動~』レポート

世界で約3億ダウンロードを突破した大人気バトルロイヤルゲーム『荒野行動』をプレイする人間たちの悲喜交々の姿を描いた舞台『ゲームしませんか?~荒野行動~』が10月30日(水)からこくみん共済 coop ホール(全労済ホール)/スペース・ゼロにて上演された。
本作は、5人の登場人物を中心に描かれる物語で、主人公の売れないビジュアル系バンドで活動する斎藤ショウを杉江大志が演じる。そのほかに、吉田綾乃クリスティー(乃木坂46)、三浦海里、美津乃あわ、久ヶ沢 徹など、若手からベテラン俳優、アイドル、芸人、ゲーム実況者まで個性豊かなメンバーが脇を固める。一癖も二癖もあるキャラクターによる、笑いあり感動ありな人情劇の初日に観劇することができたので、その模様をレポートしよう。

取材・文 / 竹下力


失敗したって、間違ったって、立ち直るほど人は強くなれる

現実は過酷なもので、ひたすら打ちのめされて落ち込むことがあるけれど、それでも何度でもやり直すことができる。そう、ゲームと同じように。失敗したって、間違ったって、立ち直るほど人は強くなれる。この舞台を観ていたら、そんな実感に胸が熱くなって自然と涙が出てきた。なぜなら、友情、家族愛、愛情という人間が持ちうるすべての感情、総じて人生を肯定してくれるからだと思う。ストーリー、演出、役者の演技など、舞台を構成するすべての要素がポジティブなパワーに満ちていた。

ゲームしませんか?~荒野行動~ エンタメステーションステージレポート

物語はゲーム『荒野行動』をプレイしている場面から始まる。冒頭では舞台上に3人のプレイヤーが登場。プレイヤー名のショウ(杉江大志)、ミー(吉田綾乃クリスティー)、ミッキー(三浦海里)はチームを組んで、敵との激しい銃撃戦を、ヴァーチャルな世界で繰り広げていた。
ショウたちが、見事なコンビネーションで勝ちを収め、ログアウトをすれば、彼らの現実のシーンになる。彼らにとって、日常はヴァーチャルな世界よりもシビアだった。

ゲームしませんか?~荒野行動~ エンタメステーションステージレポート

ビジュアル系バンド「十二使徒」のベース&ボーカルの斎藤ショウ(杉江大志)は、大学で知り合ったドラム担当の中村シンジ(前田隆太朗)とギター&ボーカルの松本タクヤ(宮下雄也)と共に成功を夢見ている。『荒野行動』はバンド活動の合間の息抜きだった。しかし、事務所の社長の提案で、一発勝負を掛けたドームライブで惨敗。事務所も解散してしまい、途方にくれる。やる気の失せたタクヤの代わりに、ショウはピンチヒッターで、とあるバーのバイトに行くことになる。そこでショウは悪役レスラーの堀 ヒデキ(久ヶ沢 徹)と出会う。ヒデキは高校生の息子と折り合いが悪く、息子がハマっている『荒野行動』を通して仲良くなりたいとショウに告げ、ショウは気軽にヒデキに『荒野行動』を指南することを引き受ける。

ゲームしませんか?~荒野行動~ エンタメステーションステージレポート

ミーこと宮西ミーコは、アイドル級の人気を誇る女流棋士。『荒野行動』は対局前のゲン担ぎだった。彼女は憧れの実力派棋士の石川タクロウ(オラキオ)に恋人にならないかと迫られたのだが、兄でマネージャーの宮西ヤストシ(佐古井隆之)に反対され、心が揺れていた。

ゲームしませんか?~荒野行動~ エンタメステーションステージレポート

ミッキーは、堀 ミキオという高校生で、父親のヒデキを毛嫌いしていた。それは、彼が悪役レスラーで、そのせいで母親が家を出奔し、さらにいじめに合っていることを根に持っているからだ。そのストレスを『荒野行動』で発散していた。ある日、不良たちに絡まれているところを、夜の街で働くシングルマザーの井口セツコ(美津乃あわ)に助けられる。ミキオは、初めは疎ましく思っていたが、どうやらセツコも高校生の娘の井口ナツミ(中村朱里)と関係が上手くいっていないことがわかり、お互いに意気投合し、セツコに『荒野行動』を教えることになる。

ゲームしませんか?~荒野行動~ エンタメステーションステージレポート

そうして、現実世界で問題を抱えながらも、ショウ、ミーコ、ミキオ、ヒデキ、セツコはゲームを通して知り合い、仲を深めていく。それでも、現実の波が押し寄せてきて、彼らに幾多の困難が訪れる。それを解決する唯一の方法が、『荒野行動』の大会を5人で優勝することだった。だが、そこには、天才ゲーマーのテツト(亀井有馬)が率いるチームが立ちはだかっていたのだった……。

ゲームしませんか?~荒野行動~ エンタメステーションステージレポート

とにかく吹原幸太の脚本が素晴らしい出来栄えで感動してしまう。彼ら5人が、なぜ出会い、絆を深め、共に同じ目的に向かっていくのかの必然性がスムーズに表現されている。濃密な人間関係が描かれて感動できるシーンがたくさんあるけれど、とてもポップな仕上がりで、気軽に物語を追うことができる。なにより、どのキャラクターも濃くて、一目見たら忘れられない造形も印象的だった。

