映画『アズミ・ハルコは行方不明』  vol. 3

Interview

太賀&葉山奨之と松居大悟監督の男子鼎談。20代の本音、裏話

太賀&葉山奨之と松居大悟監督の男子鼎談。20代の本音、裏話

若き俊英、松居大悟監督の最新作『アズミ・ハルコは行方不明』公開特別連載第3回目の対談ゲストは、安曇春子の顔をグラフィック・アートにして拡散していくチーム〈キルロイ〉のメンバーで、高畑充希扮する〈愛菜〉の同級生である〈富樫ユキオ〉と〈三橋学〉を演じた、太賀と葉山奨之。この日、なぜか同じ髪型で現れた3人による鼎談は、監督とキャストというよりも、まるで“男子高校生の日常”のようなバカな会話から始まって……。

取材・文 / 永堀アツオ 撮影 / 関信行


台本の1ページ目に“行方不明という名の自由”って刷ってもらった

まず、監督にお伺いします。ユキオ役に太賀さん、学役に葉山さんというお2人をキャスティングした理由はなんでしたか?

松居 えー……ちょっと忘れちゃいましたね。

太賀葉山 はぁ!?(笑)

松居 いや、なんかヒマそうだったから?(笑)

太賀 あはは! たしかにあのときヒマだったけど!(笑)

葉山 僕は朝ドラ(『まれ』)が終わってすぐだったから、バタバタしてましたよ!(笑)

松居 いやいや。まず、太賀は映画『男子高校生の日常』『スイートプールサイド』、ドラマ『24時間女優-待つ女-』を一緒にやっていて、今回で4回目なんですけど。ユキオ役はイケメンじゃないほうがいいなと思っていて。どちらかというと、うんこみたいなヤツがいいなと(笑)。

太賀 おいおい! 止まらないなぁ、罵詈雑言が!!(笑)

松居 あはは!

太賀 今日、髪型、みんな一緒なんだから!

松居 かぶせてきたんでしょ?

葉山 そうそう。今日は松居ヘアーでいこうかって。ね?(笑)

松居 あはは! で、なんの話してましたっけ? あ、そうだ! ユキオは〈キルロイ〉の3人の中でも一番しょうもないっていうか、最低なヤツで。それでも愛せる人物にしたいなと思ったんですよね。僕が知ってる太賀は、人間くさい感じがあって、ぴったりだなと思ったし、もともと知ってたから安心感もあって。それで学は、ユキオと逆のポジションがいいなと思ったんですけど。

葉山 ん? ユキオの逆っていうことは……。

松居 ちょっとわかりにくい、ションベンみたいな?(笑)学には、ミステリアスでちょっとつかめない感じを引っ張ってほしいなと思ったときに、ピュアそうなんだけど、本当はそれだけじゃない、なんかイチモツ持ってそうな奨之だなと思ったんです。

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松居監督からオファーを受けたお2人はどう思いました?

葉山 僕はもともと松居さんの作品を観ていたので、すごく嬉しかったです。こんなにすぐに一緒にできると思ってなかったから。『スイートプールサイド』を観たときから、「なんで僕じゃないんだろうな?」って思ってたんですよね。

松居 結構、すぐに声かけたじゃん(笑)。

太賀 僕はもう率直に嬉しかったです。松居さんが監督で、ドラマ『ゆとりですがなにか』でお世話になった枝見(洋子)プロデューサーで、主演が憧れの人である蒼井優さんなので。「もうやるしかない!」と思って。

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実際に現場に入ってからの松居さんの演出はどうでした? 何か覚えていることはありますか。

葉山 今だから言えるんですけど、松居さんにもっと演出されたかったなって思いましたね。「こうやって」とかまったく言わないで、「OK、OK」っていう人なので、こちらとしては不安になってきますよね。「本当にOKなのかな?」って。

松居 そうだね。この作品はあまり言ってない。

葉山 ホントに言われた記憶がないんですよね。撮影から1年以上経ってますけど、そのあと結構、定期的に会っているので、プライベートで会ってる記憶のほうが多くて。覚えてることと言えば、撮影中はずっと素足でいる監督だなっていうくらいで(笑)。

太賀 今、奨之が言ったみたいに、監督自身も悩んでたんですよね。それは、迷ってるとは違うもので。自分もユキオに対しての疑問があったけど、監督もキャストもスタッフも、この映画がどういうふうになっていくのかっていうゴールを決めず、一緒になって模索しながら作っていけた時間だったのかなって思います。

松居 この映画はゴールを定めなかったというか。俳優の芝居とか、現場の時間とか天気とか、いろんなものがあって、その瞬間、瞬間をこっちも追いかけるように撮っていて。なんて言うんですかね……絶対に船頭にならないようにしていたんですよ。もちろん、最終的に「OK」か「もう一回」かを決める人ではあるんですけど、ゴールを決めずに、現場で出たものから判断して作るっていうやり方をしてて。準備も撮影も編集も全部そうだったんです。だから、何も言わなかったというか、言う必要がなかったというか。

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その感覚はみんなで共有してたんですか?

葉山 共有してたと思います。

太賀 本当に一致団結して作ってるっていう感覚がずっとありましたね。それは、松居組らしさでもあるんですけど、今回はより密度が濃かった。みっちゃん(高畑充希)も「わからない」ってよく言ってたし、みんながみんな迷いながら作品に入ってたと思うんですけど、そこで立ち止まるわけではなく、一緒になって突き進んでいく感じがあって、すごく面白かったですね。

松居 そう。この座組だから今、この絵が撮れたっていうことに、ちゃんと翻弄されようと思ってて。無理やり自分の描きたいほうに寄せるのは、なんか貧しくなるというか、そうじゃないと思ってたんですよね。

太賀 たしかに理想をフィックスする感じではなかったですね。それを求めて撮ってなかった。同じ方向に進んではいるんだけど、定まったゴールを求めてなかったというか。

松居 だから、「こういう絵が撮りたいから、こういう動きをして」って言うのは、今回はしちゃダメだろうなと思ってて。「こう動いたから、こう撮ろう」っていう。

太賀 すごい柔軟でしたよね。

葉山 僕らにとってはいい環境だったなって思いますね。

太賀 役者を信じてくれてるっていうのはずっと感じてて。役者がこう動いた、じゃあ、それを汲み取って、次に繋げるっていう。特に、みっちゃんの演じた愛菜は自由奔放で、何をするかわからないから、愛菜の動きに合わせて作っていくみたいな組み立てだった気がしますね。

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それぞれの役柄についてはどう捉えてました?

葉山 僕は今、学と同じ20歳なんですけど、とりあえず、元気なんですよね。その20代の持ってる、どこにぶつけていいのかわからないエネルギーを、学はステンシルにぶつけているわけで。その爆発力をこの映画に出せたらいいなと思ってました。しかも、3人揃ってのエネルギー、空気になるわけなので、それはもう高いテンションでいましたね。

太賀 ユキオは特に個性のない子で。自分じゃない何かになりたいとか、大きなことをしてみたいとか、具体的なことではない、漠然とした欲望があるだけなんだけど、それって誰しもが若い頃に思うようなことだと思うんです。自分に個性がないからこそ、そう思ってしまうし、新しく楽しいものを見つけたら、すぐ飛びついてしまう。そういう芯のなさを出せたらいいなと思ってました。

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