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世界中がゲラルトの虜!? Switch版『ウィッチャー3』彼を取り巻く楽しさの密度とは

世界中がゲラルトの虜!? Switch版『ウィッチャー3』彼を取り巻く楽しさの密度とは

『ウィッチャー3 ワイルドハント コンプリートエディション』は、世界中で愛されているオープンワールドRPGのNintendo Switch版。これまで他機種版で配信された追加コンテンツが丸ごと入っているだけでなく、Nintendo Switch向けに表示などがチューンアップされています。前回の記事では、他機種版とNintendo Switch版の違いやカードゲーム“グウェント”の楽しさをお届けしましたが、今回は本編の神髄であるクエストと主人公・ゲラルトの魅力に迫ります。

文 / 小泉お梅


なんてったってクエスト! 濃い物語に爪先までどっぷりと

プレイヤーは怪物退治の請負人・ウィッチャーのゲラルトとなり、各地を巡りながら恋人のイェネファーや養女のシリラ(愛称・シリ)の行方を探ることになります。この『ウィッチャー3』の魅力としてファンがまず口にするのは、ストーリーのおもしろさとボリュームでしょう。本作はシリの足跡を追うメインクエスト、仲間や取引相手とのやり取りを描くサイドクエスト、そして市井の人々からの依頼などを自由に選択しながら進めていきます。依頼人の事情を聞いて現場を調査し、怪物や悪党と戦うのがクエストのおもな流れ。バトルのほか、馬のレースなどの勝負ごとや謎解きに挑む場合もあります。

ウィッチャー3 エンタメステーションゲームレビュー

▲ZLボタンで“ウィッチャーの感覚”を使えば、怪しいものや血液、匂いなどの痕跡がハイライトされます。追跡した先にあるものとは……?

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▲チーズだらけの迷宮に潜入! 仕掛けが張り巡らされているということは、この奥に貴重なお宝が!?

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▲剣戟に“印”と呼ばれる魔法を織り交ぜて、いわゆるバリアの印で身を守ったり、炎を放ったりとまさしく魔法剣士な立ち回りがカッコイイ!

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▲グールから幽鬼、人狼など怪物も多彩。弱点の印やアイテムを駆使する忙しさもまた楽しい

メインクエストはもちろん、サイドクエストや依頼にもしっかりとドラマが用意されているのも本作の特徴。頼まれ事をただこなすだけの作業感や退屈な“お使い”感がないのは、この中身の濃さが所以ですね。いわゆるモブキャラにも日本語ボイスがあり、その人の背景や心情が汲み取りやすいのも大きな要因でしょう。

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▲依頼主には困っている人だけでなく、ゲラルトを騙して利用しようとしている人もいます。それを見抜くためにも相手の真意を探るのは重要です

彼らとの会話の選択肢でどう答えるかが結末を左右しますが、ときにはその選択が別のクエストに影響を及ぼすことも。例えば相手を倒してしまえば、当然ながら以降はもう登場しなくなります。また、対立する勢力のどちらかについたことで、もう片方を見捨てることになったり……。「あのとき別の選択を取っていたら?」と、モヤモヤ考えてしまうことも少なくありません。セーブ&ロード、あるいは2周目で結果を確かめることも可能ですが、いずれにせよ悲しい終わりを迎える場合もあったりします。

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▲ある男性に恋人の死の真相を告げたゲラルト。男性はひどくショックを受けているようです。アレ? 背後に吊り下がっているのはロープ!? うーん、嫌な予感しかしない!

伝説のウィッチャー・ゲラルトであってもままならない場面がある……。剣と魔法のファンタジー世界でも、そういった部分にリアリティを感じられます。ウィッチャーは通常の人間より遥かに長命で、ゲラルトも100歳近いそうですが、その長い年月に幾度もやるせない思いをしてきたのではないかと想像してしまいます。クエストはそんなゲラルトの波乱万丈な人生の一部なわけですから、それぞれが濃い体験になるのもうなずけますね。

ゲラルトはなぜモテる!? 女魔術師とのロマンス

クエストの展開と同じくらいワクワクするのが、ゲラルトの言動です。機知に富んだ物言いがなんとも鮮やかなのです。相手に対する皮肉や冗談めかした言葉はともすれば鼻につくものですが、人生経験が豊かだからかゲラルトが言うと小粋に聞こえるんですよね。選択肢を選ぶときも「これを選んだら、ゲラルトはどんな風に言うんだろう?」と、期待が高まります。

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▲旧知の仲である元諜報員のシギ・ルーヴェン(本名ディクストラ)との舌戦は見もの。イベントシーンはまるで“嫌味をいかにステキに言えるか対決”をくり広げているかのよう。軍配はどちらに!?

