LIVE SHUTTLE  vol. 375

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BUMP OF CHICKEN 壮大なオーロラの映像につつまれながらスタート。最新型にして普遍的な音世界を振り返る。

BUMP OF CHICKEN 壮大なオーロラの映像につつまれながらスタート。最新型にして普遍的な音世界を振り返る。

「BUMP OF CHICKEN TOUR 2019 aurora ark」
2019年11月3日(日・祝)東京ドーム

BUMP OF CHICKENの全国ツアー「BUMP OF CHICKEN TOUR 2019 aurora ark」のファイナル公演が11月3日(日・祝)、4日(月・休)の2日間に渡って行われた。最新アルバム『aurora arc』を携えて行われた今回のツアーは、ライブハウス、ホール、ドームを交えた9箇所18公演。2014年の「BUMP OF CHICKEN TOUR WILLPOLIS 2014 FINAL」以来、約5年3カ月ぶりの東京ドーム公演で彼らは、最新型にして普遍的なBUMP OF CHICKENを生々しく表現してみせた。

2017年から2018年にかけて自身最長、総動員30万人超のライブツアー「BUMP OF CHICKEN TOUR 2017-2018 PATHFINDER」を行った後も、BUMP OF CHICKENは精力的な活動を続けてきた。TVアニメ『重神機パンドーラ』に提供した「シリウス」「Spica」、スマートフォン向けアプリゲーム『妖怪ウォッチ ワールド』CMソングの「望遠のマーチ」、映画『億男』主題歌の「話がしたいよ」、TBS系日曜劇場『グッドワイフ』主題歌の「Aurora」などの話題曲を次々とリリース。これらの楽曲を収録したニューアルバム『aurora arc』は当然のように大ヒットしたのはもちろん、このバンドの新たな名作として高い評価を得ている。その充実ぶりは、ツアーファイナルの初日となるこの日のライブからもはっきりと伝わってきた。

BUMP OF CHICKEN エンタメステーション ライブレポート

撮影 / 立脇卓

オーロラをモチーフにした美しく、壮大な映像、そして、メンバーの4人(藤原基央 / V&G、増川弘明 / G、直井由文 / Ba、升秀夫 / Dr)が円陣を組み、手を合わせる様子が巨大なスクリーンに映される。アルバム『aurora arc』の1曲目に収録されたインスト曲「aurora arc」に合わせて手拍子が鳴り、観客全員に配布されたリストバンド型LEDライト・PIXMOBが青い光を放つなか、4人はステージに登場。藤原が右手でギターを掲げた瞬間、凄まじい声援が沸き起こる。圧倒的な高揚感にドーム全体が包まれるなか、「Aurora」へ。ロマンティシズムとダイナミズムを共存させた楽曲が高らかに鳴り響き、カラフルな色彩を放つPIXMOBによって、巨大な会場がひとつになっていく。この曲のMVを手がけた林響太朗監督によるオイルアートも素晴らしい。最新鋭のテクロノロジーと人間らしい手作り感がひとつになった演出は、このバンドの本質に直結していたと思う。

BUMP OF CHICKEN エンタメステーション ライブレポート

撮影 / 太田好治

さらに「楽しむ準備できてるか?!」(藤原)という声とともに「虹を待つ人」。虹色の光が放たれるなか、直井がアリーナ中央の花道に進み、オーディエンスのそばで演奏。さらに藤原、増川もセンターステージまで走り、「歌え、東京!」(藤原)と観客を煽ると、サビのコーラスで大合唱が生まれる。ライブ序盤から凄まじい一体感だ。

メインステージに戻り、藤原がギターを鳴らして「『イマ』という ほうき星/今も一人追いかけている」と歌うと、「Oh yeah ah huh」というシンガロングが起きる「天体観測」。藤原、直井、升が顔見合わせながら演奏し、増川がギターのフレーズを響かせる姿も印象的。ボーカルのテンションもいつも以上に高く、この楽曲が持っている普遍的なメッセージが真っ直ぐに伝わってくる。2001年に発表された名曲だが、聴くたびに豊かな感動が生まれ、新たな発見があるのだ。

