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矢崎 広&生駒里奈が宇宙に夢を馳せる。様々な“愛”のかたちを描く、少年社中・東映プロデュース 舞台「モマの火星探検記」開幕

矢崎 広&生駒里奈が宇宙に夢を馳せる。様々な“愛”のかたちを描く、少年社中・東映プロデュース 舞台「モマの火星探検記」開幕

劇場全体が宇宙空間になる──。少年社中・東映プロデュース 舞台「モマの火星探検記」が、1月7日(火)東京・サンシャイン劇場にて開幕した。
原作は宇宙飛行士・毛利 衛が書いた児童文学「モマの火星探検記」。少年社中の毛利亘宏が、主人公「モマ」が火星での冒険を振り返る物語と、少年社中が過去に上演した宇宙を夢見る少女「ユーリ」が主人公の物語「ハイレゾ-high resolution-」をミックスして完成させたSF作品。2012年の初演、2017年の再演と好評を博し、今回が3度目の上演となる。
囲み取材には、原作者である毛利 衛、脚色・演出の毛利亘宏(少年社中)、本作のW主演である矢崎 広、生駒里奈の4名が登壇。作品に込められたメッセージの大切さを語った。初日直前に行われたゲネプロのレポートと、囲み取材でのコメントをお届けする。

取材・文・撮影 / 片桐ユウ


“親子関係”というつながりの深さ、それを見守る周囲の温かさ

舞台「モマの火星探検記」 エンタメステーションレポート

舞台後方には、巨石が組み立てられたセット。その手前に、夜空に向けた望遠鏡がひとつ置かれている。

巨石の向こう側から登場したモマ(矢崎 広)が、その望遠鏡を懐かしそうな顔で覗き込み、静かに語り出す。モマの言葉が終わると同時にユーリ(生駒里奈)が現れて、星を見上げながら歌い歩き、やがてモマと向かい合う。

時が止まったかのように見つめ合うふたりから一変。勇ましい楽曲がかかり、次々にキャストが駆け込んでくるオープニングへと移っていく。
ユーリが仲間たちと一緒に無邪気な笑顔でポーズを決め、モマと共に火星へ向かう7人の宇宙飛行士が力強く踊る。期待が高まる幕開けだ。

舞台「モマの火星探検記」 エンタメステーションレポート

舞台は、父との約束を果たすために人類初の火星探検に挑む“宇宙飛行士・モマ”と、宇宙に憧れて仲間と共に小型ロケットをつくる“少女・ユーリ”を中心とした、ふたつのストーリーを追っていく。

新たにキャスティングされたメンバーのほか、ホルスト役の鎌苅健太をはじめ、配役が変更になった続投キャストもおり、前回とはまた違った“宇宙船”の雰囲気がある。

衣裳も一新。ユーリとその仲間たちが纏う民族衣裳風のファッションは一層華やかに。宇宙飛行士たちの衣裳は白で統一され、宇宙空間をイメージした青い照明によく映えていた。

舞台「モマの火星探検記」 エンタメステーションレポート

宇宙遊泳シーンは透明な球体を手に持ち宇宙服のヘルメットを連想させるなど、楽曲や照明効果、ダンスのほかにも“宇宙”を表現する演出が散りばめられており、純粋なドキドキ感が沸き起こる。

空間の魅力に心が踊っているうちに、観客はいつの間にか物語の中に引き込まれていくはずだ。

舞台「モマの火星探検記」 エンタメステーションレポート

モマは宇宙飛行士たちと火星に向かうなかで、出発直前に亡くした父と話していた「人間はどこからきたのか、なんのために生きているのか」の答えを見つけようと考え続け、ユーリは試行錯誤を続けるロケットづくりの最中に“幽霊”と出会い、対話を繰り返すなかで帰らぬ人となった宇宙飛行士の父親に想いを馳せる。

“親子関係”というつながりの深さに心揺さぶられると同時に、それを見守る周囲の温かさも、この作品の温度には必要不可欠だと感じた。

さりげないシーンだが、宇宙飛行士たちが祈りを捧げる場面は、両手を合わせて合掌する者もいれば十字を切る者、胸に拳を上げて黙祷するものと様々。
多様な国から集まった仲間が地球で起こる国同士の争いや環境問題の影響にとらわれず、個としてお互いを見つめ、思いやるところにも本作のメッセージ性がうかがえた。

