Interview

カーリングシトーンズ 衝撃のデビューアルバムから伝わるメッセージは「やろうと思えば、夢は叶うこともある」!? さてその心とは

カーリングシトーンズ 衝撃のデビューアルバムから伝わるメッセージは「やろうと思えば、夢は叶うこともある」!? さてその心とは

もしカーリングシトーンズのメンバー6人に、どこかの道でばったり出くわしたら、一体、どんな集団に見えるのだろう。卒業してからかなり経つクラスメート同士なのか、それこそ北の小さな町のカーリングチームなのか。バラバラなペースで散歩しながら、あっちへふらふら、こっちへガハハハ。たあいもない話に興じながらずっと笑っている男たちは、とても魅力的に映る。
全員、曲が書けて、歌えて、楽器も弾ける。さらには全員、人気者。こんなバンドはこれまでの日本の音楽シーンに存在しなかった。昨年、行なったたった一回のライブでシーンの話題をかっさらい、ついにはオリジナル・アルバム『氷上のならず者』を完成させた。ほどよく年齢を重ねた50代ミュージシャンたちのボーカルとソングライティングと楽器プレイが冴えわたり、J-ROCK史上に燦然と輝く傑作アルバムとなっている。
衝撃のデビューアルバムと、間もなく始まるツアーについて、奥田シトーン、浜崎シトーン、斉藤シトーン、トータスシトーン、キングシトーン、寺岡シトーン(生年月日順)にズバズバ聞いてみた。

取材・文 / 平山雄一


「やるとしたら一回しかチャンスはないな」と思ってました(寺岡)

カーリングシトーンズは、LINEのグループから始まったって聞きましたけど?

寺岡シトーン(以下、寺岡) そうそう。でもLINEが始まったとき、「俺たちで何かやろうか」ってのはちょこちょこ出ていましたけど、実際にカタチになることはなかった。だから去年は、「やるとしたら一回しかチャンスはないな」と思ってました。で、「せっかくならひとり1曲、新曲を作ろう」って言った時、メンバーみんな、ちょっと狐につままれたような感じだったかもしれないですけど、結果、こうやってアルバムというカタチになったのでよかったなと思ってます。

寺岡シトーンがリーダーの役割を果たして、アルバムという結果を出した!

寺岡 僕は空気作りしかしてないです。僕の役割は、みんなの上着を1枚ずつ脱がす太陽(笑)。脱がすっていうことじゃないと、なかなかできなかったと思います。

サポートを入れずにメンバーだけでやろうってことになって、だんだんカーリングシトーンズのスタイルが出来上がったって感じです(寺岡)

バンドとしての決め事は、「ひとり1曲作る」っていうことだけだったんですか?

寺岡 それも物理的にどこまでできるかわからないんで、去年のライブは新曲をちょっとやって、足らなかったらカバーをやってもいいと思ってました。楽器演奏も、リハーサルする時間がなかったら、サポート・ミュージシャンを入れてもいいし。でも結果、サポートを入れずにメンバーだけでやろうってことになって、だんだんカーリングシトーンズのスタイルが出来上がったって感じです。

浜崎シトーン(以下、浜崎) 俺は、難しいんじゃねえかなと思ってたんだけど、奥田シトーンが「できるよ、できるよ」って言ってて、「それじゃあ、やってみるか」みたいな感じだった。だって、全員が集まれる日がないってことがわかってたから。実際、リハで奥田シトーンが「ドラムは俺が叩く」って言い始めたから、「じゃあ、できるんだろうな」と思ってたら、ほんとにできちゃった(笑)。

楽器のパート分けは?

 

斉藤シトーン(以下、斉藤) 自己申告だったり、バランスだったり。

俺、珍しく起きてて、ドラム録りを見てた。それで「トータスシトーンのドラム、すごい!」と思ったもん(キング)
どんどんテンポが速くなってって、追いつくしかないから一生懸命やってただけでさ。大変やった、もう(トータス)

みんなドラムが好きだから、ドラムパート争いは激戦だったでしょ(笑)。

斉藤 そう、みんなやりたがった。

浜崎 ドラム叩きたがりは3人。基本、斉藤シトーンと奥田シトーンが多い。斉藤シトーンが歌う曲だったら奥田シトーンが叩くとか。で、トータスシトーンがどの曲で叩くかって感じだったよね。キングシトーンも今後、叩きたがるんじゃないの?

