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スマホ1つで世界へ。数千万人がプレイする『クラッシュ・ロワイヤル』の世界【eスポーツシーン最前線】

スマホ1つで世界へ。数千万人がプレイする『クラッシュ・ロワイヤル』の世界【eスポーツシーン最前線】

『クラッシュ・ロワイヤル』(以下『クラロワ』)はモバイルゲーム開発会社Supercellが2016年3月2日にリリースしたリアルタイム対戦型ゲームだ。『クラロワ』のゲームシステムは、手持ちの8枚のカードを駆使して自陣のタワーを守りつつ、相手のタワーを倒せば勝ちという極めてシンプルなものだが、これがとにかく面白い。本稿ではそんな『クラロワ』の魅力はもちろん、本作のeスポーツシーンについても解説していこう。

文 / 早川清一朗


手軽にプレイでき、奥が深い『クラロワ』の魅力

まずは『クラロワ』をもう少し詳しく説明しよう。2019年9月時点で95枚が存在しているカードを組み合わせてデッキを構成し、自分なりの戦術を練って戦っていく。負ければなぜ負けたのかを考え、ミスがあればその原因を突き止め修正するのを繰り返す。このトライアンドエラーな感覚がじつに楽しく、「次にこうすれば勝てるんじゃないか」とついあれこれ試したくなって再挑戦したくなる。

クラッシュ・ロワイヤル エンタメステーションコラム

ユニットはそれぞれ攻撃力や射程距離、ダメージ値などのステータスが異なっており、それぞれの得意とするジャンルも異なる。素早い動きでタワーへ向かうキャラ、遠距離からの攻撃を得意とするキャラ、大きな体を生かしての防御を得意とするキャラなど多くの種類が存在しており、これら8枚セットのデッキとして編成し、バトルを行う。

クラッシュ・ロワイヤル エンタメステーションコラム

このデッキ編成こそが、プレイヤーの個性が存分に発揮される重要な要素となる。たとえ劣勢でも、相手が切ったカードに対応できるカードをデッキに加えてあるのなら、タイミングよく切ることによって一気に逆転できることもあるのが、ゲームとしての娯楽性を高めている。

カードにはレアリティが設定されており、高レアリティのキャラクターは強力な能力を保有しているものが多いが、ここでもデッキ編成が非常に重要となってくる。『クラロワ』ではやられても再出撃が可能だが、消費したエリクサーの回復には時間がかかるため、高コストのキャラクターは頻繁に再出撃させるのは難しい。繰り返し再出撃できる低コストのキャラクターをそろえたほうが、有利な場面も存在する。またどのキャラクターでも自由に出せるわけではなく、手札に出ている4枚のうちどれかしか出撃させることはできない。このあたりはカードゲームらしいデッキからの引き運にかかっている。

こうしたさまざまな戦略が『クラロワ』が多くの人をとらえて離さない魅力となっている。

クラッシュ・ロワイヤル エンタメステーションコラム

また対人戦においては世界中のプレイヤーとすぐにマッチングするので、遊びたいときにサクッと遊べるのも大きな魅力と言えるだろう。1回の対戦時間は3分からとなっており、ちょっとした隙間時間に楽しめる手軽さも忙しい現代人にはありがたい。

以上の理由で、プレイしてみれば単純に見えるゲームの中に奥深い戦術が無数に隠されているのが理解できるはずだ。

eスポーツ甲子園にも採用。世界大会も!

クラッシュ・ロワイヤル エンタメステーションコラム

『クラロワ』はテレビ東京と電通主催によるeスポーツの甲子園と呼ばれる「Coca-Cola STAGE:0 eSPORTS High-School Championship 2019(以下、STAGE:0) 」の大会タイトルにも採用されている。

全国を北海道/東北/関東/中部/関西/中国・四国/九州の7ブロックに分けて行われたこの大会は、5月にオンライン予選、6月から7月にかけてオフラインでのブロック代表決定戦が行われ、8校が8月に舞浜アンフィシアターで開催された決勝大会へと駒を進めた。

白熱した戦いを勝ち残り、決勝戦で相まみえたのは関西大倉高等学校「ノアズアーク」と渋谷教育学園渋谷高等学校「Intuition」の両チーム。この試合は渋谷教育学園渋谷高等学校の勝利に終わり、「STAGE:0 クラロワ部門」で初の栄冠をつかむこととなった。

また、2017年には賞金総額約1億円の「クラロワ 世界一決定戦」が開催されており、世界各地の予選には187ヵ国から2,700万人以上が参加するという超大規模なイベントとなった。1,500席が用意された会場チケットは完売し、多くのファンが選手たちのプレイに熱い視線と歓声を送った。

