Interview

浅井健一 TVアニメ『ノー・ガンズ・ライフ』に感じた思いを注ぎ込んだ新作と進化し続ける彼のいまを訊く。

浅井健一 TVアニメ『ノー・ガンズ・ライフ』に感じた思いを注ぎ込んだ新作と進化し続ける彼のいまを訊く。

2019年9月にフルアルバム『BLOOD SHIFT』をリリースした浅井健一から、早くもニューシングル「MOTOR CITY」が届けられた。TVアニメ『ノー・ガンズ・ライフ』OPテーマとして制作されたこの曲は、鋭さと憂いを同時に放つギターリフ、シャープに研ぎ澄まされたバンドサウンド、そして、“一生懸命生きている/そういう人が最も美しい”という歌詞がひとつになった極上のロックンロールだ。

取材・文 / 森朋之 撮影 / 森崎純子


激変する曲が多々あって。成長していくというか、進化していくので、それもおもしろいね

浅井健一 エンタメステーションインタビュー

現在は“浅井健一&THE INTERCHANGE KILLS”の全国ツアー「BLOOD SHIFT TOUR 2019」の真っ最中。手ごたえはいかがですか?

いい感じだよ。すごく各地で盛り上がっていて。ツアーを回っていて楽しいですね。

浅井健一ソロ名義によるアルバム『BLOOD SHIFT』の楽曲も、ライブで演奏することで変化しているのでは?

うん、激変する曲が多々あって。成長していくというか、進化していくので、それもおもしろいね。音源よりもスピードが速くなったりとか、楽器が少ない分、激しさが増したりとか、どの曲にも必ずあるんだよ。それが新鮮に聴こえることもあるし。

THE INTERCHANGE KILLSが始動して3年が経ちましたが、いまも進化を続けているんですね。

そうだね。ぜんぜん飽きないし、演奏しているのが楽しい……“楽しい”ばっかりだけど(笑)。毎回、完璧に演奏するという目的もあるし、それを目指してるんだわ。お客さんにはわからないと思うんだけど、ちょっとしたミスとかがあるから。ふたりとも(ベースの中尾憲太郎、ドラムの小林瞳)も真剣だし、完璧を目指すのはすごくいいことだと思う。

『ノー・ガンズ・ライフ』からは正義を感じ取ることができた

そして11月13日には、ニューシングル「MOTOR CITY」がリリースされます。表題曲「MOTOR CITY」は、TVアニメ『ノー・ガンズ・ライフ』のオープニング曲ですね。

“それ用”に作ったんだわ。何かのために作ろうとしても、それに合うものはなかなか出来なかったりするんだけど、今回はピッタリの曲が出来た。(アルバム『BLOOD SHIFT』収録曲)「Old Love Bullet Gun」と「暗いブルーは暗いブルーさ」も一緒に作ったんだけど、向こう(アニメの制作サイド)が選んだのが「MOTOR CITY」で。「早くて、勢いがあって、ノリがいい曲」というリクエストがあったんだけど、あとは好きなように作りました。

なるほど。『ノー・ガンズ・ライフ』に対してはどんな印象を持ってますか?

ちゃんとした正義があると思ったかな。正義感がまったくなくて、ただ気持ち悪いだけだったり、観る人を暗くするような作品は嫌いなんだわ。『ノー・ガンズ・ライフ』からは正義を感じ取ることができたから、一生懸命、曲を書きました。

“一生懸命生きている/そういう人が最も美しい”という歌詞も、『ノー・ガンズ・ライフ』から感じたことなんですか?

それもあるし、ふだんから普通に思ってることだね。一生懸命に生きてる人がいちばん美しいでしょ?