キングシトーン(以下、キング) そうそう(笑)。でも、もう3人いるからね。

浜崎 (笑)やんわり断ってる。

キング いやいや、俺は速いの叩けないから。トータスシトーンが「出会いたい」っていう曲のレコーディングですごいドラムを叩いて、「こんなドラム、叩けんだ!」と思って感動した。

トータスシトーン(以下、トータス) なんでやねん(笑)。

斉藤 そうだったよ。

浜崎 びっくりした。

トータス いやいやいや(笑)、どんどんテンポが速くなってって、追いつくしかないから一生懸命やってただけでさ。大変やった、もう。

キング すごかった!

寺岡 「出会いたい」を録るとき、夜中1時ぐらいに練習してたよね。

トータス したした。

寺岡 酒飲んだあとに、トータスシトーンと斉藤シトーンがドラムブースにこもった。

トータス 「斉藤シトーンが曲作ったから、一回ドラム叩いてくれ」って言うから。

奥田シトーン(以下、奥田) 俺、寝てた?

トータス もう寝てたよ、とっくに。

寺岡 スタジオからいなくなってた。 

キング でも、晩飯作ってくれたからいいじゃん(笑)。

浜崎 しかもウイスキー、ラッパ飲みしてた。

トータス ラッパ飲み(笑)。

キング 俺、珍しく起きてて、ドラム録りを見てた。それで「トータスシトーンのドラム、すごい!」と思ったもん。

寺岡 珍しくって(笑)。

浜崎 あれは今年の合宿レコーディングの2日目の夜中。

キング すげえ速いドラムを叩いてた。

トータス あれは大変だった(笑)。

なんでみんな、ドラムが好きなの?

奥田 俺ね、中学でギターを始めて、高校ぐらいのときにおじさんがドラム持ってて、田舎に帰れば叩けた。

トータス へー、初耳。

奥田 広島の山奥ですけど、好きでドラムを叩いてたよ。高校の最後のほうは練習スタジオでバイトしてたから、そこはドラムが叩き放題だったし(笑)。

斉藤シトーンは?

斉藤 俺も中学校のときに遊びのバンドやってて、ドラムは別にいたんだけど、そいつがあまりドラムに興味なかったから、俺ばっかり叩いて遊んでた。高校のときはいろんなバンドやってて、ドラム担当のバンドもやったり。

奥田 俺、高校のときにギャルバンに誘われたことあったよ。「ドラムだけやって」みたいな。恥ずかしかったの〜(笑)。

キング ギャルバン、やったんだ。 

奥田 やった、グラサンして。

(笑)ギャルのコスプレはしなかったの?

奥田 しないよ! するわけない(笑)。

トータスシトーンは? 

トータス 友達の家にドラムセットがあって、叩かしてもらったりしてたけど、基本的にはギターと歌でしたね。斉藤シトーンと奥田シトーンは自分で多重録音してアルバムをリリースしてるから、世間的にも“マルチ”っていうイメージはあるんちゃうかな。それでも僕らの世代は、ギターバンドが多かったね。ギターがギャーンっていってるのがみんな好きやったから。

全国の教頭が集まったみたいな(奥田)

ところでカーリングシトーンズは、どんな“集まり”なの? 運命共同体とか。

浜崎 互助会?

キング ロータリークラブ?

奥田 いや、全国の教頭が集まったみたいな。

(笑)校長じゃなくて。

浜崎 全国教頭会議(笑)。

奥田 校長ではないから、たいした話はしなくていい。「今日、なんの話する?(笑)」みたいな。

寺岡 みんな、全然、主体性がない(笑)。トータスシトーンがダビングしてて、次は奥田シトーンにギター弾いてもらおうか、歌ってもらおうかってときに、「あれ? 奥田シトーンは?」っていうと、どっかで寝てたりしていないんですよ。今日はキングシトーンがいないってなったら、ひとりで風呂にずっと入ってたり。誰かがいない。