舞台「モマの火星探検記」 エンタメステーションレポート

ミヨー役の松村龍之介、ガーシュウィン役の山崎大輝など、注目の若手俳優たちは役者自身の持ち味が生かされているようにも見え、実に伸びやかに演じている。ハカセ役の赤澤 燈、テレスコープ役の鈴木勝吾も、この世界観だからこそ見られる役どころ。
宇宙船の船長を務めるタケミツ役の小須田康人の包容力が、随所に奥深さを与えている。

舞台「モマの火星探検記」 エンタメステーションレポート

モマ役の矢崎は思い悩む台詞に実感の感触が増し、コミカルな場面とのギャップが際立つようになった。
ユーリ役の生駒里奈は、思春期の少女が持つ強さと優しさを体現。ユーリそのものとすら感じられるハマリ役だ。

モマとユーリ、ふたつのストーリーが交差して“つながる”瞬間を、ぜひ劇場で体感してもらいたい。

愛がいっぱい詰まった作品になっている

この後はゲネプロ後に行われた囲み取材の模様をレポートする。
囲み取材には、原作者である毛利 衛、脚色・演出の毛利亘宏(少年社中)、本作のW主演であるモマ役の矢崎 広、ユーリ役の生駒里奈の4名が登壇した。

舞台「モマの火星探検記」 エンタメステーションレポート

初日を目前にした心境を聞かれた矢崎 広は「再演のお話をいただいてから、発表、稽古期間を経て、ついにこの日を迎えることができたのだなという気持ちです。この作品は本当にチームでひとつになってお客様に向かっていかないと、このメッセージは届かないのではないかというくらい壮大な物語だと思っています。劇場へ来てからもまたひとつひとつ作品がパワーアップしているのを実感しているので、最後までチーム全力でもがいて頑張っていきたいと思います。ここにお客様のパワーが加わる初日が楽しみでワクワクしています!」と、意気込みを語る。

生駒里奈はゲネプロ中に「顔合わせの日にみんなでシアターゲームをしたことや、再演ということで作品を知っているからこそ難しかった稽古を思いだしました」と、これまでの苦労が駆け巡ったことを明かし、「ただ、すごく楽しい日々でした!」とにこやかに断言する。「前回のときはあまりいろいろなことを知っていなかったので、今回は知ったうえで挑むことの難しさや、先輩方のすごさを実感しながらやってきました」と再演ならではの想いを述べつつ、「……でも、ロケットを飛ばせたので! お客様にもそういったことを毎公演しっかり見せていきたいと思います」と、作品の物語につなげてコメントした。

脚色・演出の毛利亘宏は、前回公演から今回の再演までの年月に想いを馳せ、「2年半の間に、それぞれにとっていろいろな変化がありましたので、切磋琢磨してきた仲間たちと新たに加わった仲間が集まって新しい「モマの火星探検記」をつくり上げた、という自負がございます。前作をご覧になった方もまったく違う印象を受けるのではないかと思いますし、自信を持ってお送りできる作品になっておりますので、ぜひともご期待ください」と胸を張る。

原作者である毛利 衛は「私が原作に込めた想いやメッセージが、この舞台で期待以上に伝わっていると感じましたし、私自身も観て感激しました。舞台にしてくれてありがとうございます! 演じてくださったおふたりもすごいなと感じました。本当に感謝です」と喜びの表情で3人に向かって頭を下げ、お礼を言われた3人は恐縮しきりの様子だった。

舞台「モマの火星探検記」 エンタメステーションレポート

それぞれの役どころと、見どころについては矢崎と生駒が明かす。

矢崎が演じるモマは宇宙に憧れ、火星を目指す宇宙飛行士。「毛利 衛さんを前にして恐縮ですが、本当に計り知れない宇宙飛行士という役で、さらに演劇で宇宙を目指すということをやっている作品なのですが、ゲネプロで僕たちの宇宙がドーンと広がったという手応えがありました」と、自信を見せる。
さらに、モマがプロポーズに失敗するコミカルな場面に触れ、「前回公演のときから(ウケるかどうか)不安を覚えつつも、当時のゲネプロで笑いが起こったことが自信になっていました。先ほどのゲネプロでも笑い声が聞こえたので安心しています(笑)」とホッとした表情を浮かべ、「本当にたくさんのメッセージが詰まった作品ですので、ぜひいろんな方に見ていただきたいです。今回は4都市回るので、最後まで全力で頑張っていきたいと思います」と結んだ。

