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何が遊べる? 身体はどうなる?『リングフィット アドベンチャー』VRよりリアルな筋肉冒険

何が遊べる? 身体はどうなる?『リングフィット アドベンチャー』VRよりリアルな筋肉冒険

元々ふくよかな体がわがままボディに進化して久しく、痩せるために基礎代謝を上げようと見様見真似の筋トレをしていた夏。しかし、9月にモチベーションの礎にしていた某筋トレアニメの放送が終わってしまい、ほぼ毎日の頻度で行っていた筋トレもだんだんとしない日が増えていった。そして秋は何を食べてもおいしい季節。ふだんからあまり運動をしない私はあれよあれよと2kg増、お腹のまわりにぷよぷよとした居候がたくさん……このままじゃいかん! と思ったそんなとき、『リングフィット アドベンチャー』が発売された……これだ! 今回は筋トレをいかにゲームで楽しく習慣化させるか工夫を凝らした本作を紹介! はたして理想の肉体を手に入れることはできるのか……!

文 / 大部美智子


走れ! 戦え! リアル体力が尽きるまで!

発売後のTwitterでは、「任天堂に健康にされてしまう」や「クリアするためにジムに通うわ」などのパワーワード・名言がいくつも飛び出した本作。人は体を鍛えると高揚感が増すのか……? それを確かめるためにも、早速メインのアドベンチャーモードからプレイしていくよ!

リングフィット アドベンチャー エンタメステーションゲームレビュー

▲まず、パッケージからして、こう。でも至言。健康でいるために筋肉は不可欠なのだ。姿勢の悪さや腰痛など、だいたいのことは筋肉が解決してくれる気がする

リングフィット アドベンチャー エンタメステーションゲームレビュー

▲操作はジョイコンを装着したリングコンで! 余談だけど1歳3ヶ月の娘は、ニ―トゥーチェストという座った状態から足をお腹に引き寄せる腹筋を使うフィットネスをする際に、お腹の上に乗って負荷をかけるお手伝いをしてくれる。優しい子

カーソルは、リングコンを地面に対して垂直に構えた状態から上げると上へ、下げると下へ移動するので感覚で使える。決定はリングを内側に押し込む動作、キャンセルはリングを左右に引っ張る動作でできるので、選択肢を選ぶだけでも筋トレになっているのだ。

リングコンは弾力があって見た目のイメージよりは柔らかく、すべすべしていて気持ちがいい。表面はシリコンっぽく、内部に硬めの素材が使われているのかな? でも、硬めと言っても全力で押しつぶしても割れたりしなかったので、かなり柔軟で丈夫な素材のようだ。ほかのゲームでも使えると楽しそう!

リングフィット アドベンチャー エンタメステーションゲームレビュー

▲左脚の太ももにもジョイコンを装着している。ゲーム内の移動に必要な動きや、座っているかどうかなどの動きを感知しているようだ

まずは、リングコンの扱いかたやジョイコンの装着方法のレクチャー。それが終わるとジョイコンを引っ張ったり押し込んだりして、プレイヤーに合った運動負荷を測定する。この負荷はゲームを起動するたびに変更できるので、辛かったら低くできるし、物足りなかったら高くできる。私は「いける!」と思って上げたけれど、辛くなって後日に2回レベルを下げた。1歩進んで2歩下がる……。そんなこんなで、設定が終わったらいよいよアドベンチャーモードへ!

リングフィット アドベンチャー エンタメステーションゲームレビュー

▲左がプレイヤーキャラクター。冒険の相棒はリングという謎の生命体

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▲闇のオーラを放つドラゴを止めるため、プレイヤーとリングは旅に出る

このドラゴ、じつはリングの相棒だったけれど闇のオーラを放つ邪悪な存在になってしまったのでリングに封印されていたのだった。しかし、ふとしたことから封印が解けてしまい、自由になったドラゴはリングから逃げながらモンスターを生み出していく……。長い旅になりそうだ。

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▲ドラゴがいるところに向かって走る。キャラクターを走らせるには、実際にその場でジョギング! ひとつのステージだけでも結構な距離を走ることになる。ちなみに、運動をすればするほどプレイヤーキャラクターの髪の毛が燃え上がるので、きちんと動けているかどうかの目安となっている

走る操作は、その場でジョギングする代わりに高速でスクワットをする“サイレントモード”がある。我が家は集合住宅なのでサイレントモードの存在はありがたい! ジョギングではなく足踏み程度でもキャラクターは走ってくれるけれど、プレイ時間が主に深夜なので振動が気になってしまう。防音がされていても振動って響くのだ。以前、隣家の中学生が22時ごろドラムの練習をしていたらしく、音は出ていなくても振動がすごくて頭を抱えたことがある……。