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▲ゲラルトを試さんと挑発する輩に挑発し返すか、スルッといなすのか……。どちらにせよ、動じない大人の余裕を感じますね

仕事の交渉や性根の腐った相手には手厳しいゲラルトですが、仲間や幼い子どものまえでは柔らかい表情に。解像度が抑えられているNintendo Switch版でも、彼の表情筋のごくわずかな変化を見ることができます。

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▲ドワーフの旧友・ゾルタンと再会。気心の知れた相手にどこかホッとしているようにも見えます

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▲「親切ね」と感謝されて微笑みを返すゲラルト。ちびっ子と目線の高さを合わせて会話するシーンはよく見られます

ゲラルトがもっとも饒舌になるとき……それはヒロインたちとの逢瀬かもしれません。本作では美しき女魔術師のイェネファーやトリスと行動をともにするクエストがあり、そこでの態度によってロマンスに発展することも。ちなみに、ベッドシーンを大っぴらに見るのは照れちゃうなーというとき、ひとり静かに見守れるNintendo Switchの携帯モードは役に立ちますね。
そもそもイェネファーとは夫婦同然の仲だったし、トリスとは過去作品でかりそめの恋人どうしでした(ゲラルトが記憶喪失なのをいいことにトリスは略奪愛を仕掛けましたが、結局偽りの恋だとバレます)。本作では彼女たちとの恋が再び燃え上がるわけですが、この三角関係に介入できるのもプレイの醍醐味ですね。

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▲何気ない移動中の会話にも、男女の駆け引きが見え隠れしてドキドキ。元恋人どうしが、「まだ自分のこと好きなの? どれくらい?」と探り合っているようなのですが、直接的に聞かないところが大人~

個人的には正妻的存在であり、ザ・イイ女のイェネファーにゾッコンですが、一歩引きながらもゲラルトへの情熱を秘めているトリスが男心をくすぐるのもよくわかります。どちらかなんて選べっこない! でも、いい顔ばかりしているとお仕置きされちゃうかも……?

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▲再会したばかりのイェネファーは少しツンとした態度。トリスに欺かれたとはいえ、ゲラルトに浮気されたという気持ちなのかもしれません。すぐには素直になれないところが可愛らしい

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▲ゲラルトの好き好きアプローチ。これまで、女性が放っておかない男・ゲラルトというイメージだったので彼が自分からグイグイ行くことが少し意外でしたが、それだけイェネファーに本気ってことでしょうか

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▲DLC(ダウンロードコンテンツ)だったヒロインたちの別衣装はオプションで切り替えられます。イェネファーは深いスリットから覗くレースストッキングがセクシー!

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▲トリスもイェネファーのことを気にしているようですね。自分の気持ちにフタをしようとしているけれど、隠しきれない想いが会話の端々に出てきます

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▲ほろ酔いではしゃぎ、よろけてしまったトリスをお姫様抱っこ。トリスが見せた“隙”に可愛げを感じてしまいますが、これは彼女の仕掛けた恋の罠なのか!?

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▲トリスの別衣装は大胆に開いた胸元が魅惑的です。他機種版同様、日本仕様では仕方のないことですが、セクシャル表現緩和のための下着が悔しい……ッ!

イェネファーたちだけでなく、ゲラルトを知る女性は彼の魅力に抗えないようです。本作も『ウィッチャー』シリーズの伝統を受け継ぎ、さまざまな女性と親密になる場面が盛り込まれています。彼女たちは素敵な一夜を共有した仲ではあるけれど、サラリとした関係性のようです。ちなみに、ラブコールをお断りする選択肢もあり、「イェネファーひと筋!」というように、本命に操を立てるスタイルも可能です。

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▲女魔術師キーラには振り回されっぱなしですが、イイ思いをさせてくれることも?

どうしてここまでゲラルトがモテるのでしょうか? 引き締まったたくましい肉体、経験と知識が光る仕事ぶり、冷静で頭の回転が速いことなど挙げればキリがありません。極めつきにユーモアがあったり、意外とお人好しだったり……と女性がキュンとしがちなお茶目ポイントも併せ持つチートっぷり。彼を取り巻く女性は言わずもがな、世界中のプレイヤーが虜となるのも納得です。

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▲像のポーズをマネして

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▲酔い潰れ、身ぐるみ剥がされた朝

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▲シリの思い出話を語るゲラルトからは父性が感じられますね

ゲラルトのさまざまな面を見つけるたびに、彼のことをどんどん好きになっていくのを実感します。ゲラルトというキャラクターの枠はありながらも、そのなかで“クールなゲラルト”、あるいは“恋多きゲラルト”というように、選択肢によってプレイヤーが魅力を感じる姿へと寄せていけることも人気の理由なのかもしれませんね。

