Interview

サンドクロック。シンガーソングライター二人のユニットが生み出す独自性とポップネス

サンドクロック。シンガーソングライター二人のユニットが生み出す独自性とポップネス

ルックスも性格も音楽性も違う2人の男性シンガーソングライター(滝田周、永田佳之)によるユニット“サンドクロック”が3rdミニアルバム「ハレルヤ」を完成させた。ナオト・インティライミが作曲を担当したリードトラック「ハレルヤ」をはじめ、滝田、永田の個性が強く込められた楽曲が収録された本作からは、このユニットの際立った独創性とポップネスが明確に伝わってくる。

取材・文 / 森朋之


それぞれの部屋をしっかり持っているというのがサンドクロックのテーマだし、その距離感は変わらないです

3rdミニアルバム「ハレルヤ」が完成しました。滝田さん、永田さんのシンガーソングライターとしての個性が、いままで以上にはっきりと示された作品だなと。

永田佳之 もともと音楽的なコンセプトを決めてから制作するユニットではないし、特に今回は「メロディ、言葉、歌を中心にしたシンガーソングライターとしての部分をしっかり出そう」という意識があったんですよね。あとはもうジャンルレスに作りたい曲を作るっていう。

滝田周 そうだね。制作を始めたのは今年の2月くらいで、10カ月くらいやってたんですよ。最初のほうに録った曲は「ちょっと懐かしいな」って思うくらい(笑)、しっかり時間をかけたので。収録されているのは6曲ですが、お互いにかなりの数の曲を用意したんですよ。そのなかから厳選して、1曲1曲仕上げていった感じですね。

永田 もともとソロのシンガーソングライターとして活動していたふたりが一緒にやってるユニットですから。それぞれの部屋をしっかり持っているというのがサンドクロックのテーマだし、その距離感は変わらないですね。

確かに「これは永田さんの曲」「こっちは滝田さんの曲」っていうのが、すぐにわかりますよね。

永田 そうですね(笑)。今回はけっこう振り切って曲を書いたんですよ。「自分のメロディや歌詞はこういう感じ」というところからブレないように意識したというか。次からは変わるかもしれないですけど(笑)、今回はちゃんと自分を出そうと思って。

滝田 去年(2015年)、ミニアルバムを2枚、今年の始めにフルアルバムを1枚出して、それまでにストックしたあった曲を全部収録したんです。だから今回のミニアルバムは完全にゼロからの制作だったんですよね。僕自身もすごくフラットな状態だったし、「どういう音楽をやりたいのか?」と初心に戻ったところもあって。細かいことは気にせず、すっきりした気持ちで純粋に曲作りができたと思います。

ナオトさんのメロディのなかにこの曲の答えがあったんだと思います

表題曲「ハレルヤ」の作曲はナオト・インティライミさん。他の方が作ったメロディにふたりで歌詞を付けるのは初めてですよね?

永田 そうですね。ナオトさんにはかなり前から曲をお願いしていて、送っていただいたタイミングが今回のレコーディングの終盤だったんです。メロディが自分たちの心境にも合っていたし、他の収録曲と並べても違和感がないというか、しっかり筋が通ってる感じがあったから「ありがとうございます」って入れさせてもらって。最初に聴かせてもらったのはナオトさんの弾き語りだったんですよ。歌とギターで“ラララ”で歌ってる、すごくシンプルなデモで。

滝田 部屋で録ったようなデモだったんですけど、それがすごく良かったんですよね。歌詞は乘ってなかったけど、「こういう空気感の曲にしたいんだろうな」というイメージが伝わってきて。歌詞は永田と一緒に書いたんですけど、そこまで苦労しなかったし、スムーズでしたね。永田か僕が作ったメロディにふたりで歌詞を乗せようとすると、どうしても思い入れが強くなってしまって、上手くいかないことも多くて。ナオトさんのメロディに対しては、ふたりも客観的になれたし「こっちの言葉のほうがいいんじゃない?」というディスカッションも出来たので。こういう前向きな歌詞になったのは、ナオトさんのメロディのおかげですね。

解放感のあるメロディだし、「ハレルヤ」という言葉ともすごく合っていて。

永田 どうやっても暗い曲になるメロディではないですよね(笑)。でも、単に明るいだけの曲ではないんですよ。優しさもあるし、何かを乗り越えた後の明るさみたいなものがメロディからも感じられて。ナオトさんのメロディのなかにこの曲の答えがあったんだと思います。