いやしかし、高速スクワットがきつい。深く腰を落とすスクワットではなく、軽く腰を落とすスクワットなのだけれど、回数を重ねると太ももへ負荷がかかってくる。1ステージプレイするだけで足がプルプル。これ、もしかしてその場でジョギングするよりもつらいのでは……? 「ゲームは1日1時間!」とか言っていられない運動量がここにはある。

リングフィット アドベンチャー エンタメステーションゲームレビュー

▲重要なエクササイズポイント(EXP)。よく考えられてるなー!

さまざまな地形を走っていくプレイヤーキャラクター。たとえば、段差などでジャンプしたいときはリングコンを下に向けて押し込んで飛び、アイテムを手に入れたいときはリングコンを左右に引っ張って吸い込む。ジャンプしたときに滞空時間を長くしたいときは長時間押し込み続けなければならないし、宝箱を開けるときは何回かしっかりとスクワットをしなければならないなど、すべての動きが筋トレになっているのだ。最初は「こんなの簡単でしょ」と思っていても、回数を重ねるとその効果がよくわかる。はぁはぁ、しんどい。

そして、いよいよ魔物との戦闘! ドラゴが生み出した魔物は“フィットバトル”でしか攻撃ができない。フィットバトルとは運動エネルギーのぶつけ合い……つまり筋トレ、ストレッチなどを行って攻撃するのだ。走ったり飛んだりしたあとのこの戦闘は、ある意味とってもリアル。ある日突然異世界に転生したとしたら、そういった移動でも確実に体力を使うのだ。VRとは別のベクトルでリアルな冒険を楽しむことができる『リングフィット アドベンチャー』……すごいゲームだ。RPGの勇者はこんなに大変な思いをしているんだな……はぁはぁ。

リングフィット アドベンチャー エンタメステーションゲームレビュー
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▲フィットスキルを選んで攻撃! 姿勢や動き、ペースは画面左の“ミブリさん”をお手本に

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▲EXPが貯まってレベルが上がると、レベルによって新しいフィットスキルが入手できる。フィットスキルは全部で60種類! 攻撃力や攻撃範囲、自分が鍛えたい部位などの情報を加味してスキルを組み合わせられる。私は二の腕と腹回りに効くスキルをセットした

レベルが上がると、攻撃力や防御力がアップするのでグッと戦闘が楽に! これまで行ってきた運動が身になっている感覚は気持ちを前向きにしてくれるので、運動を続けるモチベーションになる。

リングフィット アドベンチャー エンタメステーションゲームレビュー
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▲敵からの攻撃は腹筋ガードで防ぐ。息を吐きながらリングコンをお腹に押し当てて腹筋に力を入れるのだけど、その数秒がとても長く感じる

このアドベンチャーモードをプレイすると、1ステージでも体が温まり、汗がにじみ出てくる。前述のとおり高速スクワットで足はプルプル、敵と戦うためのスキルフィットで体のあちこちに筋肉痛になる直前特有の違和感……わずか数分のプレイで疲労困憊に。プレイヤーの体力が尽きて魔物を倒しきれず、敵からの攻撃を受けて主人公の体力がゼロになったらそのステージはやり直しとなる。ひとつまえのステージでレベルを上げたり、リアルの体力を回復してから再挑戦!

以前、MMORPGで8時間耐久レベリングをしたことがあるけれど、アドベンチャーモードでは比じゃないぐらいの疲れがもたらされる。持久力が試されるレベリングと、瞬発力が試される筋トレは疲れ具合も全然違うのだ。でもなんだろう、疲れているはずなのにこの爽快感は……。

リングフィット アドベンチャー エンタメステーションゲームレビュー

▲ステージをゴールしたときにビクトリーポーズを決めると、これまでの運動がEXPに変換される。最初は恥ずかしかったビクトリーポーズだが、いまは意気揚々とリングコンを天に掲げている。むしろ、これをやらないとゴールした感じがしない。ビィークトリィー!

体力的に1回のプレイで2ステージぐらい、時間にして約10分しかプレイできないのだけど、私にとってはそこが逆に都合がよかった! お風呂に入るまえの短時間で汗を流し、43℃の熱めのお風呂にドボン。そこから冷水シャワーを浴びる交互浴をすると疲労がスーッと抜けていく……。このサイクル、悪くない! 自分に合ったペース、サイクルで進められるところが『リングフィット アドベンチャー』のいいところだと思う。

始まりから終わりまでサポートもバッチリ!