「MOTOR CITY」というタイトルも浅井さんらしいですよね。

単車や車が好きだからね。曲とか絵に昔からよく登場しますね。

「Colorful Elephant」のMVにもカッコいい外国の車が登場していて。

そうだね。ああいう車のほうが雰囲気いいじゃん。

「単車で東京の街を走ってる映像はどうかな」って。ずっとああいう感じでもいいな

浅井健一 エンタメステーションインタビュー

今回のシングルの初回生産限定盤には、今年ソロ名義でリリースされた5曲のMVが収録されていて。特に「METALLIC MERCEDES」の東京の街をバイクで走る映像はすごく印象的でした。

あれは楽しかった。あのアイデアは俺がいい出したんですよ。「単車で東京の街を走ってる映像はどうかな」って。ずっとああいう感じでもいいな。

浅井さん、MVが発表された際に「オリンピックに向けて、建設ラッシュの東京を走りました。AKIRAな気分でした。」とコメントしてましたね。

うん。いまの東京は『AKIRA』の世界に近づいてるよね。『AKIRA』には爆心地があるけど、俺らも気を付けないと。音楽も大事だけど、そういう肝心なことから目を逸らせるでしょう、みんな。(アルバム『BLOOD SHIFT』収録の)「Very War」でもそういうことを歌ってるんだけど、伝わるといいなって思ってる。

シングル2曲目の「Addiction」はエッジの効いたロックンロール・ナンバー。「MOTOR CITY」と通じる世界観だなと。

そうだね。この曲はちょっと前に出来ていて、去年の10月くらいにレコーディングしたんだけどね。

“Addiction”は“依存”のこと。どうしてもやめられないことはありますか?

いまの社会でいえば、スマホでしょ。あれをやってるとドーパミンが出るらしいし、世界中の人が中毒になっとるよね。俺は……酒かな。やめようと思っても、飲んじゃうね。

新しい夢に向かって全力で生きるのが一番人間らしい、という内容の歌詞も素晴らしいなと。この歌のなかでは“ある僧から言われた”とありますが、これは実際のエピソードなんですか?

うん。昔、ある雑誌の企画でお坊さんと対談したんだよね。九州の有名なお坊さんで、茶室でお茶をいただいて、そのあと話をして。「人間は何のために生きているんですか?」「死んだらどうなるんですか?」と聞いたんだけど、夢に向かって進んでいるときが一番人間らしい。死んだらどうなるかなどとごちゃごちゃと考える必要はなく、一生懸命に生きなさいと。「なるほど!」と思ったし、いまだにその言葉は覚えてるね。

新しい作品を発表して、ライブをやって生きてゆくのが10代の頃の夢だったからね。それを実行できているのは、夢が叶っている最中でもあるのかなと

生きていくうえで、夢や目標はやはり必要ですか?

ところがさ、自分の夢は何だろう?と思うと、わからないんだよね。いま思い付くのは、カッコいい曲を作って、ヒットさせることだけかな。海辺に住んでみたいとも思うけど、実際に住んだら、こっちまで来るのが大変だし、寂しくなって戻ってくるのも想像できるし。

こちらから見ると、浅井さんは既に多くの夢を叶えているように思えますが…。

こうやって音楽で生きているのが10代の頃の夢だったからね。それを実行できているのは、夢が叶っている最中でもあるのかなと。もっと日本中を回って、規模をもっとデカくしたいけどね。

「MOTOR CITY」で初めて自分のことを知る人もいるだろうし、まったく違う世界観の曲に触れてもらうのもいいかなと

浅井健一 エンタメステーションインタビュー

シングルの3曲目には、配信限定でリリースされた「ぐっさり」を収録。

前のリリースはインターネットだけだったから、ジャケットもなければ、モノも存在しないからね。そのままだと寂しいし、ちゃんとした家というか、居場所を作りたくて。データで音楽を聴くのが普通になってるのかもしれないけど、俺も昭和生まれなもんで、やっぱりモノを残したいんだよね。「MOTOR CITY」で初めて自分のことを知る人もいるだろうし、まったく違う世界観の曲に触れてもらうのもいいかなと。

「ぐっさり」には。BLANKEY JET CITYで活動をともにしていた照井利幸さんが参加。やはり浅井さんにとって、特別なベーシストですか?

照ちゃんはすごい才能を持っている人だと思っていて。特にメロディの発想やセンスは稀だと思う。BLANKEYのときから、じつはそうだったんだけどね。

『SKUNK』(1995年)というアルバムを作った頃から、照ちゃんと一緒に曲を作ると、思ってもみないようなすごい方向に行くことに気づいて

バンド時代も照井さんの才能を感じ取っていたんですよね?