キング だって風呂が心地よくて(笑)。

トータス ウルフルズでレコーディングしてても、バンドのメンバーがスタジオにいないなんてありえない(笑)。

全員が歌えて全員がアレンジできるから、あっという間。「早いなー」と思った(斉藤)

それって、決め事に困らないの?(笑)

奥田 いやいや、いろんな決定権はもはや寺岡シトーンにある。寺岡シトーンに任せないと進まないんだよ。そこはもう、寺岡シトーンがリーダーで間違いないですよ。

寺岡 この夏に合宿して、残りのレコーディングを3日間で終わらせたんですけど、僕はドキドキだった。「こぼしたらどうしよう」みたいな。

浜崎 頑張ったね、あれ。

寺岡 ほんとに、終わってみれば全部終わったんで、なんかみんなが補い合ってると思いました(笑)。

斉藤 面白かったなあ。全員が歌えて全員がアレンジできるから、あっという間。「早いなー」と思った。「ここ、こんなんがいいんじゃない」って誰かが言うと、バンバンそれがうまいことハマって、次々転がってく感じ。

浜崎 みんな、ジャッジが早かったね。自信ないのはすぐやめちゃうし(笑)。

奥田 みんなどれでもいいと思ってるってのはある。

シトーンズの場合、必要最小限ギリギリのとこで終わっちゃう(笑)(浜崎)

(笑)

浜崎 俺もそうだったけど、特に“やらないジャッジ”が早かった。

キング 引き算アレンジね。

武道の達人の話みたいだな(笑)。

浜崎 バンドって足し算してって、あとで削るときのほうが多いんだけど、シトーンズの場合、必要最小限ギリギリのとこで終わっちゃう(笑)。

奥田 誰かやろうと思ってるっつったって、「もういいやん」っていう。

キング 自分から引くみたいな。

トータス 俺もそれ、2曲ぐらいあったな。「もうこれで成立してるから、足さんでいいやろ」って。見切りが早くて気持ちいいよ。「一応入れようか」っていったら時間食うじゃないですか。「一応」のときは、もう入れない。

奥田 一応入れるぐらいなら、使わないからナシってなる。

トータス 一応で入れたやつは、だいたいは使わないですからね。

それは今まで自分たちがレコーディングをしてきた経験値なの?

キング それはそう思う。

奥田 俺たち、もうベテランですからね。

それにしても、全員が曲を書けるってスゴイよね。

寺岡 例えばこのアルバムに入ってる「わかってさえいれば」はトータスシトーンが作った曲で、それをウルフルズでやったり、トータス松本のソロでやると、ファンの人は「うんうん、わかる、トータスシトーンらしい」ってなるかもしれないですけど、カーリングシトーンズでこの曲をやると、トータスシトーンのファン以外の人たちが「トータスシトーンってすげえいい曲書くな」って思うようになると思う。大人のロックって言い切らなくても、聴く側がイメージしちゃうというか。♪君のうぶ毛の 生え際がやらしい♪とか、こういう歌詞を書く若いバンドはいないと思います。大人だから言える感じ。若いリスナーには「私たちの小学校のころ、お父さんやお母さんが聴いてたロックって、こういうニュアンスがあったような気がする」とか、いろんなことを想起させる。トータスシトーンの曲も、カーリングシトーンズの中では、すごくポイントになってる気がします。

僕は「わかってさえいれば」に、RCサクセションの「君が僕を知ってる」っていう曲へのリスペクトを感じた。

寺岡 もし平山さんが、「わかってさえいれば」が、「君が僕を知ってる」と考えるならば、キングシトーンの「マホーのペン」っていう曲は、キングシトーンなりの清志郎さんへのレクイエムなのかなって僕は思う。本人に聞いたことはないですけど、そうやって聴く人がいろんなことを想像できるって意味では、カーリングシトーンズにはいろんなロックの歴史が入ってると思う。

「やろうと思えば、夢は叶うこともある」っていうことを体現できるグループになる可能性はあるんじゃないかなって思いましたね(寺岡)