「運動のまえはストレッチを」と子どものころからくり返し言われてきたこの言葉。体育の授業のまえ、海で泳ぐまえ、運動系の部活動のまえ……。本作でも例にもれず、運動まえに“ダイナミックストレッチ”をしようとアナウンスされる。うっかり忘れそうになるので、毎回ちゃんといっしょにやってくれるのがすごく助かる。ありがとうミブリさん。

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▲ゆっくり筋肉を伸ばしていくのではなく、軽く体を動かして温めながら伸ばしていく。なるほど~

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▲運動後は“スタティックストレッチ”でゆっくり筋肉を伸ばしていく。このときにお風呂の追い炊きボタンを押しておくとモアベター。ストレッチ後は水分を摂ったり少し休んだり

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▲プレイを終えるとその日の運動結果が表示される。けっこう走ってるな~! “やみなべ”は私のプレイヤーネームです、念のため

ダイナミックストレッチではEXPがもらえるのでやらない理由はない! また、重点的に鍛えたい部位がある場合は“お手軽モード”がおすすめ。お手軽と名前がついているけれど全然お手軽じゃない。やり過ぎて二の腕が3日ほど使い物にならなかった恐ろしいモードである。

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▲シンプルゆえに負荷がすごい。しかし、昨日の自分を超えるのだぁぁぁぁぁっ……(断末魔)

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▲アドベンチャーモード内でもプレイできるミニゲーム。“モグラたたき”は反射神経も鍛えられる気がする

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▲ミニゲーム“パラシュート”は、頭上に掲げたリングコンを引っ張っているときだけパラシュートが開いて減速しながら落ちていく。身体を前後左右に傾けて輪っかをくぐるのだけど、リングコンを引っ張りながら体勢を変えるのがむずかしい! ぐぬぬ

どれもこれも翌日は必ず筋肉痛になった。しかし、それは確実に効いているということ! いいぞ~! これでもう、ぷよぷよなお腹と二の腕にさよならだ! 長いつき合いだったな! 

本作のいいところとして特に挙げたいのが、リングがめちゃくちゃ褒めてくれるところ! 「いいよ!」、「サイッコー!」、「キレキレだよ!」などなどプレイヤーを励まし、楽しい気分で運動させてくれるのだ。このかけ声とミブリさんのお手本のおかげで続けられたと思う。スポーツジムに通う人は施設の設備や器具などが目的の場合もあるけれど、トレーナーさんやトレーニング仲間からのアドバイスや励ましもあるから通っているんだろうなと思った。その効果を自宅で味わえるのは、小さな子どもがいて家を空けられない身からしたらすごくありがたい……! 欲を言うと、リングのようなサポーターでさまざまな性格のバージョンが欲しい! あるときは女性に「ほらほら、もっとできるよ! がんばって!」と快活に励ましてもらい、あるときは男性に「ふん、もっとやれると思っていたんですがね」と冷たく、しかし愛を持って導いてもらったり! 追加ダウンロードコンテンツとしてどうですか、任天堂さん! 実装されたら秒で買います!

と、いろいろ想像したら興奮してきたけど、アドベンチャーモードには20以上のワールドがあって、たとえば1日30分程度のプレイで3ヶ月かかるボリュームになるそうな……。冒険を進めていくと『リングフィット アドベンチャー』の世界とそこに住む人々の物語や、リングとドラゴの関係性などが見えてくる。ううむ、早く先を観たいけれど体がすぐに限界を迎えてしまう……。くっ! とにもかくにもまずは目前のワールドをクリアせねば! そして理想のボディをゲットだ! プレイ開始してから2週間とちょっと、まだ少しお腹も二の腕もぷよぷよしているし体重も変わらないけれど、明らかに居候(という名の贅肉)は減ったし、その奥にある筋肉の存在感が増した。そしてなにより姿勢がよくなった……! これはうれしい副産物。

さぁ、今日も筋肉の喜ぶ声を聴こう! ビィークトリィー!

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リングフィット アドベンチャー ロゴ

■タイトル:リングフィット アドベンチャー
■メーカー:任天堂
■対応ハード:Nintendo Switch™
■ジャンル:フィットネスアドベンチャー
■対象年齢:全年齢
■発売日:発売中(2019年10月18日)
■価格:パッケージ版・ダウンロード版 各7,980円+税

『リングフィット アドベンチャー』オフィシャルサイト

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