はっきり感じたのは、途中からかな。『SKUNK』(1995年)というアルバムを作った頃から、照ちゃんと一緒に曲を作ると、思ってもみないようなすごい方向に行くことに気づいて。それがすごくおもしろかったんだよね。照ちゃんが一人で作った曲も秀逸だしね。

「ぐっさり」でも、そういう化学変化があった?

うん。あのベースラインがあるおかげで、既に世界観が出来上がっていて。それが楽曲を光らせているんだよね。

本当に独創的なベースラインですよね。余談ですが、学生のときにBLANKEY JET CITYの楽曲のベースをコピーしようとしたことがあって。スコアを見て弾いても、まったくあの雰囲気にならなかったんです。

それ、よくあるよね。俺もQueenの「キラー・クイーン」のギターソロを弾こうと思ってスコアを買ったことがあるんだけど、その通りに弾いても「はぁ?」っていう感じだったから(笑)。

すげえカッコいい曲を作って、大ヒットさせることしか考えてないよ

浅井健一 エンタメステーションインタビュー

2019年はソロアルバム『BLOOD SHIFT』のリリースもあり、濃密な1年だったんじゃないかと。尽きることのない創作意欲にも驚かされますが、浅井さん自身はどう感じていますか?

いつも通りかな。創作意欲がなくなったらやめるしかないし、まあ、何も考えとらんよ。

来年もこのペースで活動が続く、と。

来年か…。曲はポツポツできてるけどね。さっきも言ったけど、すげえカッコいい曲を作って、大ヒットさせることしか考えてないよ。

音楽を続けるにあたって、インプットも必要なのでは?

いい映画を観たいとはいつも思ってるけどね。いいバンドも観たいけど、出不精なもんで、最近はぜんぜん行ってないな。

最近気になってる映画は?

そうだな…。『ジョーカー』が話題になってるけど、破滅的な映画みたいだから見たくないんだよね。よく飲みに行くバーでも映画の話になるけど、やっぱり希望がない映画は好きじゃない。

では、最近のおすすめ映画は?

近年でいうと、『インターステラー』とか。日本の映画では、時代劇でいい作品があったかな。『一命』とか、『殿、利息でござる!』もよかった。(「殿~」は)ふざけた映画かと思ってたんだけど、そうじゃなかったね。

意外なセレクトですね! ジャンルは関係ないと。

もちろん。ジャンルで決めちゃうと、もったいないじゃん。

その他の浅井健一の作品はこちらへ。

ライブ情報

詳細はオフィシャルサイトにて

浅井健一

1964年生まれ。愛知県出身。
1991年にBLANKEY JET CITYのボーカル&ギターとして、シングル「不良少年のうた」とアルバム『Red Guitar and the Truth』でメジャーデビュー。
数々の名作を残し、2000年7月横浜アリーナ2days「LAST DANCE」を最後に解散。
その後、SHERBETSやAJICO、JUDE、PONTIACSなどさまざまな形でバンド活動を続け、2006年7月にソロ名義では初となるシングル「危険すぎる」、同年9月に初ソロアルバム『Johnny Hell』を発表した。繊細なタッチで描かれる絵画も高く評価されており、絵本や画集などを発表している。
2016年8月に新たなソロプロジェクト、浅井健一&THE INTERCHANGE KILLSを始動。メンバーは浅井、再結成も記憶に新しいNUMBER GIRLや、Crypt Cityでも活動中の中尾憲太郎(Ba)と、カナダやアメリカなどで活動してきた小林 瞳(Dr)で、同年10月にシングル「Messenger Boy」、2017年1月にアルバム『METEO』を発表した。
その後、3度のツアーを経て、2018年2月に同バンドの2枚目のアルバム『Sugar』をリリースし、3月からは全国ツアーも開催。
2019年2月には浅井健一ソロ名義で約5年振りの新曲の配信リリース、5月にはシングル「METALLIC MERCEDES」をリリースし、9月にフルアルバム『BLOOD SHIFT』をリリース。現在は、10月からスタートした浅井健一&THE INTERCHANGE KILLSとして、全国20カ所を回るツアーを行っている。

オフィシャルサイト
https://www.sexystones.com