生駒の演じるユーリは、秘密基地で見つけたロケットの本を見て、友達と一緒にロケットづくりを始める女の子。そんなユーリのことを「憧れに突き動かされる女の子」と表現した生駒は「前回は20歳のときに演じていて、24歳になった今とそんなに変わらないと思っていたのですが、演じていてめちゃくちゃ難しくて! 20歳の私は本当に赤ちゃんだったのだなと思いました。……今もそうかもしれないですけど(笑)」とはにかみながら、「宇宙飛行士たちが火星に行くところだったり、子供たちが憧れで動いているところも見ていただきたいです。“夢を追いかけるのは本当に素晴らしいことなんだよ”ということを、私たちを見て感じてもらえたらと思っています」と呼びかけた。

舞台「モマの火星探検記」 エンタメステーションレポート

あらためてこの作品で伝えたいメッセージとして毛利 衛は「私たち自分や家族、そして社会、大きく言うと人類は、最終的には“地球”というところでしか生きられません。“SDGs(Sustainable Development Goals:エスディージーズ)”という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、これは“持続可能な社会”を目指して、それを世界レベルで実現するために国連で合意された世界共通の目標のことです。地球を大切にすることへ、世界を上げて向かっていって欲しい。この作品を世界中の人に見てもらえたらいいなと感じています」とコメント。

毛利亘宏は「宇宙を描いた作品なのですが、壮大なものを描こうとすると、どんどん小さな愛に行き着きます。“愛”というと気恥ずかしい言葉ですが、愛がいっぱい詰まった作品になっていると思います。今回の再演では特に、家族や身近な人を大事にしたくなるようなメッセージが強く伝わるのではないかと思っています。宇宙から個人的な愛、マクロからミクロ、みたいなつながりがあるのではないかと思います」と表現。

それぞれが作品にかける熱い気持ちの伝わる囲み取材となった。

東京公演は1月20日(月)まで、サンシャイン劇場にて。その後、愛知、大阪、福岡と全国4都市にて上演される。

少年社中・東映プロデュース「モマの火星探検記」

東京公演:2020年1月7日(火)~1月20日(月)サンシャイン劇場
愛知公演:2020年2月1日(土)~2月2日(日)岡崎市民会館 あおいホール
大阪公演:2020年2月7日(金)~2月11日(火・祝)サンケイホールブリーゼ
福岡公演:2020年2月15日(土)~2月16日(日)福岡市民会館

【STORY】
《モマの物語》
宇宙飛行士のモマは、父との約束を果たすために人類初の火星探検に挑む。
「人間はどこからきたのか、なんのために生きているのか」
火星に向かう旅の中でモマはその意味を考え続けていた。
そんなある日、モマの前に「幽霊」が現れる。
驚きながらも奇妙な出来事を受け入れる中で、
モマは少しずつ人間が生きる意味について考えていくのであった……。

《ユーリの物語》
北の国に住む少女ユーリの父親は宇宙飛行士だった。
彼女が生まれる前に人類初の火星探検に旅立ち、帰らぬ人となったという。
ユーリは行方不明となった父親にメッセージを送ろうと、
仲間と小型ロケットを作り始める。
やがて、失敗を繰り返すユーリの前に一人の「幽霊」が現れる。
幽霊はユーリに問いかける。
「宇宙の境界線はどこにあると思う?」
その姿にどこか懐かしさを感じたユーリは、幽霊との対話を繰り返しながら、
仲間たちと小型ロケットを完成させる。

果たして、時空を超え、モマとユーリの思いは交錯するのか──。

原作:毛利 衛「モマの火星探検記」(講談社)
脚色・演出:毛利亘宏

出演:
モマ 役:矢崎 広
ユーリ 役:生駒里奈
おじさん 役:井俣太良

ホルスト 役:鎌苅健太
ミヨー 役:松村龍之介
ヴェラ 役:内山智絵
バルトーク 役:堀池直毅
ガーシュウィン 役:山崎大輝
タケミツ 役:小須田康人

ジュピター 役:田村颯大 / 永島叶和(Wキャスト)

マイクロスコープ 役:田邉幸太郎
テレスコープ 役:鈴木勝吾

アイザック 役:杉山未央
ベルヌ 役:川本裕之
レイ 役:伊藤昌弘
カレイドスコープ 役:廿浦裕介

チキン 役:諸星翔希
オカルト 役:加藤良子
ハカセ 役:赤澤 燈
ホイップ 役:竹内尚文

保安官 役:長谷川太郎
お母さん 役:大竹えり

公演特設サイト

少年社中・東映プロデュース「モマの火星探検記」Blu-ray&DVD発売

発売日:2020年8月5日(水)
価格:Blu-ray ¥8,800(税別) DVD ¥7,800(税別)
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関連書籍:毛利 衛「モマの火星探検記」