ゲームしませんか?~荒野行動~ エンタメステーションステージレポート

ほさかようによる演出では、演劇的な仕掛けを巧みに使って、ゲームの世界と現実世界、非リアルとリアルの境目をシームレスに繋げられており、ふたつの世界がスピーディーに展開していく。それでいて、登場人物たちが、どこにいて、何をしているのかがよくわかる。客席を巻き込んだゲームを忠実に再現したド派手な戦闘シーンも、現実世界での親と子や仲間同士の会話もすべて、同じ舞台上で行われているのに破綻がない。演出の手腕が光っていて、仮想現実と現実をドッキングさせてしまう荒技を軽妙にこなしていた。

ゲームしませんか?~荒野行動~ エンタメステーションステージレポート

どのキャラクターも抜群の面白さだが、やはりチームを組む5人が突出していると思う。久ヶ沢 徹は、息子に嫌われた悲哀に満ちたお父さんを好演。美津乃あわも、娘のために生きているシングルマザーを力強くたくましく演じていた。吉田綾乃クリスティーは、人気女流棋士らしく清楚に振る舞っているのに、時折元ヤンキーがちょっとした拍子に出てくる芝居がメリハリが効いて面白かった。

ゲームしませんか?~荒野行動~ エンタメステーションステージレポート

三浦海里は、いじめられっ子で、内向的で、とにかく自分に起こった嫌な出来事をすべて父親のせいにして、現実逃避をしていくミキオを熱演。この物語は、登場人物たちの、現実にへこたれながらも、それでも懲りずに立ち上がっていく姿が感動を呼ぶのだけれど、それを最も体現している役だと思う。彼の成長を追いかけることで、この物語が何を語ろうとしているのかがよくわかる気がした。

ゲームしませんか?~荒野行動~ エンタメステーションステージレポート

斎藤ショウを演じた杉江大志は、面倒見がよくて、誰かのために頑張る人間を溌剌と演じていた。観客が元気をもらうほどの熱いエネルギーに満ちていて、どこからそんな陽性パワーを出せるのか驚かされたし、観ていて清々しかった。ただ面倒見が良すぎて、そのせいか、いろいろな人に頼られて割りを食うあたりにはもどかしさもかいま見え、幸も不幸も同居するショウの“人生”を精一杯に生きていたと思う。その迫真の演技が胸を打つ。

ゲームしませんか?~荒野行動~ エンタメステーションステージレポート

この作品はゲームという存在が人間のコミュニケーションを約束してくれるツールにもなるのだと強く感じつつ、生きているだけでぶつかってしまう理不尽な困難にも、他者がいることで必ず救いがあることを教えてくれた。たとえヴァーチャルな世界を通してでも、他者の優しさを感じることができる。人間の感情は、どの世界においても存在する普遍的なものだと改めて思う。そして同じぐらい、他人を少しだけ思いやりながら、ユーモアを忘れずに生きていくことが、どれほど楽しいことなのかを感じさせてくれる。

ゲームしませんか?~荒野行動~ エンタメステーションステージレポート

舞台『ゲームしませんか?~荒野行動~』

2019年10月30日(水)~11月4日(月・休)こくみん共済 coop ホール(全労済ホール)/スペース・ゼロ

STORY
冴えないビジュアル系バンド『十二使徒』の解散で無為な毎日を送る斎藤ショウ。
バイト先で極悪レスラー堀 ヒデキと知りあったことで運命の歯車が回り始める。
恋愛に悩むアイドル女流棋士宮西ミーコ、中二病のこじらせ男子の堀 ミキオ、パートに忙しいシングルマザーセツコ。
本来なら接点のない5人が、スマホを手にした時に世界は一変する。
銃声が響き、爆音が轟く、命が交錯する戦場に立つ仲間なのだ。
お互いの正体を知らぬままにプレイを続け、絆を深めていく5人であったが、やがてそれぞれに大きな転機やピンチが訪れる。
「荒野行動」を通じ繋がり、成長し、問題を解決しようとする5人の戦士たち。
交錯する複雑な人間関係の糸とゲームが織りなすコメディ人情劇!
友情、愛情、親子愛、崩壊と再生と戦略の果てに、彼らは幸福と栄光を掴みとれるのか!?

脚本:吹原幸太
演出:ほさかよう

出演:
斎藤ショウ 役:杉江大志
宮西ミーコ 役:吉田綾乃クリスティー(乃木坂46)
堀 ミキオ 役:三浦海里
井口セツコ 役:美津乃あわ
中村シンジ 役:前田隆太朗
井口ナツミ 役:中村朱里(虹のコンキスタドール)
テツト 役:亀井有馬
松本タクヤ 役:宮下雄也
石川タクロウ 役:オラキオ
宮西ヤストシ 役:佐古井隆之
堀 ヒデキ 役:久ヶ沢 徹

金子佳代
秋山皓郎
中井絢子
河合健太郎
岡田政宏
山下晃季

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