BUMP OF CHICKEN エンタメステーション ライブレポート

撮影 / 太田好治

「(観客に向かって)“初めまして”の人? あ、けっこういますね。千葉県佐倉市出身、幼馴染み4人でやってます」という直井のMCの後は、アルバム『aurora arc』の楽曲を中心に、このバンドの奥深い音楽性、ジャンルの枠を超えたサウンドをたっぷりと堪能できる場面が続く。エキゾチックな旋律とスリリングなスピード感をたたえたビート、そして、赤のレーザーと炎を交えた演出によって観客のテンションをさらに引き上げた「月虹」、メンバーがドラムの周りに集まって演奏し、四畳半と宇宙がつながるような美しい歌が広がった「プラネタリウム」。「めちゃ最高だって人、毎日つまらないって人。そのままの気持ちでいいので、踊ろうぜ」(直井)というMCに導かれた「Butterfly」では、メンバーが再び花道に進み、オーディエンスと一緒に音楽を共有。エレクトロ、EDM系のトラックと生々しいバンドサウンドが融合することで生まれる興奮はまさに圧巻だった。

BUMP OF CHICKEN エンタメステーション ライブレポート

撮影 / 富永よしえ

アルバム『aurora arc』の収録曲もこのツアーのなかでさらに進化していた。「記念撮影」は、この日(11月3日)に発表された新MVとともに披露。このMVは日清食品カップヌードルCMシリーズ「HUNGRY DAYS」とのコラボ映像として制作され、「ルフィ率いる麦わらの一味がもしも高校生活を送っていたら」というCMシリーズの世界を踏襲。卒業をテーマに、ルフィや仲間との出会いと別れ、それに伴う葛藤の日々を麦わらの一味が振り返るという物語が展開された。『ONE PIECE』とBUMP OF CHICKENのコラボレーションを東京ドームで体感できる、きわめて貴重なシーンだった。「あ、もう半分終わっちゃったよ。寂しいな」(藤原)という言葉を挟んで演奏された「話がしたいよ」からは、藤原の歌の魅力が濃密に伝わってきた。日常のなかで一人であることを感じ、もう戻れない日々に思いを馳せながら、“君と話がしたい”と願う。永遠と一瞬が交差するような瞬間、深遠な感情を素朴に描き出す彼のボーカルはやはり素晴らしい。

BUMP OF CHICKEN エンタメステーション ライブレポート

撮影 / 太田好治

メンバーの4人はこの後、ゆっくりとアリーナを縦断し、会場の後方に置かれたセカンドステージに移動。「何回転んだっていいさ」と歌い始めた藤原は、演奏を途中で止め、「歌ってたら、言いたいことができた」と名曲「ダイヤモンド」にまつわる思いを語り始めた。20年くらい前、ひとり暮らしのアパートでこの曲を作ったこと。少ないお客さんの前で一生懸命に歌っていたこと。数の問題じゃなくて、いまも一人一人に歌っていること。「二十歳だった俺から、二十歳の曲を君に捧げます」と改めて演奏された「ダイヤモンド」は本当に格別だった。

アコギの響きと4つ打ちのリズムを軸にした「リボン」を披露し、メンバーはメインステージに戻る。再びオーロラをモチーフにした映像が映し出され、壮大なシンセサウンド、ディレイを効かせたギターフレーズを軸にした「望遠のマーチ」では、リリックビデオ風の映像によって、「いこうよ!」というフレーズが響き渡る。続く「アリア」ではパイプオルガンの音とステンドグラスの教会を映し出す映像によって、神聖な雰囲気を醸し出し、「Spica」では巨大な樹木の映像とともにゴスペル調のコーラスが鳴り響く。

