LIVE SHUTTLE  vol. 388

Report

藤井フミヤ 2019年を締めたライブハウスツアー。その熱く多彩なステージングにオーディエンスが歓喜した夜を振り返る。

藤井フミヤ 2019年を締めたライブハウスツアー。その熱く多彩なステージングにオーディエンスが歓喜した夜を振り返る。

FUJII FUMIYA LIVE HOUSE TOUR 2019
KOOL HEAT BEAT
2019年12月27日 豊洲PIT

ライブ・スタイルの多彩さを誇る藤井フミヤの2019年のラストを飾るのは、“LIVE HOUSE TOUR 2019 KOOL HEAT BEAT”だ。ライブハウスといっても、スタンディングで3,000人以上のキャパシティを持つ豊洲PITがその舞台だ。

いつもなら武道館でカウントダウン・ライブを行なってきたフミヤだが、その武道館が改修で使用できないこともあっての会場変更だ。もっとも本人は「ずっと大晦日の武道館をやってきたから、そろそろ“後進”に場所を譲る」とも宣言していた。それでもオーディエンスたちは、暮れも押し詰まった日に最愛のフミヤに会えるとあって、場所が変わっても開演前の歓びを隠さない。この日はとても冷たい風が吹いていたが、Tシャツでスタンバイしているファンもいる。ダンサブルでロマンティックなライブが大好きな彼女たちは、至近距離でフミヤを見られるとあって、ザワザワと開演を待っていた。

暗転になると、オール・スタンディング会場独特の一体感のある歓声が上がる。5人のバンドメンバーに続いてフミヤのシルエットが現れると、その歓声がさらにアップする。フミヤは観客に背中を向けて、ライブのスタートを待つ。すぐに屋敷豪太のドラムがファンキーなビートを刻み出し、フミヤがそれに応えてハンドクラップする。1曲目は踊れる「Time Limit」(2007年)だ。斎藤有太・作詞作曲のセクシーな歌で、妄想を掻きたてるリリックの締めにフミヤが「イクッ!」とつぶやくと、「キャー!」と歓声が上がった。

続く「MY TYPE」(1997年)もファンキーなロック。ドラムス屋敷、ベース有賀啓雄といういつものリズムセクションに、今回はパーカッションの大儀見 元が加わって、鉄壁のグルーヴを繰り出す。この超安定したリズムに乗って、フミヤは自在に歌い、キーボードの斎藤もギターの真壁陽平も自由にソロを取る。「MY TYPE」では斎藤がクレイジーなソロを披露したのだった。

どうやらオープニング・ブロックは、セクシーな路線で行くらしい。とどめを刺すように、4曲目は「女神(エロス)」。滅多に曲を提供しない桜井和寿のメロディに、フミヤは♪今夜だけの女神(エロス) 俺の夜になりな♪というラブソング史上に残る美しくもエロい究極の歌詞を書いた。この曲で、ライブに最初のピークが訪れたのだった。

「今日は大人っぽいグルーヴで盛り上がっていこう。次はかなり大人っぽいよ」とフミヤはライブを進める。チェッカーズのアルバム『I HAVE A DREAM』(91年)収録の「そのままで」だ。この日のバンドメンバーの手にかかると、フミヤの言うように確かに大人の味わいになる。

その他、「同じ雨」(06年)や「わらの犬」(98年)など、雨をテーマにした曲が並ぶ。大人のグルーヴと雨のマッチングは非常に良く、ライブハウスとはいえじっくり聴かせてくれる。♪やがては変わる 時代を流して 誰かを深く愛したい♪という「わらの犬」の歌詞は、令和になった2019年と、2020年に変わる直前の心に沁みた。フロアからは、静かだが熱い拍手が起こった。

「フミヤさ~ん!」と男性から歓声が上がると、フミヤはニッコリ。

「取りあえず2ブロック、終わったな。今日は初めてYouTubeで生配信やらせてもらってます。生は緊張する。あ、そう言うと余計緊張するから、いらんことしゃべらないようにしよう・・・って、天国の母親から言われてるから(笑)」とフミヤが言うと、「え~、もっとしゃべって」とオーディエンスから声がかかる。「歌ってると若いのに、しゃべるとオヤジってよく言われるからなぁ(笑)。次はラブソングのコーナーです。あなたの心に届くように歌います」。

このブロックでは斎藤のピアノが大活躍する。最新アルバム『フジイロック』からの「そのドアはもう開かない」(19年)も、「Another Orion」(96年)も、ピアノのイントロが完璧な雰囲気を醸し出し、会場はフミヤの歌に聴き入る。特に「Another Orion」では、斎藤のピアノの音程に合わせて大儀見がパーカッションを叩き、これまでにないメロディアスな印象を残す。大儀見はフミヤのバンドに初参加だが、サウンドに深みを与えていて素晴らしかった。また「Another Orion」での真壁のギターソロはドラマティックで、彼もフミヤのライブに欠かせないメンバーだと感じた。真壁は「TRUE LOVE」(93年)でも歌と歌の間によいアクセントとなるオブリガードを弾いたのだった。