果てしなく続くゲラルトの冒険

ストーリーやラブロマンスを味わったあとにも、まだまだお楽しみは続きます。本作に収録されている拡張パックの“血塗られた美酒”の舞台となる国・トゥサンはおとぎ話のように美しい場所であり、ミステリアスかつユニークなクエストが体験できるので、訪れてみることをおすすめします。なお、拡張パックのクエストはタイトル画面のニューゲームから選択すればすぐにスタートできます。メインクエストが完了した状態なので、「以前に本編はクリアしたから、拡張パックから手軽に始めたい」という方は試してみてください。

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▲もうひとつの拡張パック“無情なる心”のクエストで再会する軍医のシャニ。彼女もロマンスのお相手のひとり

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▲新たなクエストは、未知なる怪物との出会いでもある!? その生態を解き明かしていくおもしろみは『ウィッチャー』シリーズならでは

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▲トゥサンに到着早々、荒ぶる巨人から熱烈な歓迎を受けることに。これまで培ってきた戦闘経験をフルで活かすのにふさわしい相手です

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▲トゥサンを治める女公爵ヘンリエッタは、有事には自らスカートをむしり取って馬にまたがるほどの女傑

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▲特別な武具の“ウィッチャー装備”を作り、グレードアップしていく楽しみも。“狼流派”などのシリーズが全部で5種類あり、なかには“血塗られた美酒”のサイドクエストでようやく入手できるものもあります

ちなみにトゥサンでのクエストを進めると、ヘンリエッタ公爵から拠点となる屋敷を賜ることになります。最初は屋敷のあちこちが痛んでいますが、改修を発注すれば見違えるように。費用さえ用立てれば執事がいいように取り計らってくれますし、修理台や薬草園などの便利な設備を設けられるだけでなく、本編で結ばれた恋人と暮らせるようになるというのもうれしいですね。

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▲ゲラルトもついに執事つきの豪邸の主に。ボロくて何もなかった広間もリフォームでゴージャスに生まれ変わります

新天地ばかりでなく、見慣れた場所をゆっくり見て回るのも楽しいものです。クエストに追われていると通り過ぎてしまいがちですが、街並みや行き交う人々のつぶやき、掲示板のトンデモない貼紙なども意外と見どころがありますし、可愛らしい動物たちを見るのも和みます。

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▲人々のつぶやきでいちばん印象深かったのが、物乞いの呼びかけ。オチに「なんちゃって」感が出ていて妙に愛嬌がありました。これも日本語ボイスの賜物ですね

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▲世界を彩る演出として、ウィッチャーへの依頼とは関係ない広告や募集もあります。この世界も婚活は大変みたいですね……

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▲放し飼いされているガチョウ。羽根を広げて慌てる様子が愛らしい

お楽しみ要素は、ここに挙げた以外にもまだまだあります。懐の深い作品ですので、プレイヤー自身で新たな楽しみを見出すこともできるかと思います。私のように好きなゲームは「クリアしたくない、まだ終わりたくない」と思ってしまう方(若干数はいるはず……)、もっとゲラルトを強くしたいという方は、“ニューゲーム+”で2周目を始めるという手もありますよ。ゲラルトのレベルやアビリティ、錬金術アイテムなどを引き継いプレイできます。

今回、Nintendo Switch版で『ウィッチャー3 ワイルドハント』に戻ってきましたが、同作は歴史に残る作品だと再認識しました。やっぱり何度プレイしてもおもしろいんです。また、これほど大ボリュームの物語をよくゲームカードに詰め込めたものだと、改めて感心してしまいました。それと同時にプレイしやすい環境は大事だな、とも。名作だってプレイしてなんぼですから、積みゲーしがちな自分にとってサッと遊べるNintendo Switch版の本作はありがたい存在でした。それと携帯モードが本と近い持ちかただからか、ちょくちょく人物図鑑などの読み物を見るようになりました。さすが原作が小説なだけあって読ませる内容。テキスト量も膨大なうえに、クエストの節目などで情報が更新されるんです。最近ではもっとゲラルトたちに興味が湧いてきて、原作小説も読んでみたくなりました。今後も実写ドラマなどで広がりを見せる『ウィッチャー』シリーズ、皆さんもぜひどっぷりとハマってください。

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ウィッチャー3 ロゴ

■タイトル:ウィッチャー3 ワイルドハント コンプリートエディション
■発売元:スパイク・チュンソフト(パッケージ版) / CD PROJEKT RED(ダウンロード版)
■対応ハード:Nintendo Switch™
■ジャンル:オープンワールドRPG
■対象年齢:18歳以上のみ
■発売日:発売中(2019年10月17日)
■価格:パッケージ版・ダウンロード版 各6,480円+税


『ウィッチャー3 ワイルドハント コンプリートエディション』オフィシャルサイト

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The Witcher game is based on the prose of Andrzej Sapkowski. All other copyrights and trademarks are the property of their respective owners.