BUMP OF CHICKEN エンタメステーション ライブレポート

撮影 / 太田好治

ここからライブはクライマックスへ。エレクトロ系のビートが鳴り響き、観客が気持ちよさそうに身体を揺らした「ray」では、宇宙、星を想起させるビジョン、サビの“生きるのは最高だ”という文字を映し出す演出で楽曲のメッセージをしっかりと押し出す。そして「新世界」では松本理恵監督によるロッテ「ベイビーアイラブユーだぜ」のCMから派生したMVをリアレンジした映像によってポップに振り切ったステージを展開。ハンドマイクの藤原が「俺もアイラブユーだぜ!」とシャウトすると、客席から歓喜の声が起きた。

「でかい声で歌った? もっと歌えるだろ」(藤原)という言葉とともに披露された「supernova」も大きな感動を呼び起こした。大切な人の存在、そのかけがえのなさ、“ひとつだけでいいから本当を掴みたい”という切実な思いを歌ったこの曲もまた、BUMP OF CHICKENの本質そのものだ。サビのコーラスで起こった凄まじいばかりの大合唱は、今回のツアーの大きなハイライトだったと思う。

ドーム全体がプラネタリウムのように輝いた「流れ星の正体」で本編は終了。アンコールでは、直井が楽しそうにグッズを紹介し、全員で記念撮影をした後、「いい曲ばっかだな」(直井)、「嬉しいよな、ここに立てて」(藤原)というやり取りを挟み、「同じドアをくぐれたら」を演奏。さらに「メーデー」を演奏し、ライブはエンディングを迎えた。

BUMP OF CHICKEN エンタメステーション ライブレポート

撮影 / 古溪一道

終演後、藤原は観客に語り掛けた。20年以上バンドを続けてきて、あの頃(20年前)と変わらず歌える場所があって、聴いてくれる人たちがいる、その嬉しさが押し寄せてきて、感極まってしまったこと。世の中にたくさんある曲から、俺たちの音楽を見つけてくれた“おまえ”に会いに来たこと——。

日本を代表するバンドとなり、音楽性、ライブの規模を含め、常に拡大を続けてきたBUMP OF CHICKENは、一貫して“1対1でリスナーと向き合い、音楽を届ける”という姿勢を変えていない。この真摯なスタンスこそが、このバンドが強烈な支持を獲得している理由なのだと改めて実感させられた。彼らの音楽はこれからも、葛藤や悩みを抱えながら生きる人たちのそばに存在し、日々の生活のなかで輝きを放つだろう。

文 / 森朋之
トップ画像・撮影 / 古溪一道
本文画像・撮影 / 古溪一道、太田好治、富永よしえ、立脇卓

「BUMP OF CHICKEN TOUR 2019 aurora ark」2019年11月3日(日・祝)東京ドーム

セットリスト
01. aurora arc
02. Aurora
03. 虹を待つ人
04. 天体観測
05. 月虹
06. プラネタリウム
07. Butterfly
08. 記念撮影
09. 話がしたいよ
10. ダイヤモンド
11. リボン
12. 望遠のマーチ
13. アリア
14. Spica
15. ray
16. 新世界
17. supernova
18. 流れ星の正体
EN01. 同じドアをくぐれたら
EN02. メーデー

BUMP OF CHICKEN

藤原基央、増川弘明、直井由文、升秀夫の幼馴染み4人によるバンド。1996年2月に現在の編成で初めてライブを行う。2000年メジャーデビュー。2001年発売のSg「天体観測」は累計95万枚超の大ヒットに。その後も「sailing day」「カルマ」「花の名」「ray」「リボン」「記念撮影」「Aurora」とコンスタントにヒットを飛ばす。2019年7月には自身9枚目のフルアルバム「aurora arc」を発売し、全国ドーム会場を含み全18公演に渡るリリースツアー「BUMP OF CHICKEN TOUR 2019 aurora ark」も無事終了した。

オフィシャルサイト
https://www.bumpofchicken.com

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