滝田 「いいこともあるし、嫌なこともあるけど、楽しくがんばろう」という感じですよね。ボーカルのレコーディングもすんなり行けました。僕らがもともと持っているメロディに近かったのかもしれないですね。

永田 クセとかヒネリみたいなものがなくて、普遍的なところから出て来たメロディだと思うんですよ。だからレコーディングでも素直に歌うことを意識してました。

滝田 「こういうふうに来てほしいな」というところにピタッと来てくれるメロディなんですよね。ずっと曲を作ってると、だんだん物足りなくなってくるというか「もうちょっとヒネったほうがいいかな」ってイジりたくなってくることもあって。「ハレルヤ」のメロディを歌ったときは「もっとシンプルでいいんだな」って原点回帰できた気もしました。たくさんの人に聴いてもらえる曲だと思うし、「ハレルヤ」という入り口からミニアルバムに入ってきてもらって「あ、こんな曲もあるんだ」って楽しんでもらいたいですね。

2曲目の「Sleeping Beauty」は滝田さんの楽曲。居酒屋で酔って寝てしまった女の子に付き合う健気な男性の歌ですが、「Wake up! Wake up!」というサビのフレーズがめちゃくちゃキャッチーですね。

滝田 ぜひ目覚めの曲にしてください(笑)。この曲は渡辺シュンスケさん(Schroeder−Headz、cafelon)にアレンジしていただいたんです。もともと僕はキレイなサウンドを意識していた部分があったんですけど、「Sleeping Beauty」はロックな感じをプラスしたくて「シュンスケさんなら絶対に理想のサウンドにしてくれるはず!」と思ってお願いして。僕にとってシュンスケさんは神様みたいな人なので、かなり緊張してたんですけど「どうしたい?」って気さくに話してくれて。素晴らしいアレンジになりましたね。

先輩をディスってる曲ではなくて、僕のなかでは応援歌なんですよ

ポップ感とエッジの効いた音のバランスがすごくいいですよね。続く3曲目は永田さんの「その話、長いですか?」。話の長い先輩に対して、後輩が「その話、まだ続きます?」と言っているシチュエーションの曲ですね。

永田 よくある状況だと思うし、しっかり的を絞って書いた曲ですね。まず「その話、長いですか?」という言葉が浮かんだんですよ。そこからは早かったですね。たぶん15分くらいで書けたんじゃないかな。

滝田 そんなに? 永田史上、最速だね(笑)。

永田 歌詞に1か月くらいかかることもあるんですけど、浮かんできたフレーズが自分と上手くリンクすると、一気に書けるんですよ。「その話、長いですか?」はまさにそうで、いまの自分が言いたいことと一致してたんですよね。自分に対する戒めでもあるというか、その頃、飲んだり遊んだりしていても、つい暗い話をしがちだったんです。だからこの曲は「その話、もうよくない?」って自分に言ってる感じもあって。先輩をディスってる曲ではなくて、僕のなかでは応援歌なんですよ。

なるほど。滝田さんが歌詞を書くときは、どんなやり方が多いんですか?

滝田 まず映像を思い浮かべることが多いですね。たとえばミニアルバムに入っている「アスナロ」はメロディから出来たんですが、目をつぶってメロディを聴いてるうちにアスナロの木が浮かんで、そこから友情の歌になっていって。

旅立つ友人に対する思いが綴られていて、そこにアスナロの木が重なるっていう。友人に直接声をかけないところも切ないですね。

滝田 僕の性格的にもズバッと思いを伝えられるタイプではないので。だから心に浮かんでいることを音楽にしようと思うのかもしれないですね。今回の制作では、そこからさらに違う視点を取り入れて「どうすれば伝わりやすくなるだろう?」って客観的に考えたんです。そっちが強くなるとつまらない曲になる気がするので、バランスを取るのが大事だなって。

「知らない人のワンちゃんを可愛いガール」も、めちゃくちゃ永田さんらしい曲だと思います。遅刻しても悪びれない女の子、すぐに写真を撮る女の子、知らない人のワンちゃんを触りがたる女の子など、ちょっとワガママな女の子がいろいろ描かれていて。

永田 仮タイトルは「遅刻ガール」だったんですよ。おもしろがりながら歌詞を書いてるうちに「知らない人のワンちゃんを可愛いガール」が出てきて、ひとりで笑ってしまって(笑)。そしたらディレクターが「これをタイトルにしよう」って。