「「TRUE LOVE」が出てから、25年以上が経とうとしています。20代の頃は、永遠に20代が続くと思ってました。みんなも“昭和の子”だろ? 令和の子が俺のライブに来るのには、あと20年くらいかかる。それも君たちの付き添いとしてね(笑)。それでは次は、平成元年に発売した曲を!」と言って始まったのは、チェッカーズの「Room」(89年)だった。バンドのグルーヴが活き活きしているので、懐かしさよりも“今”を感じる。オーディエンスの身体が揺らぎ出す。

続く「ミセスマーメイド」(91年)と「One more glass of Red wine」(90年)もチェッカーズの曲で、このブロックはチェッカーズ尽くし。だが屋敷と有賀と大儀見の個性的なグルーヴの力で、確実にアップデートされているのが面白い。「One more glass of Red wine」のラストでフミヤは「じゃんけんしよう」と言って、チョキを出す。オーディエンスがそれに応じる。「グーのヤツだけ、帰りに手をつなごう」と、フミヤはおどけてみせたのだった。

「言わずと知れたチェッカーズの曲を歌いました。83年デビューだからね。日本がバブルで潤ってた時代に、スーパーアイドルとしてデビューした(笑)。なんてったって昭和ですからね。平成に戦争がなくて、よかった。令和が平和でありますように!」。

ライブは終盤に突入。「Tokyo City Night」(19年)でフミヤは、いよいよダンス・パフォーマンスを全開にする。「Crystal Blood」(02年)では、バンドのグルーヴが爆発する。このリズムをやらせたら、このメンバーの右に出る者はいない。ディープなソウルビートとフミヤのポップなボーカルが、絶妙な化学反応を起こす。加えてオール・スタンディングの会場が相まって、オーディエンスはダンスを始め、終盤らしい盛り上がりになっていく。その勢いのまま、「La La La Stranger」(02年)へ。真壁がグルーヴィーなコード・カッティングで会場をリードすると、オーディエンスは上げた両手を左右に振ってビートを楽しむ。斎藤も負けじと、アグレッシヴなオルガン・ソロで応戦する。

チェッカーズを彷彿とさせるテイストのポップロック「GIRIGIRIナイト」(16年)は、すでにフミヤのライブの定番曲になっている。オーディエンスも振り付けを覚えていて、フミヤと一緒に踊る。フミヤは途中、マウスハープ(ブルースハーモニカ)でソロを取り、エンディングもハープで決めたのだった。

本編の最後は、『フジイロック』の代表曲「WE ARE ミーハー」だ。ミーハーをポジティヴに捉えたこの曲は、フミヤにしか似合わない。ミーハーをディスるわけではなく、迷いなく人生を謳歌してきたオーディエンスたちには、自分たちのための歌のように響くのだろう。エンディングでは歌を止めてからまた再開するという演出を何度も繰り返し、会場はキャーキャー大騒ぎになった。

アンコールでフミヤはTシャツを着て登場。キーボードとギターのみをバックに「DO NOT」(97年)を歌い出す。やがてそこにドラム、ベース、パーカッションが加わり、優しいラブソングになる。ラストではメンバー全員でハーモニーを奏でたのだった。

「あと1曲」とフミヤが言うと、会場から「えーっ」と声が上がる。「今日は俺、けっこう歌ったよ。自分で2時間、カラオケで歌ってみ? 大変だよ(笑)。来年(20年)は1月からシンフォニック・コンサートをやる。F-BLOODもアルバムを出してツアーをやるよ。それじゃあ、よいお年を! 最後に心を込めてラブソングを歌います」。ラストナンバーは『フジイロック』から「Tonight」(19年)。斎藤のピアノが、会場を柔らかく包む。♪答えはない 心の中に 愛するあなたが浮かぶだけ♪というリリックが、お別れの時が来たことを告げる。最後はピアノだけ残って、終わった。

「サンキュー、また一緒に遊ぼうぜ!」と言い残して、フミヤが去っていく。オール・スタンディングなのに、じわじわ感動が押し寄せるところが、実にフミヤらしいライブだった。