『氷上のならず者』を聴いて、メンバーみんながいい50代を迎えてると思った。  

寺岡 50代の男を意識してっていうのはなかったと思うんですけど、結果、それが出たのは自然だったし、みんなの中でも自然だったと思います。
去年のライブで世良公則さんがゲストで出てくださった後、「俺たちの世代じゃ、こういうことをやろうと思ってもできなかった」っておっしゃってた。ということは、僕らがこのアルバムを出すことによって、一石を投じることはできるんじゃないかと思う。もしかしたら世良さん世代は『氷上のならず者』を聴いて、「お前ら、こういうことをやりたかったのか、羨ましい」って思うかもしれないし、僕らより下の世代は「50代になってこんなことができるんだったら、いつか俺たちもやってみよう」ってなるかもしれない。そういうひとつのサンプルになるようなアルバムになるんじゃないかなって気はします。このアルバムができて、「やろうと思えば、夢は叶うこともある」っていうことを体現できるグループになる可能性はあるんじゃないかなって思いましたね。

ちなみに『氷上のならず者』っていうアルバムタイトルは?

寺岡 このタイトルはもう、奥田シトーンのアイデアですね(笑)。みんなもいろいろアイデアを出したんですけど、でもやっぱり、これかなって(笑)。この前、山中湖でカーリングの撮影しましたけど、全員、氷上でスベリまくってました。全然、ならず者じゃなかったです(笑)。

中学生のころ宅録してた感じがうまく出せたのかなって気もしますね(寺岡)

アルバムを聴かせてもらって、12曲目を聴き終わったあと、12曲どころじゃないぐらい、たくさん聴いた気がした。普通のアルバムの倍ぐらい、エネルギーが入ってるって感じた。

寺岡 もしそれがあるとすれば、デモを録ってたときの勢いだったり、手直しをしてない良さが表れてるのかもしれない。つまり、中学生のころ宅録してた感じがうまく出せたのかなって気もしますね。去年、デモとして録ったのを、イチから録り直してたら、こうはなってない。

スムーズになっちゃう?

寺岡 うん、キチッとしちゃう。僕が思ったのは、中学生とか高校生のときって、たまたまクラスメートになった人たちとバンド組むじゃないですか。

メンバーを選べない。

寺岡 そう、選べない。で、その人たちの家に行って、ラジカセで録ってたあの感覚が今回はあった。音楽を仕事にしてしまうと、そういう感覚を取り戻すのがなかなか難しいじゃないですか。みんなキャリアが30年ぐらいあると思うんですけど、その30年の中でも「久々にあのころの感覚を感じた」って思ってくれてるんじゃないかな。

ツアーの最後の打ち上げで「またやりたいな」って言って欲しいなっていうのはちょっとありますね(寺岡)

そしてついにツアーに出る!

寺岡 ツアーは5ヶ所だけなんですけど、リーダーとしてひと言あるとすれば、ツアーが終わったときに「またやりたいな」ってみんなに言って欲しいなと思う。逆に言うと、それだけがリーダーとしての願いです(笑)。最終日に「またやろうよ」って言って欲しいですね。こうやってアルバムができて、曲もそろって、ツアー回って、みんなで寝食共にしたときに、「はい、これでカーリングシトーンズは終わり」って思うのか、「いやぁ、またやりたいな」って思うのかわかんないんですけど、ツアーの最後の打ち上げで「またやりたいな」って言って欲しいなっていうのはちょっとありますね。

ありがとうございました!

全員 ありがとうございました!

その他のカーリングシトーンズの作品はこちらへ。

ライブ情報

カーリングシトーンズTOUR 2019-2020「やったぁ!明日はシトーンズだ!」

<2019年>
12月23日(月)東京国際フォーラムホールA
<2020年>
1月11日(土)熊本城ホール メインホール
1月13日(月・祝)大阪・オリックス劇場
1月14日(火)広島文化学園HBGホール
1月28日(火)名古屋国際会議場センチュリーホール

カーリングシトーンズ

寺岡シトーン(Vo.G.B.KEY.)、奥田シトーン(Vo.G.B.Dr.)、斉藤シトーン(Vo.G.B.Dr.) 、浜崎シトーン(Vo.G.KEY.)、キングシトーン(Vo.G.B.)、トータスシトーン(Vo.G.Dr.)。

オフィシャルサイト
https://dreamusic.co.jp/artist/curlingsitones