滝田 僕は2番を歌ってるんですけど、「こんなこと歌っていいのかな?」って思いましたね(笑)。女の子をちょっとディスってる感じじゃないですか。

永田 でも最後は「それでも好き」っていう歌になってるから。愛ですよね、これは。この曲もシュンスケさんにアレンジしてもらったんですけど、ピアノはめちゃくちゃカッコいいんですよ。ちょっとジャズロックみたいなカッコいいサウンドで、こういうことを歌ってるのがおもしろいなって(笑)。

シンガーソングライターふたりのユニットはそんなにいないと思うし、ぜひライブを観てほしいなって

最後に収録されている「レグルス」の作曲は“サンドクロック”とクレジットされていて。ふたりでメロディを書いたんですか?

滝田 そうですね。もともとは僕が作っていたんですけど、サビがどうしてもしっくり来なくて。流れがキレイすぎるというか、どうもパンチがなかったんですよ。それで、「Bメロの後、作ってくれない?」って永田に渡したんです。そういうことはけっこうありますね。永田から相談されることはほとんどないけど。

永田 僕は理論的に作るほうなので、メロディやアレンジに関してはあまり迷わないんですよ。滝田からこの曲が送られてきたときも、すぐに「サビはスピード感があったほうがいいな」と思って。

滝田 永田が作ってくれたサビを聴いたときは「そうそう、これ!」って(笑)。歌詞はやっぱり映像が先にありましたね。プラネタリウムではないんだけど、星が回転していて、その下に自分がいるというイメージがあったから、それを浅田信一さん(ex.SMILE)に伝えてアレンジしていただいて。

ミニアルバムの制作を通して、得られるものも多かったのでは?

滝田 プロデューサーの方としっかり話せたのはいい経験になりましたね。浅田さんもシュンスケさんも、僕らの成長を見込みながら、いろいろと話をしてくれたので。

永田 「曲のなかにどこまで自分を入れればいいか」ということを客観的に見られるようになってきましたね。バランスが取れるようになってきたし、次の制作にも活かせると思います。アレンジや他の楽器もやっていきたいですね。

滝田 後はライブの動員を増やすことですね。シンガーソングライターふたりのユニットはそんなにいないと思うし、ぜひライブを観てほしいなって思います。

サンドクロック

滝田周 Shu Takita(Vo/Key)、永田佳之 Yoshiyuki Nagata(Vo/Gt)。
滝田の突き抜けるような力強いヴォーカルと、永田の訴えかけるような繊細な ヴォーカルが砂時計(=サンドクロック)をひっくり返すように入れ替わり、混ざり合い、一つの世界を紡ぎだす。まったく異なる音楽的ルーツを持ち、それぞれが作詞作曲を行い、色とりどりの多彩なステージを繰り広げるその姿はありきたりの二重唱(duo)ではなく、 まさに決闘(duel)という表現が相応しい。
元々、それぞれがソロのシンガー・ソング・ライターとして都内を中心に活動していたが2010年12月ライブで共演し、互いに衝撃を受け、2011 年5月「サンドクロック」を結成。 島村楽器主催音楽コンテスト「HOTLINE2012」全国グランプリ獲得。最初は路上ライヴからスタートしながらも、今では多数のイベントや大型フェスへの出演を果たす。
2015 年6月3日『EPOCH』にてメジャー・デビュー。

オフィシャルサイトhttp://sandclock.net

ライブ情報

サンドクロック ワンマンライブ
 “おふたり Pop Noodle” ~Lunch & Dinner Show~
12月4日(日) 東京 eplus LIVING ROOM CAFE & DINING
12月10日(土) 大阪 Bodaiju Cafe
12月11日(日) 熊本 Restaurant Bar CIB

サンドクロック Release One-Man Live 2017
『ハレルヤ』~単純明快、人生は楽しんだもん勝ち!~
2月4日(土) 東京 Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE ※バンド編成
2月18日(土) 宮城 SENDAI KOFFEE ※2人アコースティック編成
2月25日(土) 愛知 BL café ※バンド編成
3月4日(土) 大阪 Music Club JANUS ※バンド編成
3月11日(土) 長崎 DRUM Be-7 ※2人アコースティック編成
3月12日(日) 福岡 DRUM Be-1 ※バンド編成

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