Review

過去作にはない異彩を放つ『コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア』迫真の戦場体験

過去作にはない異彩を放つ『コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア』迫真の戦場体験

2003年に産声をあげて以来、ミリタリー系FPSの代名詞存在として大ヒット作を絶えず生み出してきた『コール オブ デューティ』シリーズ。その数あるシリーズのなかでも現代戦にフォーカスを当ててきた『コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア』(以下、『モダン・ウォーフェア』)が、今回発売されたタイミングで3作続いたナンバリングをいったん廃し、世界設定を一新。その結果、ストーリー、グラフィック&キャラクターのモーション、戦闘などあらゆる要素が、“リアルになった”のひと言ではすまされない領域に達している。今回は、プレイヤーを安易に“気持ちよくさせてくれない”ビターな味わいが転じて大きな魅力になっている、キャンペーンモードについて紹介していきたい。

文 / マンモス丸谷


CIA、SAS、中東の民兵、3つの視点で展開されるハードなシナリオ

『コール オブ デューティ』シリーズのキャンペーンモードは、舞台となる戦場が第二次世界大戦(初期数作や『ワールドウォー』シリーズなど)、未来(『アドバンスド・ウォーフェア』、『インフィニット・ウォーフェア』)、さらには過去と近未来の両取り(『ブラックオプス』シリーズの初期2作)といったように、タイトルによって目まぐるしく変わるのが大きな特徴。そのなかで『モダン・ウォーフェア』シリーズは、(ゲーム発売時の)現実世界で運用されている武装を主として(数年先の戦場で)戦うという“現代戦”を担当してきた。しかし今回の舞台設定は、現実とまったくブレのない“2019年”で、そのうえおもな戦場は“中東”という、現代の情勢を大きく反映させた世界設定がベースになっている。

コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア エンタメステーションゲームレビュー

▲本作ではアメリカやロシアといった超大国の思惑が正面からぶつかり合う旧『モダン・ウォーフェア』シリーズから趣を変え、テロリストやゲリラとの戦闘がメインに据えられている

そんな本作でプレイヤーは、ウルジクスタンに潜入したCIAエージェント、SAS(イギリス軍特殊空挺部隊)の一員、中東ウルジクスタンの民兵など3人の登場人物を操作して、何者かによってロシアから強奪されウルジクスタンに持ちこまれた化学兵器の追跡、奪還を目指していく。

コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア エンタメステーションゲームレビュー

▲本作の主人公のひとり、CIAエージェントのアレックス。ウルジクスタン内で工作活動を行なううちに、ファラが束ねる民兵集団と接触。共同戦線を張ることになる

コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア エンタメステーションゲームレビュー

▲ロンドンでのテロ対処後にSASへと引き抜かれる、カイル・ギャリック。上司のジョン・プライスとともに少数精鋭での夜間潜入、テロリストの捕縛、連行といったミッションに対応

コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア エンタメステーションゲームレビュー

▲ウルジクスタン民兵を率いるリーダー、ファラ・カリム。基本的にはアレックスやカイルに同行して戦うNPCだが、彼女の過去を回想するミッションではプレイヤーが操作を担当する

“奪われた毒ガスを取り返すために戦う”といった感じでストーリーを雑にまとめてしまうと、本作のキャンペーンモードは善悪がはっきり区分けされた物語で、ステージを進めていけば事件は解決、プレイヤーもそれなりのカタルシスを味わえる……と考える人が多いかもしれない。しかし、そう簡単に割り切れない作りになっている点が、新生『モダン・ウォーフェア』の特筆すべきポイントだ。
オフィシャルサイトに示されているストーリーディレクター・TAYLOR KUROSAKI氏の「この物語には100%の善悪や、白と黒に割り切れない(後略)」のコメントどおりに、本作ではいちおうの“主人公”であるプレイヤーサイドの人物たちも、
・多くの人命を救うためにひとりの人間を犠牲にする
・任務遂行のため暴力にさらされる一般市民を完全に無視
・女子供を人質に取ってテロリストを脅す
などといった、“グレーゾーン”な行動を取らざるを得ない局面に出くわすうえ、プレイヤーが戦闘時に完璧に立ち回ったとしても、非戦闘員を巻き込んでしまうシチュエーションが複数回にわたって用意されている。
また、より実写に近づいたテイストのグラフィックで、主要人物はもちろんのこと殴られる一般人や、プレイヤーが殺害したテロリストに駆け寄り取り乱す妻や子どもが、じつに“自然で痛々しい”リアクションを見せる点にも感情を動かされるポイント。戦争やテロを題材にした作品が、受け手を安易に気持ちよくさせない取り組みを行なうのはそう珍しいことではない。しかし、プレイヤー=主人公という構図になるゲームというメディアで、ここまで突き放した描きかたに終始しているタイトルはかなり珍しいように思う。ハードな展開のエンタメが好きな人には、ぜひ本作のキャンペーンモードのシナリオと戦闘を体験してみてほしい。

コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア エンタメステーションゲームレビュー

▲プレイヤーの腕にもよるが、複数の敵をひとりで始末して局面を打開する立ち回りが難しいのも、本作のキャンペーンモードが放つ“硬派さ”にひと役買っているように思う。ただし本シリーズの顔役、プライス大尉(NPC)の戦闘能力だけは別格