日本でも世界大会予選が開催され、選出された2名が世界大会に参加する16名の中に名を連ねたが、両者ともに惜しくも一回戦で敗退している。

eスポーツリーグとしての『クラロワ』

▲「クラロワリーグ アジア2019」で準優勝したFAV gamingの面々。左からnichrome(分析担当)、きたっしゃん、おこめちん(監督)、けんつめし、だに、JACK

『クラロワ』はeスポーツタイトルとしても大きな盛り上がりを見せている。2018年に誕生した公式のeスポーツリーグ「クラロワリーグ」は2019年も継続して開催され、日本・韓国・東南アジア地域の「クラロワリーグ アジア」、北米・南米・ヨーロッパ地域の「クラロワリーグ ウェスト」、中国のチームのみが参加する「クラロワリーグ チャイナ」の3地域に分かれてそれぞれが激しい戦いを繰り広げている。

日本からは「クラロワリーグ アジア」にDetonatioN Gaming、FAV gaming、GameWith、PONOSの4チームが参加しており、シーズン1ではPONOSとGameWithが決勝に進出。日本チーム対決を制したPONOSが見事シーズン1優勝チームの座を獲得した。

さらに「アジア」「ウェスト」「チャイナ」の3リーグの上位チームが集結して“世界トップ地域”の座をかけた「World Cyber Games 2019(以下、WCG)」も開催されるなど、グローバルな規模で活躍が期待できるのも『クラロワ』の大きな魅力だ。

去る11月2日には韓国で「クラロワリーグ アジア」シーズン2の決勝戦が開催され、 日本から出場したFAV gamingが韓国のOGN ENTUSを相手に戦ったが、健闘空しく敗れてしまい残念ながら準優勝に終わった。優勝したOGN ENTUSはボーナス5万ドル(約550万円)、FAV gamingはボーナス3万ドル(約330万円)を手にしている。

このとき会場となったのはeスポーツ専用に作られた施設だ。ステージと観客席で構成されたギガアリーナや50人以上のプレイヤーが同時に試合をできるバトルアリーナなど、複数のeスポーツ用の会場が用意されている。

この日の試合では数百人の観客が席を埋めていたが、地元韓国のチームが決勝に進出していたため、試合前に配られた応援用の星型ライトも多くの人がOGN ENTUSの青色を選択しており、会場はほとんど青の光に占められていた。試合中もOGN ENTUSが優勢になるたびに観客からは大歓声が沸き起こり、強烈な後押しとなっていたようだ。

付け加えておきたいのが、どちらか片方のチームが優勢になったり勝利した際も、相手チームのサポーターからのブーイングが無かったことである。昨今、日韓関係はさまざまな問題がとりざたされているが、『クラロワ』の世界はそんなものとは無縁のようだ。

また、通常eスポーツの選手たちの収入はスポンサー料や大会賞金、イベント出演料などに頼る形が多く不安定な生活を余儀なくされる傾向があるが、「クラロワリーグ」に参加しているチームにはSupercellから助成金のサポートがある。そこからスポンサードなどが加味されて選手に給与が支給されるので、ある程度ではあるが安定した生活を営むことができるようだ。

とはいえeスポーツ業界では、まだまだマネタイズが難しいのもまた事実である。現在は世界だけではなく日本でも様々なeスポーツリーグが立ち上がり活動を行っているが、観客収入やグッズ販売利益だけで支出を賄えている例はほとんど存在していない状況と思われるため、マネタイズはeスポーツの世界が共通して抱えている問題と言えるだろう。

Supercellでeスポーツアジア担当を務める殿村博氏によると、来年度「クラロワリーグ」が継続されるのかは未定とのこと。だが、世界的な盛り上がりを継続している『クラロワ』には間違いなく多くの人を引き付ける魅力がある。今後もリーグ戦を継続する道を何とか見つけていってもらうことが、よりeスポーツが発展していく大きな力になるだろう。


■タイトル:クラッシュ・ロワイヤル
■メーカー:Supercell
■対応ハード:iOS、Android
■ジャンル:リアルタイム対戦型カードゲーム
■対象年齢:7歳以上
■配信日:配信中(2016年3月2日配信)
■価格:無料(アイテム課金あり)
■ダウンロードサイト
 iOS:https://apps.apple.com/jp/app/id1053012308
 Android:https://play.google.com/store/apps/details?id=com.supercell.clashroyale&hl=ja

『クラッシュ・ロワイヤル』オフィシャルサイト
https://clashroyale.com/ja/

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