文 / 平山雄一

FUJII FUMIYA LIVE HOUSE TOUR 2019
KOOL HEAT BEAT
2019年12月27日 豊洲PIT

セットリスト

1.Time Limit
2.MY TYPE
3.LADY SISTER BABY
4.女神(エロス)
5.そのままで
6.同じ雨
7.点線
8.わらの犬
9.Endless Snow
10.そのドアはもう開かない
11.Another Orion
12.ラブレター
13.TRUE LOVE
14.Room
15.ミセスマーメイド
16.One more glass of Red wine
17.Tokyo City Night
18.Crystal Blood
19.La La La Stranger
20.GIRIGIRI ナイト
21.WE ARE ミーハー
<アンコール>
EC-1.DO NOT
EC-2.Tonight

ライブ情報

PREMIUM SYMPHONIC CONCERT 2020
藤井フミヤ meets 西本智実

1月25日 (土) 千葉県 松戸・森のホール21 大ホール
2月5日 (水) 東京都 東京芸術劇場コンサートホール
2月9日 (日) 大阪府 フェスティバルホール
2月13日 (木) 東京都 Bunkamuraオーチャードホール
3月3日 (火) 東京都 東京芸術劇場コンサートホール
3月4日 (水) 東京都 東京芸術劇場コンサートホール
3月8日 (日) 兵庫県 兵庫県立芸術文化センター 大ホール

F-BLOOD、3年ぶりの全国ライブハウスツアー決定!
F-BLOOD LIVE 2020

4月25日 (土) 東京都 豊洲PIT
4月26日 (日) 宮城県 SENDAI GIGS
4月29日 (水・祝) 福岡県 Zepp Fukuoka
5月2日 (土) 大阪府 桜島/Zepp Osaka Bayside
5月4日 (月・祝) 広島県 BLUE LIVE HIROSHIMA
5月9日 (土) 大阪府 難波/Zepp Namba(OSAKA)
5月10日 (日) 大阪府 難波/Zepp Namba(OSAKA)
5月17日 (日) 神奈川県 KT Zepp Yokohama
5月24日 (日) 京都府 KBSホール
6月6日 (土) 東京都 台場/Zepp DiverCity(TOKYO)
6月12日 (金) 愛知県 Zepp Nagoya
6月13日 (土) 愛知県 Zepp Nagoya
6月20日 (土) 沖縄県 那覇 ナムラホール
6月24日 (水) 北海道 PENNY LANE 24
6月25日 (木) 北海道 PENNY LANE 24
7月5日 (日) 愛媛県 松山市総合コミュニティセンター(キャメリアホール)

藤井フミヤ

’83年 チェッカーズとしてデビュー。
’93年以降、ソロアーティストとして活動。ミリオンセラーとなった「TRUE LOVE」や「Another Orion」などは、幅広い世代から長く親しまれ続けている。
2013-2014年の2年間にわたり、『藤井フミヤ 30TH ANNIVERSARY TOUR vol.1 青春』『藤井フミヤ 30th Anniversary Tour vol.2 TRUE LOVE 』と題したデビュー30周年・ソロデビュー20周年記念の全国ツアーを展開。
また2013年の大晦日には日本武道館でのカウントダウンライブを5年振りに復活させた。
2015年、前年に好評を得たフルオーケストラとの『billboard classics FUMIYA FUJII PREMIUM SYMPHONIC CONCERT』のアンコール公演を開催。
2016年、4年振りのオリジナルアルバム『大人ロック』リリース、また2年振りの全国ツアー『Fumiya Fujii CONCERT TOUR 2016 大人ロック』、日本武道館でのカウントダウンライブを行う。
2017年、『billboard classics FUMIYA FUJII PREMIUM SYMPHONIC CONCERT』において、指揮者・西本智実氏とのコラボレーションが実現。西本氏とフミヤによる共作「あなたからの手紙」も演奏された。
そして、結成20周年を迎えたF-BLOODとして、6月にアルバム『POP ‘N’ ROLL』をリリース、9月からは『F-BLOOD 20th Anniversary POP ‘N’ ROLL TOUR 2017』と題した全国ライブハウスツアーを行った。
同年末にも日本武道館でのカウントダウンライブを開催している。
2018年、デビュー35周年イヤーに突入。ファン投票によるベストアルバム『FUMIYA FUJII ANNIVERSARY BEST “25/35” L盤&R盤』をリリースし、35周年前半の全国ツアーとして『ANNIVERSARY TOUR 2018 35 Years of Love』を開催。
大晦日には通算15回目となる『日本武道館 LAST COUNTDOWN PARTY 2018-2019』を行い、この公演をもって日本武道館でのカウントダウン公演をラストとした。
2019年、35周年イヤーの後半を飾る全国ツアー『35th ANNIVERSARY CONCERT 2019 藤井フミヤ”十音楽団”』を7月より開催。また3年振りのオリジナルアルバム『フジイロック』も発売。2020年にはF-BLOODが再始動、3年ぶりのツアーも決定した。

オフィシャルサイト
https://www.fumiyafujii.net

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