豊富なシチュエーション下で現代兵器を駆使する楽しさ

本作が徹底したリアリズムで作られているのは事実ではあるが、そこがゲームとしての楽しさを削いでいるかといえば、決してそうではない。とくにつねに戦いっぱなしになるというFPSのキャンペーンモードが持つ“弱点“は意識的にカバーしようとしていて、その最たるものが異なる組織に属する3人の主人公を用意した点。キャラクターが切り替わると必然的に使用できる武装が変わり、さらに戦場も与えられた装備が最大限活かせるシチュエーションが用意されており、ワンパターンに陥りやすい銃撃戦に起伏を与えている。
たとえば、カイルであればナイトゴーグルにサプレッサー付きのアサルトライフル、フラッシュバンといった特殊部隊ならではの充実した装備で出撃することになる。そのせいか、カイル操作時は夜間に行動するミッションが多く、キャンペーン序盤では装備のそろっていないテロリストやゲリラ相手に圧倒的に有利な状況下での銃撃戦が楽しめる。そして後半は少人数(カイル&プライス)で敵が待ち構える施設に侵入・探索するという、前半より歯ごたえのあるステルスミッションに挑むことになる。

コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア エンタメステーションゲームレビュー

▲ナイトゴーグルを使用しての夜間戦闘。現実(にゴーグルをつけたことはないので映画で見た映像と比べてだが)さながらの“それっぽい”この絵面も、本作で推したいポイントのひとつ

コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア エンタメステーションゲームレビュー

▲ロンドン、サンクトペテルブルクなど、中東外での作戦行動が多いのもカイル操作時の特色

CIAのエージェントながらウルジクスタン民兵とともに戦うアレックスは、カイル以上にミッションのバリエーションが多いのが特徴。彼の場合ウルジクスタンに展開するロシア兵から素性を隠しつつ行動するステルスミッション寄りのステージに始まり、モロトフ(火炎瓶)の投擲、ラジコンに爆薬を積んだ無人機攻撃といった民兵仕込みのゲリラ戦法、そこから一転してのアメリカ軍の力を前面に押し出したドローン攻撃、航空爆撃のような派手な支援攻撃が利用できるなど、振れ幅の大きい作戦行動が用意されているのだ。
そんなアレックスのミッションで個人的にかなり楽しくプレイできたのが、スナイパーライフルでの狙撃に特化したミッション、“死のハイウェイ”。ここでは当たればほぼ確実に一撃で敵兵を葬れる狙撃ポイントから、無防備な敵を始末(本作において一方的に敵を倒せる珍しいポイント)→敵スナイパーとの狙撃対決→敵の物量にまかせた集中砲火で逃げたくなる……といった流れが、映画『アメリカンスナイパー』で描かれた見せ場を凝縮したような作りになっており、スナイパー気分を存分に味わえた。また別のステージの話になるが、爆弾解除のために慎重かつ迅速にコードを切っていく場面も映画『ハートロッカー』的なシチュエーションを体験でき、そこそこミリタリー系の映画を観る身としてはテンションが上がった。細かい知識があるとニヤリとできる場面が多いのも、本作の魅力といえるだろう。

コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア エンタメステーションゲームレビュー
コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア エンタメステーションゲームレビュー

▲遠方からの狙撃、航空爆撃など強力な武器で敵をせん滅するのは(物語のテーマからすると若干不謹慎に思えるが)、ゲームとしては楽しいポイント

コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア エンタメステーションゲームレビュー

▲ファラを操作して行なうミッションは、彼女の過去に起きたできごとを追体験するという内容でカイル、アレックス以上に特殊。独房から抜け出し、奪ったAK一本で仲間とともに収容所を壊滅させたり……

コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア エンタメステーションゲームレビュー

少女時代のファラを操作して兄ハティルとともに虐殺の現場から脱出する、本作においてもっともシビア(敵兵に見つかるとほぼ即死)なスニーキングミッションに挑む

多彩な状況下での戦闘が用意されており、メリハリの効いたゲームとして飽きない構成になっている一方で、「銃撃戦が楽しい!」と無邪気にはしゃいで楽しむのはちょっと憚られるぐらいリアリティラインが上がっている、新生『モダン・ウォーフェア』のキャンペーンモード。このモード一点のみで過去作にはない異彩を放っている本作だが、『コール オブ デューティ』シリーズの魅力といえば、人間どうしが協力・対決するオンラインマルチプレイも忘れてはならない。次回の記事ではゲームルールが増大したマルチプレイ、久々に復活したCO-OPモードを紹介したい。

フォトギャラリー
コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア ロゴ

■タイトル:コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア
■発売元:ソニー・インタラクティブエンタテインメント
■対応ハード:PlayStation®4
■ジャンル:FPS
■対象年齢:17歳以上
■発売日:発売中(2019年10月25日)
■価格:パッケージ版・ダウンロード版 各7,900円+税


『コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア』オフィシャルサイト

 

© 2019 Activision Publishing, Inc. ACTIVISION, CALL OF DUTY and MODERN WARFARE are trademarks of Activision Publishing, Inc. All other trademarks and trade names are the properties of their respective owners.